皆さんこんにちは!
今日は、水素動力航空機という新しいジャンルの航空機を開発している企業を紹介します。
その名はCranfield Aerospace Solutions (CAeS) 。
Cranfield Aerospace Solutions (CAeS)
Cranfield Aerospace Solutions (CAeS)
Cranfield Aerospace Solutions (以下、クランフィールド・エアロスペース)は
イギリスの航空宇宙技術研究所 (ATI) プログラムに対するイギリス政府の資金提
供を受けて、新しい推進システムを開発してきました。当初、同社はハイブリッド
電気システムを製造することを意図していましたが、昨年、既存のバッテリー技術
では性能目標を達成できないと結論付けた後、アプローチを変更することを決定し
ました。
そして、水素燃料電池駆動のアイランダーを開発しています。既存のアイランダーは、
ライカミングまたはロールス・ロイスがそれぞれ提供するピストンまたはターボプロ
ップ エンジンのペアによって動力を供給されます。これらは、燃料電池と水素ガスで
動く電気モーターに置き換えられます。
アイランダーは、イギリスのブリテン・ノーマン社が開発した双発の高翼型の航空機
です。パイロット1名、乗客9名を乗せることができる航空機で、かつては沖縄の島々
を飛行していました。日本では琉球エアコミューターや新中央航空などが採用していま
した。離着陸滑走距離が短く小さな島の飛行場に引っ張りだこでした。
琉球エアコミューターのアイランダー
離陸と着陸のパフォーマンスが短いアイランダーに多くの商業的可能性があると考え
ており、少量の航空リンクに依存する遠隔地のコミュニティに最適です。2021年に
発表されたそのローンチカスタマーは、英国のシリー諸島蒸気船グループ(ISSG)
であり、列島と30マイル離れた英国本土を結ぶスカイバスフライトで長い間アイラ
ンダーを使用してきました。同社は、水素動力の変換を、はるかに遅いフェリー サ
ービスやヘリコプターの理想的な代替手段と見なしています。
昨年、アイランダーの製造業者であるブリテン・ノーマンは、既存のオペレーターか
ら中古の航空機を取得することを検討していると発表しました。ワイト島に本拠を置く
この事業は、機体の設計に必要な変更を開発し、転換のためだけでなく、水素動力モ
デルを新たに構築する可能性もあります。
水素ガス燃料を使う理由
クランフィールド・エアロスペースは、液体水素燃料電池と電気のハイブリッドでは
なく気体水素燃料のみを使用します。その利点は何でしょうか?
ハイブリッド電気ソリューションは車では有益ですが、重量が増えるということは、
航空機への採用による CO2 のメリットが最小限に抑えられます。
ガス状の水素は、液体よりも航続距離の可能性が低くなりますが、2026 年までに多数
の小さな飛行場で利用できるようにするのは簡単で安価なのです。離島などは、定常的に
電力を確保することは困難です。従来型の化石化燃料は、一定の量を確保するには限界
があります。例えば、海が大時化の時には本土(石油備蓄基地)からの輸送はできません。
そのため飛行機は往復の燃料を積んで飛行しなければならず、飛行効率が悪くなります。
風力発電や太陽光発電等、再生可能エネルギーの導入拡大が進められていますが、これら
も天候によって出力が大きく変動し、電力の安定供給に悪影響を及ぼすことがあるため、
出力の予測技術や制御技術を開発することが必要とされています。そこで風力発電の予
測情報に基づく制御技術を用いた圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES:Compressed Air
Energy Storage)システムの採用です。日本でも早稲田大学がCAESシステムの制御技
術の開発を実験的に行っています。このように離島などでの開発が進めば、気体水素
航空機の有利性が証明できます。
同社は2026年までの製品化を目指しています。
100人の乗客を運べる航空機の開発
クランフィールド・エアロスペースは、現在アイランダーで9人の乗客しか運ぶことは
できませんが、2035年までには50~100人の乗客を運ぶことができる水素燃料航空機
の開発を目指しています。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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