皆さんこんにちは!
2025年9月下旬、航空業界のネットワーキングの祭典「Routes World」が香港で開催さ
れました。世界中の航空会社、空港、観光当局が集結し、新しい路線や既存のサービスの
将来について議論する場ですが、今年は開幕前から大きな試練に直面しました。
試練を乗り越える:航空業界のレジリエンス
イベント前夜、香港を超大型台風「ヤギ」が直撃。キャセイパシフィック航空(CX)は
500便以上の欠航を余儀なくされましたが、香港空港管理局(HKAA)と航空会社との
連携、そして入念な準備により、嵐が過ぎ去った後の運航回復は驚くほど迅速でした。
ASMのトニー・グリフィン氏とエドモンド・ローズ氏は、この事態を「業界の回復力向上
を示す好例」と評価しています。航空業界は、地震、ハリケーン、地政学的な混乱など、
絶えずショックにさらされており、そうした事態への対応力が非常に高いと指摘されま
した。特に、パンデミック(COVID-19)の経験を経て、業界は予期せぬ状況への適応力と連携を大きく向上させています。
ポストコロナのネットワーク戦略:新しいトレンド
routes Worldでの会話は、以前のイベントとは異なる、前向きなトーンで満ちていました。
納入遅延やエンジン問題の話題が減少
過去数年間のRoutes Worldでは、航空機の納入遅延やエンジン問題によるキャパシティ
不足が常に話題の中心でしたが、今回はその手の不満が大幅に減少しました。代わりに、
2025年夏に向けてキャパシティが増えるという楽観的なムードが広がっていました。
例えば、ウィズエアはアブダビ拠点の閉鎖に伴い、12機分のキャパシティを他の成長市場に振り向ける計画を共有しました。
計画サイクルの長期化と柔軟性
従来のネットワーク計画では、来年夏(2026年夏など)のプログラムは既にほぼ決定され
ているのが通例でした。しかし、今年はフルサービスキャリアも含め、意思決定の期間が
数ヶ月先まで延長されていることが分かりました。これは、空港側にとって路線獲得の
チャンスが長くなることを意味し、航空会社にとってはより柔軟な対応が可能になっていることを示唆しています。
A321XLRが切り開く未来
航空会社が最も期待を寄せる新しいテクノロジーとして、A321XLRが挙げられました。
エアリンガスやイベリア航空のようなキャリアは、この機材によって、新しい中距離路線
を開設し、座席数を市場の需要に合わせて調整し、運航頻度を高め、年間を通して路線を
運航することが可能になると見ています。これは、ネットワーク展開におけるゲームチェンジャーと目されています。
路線誘致競争の激化:データから「取引」へ
路線拡大の意思決定において、航空会社の焦点は微妙に変化しているようです。
データ重視から商業重視へ
トニー・グリフィン氏は、航空会社が「データ重視」から「取引(商業)重視」へ、わずか
にシフトしていると見ています。もちろんデータは重要ですが、特に格安航空会社
(LCC)を中心に、空港からの金銭的インセンティブ(乗客一人あたりの金額)や、観光
代理店からのマーケティング支援が、路線の採択において大きな比重を占めるようになっています。
空港間の熾烈な競争
航空会社は、自分たちが地域や空港にもたらす経済的価値を理解しており、その影響力を
活かして空港から最良の商業的オファーを引き出そうとします。特にイタリアのように
商業空港が35〜36も存在する地域では、競争は非常に激しくなります。
エドモンド・ローズ氏は、空港側が観光団体からの支援も含めた、より包括的かつ創造的な
路線支援パッケージを構築する必要があると指摘しています。
活況を呈する成長市場
今回のRoutes Worldで、航空会社の関心を集めた成長市場は以下の通りです。
サウジアラビア:中東の新たなハブ
サウジアラビアは現在、最も野心的な国として注目されています。
- リヤド・エアの就航を控えているほか、4番目の国内格安航空会社も計画されています。
- 経済成長と人口増加に伴い、航空需要が拡大しています。
- 観光客誘致に向けた大規模プロジェクト(紅海リゾートなど)を推進しており、中国の航空会社など、多くのキャリアが路線を増やしています。
- 次回のRoutes World 2026がリヤドで開催されることからも、その意欲が伺えます。
インド:引き続き力強い成長
インドは、インディゴ(IndiGo)がデリー〜マンチェスター線を新たに開設するなど、長距
離路線を含めた成長を続けています。市場の統合は進んでいるものの、人口規模や経済の
活力を背景に、さらなる成長の余地は十分にあると見られています。
インドネシア:隠れた国際線市場
トニー・グリフィン氏は、インドネシアを特に注目すべき市場として挙げました。
- 人口約2億7000万人と世界有数の人口を抱えながら、国際旅客輸送の面では相対的にサービスが手薄です。
- AirAsia、IndiGo、ライオン・エアなど、アジア圏の航空会社が新型機を大量発注しており、これらの増分キャパシティ(旧型機の置き換えではなく純粋な増加分)の多くは、インドネシアのような成長市場に投入される必要があります。
- 特にインドネシアとオーストラリア間の市場は、今後数シーズンで大きな成長が期待されています。
今回のRoutes Worldは、航空業界が大きなショックへの対処能力を高め、パンデミック後
の混乱から一段落し、前向きな姿勢で将来の成長戦略に焦点を移していることが明確になりました。
このレポートを参考に、あなたの次の旅行先や、今後の航空業界の動きに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
特にサウジアラビアやインドネシア市場の成長について、さらに詳しく掘り下げてみたい
ポイントはありますか?それとも、航空会社がどのようにA321XLRを活用してネットワー
クを構築していくか、といった戦略的な議論にご興味がありますか?
これらの問題は、また次回のブログで。
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