南米の動向

飛行機

皆さんこんにちは!

今日は、グローバルサウス(ブラジルなど南米諸国、インド、アフリカなど振興国)での

航空産業が盛んな地域の話題です。

ブラジルがSAFの世界トップ生産国なる

ブラジル、サンパウロ郊外のサトウキビ畑(画像: マリオルド)

ボーイングは、ブラジルが間もなく持続可能な航空燃料(SAF)の世界有数の生産国にな

る可能性があると述べました。

この分野が2050年までに炭素排出実質ゼロを達成するという目標を達成しようとする中、

ボーイングは8月8日にブラジルのサンパウロでSAFフォーラムを開催しました。

フォーラムはスイスの組織「持続可能なバイオマテリアルに関するラウンドテーブル」が

主催するイベントと同時開催されました。

フォーラム中、ボーイングの中南米・カリブ地域担当社長ランドン・ルーミスは、航空の

脱炭素化に対するブラジルの貢献の可能性を強調し、ブラジルの技術力、熟練した労働力、

豊富な原材料を称賛しました。

RSB は、バイオベースの循環経済への移行を推進する世界的組織の協力ネットワークです。

RSBの公共政策・イノベーション担当マネージャー、カロリーナ・グラッシ氏は、ブラジ

が廃棄物を利用したSAF生産をリードし、年間最大90億リットルが生成される可能性が

あると強調しました。

世界的に重要な農業生産国であるブラジルは、廃棄物からのバイオ燃料生産、特にサトウ

キビベースのエタノールや大豆油由来のバイオディーゼルで既にリードしています。

また、ブラジルの格安航空会社であるGOL航空のオペレーションコントロールセンターデ

ィレクター、エドゥアルド・カルデロン氏もこのイベントで、SAF供給の改善とコスト削

減の緊急性を強調しました。カルデロン氏は、SAFのコストが従来の燃料の3倍であるこ

とは、世界のSA​​F生産が大幅かつ急速に増加しない限り、業界が正味ゼロエミッションを

達成する可能性はほとんどないことを意味すると述べました。

FL Technics、ドミニカ共和国のMRO施設を開設

新型コロナウイルス感染症危機により、一部の MRO は事業の多角化に重点を置いています。

(画像: FL テクニクス)

リトアニアのMRO(maintenance, repair and operations:補充、修理、操業)プロ

バイダーFL Technicsは、ドミニカ共和国に新たな215,000フィート2 のメンテナンス格

納庫を建設する計画を発表しました。

同社は8月15日、新しい施設がカリブ海の島のプンタカナ国際空港に設置されることを約

しました。FL Technics によれば、格納庫の建設は 2025 年中に完成する予定で、敷地

の総面積は 560,000 フィート²になります。第 1 段階では、この施設は 5 つの基地メンテ

ナンス ベイとサポート ワークショップで構成され、ラインメンテナンス も提供する予定です。

FL Technicsは、この動きは南北アメリカ地域で成長を続ける狭胴機フリートをターゲット

にしており、FAAと欧州連合航空安全局の認定を受けたpart-145(整備場の承認)機能を

通じてこれを行う予定であると述べています。 

ドミニカ共和国への進出により、同社の世界的な MRO フットプリントはさらに拡大します。

現在、リトアニア本拠地のビリニュスとカウナスで基地整備格納庫を運営しています。

さらに、ロンドン スタンステッド空港とスコットランドのグラスゴー プレストウィック空

港で英国の施設を運営し、インドネシアのジャカルタで MRO 事業を運営しています。 

FL Technicsの最高経営責任者(CEO)ジルヴィナス・ラピンスカス氏は、「この拡張は、

カナダの回線保守ネットワークを含むアメリカ大陸での既存のFL Technics事業に続く、

この地域における当社初の物理的な基地保守の足がかりとなる」と述べました。 

「当社は、長期的なパートナーシップを構築し、大陸における将来の開発の基盤を構築す

るための包括的な MRO ソリューションを提供することを目指しているため、これは決定

的な投資です。」

最終的には、カリブ海地域で 2 番目に利用客が多く、年間 800 万人近い乗客が訪れるプ

ンタ カナ空港の建設が第 2 段階に入り、さらなる成長が計画されています。プンタ カナ

の MRO インフラストラクチャの長期計画には、追加の 7 ベイによる容量の追加が含まれ

ており、全体で 12 ベイになります。

「この戦略的提携により、空港の顧客は、定期検査、部品の修理、客室の改造、塗装など

を含む幅広い航空機のメンテナンスと修理サービスを利用できるようになります」とプン

タ・カナのエアサイド・オペレーション・ディレクターのジョバンニ・ライニエリ氏は付

け加えました。

ラテンアメリカの BizJet 就航機数は 10 年間でわずかに減少する

ラテンアメリカで就航中のビジネスジェットは、2023年の2,433機から2032年までに

2,083機まで減少すると予測されており、退役数は新規航空機の出荷を上回っています。 

10年間のビジネス・アビエーション・フリートとMROの予測によると、この地域で就

航中のターボプロップ機は現在の2,143機から今後10年間で2,166機まで若干増加する

と予想されています。

予測によれば、全体として、ビジネス航空機の総保有機数は現在の 4,576 機から 2032

年までに 4,249 機に減少し、年間複合機数増加率は 0.82% 減少すると予想されていま

す。これに対し、ラテンアメリカで運航されているビジネス航空機の数は、2017 年に

合計 4,168 機でした。 

この予測は、8月8日から10日にブラジル・サンパウロのコンゴーニャス空港で開催され

る第18回ラテンアメリカビジネス航空協会会議・展示会(LABACE)に先立って発表さ

れました。これはラテンアメリカ最大のビジネス航空イベントです。

10年間で、メーカーは165億ドル相当の新しいビジネスジェットとターボプロップ機を

900機納入すると予想され、一方、航空機の退役は合計1,259機と予測されており、出

荷を上回っていると予測されています。これには、560 機のビジネスジェットと 359 機

のターボプロップ機の納入が含まれます。 

現在ラテンアメリカを飛んでいる多くのビジネス航空機は老朽化しており、退役する予定

です。同時に、ベネズエラとアルゼンチンの経済はうまくいっていないと航空週間の予測

担当者は指摘しています。 

アビエーションウィークのフリート、飛行、予測データ担当シニアマネージャー、ダニエ

ル・ウィリアムズ氏は、ラテンアメリカは中古ビジネス航空機に有利な市場であると指摘

しています。 この予測には中古航空機は含まれていません。 

「数字からはそう見えますが、機材はおそらく拡大するでしょうが、真新しい航空機では

そうではありません」とウィリアムズ氏は言う。

同時に、ラテンアメリカ地域では、10年間で約1,600の新しいビジネス航空エンジンが納

入されると予測されており、プラット・アンド・ホイットニー・カナダが市場の半分以上

を占め、次にウィリアムズ・インターナショナル、ハネウェル、ロールス・ロイスが続く。

エンジン別では、プラット・アンド・ホイットニー PT6A 中型エンジンが 358 基の納入

で首位となり、ウィリアムズ FJ44 が 308 基、ハネウェル HTF7000 が 142 基、PT6A

大型エンジンが 140 基、プラット・アンド・ホイットニー PW800 が 126 基で続くと

予想されています。 

一方、メンテナンス、修理、オーバーホール市場は、10 年間の年平均成長率が 1.07%

になると予想されています。 

Image

南米のビジネスジェット機の推移

イブとエンブラエル、ブラジル初のeVTOL生産拠点を発表

イブ・エア・モビリティ エンブラエルは7月、最終当局の承認を条件として、初の

eVTOL生産施設がブラジル・サンパウロ州タウバテ市に設置されると発表しました。

製造工場は、拡張される市内のエンブラエルの既存部門内の指定された土地部分に

位置します。この場所は、2 つの高速道路から簡単にアクセスでき、鉄道にも近いと

いう戦略的な物流上の利点を備えています。

もう 1 つの大きな利点は、この地域がサン ジョゼ ドス カンポスのエンブラエル本社と

イブのエンジニアリングおよび人事チームに近いことです。これにより、新しい生産プ

ロセスの開発と持続可能性が促進され、イブの機敏性と競争力が強化されます。

「eVTOLを構築するための製造場所を探し始めたとき、サプライチェーンや物流などの

他の側面と組み合わせて、最新の技術と製造プロセスを使用して航空機を構築する方法

を再考したいと思いました」と共同開発者のアンドレ・スタイン氏は述べています。 

「私たちの目標は、安全で信頼できる製品とサービスを市場に提供し、製造効率におい

て高い競争力を持つことです。チームには、安全性、品質、効率、生産性、持続可能性

を優先する最適化された組立ラインを設計する機会が与えられました。」

エンブラエルの社長兼最高経営責任者(CEO)フランシスコ・ゴメス・ネト氏は次のよ

うに付け加えた。「この決定は、イノベーションと持続可能性を原動力とする当社の成

長戦略計画と一致しています。私たちは世界のアーバンエアモビリティ市場の大きな可

能性を信じており、この業界の主要企業の1つとしてEveへのコミットメントを強化しま

す。」と述べました。

2022 年 5 月、Eve は、Eve の eVTOL グローバル製造、サプライ チェーン、物流マク

ロ戦略を定義するためにポルシェ コンサルティングとの提携を発表し、それ以来、高度

な製造とイノベーションのコンセプトを研究するために協力し、航空と自動車の専門知識

を組み合わせて、高い安全性、品質、効率性、顧客重視に基づいた eVTOL 航空機の産

業化する計画です。

イブのプログラム管理および運営担当副社長であるアリス・アルティシモ氏は次のように

続けています。「私たちは、革新的なアプローチについての知識と検討を深め、eVTOL

製造における最高の品質基準を達成することに重点を置いています。」

中南米地域の経済動向

中南米地域全体の実質GDP成長率は、2019年は前年比0.1%と、2017年の1.3%、2018年

の1.1%から二年連続で減速しました。主要国における政権交代に伴う政策不確実性の高ま

りや、米中貿易摩擦を発端とした世界経済の減速が同地域の成長を抑制した形になってい

ます。さらに2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響も加わり、景気回復は一層厳し

い状況となっています。

ブラジルの経済動向

ブラジル経済は2023年1-3月(第1四半期)に持ち直しました。豊作に支えられ、2桁

台の借り入れコストによる影響を補ったかたちです。

今月1日に公表された1-3月の国内総生産(GDP)は前期比1.9%増。ブルームバーグ

が調査したアナリスト予想の中央値は1.2%増。前年同期比では4%増でした。

農業の回復や堅調な労働市場を背景に、市場予想を大きく上回る成長となりましたが、長

続きするとの見方はほとんどありません。6年ぶりの高金利が企業や消費者の信頼感を圧

迫しており、同国のルラ大統領は金融政策の大幅な変更を求めています。

メキシコの経済動向

2019年のメキシコの実質GDP成長率は、前年比-0.1%と2018年の同2.1%から大きく

縮小し、2009年の世界経済危機以来10年ぶりのマイナス成長となりました。

2018年12月にアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)新政権発足後、

初めて公表された年間GDPでしたが、総固定資本形成の大幅な落ち込みが明確に表れて

おり、新政権の政策運営の不透明性や米国との通商問題に係る不確実性が民間投資を抑

制しました。純輸出と民間消費はプラスに寄与しましたが、純輸出の増加は輸入が10年

ぶりに縮小したためで、民間消費の伸びも大幅に鈍化しています。

ブラジルは、大豆、砂糖、コーヒー、食肉等の農産品や鉄鉱石、鉱物性燃料等の鉱物資

源等の一次産品が主要な輸出品目で、全輸出額の5割弱を占める一方で、航空機、自動車

・同部品等の工業製品も4割弱を占め、工業生産に必要な原材料・中間材、資本財を輸入

しています。また、原油の産出・輸出国でありながら、ガソリン等の石油製品や原油も

輸入しています。

民営化、規制緩和など、小さな政府を目指す政策を掲げ2019年1月に始動したボルソナ

ーロ政権ですが、就任後一年目の2019年(通年)実質GDP成長率は、構造改革や世界経

済の先行きに関する内外の不確実性により減速しました。

アルゼンチンの経済動向

2019年のアルゼンチンの実質GDP成長率は、前年比-2.2%と2018年の-2.5%に続き二

年連続のマイナス成長となりました。急激なインフレと景気後退の下で、民間消費、投

資が大きく縮小。一方で、純輸出が成長の底上げに寄与していますが、輸入が大きく減

少したことに起因しています。

マクリ前大統領は4年間の任期で、対外的な信頼回復、国内の財政規律の立て直しにつ

いては一定の成果を残したといえるものの、景気低迷、インフレ、高い貧困率といった

就任当初からの同国の問題については、国民からの期待に応えることができず、再選に

は至りませんでした。2019年12月にアルベルト・フェルナンデス新政権が発足し、前

政権の外向きの自由解放路線から、内向きの保護主義に大きく政策が傾斜していくこと

が内外から懸念されています。

新政権は発足後まもなく、年金や補助金の増額に向けた財源確保のために、農産品を対

象とする関税引き上げや国民の在外金融資産を対象とする課税、外貨購入に対する課税

などを柱とする緊急経済改革法を成立させましたが、この実効性が今後問われることと

なります。なお、IMFの支援については、前政権での合意事項に異を唱えており、今後

IMFとの協議の進捗が懸念されます。IMFによれば、2020年の同国の実質GDP成長率は

-5.7%と予測されており、国内の経済問題の危機に、新型コロナウイルス感染拡大が加

わったことで一層の下振れが避けられない状況となっています。

まとめ

ブラジル、アルゼンチンをはじめとする南米の国々は、政権交代が盛んに行われていま

す。これは、国の経済が悪化している証拠です。

ラテンアメリカの人々は、自由と仕事を求めてアメリカに押し掛けています。

アメリカ政府は2021年12月2日、ドナルド・トランプ前大統領が導入し、ジョー・バイ

デン大統領が就任後に撤回した移民政策「メキシコ待機」プログラムを再開すると明ら

かにしました。この政策は、亡命を希望する移民を、申請手続きを行う間メキシコ側に

待機させるもので、治安の悪い環境に移民が置かれることが問題となっていました。

このように、未だ先が見えない南米の政治経済。しかしながら、エンブラエルをはじめ

航空産業には明るい兆しも見えてきています。

それではなぜ、ブラジルは経済成長ができないのでしょうか?結論を言えば、新興国は

柔軟性と適応力を維持できなければ、「発展」を続けることができません。そしてその

柔軟性と適応力を決定する要因は政治制度と、利益団体に挑戦し、社会的対立を調停し、

法の支配を維持しようとする政府のやる気にあるといえます。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

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