皆さんこんにちは!
大阪に拠点を持つ空飛ぶタクシー会社が、韓国のベンチャー企業のプラナのハイブリッドeVTOLに大型の出資をすることがわかりました。
同社製のeVTOLを2040年までに最大50機購入する計画を発表しました。
日本の空飛ぶタクシーが米国のeVTOL企業PLANAに出資

空中タクシーを地上タクシーと同じくらい手軽に利用できるようにすることを目標とする
航空事業を展開する日本を拠点とする空飛ぶタクシー(SkyTaxi)は、今週、eVTOL企業
であるPLANA USへの投資を発表したとプレスリリースで報じられてました。投資額は非公開。
PLANAは韓国に拠点を置いていたが、最近、事業をカリフォルニアに移転しました。
ソラトブは2023年6月に、2040年までに最大50機のPLANAハイブリッドeVTOL機を
購入する計画を発表しました。今回の投資により、機体の仕様、運用設計、規制遵守などの分野でより緊密な協力が可能になります。
同社は、CP-01と呼ばれるハイブリッド電気式中距離eVTOL機を開発しており、その長い
航続距離と高い運用効率で世界的な注目を集めています。
最大の特徴は、310マイル以上の航続距離と、パイロットを含む最大7名を搭乗できる
ことです。同社は今年、型式証明の取得を容易にするため、米国に拠点を移し、
「Made in USA」の称号の下で航空機の開発を行っています。
ソラトブはこれまでもPLANAの韓国部隊と緊密な協力関係を維持してきましたが、主要な
事業および開発活動をすべてアメリカに移管するという同社のビジョンをさらに支援するために、今回の投資を決定しました。

ソラトブタクシーの日本における運行コンセプト
そらとぶタクシーの代表取締役社長、北條卓人氏は「観光客や訪日外国人の輸送、ビジネス
シーンでの活用といった当社の目標を考えると、310マイル(500km)飛行でき、4人以上
の乗客を乗せられる機体は非常に魅力的です」とコメントしました。
「このeVTOLの導入により、大阪を起点に日本全国に展開し、先進的なエアモビリティの
社会実装を目指します。私たちのビジョンは、富裕層向けの特別な贅沢品ではなく、誰も
がタクシーに乗るようにエアモビリティを利用できるようにすることです。」
PLANAの創業者兼CEOであるブラデン・キム氏は、「今回の投資は単なる資金調達にと
どまらず、アジア地域においても共同で市場を拡大する機会となる」とコメントしました。
ソラトブは今後、「空の旅を、もっと身近に」というビジョンのもと、PLANA社との技術・
事業連携を強化し、自治体サービス、観光、災害支援などの分野での社会実装に向けた取り組みを加速して行きます。
両社は、日本国内における中距離eVTOLの早期実用化と安全な空中移動ネットワークの構築を目指し、共同で取り組んで行く予定です。
そらとぶタクシー株式会社(SKY TAXI CO.,Ltd)
会社概要
そらとぶタクシー株式会社は、大宝タクシー株式会社(大阪に拠点を置く老舗タクシー会社)のグループ企業として設立されました。
大宝タクシー株式会社は大正15年、大阪で創業した最古のタクシー会社の一つです。
大宝タクシーは平成19年には大阪全土のサービス展開の足掛けとなるべく堺市にも弊社の
サービスを提供する株式会社南港マリンタクシーを創業しました。
設立された2022年は、大宝タクシーグループが創業100周年(2025年予定)に向けて、
「Project SkyTaxi」として次世代モビリティ事業へ参入する一環として位置づけられています。
「空飛ぶタクシーを、地上のタクシーと同じくらい身近に」することを目標に掲げています。
富裕層向けの豪華なサービスではなく、一般市民が日常的に利用できる公共交通インフラとなることを目指しています。
大阪を最初の運航エリアとして想定しており、特に観光客やインバウンド利用者、ビジネス利用のための都市間輸送を重視しています。
航続距離 500km の持つ意味
そらとぶタクシー株式会社がPLANA社のハイブリッドeVTOL(CP-01)を採用する最大の理由の一つが、この長大な航続距離にあります。
これは、他の多くの都市型eVTOL機(純粋なバッテリー電動で航続距離が100km〜200km程度のものが多い)と比較して、非常に大きな競争優位性となります。
一般的なeVTOLは、都市内の限られたエリア(例:空港から都心部)の移動を想定しています。
PLANA機は、 大阪-東京、大阪-福岡、または大阪-名古屋といった長距離の都市間移動
をカバー範囲に収めることが可能になります。これは、日本の新幹線や高速道路網と競合、
または補完できるレベルの移動サービスを提供できることを意味します。
PLANAの米国移転はなぜ? MRJとホンダジェットから学ぶ航空産業の「戦い方」
空飛ぶクルマ(eVTOL)を開発する韓国のPLANA社が、拠点を米国カリフォルニア州に
移転しました。これは単なる「引っ越し」ではなく、グローバル市場での成功を目指す上
で、非常に合理的で重要な戦略的判断だと分析できます。
日本の航空機開発の事例、特にホンダジェットと三菱MRJ(現:三菱スペースジェット)
の明暗を分けた要因を比較すると、その意義がよくわかります。
認証と資金調達の「主戦場」
PLANAが米国を選んだ最大の理由は、「認証」と「資金調達」の主戦場がそこにあるからです。
- FAA認証の優位性: 航空機が商業運航するためには、連邦航空局(FAA)やEASAといった厳格な機関の認可が必須です。FAAは、革新的なeVTOLの認証プロセスにおいて世界をリードしており、このプロセスに近い場所で開発・当局との対話を密に進めることは、早期の実用化に直結します。
- 投資環境: 多額の資金が必要な航空機開発において、次世代技術への投資が活発な米国のベンチャーキャピタル市場に直接アクセスできることは、生命線となります。
失敗の教訓:MRJ(三菱スペースジェット)
日本の三菱航空機が開発を進めたMRJは、開発初期に日本の認証体制を主軸に据えすぎた
ことが、失敗の一因とされています。米国連邦航空規則(FAR)への理解不足や、認証
プロセスの厳しさを甘く見た結果、設計変更を繰り返し、度重なる納期遅延とコスト増大を招きました。
グローバルな認証基準と開発体制を早期に構築できなかったことが、プロジェクトの終焉につながった最大の教訓です。
成功の戦略:ホンダジェット
一方、ホンダジェットは対照的です。ホンダは開発・製造・認証の全てを米国ノースカロ
ライナ州の現地法人で完結させるという戦略をとりました。
これにより、ホンダはFAAの認証プロセスに深く入り込み、米国の成熟した航空産業の
エコシステム(サプライヤー、人材、専門知識)をフル活用しました。この「主戦場で
戦う」戦略が、ホンダジェットを世界的なベストセラー小型ジェット機へと導きました。
PLANAの選択が意味するもの
PLANAの米国移転は、まさにこのホンダジェットの成功モデルをeVTOLで再現しようとする試みです。
自国の開発環境にこだわるよりも、FAAの認証とグローバルな投資環境を最優先し、
ライバルがひしめく市場で最初に飛び立つための最短ルートを選びました。これは、世界的
なエアモビリティ市場で生き残り、早期の事業化を達成するための、極めて合理的かつ現実的な「グローバル戦略」だと言えるでしょう。
PLANAは、この戦略によって日本の「そらとぶタクシー株式会社」のような重要なパートナ
ーシップも獲得し、早期実用化への道のりを加速させています。
空飛ぶクルマ(eVTOL)業界は今、「純粋な電動」か「ハイブリッド」か、という大きな
岐路に立っています。その中で、韓国のPLANA社はあえてハイブリッド電動推進システム
を選びました。この選択こそが、同社の機体「CP-01」の最大の技術的優位性であり、
そらとぶタクシー株式会社が採用を決めた理由です。


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