皆さんこんにちは!
昨年末、LSA(Light Sports Aircraft)が軽量航空機として2点間での飛行が認められ
たことから、やっと日本のLSA、いえ日本の航空業界の明るい未来が見えて来たのです。
LSA(Light Sports Aircraft)
LSAとは?
LSA(Light Sports Aircraft)とは、小型、軽量で飛行操作が単純な航空機の新しい
カテゴリです。 LSAはウルトラライト機(マイクロライト機)よりも洗練され、重量が大き
い傾向にありますが、重量及び性能についての制限によって、既存のゼネラルアビエーシ
ョン機のカテゴリから分離されています。LSAについて世界に標準的な定義は有りません。
次に各国でのLSAの基準や体型などを見ていきましょう。
アメリカ
LSA発祥の地、アメリカです。小型機の部門では最も人口が多く、活発な国です。
2004年9月1日、新たな区分として“Light-Sport Aircraft”を定義したアメリカ連邦航空
規則が施行されました。
機体要件
- 航空機の種類:飛行機(陸上機/水上機)、ジャイロプレーン、飛行船、気球、体重移動
操縦が他機(所謂「トライク」、陸上機/水上機)、グライダー、動力付きパラシュート型機
- 最大離陸重量:1320lbsまたは1430lbs(水上機)
- 最大失速速度:45kn
- 水平飛行における最大速度:120kn(動力機)
- 超過禁止速度:120kn(グライダー)
- 最大座席数:2座
- 最大エンジン数:1(動力機)
- プロペラ:固定ピッチまたは地上で調整可能(モーターグライダーを除く)、固定ピッチまたはフェザリング機能付きプロペラ(モーターグライダー)
- キャビン:非与圧
- ローター:固定ピッチ、セミリジッド、シーソー型ローターヘッド、2枚ブレード(ジャイロプレーンの場合)
- 降着装置:固定式(水上機、グライダーを除く)
また、完成品(工場で組み立てたもの)Special Light Sport Aircraft (S-LSA,SLSA)と
組み立てキッドにより製作したものExperimental Light Sport Aircraft (E-LSA,ELSA)に
分類されます。
パイロット資格
パイロットの資格は、LSA独自のスポーツパイロットという資格が必要です。ただし
日本の自家用操縦士レベルの資格ではなく、訓練時間も少なく低価格で取得できます。
昼間の有視界飛行のみが許可されます。しかし自家用操縦士以上のライセンスを持って
いれば、夜間の2点間(離陸と着陸場所が違う)飛行も可能です。
管制空域(航空管制をしている飛行場やその周辺空域)も飛行できます。
オーストラリア
2006年1月7日にLight Sport Aircraftに対する新たな認証区分が施行されました。
機体要件
- 航空機の種類:固定翼動力機(飛行機)、動力付きパラシュート型機、体重移動操縦型機、グライダー、気球、飛行船、ジャイロプレーン
- 最大離陸重量:600kg(陸上機)、650kg(水上機)、560kg(軽航空機)
- 最大失速速度:着陸形態で45kn
- 水平飛行における最大速度:制限なし(グライダー除く)、135kn(グライダー)
- 最大座席数:2座(パイロット含む)。座席を持たない気球の場合、搭乗者2名まで。
- 最大エンジン/モーター数:1(動力機の場合)
- プロペラ:固定ピッチまたは地上で調整可能
- キャビン:非与圧
- 降着装置:固定式(グライダーを除く陸上機)、固定式または陸上離発着用引込式降着装置(水上機)
工場で製造された航空機、キットから製造されたホームビルト機のいずれもLSAとなります。
パイロットの資格は、オーストラリア航空局の基準です。
ヨーロッパ
2011年7月4日、欧州航空安全庁(EASA)によって、既存の標準化された欧州軽飛行機認証
標準(European Light Aviation 1, ELA 1)の枠組みの中に、アメリカ合衆国のLSA規定を大
きく取り入れ、Light Sport Aeroplanesとして定義され、認証標準CS-LSAが発行されま
した。ヨーロッパにおける航空スポーツ器具の承認と使用に関する規制は、各国でそれぞれ
に規定されており、標準化されておらず、法規的な観点から見て、舵面操縦式のウルトララ
イト機とLSAを同列に見なすことは難しいものになっています。
機体要件
- 最大離陸重量:600kg(陸上機)、650kg(水上機)
- 最大失速速度:最大重量かつ限界重心位置状態の着陸形態で83km/h
- 最大座席数:2座(パイロット含む)
- 最大エンジン/電動モーター数:1
- キャビン:非与圧
日本
先行して導入されていた欧米諸国のLSAを参考にLSAの飛行許可条件を明確化するため、
2022年12月26日に改正された国土交通省サーキュラーNo.1-006「研究開発用航空機等
の試験飛行等の許可について」において、「軽量スポーツ航空機」の名称で研究開発用
航空機等の一つとして定義されました。 アメリカ合衆国のLSAに即した要件の機体であ
り、研究開発用航空機、自作航空機と共に研究開発用航空機等として扱われ、航空局の
審査を経て、航空法第11条ただし書きの規定により試験飛行の許可を得ることができます。
なお、物品や人員の輸送、薬剤散布などは試験飛行として許可されません。
機体要件
- 最大離陸重量:1320Lbs以下(陸上機)、1430Lbs以下(水上機)
- 連続出力の置ける水平最大速度:120kn以下
- 高揚力装置未使用時の失速速度:45kn以下
- 搭乗者:1人または2人(操縦者以外の搭乗者は、目的に必要な者に限る)
- エンジン装備の場合:単発レシプロ機
- プロペラ:固定ピッチまたは地上調整ピッチ
- キャビン:非与圧
- 降着装置:固定(水上機以外)、固定または引込(水上機の場合)
- その他:製造者により設計、製造、品質保証され、LSAに関するASTM規格に適合していること。
パイロットの資格
操縦資格については航空法第28条第3項が適用され、特に2地点間の飛行を行う場合には、
操縦者が適切な技能証明(すなわち自家用操縦士資格)および航空身体検査証明が必須となり
ます。 また点検・整備については航空整備士相当の技能証明を求められます。
飛ぶ楽しさの発見、LSA
それでは、実際に飛行しているLSAにはどんなものがあるのでしょう。
こんな記事を紹介します。
飛行の純粋な冒険、アイコンA5
カリフォルニアを拠点とするアイコン・エアクラフト社が設計・製造した水陸両用の
軽スポーツ航空機です。アイコン A5 は実用的なものではなく、楽しい飛行機であること
を目的としています。
S-LSA航空機として認定されたレクリエーション航空機として設計および販売されていま
す。航空界以外の人にも興味を持ってもらえる製品です。
総重量は 500 ポンド (685 kg) で、2 人まで乗車できます。95 ノット (175 km/h) の
最高速度と 490 マイル (790 km) の航続距離を持つ アイコンA5 は、市場に出回っている
他の水陸両用航空機とは非常に異なる製品です。
簡単に言えば、アイコンA5 は商用利用や乗り継ぎ用に設計されたものではなく、飛行という
純粋な冒険を楽しむために設計されたものです。
アイコンA5には、カーボンファイバーセルと取り外し可能なエンジンコンパートメントが
あります。両方の翼は、陸上での輸送と保管のために後方に折りたたむことができます。
これにより、アイコンA5 は 35 フィート(11メートル)の翼幅から 7 フィート 8 インチ
(2.3メートル)の全幅になります。
翼を折り畳むことにより、通常のトレーラー、またはアイコン社のトレーラーで飛行機を
輸送することができます。
さて、価格について話しましょう…
アイコン A5 (S-LSA 航空機として認定) の基本モデルの場合、395,000 ドル(5135万円)
からです。
一方、アイコン・エアクラフトは FAA 認定に取り組んでおり、これによりまもなく A5 を
海外で販売できるようになります。Certified Edition A5 の価格は 399,000 ドル(5190万円)
です。(1ドル=130円)
ベーシックなA5モデルはダッシュボード中央にGarmin 796 GPSを標準装備しています。
ただし、Garmin G3x システムはオプションとして 15,000 ドル(195万円)で利用でき、
必要に応じて 2 軸自動操縦バージョンも 25,000 ドル(325万円)で利用できます。
フル装備で、合計5710万円になります。
日本の課題
簡単に、世界のLSAを見てきました。皆さんは覚えていますでしょうか?
2022年1月にベルギー人のザラ・ラザーフォートさんが19歳でLSAを使って、単独世界一周
女性最年少記録を達成しました。また、同じ年に弟のマックさんも最年少の17歳で世界一周
記録を達成しました。
2022年4月18日 「世界記録」
2022年8月24日 「マック、最終目的地へ」
姉のザラさんは、日本には寄航しませんでしたが、弟のマックさんは日本に立ち寄っています。
ザラさんの時は、日本にLSAというカテゴリーが存在していなかったために寄航できませんで
した。マックさんの時は、国が特別に許可を与えて日本に来ることができたのです。
なんて悲しいことなのでしょうか。
それほど、日本の航空行政は遅れているのです。今回の航空法の改正で、LSAというカテゴリー
が形なりにも認められました。それは、たいへん有意義なことです。しかしながら、今回の
改定は、空飛ぶクルマの飛行試験機と同等の扱いとしての認可です。
最も、憂慮すべきはパイロットのライセンスです。日本独自のLSAライセンスは存在しません。
結局のところ自家用操縦士以上のライセンスが必要なのです。
日本で自家用操縦士ライセンスを取得するとなると、費用は750万円(座学、入学金、訓練費など)
訓練期間は約15ヶ月(飛行時間は100時間あまり、基本的には40時間で国家試験は受けることは
できます)です。
アメリカで取ろうと思うと、期間は2~3ヶ月で、60時間、150万円くらいです。
これらは、純粋に訓練費のみですので、宿泊費、交通費(航空券代)などがかかってきます。
何と高額なお金が必要なのでしょうか?
海外は、ライセンスは16歳で取得できます。日本は17歳です。
LSAは、その国によっても異なりますが安価で取得でき、訓練期間も短いのです。そうして
若い頃から飛行機に乗れることがその国の航空業界の発展に繋がっているのです。
これは、パイロットに限らず整備士にも言えることです。
今後も、皆さんと一緒に日本のLSAについて考えていこうと思います。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
コメント
icon a5 の購入資料がほしいのです。
パンフでもいいです。
瀬戸内海国立公園で取り組みたい。水中ドローンで調査したいです。
郵便番号700-0807
岡山市北区南方5-2-45
岡山商科大学附属高等学校工業技術コース
小山実
090-2862-0913
小山様
アイコン5は現在、東京都国立市の企業が所有しています。パンフレット有るか聞いてみます。
水中ドローンをお持ちなのですね。私が所属している神奈川ドローン協会の会長も最近購入しました。
吉川哲也