皆さんこんにちは!
2023年が始まってから、いえ2022年の末からのアメリカのボーイング社と
フランスのエアバス社のトピックスをお伝えします。
NASA、ボーイングと持続可能なナローボディ旅客機をテスト
持続可能なナローボディ旅客機
アメリカ航空宇宙局(NASA)は、同じくアメリカの航空大手ボーイング社とと協力
して実物大のデモ機を製造、テスト、飛行し、排出量の削減を目的とした技術を検証し
ます。
7 年間で、NASA は 4 億 2,500 万ドル(553億円)を投資し、ボーイング社とその
関連企業は契約資金の残り 約3億ドル(420億円)を拠出します。このプロジェクト
の総額は約 7 億 2,500 万ドル(973億円)です。契約の一環として、代理店は技術的
な専門知識と施設も提供します。
NASAがボーイング社と提携して実物大のデモンストレーターを製造およびテストすること
で、燃料効率が向上し、環境、民間航空業界、および世界中の乗客に利益をもたらす将来
の民間旅客機を実現することを目標としています。成功すれば、2030 年代には多くの航
空機にこれらの技術が搭載される可能性があります。
現在、ナローボディ型航空機(単通路機:B737など)は多くの航空会社の主力機であり、
その使用頻度が高いため、世界の航空排出量のほぼ半分を占めています。NASA は、2020
年代後半までにプロジェクトのテストを完了する予定です。これにより、プロジェクトで
実証された技術と設計が、2030 年代に就航する可能性のある次世代の単通路機に関する業
界の決定に情報を提供できるようになります。
持続可能な飛行デモンストレーター プロジェクトを通じて、ボーイング社とその業界チー
ムは NASA と提携して、実物大の Transonic Truss-Braced Wing (遷音速トラス補強翼)
デモンストレーター航空機の開発と飛行試験を行います。
Transonic Truss-Braced Wing のコンセプトには、斜めの支柱によって安定した非常に長く
薄い翼を持つ航空機です。この設計により、従来の旅客機よりもはるかに燃料効率の良い航空
機が生まれます。これは、抗力が少ない形状により、燃料の燃焼が少なくなるためです。
NASAは、2050年までに正味ゼロの炭素排出という航空コミュニティの目標に向けて、今後
数十年にわたって航空エネルギーの使用と排出を削減する革新的な技術を開発するという野心
的な目標に向かって取り組んでいます。Transonic Truss-Braced Wing は、これらの課題に
対応するために必要な革新的なコンセプトと投資であり、このプロジェクトで実証された技術
は、次世代のナローボディ型航空機に貴重な情報を提供するための明確で実行可能な道筋を
持っています。NASA の目標は、燃料消費と排出量を最大 30% 削減することです。
NASA とボーイングによって設計されたサスティナブル フライト デモンストレーター航空機
は、トラス補強された高アスペクト比の翼を備えています。(画像:NASA)
翼型にこだわり
上の写真を見て、皆さんはどう思われましたか?
「翼が細いな。」とか「薄くない?」などでしょうか?
そして、何と言っても高翼型といわれる胴体の上に翼がある形にビックリします。
この高翼構成は、高度な推進システムのために翼下のスペースを空けているのです。
ボーイングとNASAが、まずはじめに研究したことは、航空機全体の重量をいかに
軽くするかでした。それには、重量の大部分を占める翼を薄くすることです。
従来の航空機は、翼の中に燃料を入れてバランスを取っています。またその燃料によって
航続距離を伸ばすことができるのです。その重要な翼を薄くして、後退角を付けることに
よって、より燃料効率を良くして航続距離を伸ばしています。
また、エンジンの大型化が予想されために、ハイアスペクト比を生んでいる薄い翼は、
橋脚などによく用いられる、三角形を基本としてその集合体として解釈建築構造にも使わ
れているトラス構造で強度を確保しています。 東京スカイツリーにも用いられている構造
なんですよ。
「トラス」とは、構造体骨組の一種で、部材をピン接合して三角形を構成した骨組のこと。
計画では、大幅な電動化を進め、離陸、上昇時には電気の力を借りて出力を後押しします。
熱効率とエンジンのハイブリッド化を含む、1メガワットまたは数メガワットの電力を加え
ることをマイルド ハイブリッドと呼んでいるそうです。
エアバス A220-500
エアバスA220という機体を皆さんはご存じでしょうか?
日本の航空会社はこの機体を採用していませんので、あまり観る機会は少ないと思い
ます。元々は、ボンバルデァ社(カナダ)のCシリーズとして開発された、ナローボデ
ィ型航空機(中距離型)です。Cシリーズは、100人乗りのCS-100と130人乗
りのCS-300を2013年に開発しました。しかし、アメリカとのダンピング競争の
末に、2018年エアバス社がA220 として引き受けることになったのです。それぞれ
A220-100、A220-300として名前が変わりました。それまで、操縦桿でしたが、エア
バスシリーズと同様にサイドステック型に替わっています。
A220-500 は、A220 ファミリーの 3 番目のメンバーになります。A220-100 は、典型
的な 2 クラス構成の 110 席の飛行機です。A220-300 の座席数は 135 席です。A220-
500 は約 157 席で、エアバス A320neo の 152 席、ボーイング 737-8 の 164 席と真っ
向から競い合っています。
A220-500 は CS500 としてボンバルディアによって計画されました。ボンバルディアは、
商用航空の未来を C シリーズに集中させました。そうすることで、CRJ と Q400 リージョ
ナル ジェットとターボプロップの販売を止めました。C シリーズの開発は、エアバスやボー
イングのプログラムと同様に、予算を数十億ドルオーバーしました。予算をはるかに超える
2 つの企業ジェット プログラムと同時に開発されたボンバルディアは、倒産への道を歩んで
いました。
エアバスは 2017 年に Cシリーズ プログラムの権利を購入し、現在はプログラムの 75% を
所有しています。しかし、これまでのところ、エアバスはボンバルディアの損失を補い切れ
ていません。エアバスの購買力がなければ、ボンバルディアはサプライヤーと高価な契約を
結ぶことはできなかったでしょう。エアバスは契約の再交渉を行っており、ある程度の成功
を収めていますが、まだ十分ではありません。現在の月 6 機から 2025 年までに月 14 機
まで生産を増やすことが目標です。需要があり、レートが高いほどコストが下がります。
しかし、A220-500 はエアバス自身の A320neo と競合します。そのため、A220-500 の
発売計画には、暗雲が垂れ込めています。
A220-500 は 737-8 よりはるかに効率的で、ボーイング牙城を揺るがす存在だと。
A220-300型機
A220(Cシリーズ)比較
まとめ
今日は、世界2大航空会社、ボーイングとエアバスの最新情報を見てきました。
この2つの記事からもわかるように、これからの航空機は、中型機(100人から
200人乗り)が、世界の航空機の半分以上を占める予想です。それは、昔のように
大型機で大量に人を運ぶ時代は終わったということです。そのことは、とにもかくに
も、エンジンや機体の性能が大幅に向上して航続距離が伸びたおかげで、大型機の
必要性が薄れたことの証です。決して大型機が不要ではないですが、脱炭素が推奨
される中、今後の飛行機のあり方も考えさせられる結果となりました。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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