皆さんこんにちは!
昨日から新社会人になった方も多いかと思います。ワクワクドキドキですね。
今日は、電機航空機の2023年最新ニュースをまとめました。
複数の国や企業にまたがる新しい契約、パートナーシップ、飛行試験により、高度な
エアモビリティ(AAM)アプリケーション向けの電動従来型離着陸(eCTOL)および
電動短距離離着陸(eSTOL)航空機の開発に向けた取り組みが進んでいます。
そして、電気と水素。どちらが主導権をとるのでしょうか?
複数の航空会社がALICEの注文を開始
電気航空機ALICE(アリス)を開発しているイスラエルの新興企業のEVIATIONは、
12 月 13 日、ニュージーランド航空に最大 23 機の電気航空機アリスを提供すると
いう同意書に署名したことを発表しました。この契約は、ニュージーランド航空の
Mission NextGen Aircraft プログラムの一部であり、2026 年にボンバルディア
Q300に代わって、電機航空機アリスを採用することになりました。
今年の1 月 17 日に、メキシコの新興地域航空会社である Aerus から 30 機の ア
リス 航空機を購入することを発表しました。Aerus は、2023 年4月からメキシコ
北東部のヌエボ・レオン州にあるモンテレイ国際空港の基地から、シウダー・ビク
トリア、マタモロス、ピエドラス・ネグラス、タンピコへの4つのルートで飛行を
開始する予定です。5 番目のルートは、マタモロスとタンピコの間で運行されます。
9 人乗りの アリス 昨年は 9 月に初飛行を行いましたが、それ以来飛行していない
ようです。少し不安は残ります。
EVIATIONは、10年以内にはアリスを商用化する計画です。
アリスは、最高時速260ノット(480km)、航続距離は約250マイル(400km)
電気航空機ALICE(アリス)初飛行2022年9月(画像:EVIATION)
アリスの初飛行(2022年11月20日記事)
ZeroAvia 水素電気テストフライト初飛行
1 月 19 日、ZeroAvia は、2 つの Honeywell TPE-331 エンジンのうちの 1 つを
置き換える水素電気パワートレインを搭載した ドルニエ228 双発航空機の初飛行に
成功しました。飛行は、英国グロスターシャー州のコッツウォルズ空港にある同社の
施設で行われ、10分間飛びました。記者会見で、ZeroAvia は、改造された 19 人乗
りのドルニエ 228 は、水素電気エンジンを使用して飛行する世界最大の航空機であ
ると述べました。この飛行は、英国政府が支援する研究開発プログラムである HyFlyer
II プロジェクトにおける同社の取り組みにおける重要な節目となるものです。
同社は2022年12月23日に英国の民間航空局から試験飛行を進める承認を受けたばかり
です。
水素電気パワートレインを搭載した Dornier 228 双発航空機(画像:ZeroAvia)
エレクトリック ゼニス CH 750 が飛行
1 月 20 日、電動のゼニス CH 750「クルーザー」が英国東部のオールド バッケナム
飛行場から離陸し、初飛行に成功しました。2019 年に設立された英国の非営利団体
NUNCATS は、eSTOL 航空機の電動バージョンの開発に 3 年間取り組みました。
「スカイ ジープ」とも呼ばれる CH 750 は、遠隔地での運用能力で知られるキット
航空機です。「私たちの目的は、ウガンダの医療従事者やインドの農村部の医師など、
農村部や到達が困難な地域で使用するための低コストで頑丈で実用的な航空機を提供
することです」と NUNCATS のティム ブリッジ氏は述べています。
ゼニス CH 750「クルーザー」(画像:NUNCATS)
非営利団体 ヌンキャッツ(2023年1月29日記事)
Siemens Software がハート認証を強化
1 月 24 日、Siemens Digital Industries Software は、同社の Capital ソフト
ウェア ポートフォリオをスウェーデンの電気飛行機開発会社である Heart Aerospace
に提供すると発表しました。テキサスに本拠を置く Siemens は、記者会見の場で、
同社のソフトウェアが電気および電子システムの設計と、30 人乗りの電気航空機
ES-30 を設計中の Heart Aerospace のサポートを提供すると述べました。エア・
カナダとサーブ AB の支援を受けているHeart Aerospace は、ES-30 が 2028 年
に商用サービスを開始することを期待しています。
30 人乗りの電気航空機 ES-30(画像:Heart Aerospace)
米空軍はエレクトラに最大8,500万ドルを授与
Electra.aero は 1 月 26 日に、米国空軍のイノベーション ユニットである AFWERX
から Strategic Funding Increase (STRATFI) 賞を獲得したと発表しました。
STRATFI 賞の価値は最大 8,500 万ドル((115億円)で、個人投資家と中小企業イノ
ベーション研究 (SBIR) 基金を含む政府資金との間の投資パートナーシップを表してい
ます。この賞により、Electra.aeroは、空軍が運用上のユースケースを調査するために
使用することが期待されている、電動STOL航空機の本格的な試作試作機を開発するこ
とができます。プレスリリースで、バージニアに本拠を置く同社は、商用顧客から
eSTOL 航空機の注文をすでに 1,000 機以上受けていると述べました。
FLY V eSTOL 航空機(画像:Electra.aero)
Electra.aeroの eSTOL 航空機は、乗客 9 人、パイロット 2 人、航続距離は 400 マイル
(640km)です。
垂直リフト設計と比較して、電動短距離離着陸 (eSTOL) は、大幅に低い運用コストで 2 倍
以上のペイロードと 10 倍の航続距離を提供するため、中距離の旅客移動と貨物物流に理想
的な選択肢となっています。
NAAが電動航空機レースを延期
全米航空協会 (NAA) は 1 月 27 日に、ピューリッツァー エレクトリック エアクラフト
レースを延期すると発表しました。5月に開催される予定だったこのレースは、固定翼、
回転翼航空機、マルチローター設計を含むゼロエミッションの電気推進機を特徴とする
1,000海里(1,852km)のクロスカントリーエアレースです。1920 年代のピューリッ
ツァー航空レースの精神に基づいて設計されました。声明の中で、NAA の社長兼 CEO
であるグレッグ・プリンシパトは、延期の理由として、経済状況と航空機開発者の競合
する優先順位が挙げられます。「NAAは、実用的な電気推進航空機の進歩のためのエキ
サイティングな会場としてピューリッツァー電気航空機レースを開催することに全力を
尽くしています」と彼は言いました。このことは、単に電気航空機の開発が当初予定し
ていた時期より大幅に遅れていることが原因です。
Universal Hydrogen が実験的証明書を受け取る
2 月 7 日、Universal Hydrogen は、FAA が実験部門で特別な耐空証明書を付与した
ことを発表しました。この証明書により、南カリフォルニアに本拠を置く同社は、改造
されたダッシュ 8-300 である水素動力のリージョナル航空機の初飛行を進めることが
できます。これまでの数週間、Universal Hydrogenは、1 月 18 日のプロペラ走行や
2 月 7 日のタクシー テストの映像など、飛行に向けた進捗状況を示すいくつかのビデ
オを公開しました。飛行はモーゼス レイクのグラント郡国際空港で行われる予定です。
Dash 8-300 は同社の水素駆動のテスト機です。改造された ATR 72-600 が、サービ
スを開始する最初の改造された航空機になることを期待しています。
水素動力に改造されたダッシュ 8-300 (画像:Universal Hydrogen)
まとめ
2022年の終わりから2023年の初め(4月期)に渡って、水素動力エンジンの開発が
盛んに行われています。従来の航空機のエンジンに換装して飛行実験が行われていま
す。やはり、オール電化では、出力、持続性(運転時間)に問題があるために、
どうしても大量のペイロードが必要な航空機には水素燃料を使わざるを得ません。
現在、この電機航空機の流れは水素へとシフトしています。それは、自動車業界にあ
っても同様な動きがあります。
また、本日、日本政府が発表した『水素発電の商用化推進、基本戦略』は、脱炭素化
を加速させるため、水素発電の商用化などをさらに進め、新たに今後15年間で官民
から15兆円程度の投資を呼び込む計画を明記する案が検討されています。
電気をどのようにして作り出すのかが問題です。原子力や石油、ガスによる発電では
なく、水素という新しい分野の開発が一層加速していくでしょう。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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