ブラジルの貨物eVTOL企業、MOYA

ドローン、空飛ぶ車
Aerial view of the distribution center, drone photography of the industrial logistic zone.

皆さんこんにちは!

今日は、ブラジルの物流をeVTOLで行うMOYA Aeroという会社を紹介します。

そして、後半はブラジルの環境問題についても考察しています。

MOYA Aero

成り立ち

Alexandre Zaramela と Renata Paolillo によって 2020 年に設立された Moya Aeroは、

ラテンアメリカの産業の中心である サン・ジョゼ・ドス・カンポスの中心部に位置する

ブラジルの主要な航空工学、研究、航空機開発企業であるACS Aviation の特定企業です。

サン・ジョゼ・ドス・カンポスは、ブラジルのサンパウロ州の都市です。世界的に知られ

る航空機製造メーカーのエンブラエル社を始め、様々な企業が工場や拠点を置き、また、

ブラジル国立宇宙研究所を始めとする様々な研究機関が立地する、ラテンアメリカの中で

最も重要な工業と研究の中心地のひとつ。

MOYAのソリューション(問題解決)

Moya Aero の最初の使命は、農業管理の世界により大きな効率をもたらすことです。

より生産的で持続可能な土地を作ることにより利益をもたらすことです。

Moya Aero の設計におけるテクノロジーは、より正確にペイロードを配送し、ひいては

生産性を向上させた、より高性能な車両を生み出します。Moya eVTOL でアグリビジネス

に革命を起こすことは、より革新的な無人全電動製品を追加するという私たちのビジョン

の第一歩にすぎません。

具体的には、 物流における CO₂ 排出量をゼロに削減します。 辺鄙な地域を重要な物資で

つなぎ、 インフラが貧弱またはまったくないコミュニティにアクセスします。 作物管理の

効率、生産性、およびコストを改善し、 危険な飛行をより安全に、ビジネスと顧客をより

速く、より安く、より簡単につなぐことを目的としています。

MOYA eVTOL、100%電動の垂直離着陸ドローン

MOYAのeVTOLは、農業での重い物資や農薬散布などに使用できる汎用性の高い電動式

大型ドローンなのです。

現在の従来の小型ドローンの 10 倍の比類のないペイロード (最大 200 kg)を持ち、ロジス

ティクスの俊敏性により生産性が向上し、商品を効率的に排出することなく配送できます。

生産性は、従来の小型ドローンよりも 1 時間あたり 6 倍のヘクタールを散布します。より

広い範囲をカバー – 従来の農薬散布機では操作できない場所に到達し、分散剤の飛散を最小

限に抑えるために精度を高めています。

コスト面では、ヘリコプターと比較して運用コストを 50% 削減できます。

MOYAのeVTOLの性能は、4つの電動型ローターを装備しており、行動範囲は110キロ。

最高時速は150km/h。バッテリー持続時間は45分となっています。

最大ペイロードは200kg、薬剤は160リットル搭載できます。

大きさは、長さが5.1m、翼幅が7.2mとなっており大型のドローンです。

 

モヤ eVTOL

MOYA eVTOL(画像:Moya Aero)

Moya のプロトタイプは 2023 年末までに飛行する予定です。

 Helisul Aviation は、50 台の Moya eVTOL 航空機を購入

4月25日に、Moya Aero と Helisul Aviation は、50 台の Moya eVTOL 航空機を購入す

る意向書 (LoI)に署名しました。

Helisul Aviation は、ブラジルのヘリコプター関連企業で、観光や物流を行っています。

1972 年 10 月 5 日に設立された同社は、Companhia Tropical de Hotéis の起業家グ

ープによって管理され、フォス ド イグアス市で活動を開始しました。このグループ

は、Tropical Táxi Aéreo (Helisul の名前) を設立することで、滝の街で観光客に提供さ

れるサービスに投資することを決定しました。

70 年代に提供された唯一のサービスは、Cataratas ホテルの前から出発するパノラマ

フライトでした。その後、会社はビジネスマンに売却され、彼は会社名を Helisul Táxi

Aéreo Ltda に変更しました。その後まもなく、会社はビエス家に買収されました。

1990 年代の時点で、クリチバ、フォス ド イグアス、サン ジョゼ ドス ピニャイス、

ブラジリア、フロリアノポリス、リオ デ ジャネイロ、サン ジョゼ、サンの各都市に

重点を置いて、新しいフライトを開始し、国内全域にサービスと拠点を拡大しました。

Helisul は格納庫の完全な構造を備えており、専門の航空サービス (SAE)、固定基地オペ

レーター (FBO)、メンテナンス、航空機のチャーターと管理、航空医療輸送、パノラマ

飛行を提供しています。

現在、Helisul は 50 機以上の航空機を所有しており、2026 年に利用可能になる予定の

20 台の eVTOLS (空飛ぶ車) の購入に既に投資しています。

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Helisul Aviationのヘリコプターによるブラジル観光(画像:Helisul Aviation)

ブラジルで今何が起こっているのか?

Moya Aeroがこのように農業関連の物流に力を入れているのかというと、近年のブラジルが

抱えている大きな問題があるのです。

それは、環境破壊による気候変動の世界的な危機です。

ブラジル国内の熱帯雨林の破壊が2008年以降で最悪の状態に加速しているのです。2019年8

月から2020年7月にかけて、前年から9.5%増の計1万1088平方キロメートルの熱帯雨林が破

壊されました。ボルソナロ政権が発足する前年の2018年には、年間の喪失面積は7536平方キ

ロメートルだと発表していました。科学者たちは、ジャイル・ボルソナロ大統領が2019年1月

に就任して以来、破壊のペースは加速していると指摘しています。

ボルソナロ大統領はアマゾン川流域の熱帯雨林において、農業や鉱業の推進を奨励しています。

アマゾン川流域に広がる熱帯雨林は、地球にとって重要な酸素排出源で、温暖化を遅らせるため

に不可欠な二酸化炭素吸収源です。生物多様性にとっても重要で、約3億種類の動植物が生息。

また約100万人の先住民が暮らしています。

ボルソナロ大統領は熱帯雨林での経済活動を奨励するだけでなく、環境保護法に違反する農業者

や森林伐採業者に罰金を科したり逮捕したりする権限をもつ連邦政府機関への予算を削減してい

るのです。

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2019年から3年連続で水不足に見舞われ、相次いで山火事が起きました。世界自然保護基金

(WWF)ブラジルは、20年の山火事で、40億個体以上の動物が被害を受けたと推計し、降雨量

が減り続ければ、自然の回復力は失われると警告しています。アマゾンの熱帯雨林は、温室効

果ガスの二酸化炭素(CO2)を吸収する役割を担ってきました。だが、ブラジル国立宇宙研究所

のルシアナ・ガチ研究員は2021年7月、アマゾンではCO2の排出量が吸収量を上回っている、

との試算を発表しました。森林伐採と森林火災が「気候変動を加速させている」といいます。

乾期にあたる8〜10月の降雨量は40年間で24%減少。平均気温も場所によっては3.1度も上が

りました。

世界最大級の湿地帯パンタナルでは、山火事が頻発している=2021年8月21日

パンタナルに注ぐ川の上流域にあたる「セラード」と呼ばれる地域は80%以上が農地に転用

されました。表土が流出し、川の水深が浅くなる現象が起きています。流れ込む水の量は減

っています。国土の4分の1を占めるセラードは、本来、乾燥し、低木ばかりが生える熱帯サ

バンナ。作物の栽培に適さない土地でしたが、70年代以降、農地の開発が大きく進みました。

農地の90%はいま、主に輸出用の大豆畑になったのです。この大豆は、世界各地に輸出され

ているのです。

日本の大豆とトウモロコシの輸入量(画像:農畜産業振興機構)

皮肉なことに、日本はブラジルから多く大豆やトウモロコシを輸入しているのです。

そしてその一部を、バイオ燃料として航空機燃料として使用しているという矛盾を

どう考えればいいのでしょうか?

まとめ

日本の地球の反対側で起こっている環境破壊。原因は、日本にあったのです。

アマゾン森林が急速に消えつつあります。破壊がもう少し進むと回復は不可能な地点に

達すると指摘されています。アマゾン森林が喪失してしまえば300万とも言われる生物

の絶滅、そして気候変動もさらに激化することが予測されます。

実は、この破壊をもたらしているのは、破壊の火に油が注がれ続けているからだという

ことがわかっています。つまり、アマゾンを破壊する産業を支える融資が世界から集まっ

ているというのです。残念ながら日本はその大きな破壊の資金の供給源となっています。

アマゾン破壊の原因は主に2つあります。1つは鉱物資源開発であり、もう1つは農畜産業

による開発です。アマゾンの大規模な鉱山開発、大カラジャス計画のマスタープランを作

ったのは日本政府で、アマゾンには日本のアルミニウム精錬のための巨大ダムが作られて

います。

そして農畜産業においても、このアマゾン破壊の前史となったセラード開発を大規模に始め

たのは日本の政府開発援助(ODA)のプロジェクトでした。

そしてその結果、日本でも温暖化や大規模な自然災害が起きているのです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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