空の免許を持つ投資家が見ている未来――千葉功太郎氏とUPRTの、深い接点

UPRT

皆さんこんにちは。吉川哲也です。

ホンダジェットを操縦し、エアモビリティ社会を創ろうとする投資家・千葉功太郎氏へ。その空を安全にする訓練を日本に作ろうとしている元戦闘機パイロットがいます。いつか、空で語り合いましょう。

空の免許を持つ投資家が見ている未来――千葉功太郎氏とUPRTの、深い接点


「口だけの評論家にはならない」

この言葉を聞いたとき、私は思わず膝を打った。

千葉功太郎氏。DRONE FUNDの創業者であり、日本屈指のエンジェル投資家。そして――自ら航空パイロットライセンスを取得し、ホンダジェット国内1号機を操縦する、「空を飛ぶ投資家」だ。

46歳からパイロット訓練を始め、1年9ヶ月の壮絶な勉強と訓練を経て国家試験に合格した千葉氏が、その理由をこう語っている。

「ドローンやエアモビリティの未来を語るなら、まず自分が空を知らなければならない。口だけの評論家にはなりたくなかった」

私が11月にアリゾナへ渡り、APS Trainingで自らUPRT訓練を受けることを決めた理由と、これは一字一句変えずに重なる。


空を飛んで初めてわかること

千葉氏は、ホンダジェットのオーナーになる前後に「空の猛勉強」をしたと語っている。そして実際に操縦席に座り、空を飛ぶことで、地上にいては絶対に気づかないことに気づいたという。

「空の見方が絶対座標から相対座標に変わった。私たちは重力に支配され、地上にへばりついている。空にはそれがない。これは実際に空に行って初めて肌で感じたことだ」

これは、パイロット訓練の世界で言う「状況認識(Situational Awareness)」の変化そのものだ。

地上の感覚を持ったまま空に上がると、人間の身体は嘘をつく。前庭錯覚、傾斜錯覚、夜間飛行での方向感覚の喪失――これらはすべて「地上の絶対座標」の呪縛から来ている。

UPRTが教えることの本質は、まさにこの「座標系の切り替え」だ。異常姿勢に陥ったとき、パイロットが感覚ではなく計器と知識で機体を把握し直すための訓練。千葉氏が空を飛んで「肌で感じた」感覚の転換を、意図的に、繰り返し、身体に刻み込む訓練だ。


航空安全の歴史を「事故の歴史」として学んだ投資家

千葉氏は、パイロット訓練の中でこんなことも語っている。

「飛行機について学ぶとき、事故の歴史は現在の安全性に直結している。100年あまりの歴史の中で急激に安全性を高めてきた。なぜこれだけ短い歴史で安全に飛ばせるようになったのか。優れたオペレーションの構築とテクノロジーの進化、この2つが理由だ」

これを読んだとき、私は元パイロットとして深く頷いた。

千葉氏は投資家として、ビジネスとして空を見ているだけではない。一人のパイロットとして、航空安全の歴史を自分ごととして学んでいる。

ならば、こう伝えたい。

その「事故の歴史」の中で、今この瞬間も世界で最も多くのパイロットと乗客の命を奪い続けている問題がある。それがLOC-I(制御不能飛行)だ。IATAの報告によれば、これは商業航空死亡事故原因の長年にわたる第1位であり続けている。

そして日本には今、この問題に専門的に立ち向かう訓練機関が一つも存在しない。


エアモビリティ前提社会の「安全基盤」とは何か

千葉氏のビジョンは大きい。「ドローン前提社会」「エアモビリティ前提社会」――2030年代、空が当たり前のインフラになる世界を創ることだ。

しかし、ここで一つ問いたい。

空が「当たり前のインフラ」になるとき、その安全基盤は誰が作るのか。

ドローンが頭上を飛び、空飛ぶクルマが都市を移動する社会。その空間を飛ぶ操縦者たちが、異常姿勢への対処を身体で知っていなければ、どうなるか。

LOC-Iの脅威は、大型旅客機に限らない。軽量機、ドローンの有人型、空飛ぶクルマ――むしろ機体が小型・軽量になるほど、外乱への感度は高まり、異常姿勢のリスクは増す。

DRONE FUNDが投資する先のスタートアップが作る機体を、誰が安全に操縦するのか。その操縦者を育てる訓練の基盤を、誰が作るのか。

UPRT JAPANが目指すのは、その基盤だ。


「ここで自分がやらなければ」という感覚

千葉氏がDRONE FUNDを立ち上げたとき、こう語っていた。

「ここで自分がドローン分野に投資をしなければ、日本のドローンの可能性をつぶしてしまうのではないか、と思った」

私も今、まったく同じ感覚を抱いている。

日本に、UPRT訓練機関がない。国際標準の訓練が受けられない。このままでは、LOC-Iによって命が失われ続ける。そしてエアモビリティ社会の安全基盤が、永遠に整わない。

「ここで自分がやらなければ」

その一点から、UPRT JAPANの設立は始まっている。

今年11月、私はアリゾナ州のAPS Trainingへ渡航し、自らUPRT訓練を受ける。「語るだけでなく、まず自分が体験する」という信念から来る選択だ。これは、千葉氏がパイロット免許を取りに行った理由と、根っこで繋がっている気がする。


空を飛ぶ者同士の、共通言語

パイロットライセンスを持つ投資家は、日本にほとんど存在しない。

千葉氏は、その数少ない一人だ。実際にホンダジェットの操縦席に座り、空を飛んでいる人間として、LOC-Iの脅威がどれほどリアルなものか、言葉でなく感覚で理解できるはずだ。

「天気の急変が来たら、こう迂回しよう」「あらゆる最悪のパターンをシミュレーションした上で離陸する」――千葉氏がパイロット訓練を通じて身につけたこの姿勢は、UPRTが目指す「異常事態への備え」とまったく同じ方向を向いている。

空を飛ぶ者には、共通言語がある。

その言語で語り合える日を、私は楽しみにしている。


これからのUPRT JAPANの発信について

このブログでは、今後も積極的に発信を続けていく。

11月の渡米までの準備の様子、APS Trainingでの訓練記録、帰国後の活動計画。そして日本の航空安全が抱える問題と、その解決に向けたUPRT JAPANの取り組み。

「日本の空をもっと安全に」という一点に向かって、言葉と行動で走り続ける。

読んでくださっているあなたに、その過程を正直に、リアルに伝えていきたい。


本記事は公開情報をもとに執筆しています。千葉功太郎氏との直接の取材や許可を得たものではありません。

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