皆さんこんにちは!
最近、航空機の墜落事故が相次いでいます。
イタリア北部トリノ近郊で16日、空軍のアクロバット飛行チーム「フレッチェ・トリコ
ローリ」の1機が訓練中に墜落して炎上し、付近の車を巻き込み、車に乗っていた家族の
うち5歳の女児が死亡し、兄と両親も負傷しました。
17日にはアメリカ海兵所属のF-35Bが墜落し、行方が判らなくなっていましたが、翌18日
に発見されました。
F-35B墜落
パイロットが無事脱出した行方不明のF-35Bの懸命の捜索は、米軍当局がサウスカロライナ
州の遠隔地で墜落機を発見したことを受けて、9月18日遅くに終了しました。
およそ28時間。ロッキード・マーチン製ステルス戦闘機の捜索では、F-35Bの所在に関する
情報を求める一般公開の異例の要請が含まれており、これにより米海兵隊は安全手順を見直
すため2日間の航空活動停止を発表しました。
地元ニュースによると、パイロットは9月17日午後、チャールストン国際空港の滑走路から
1マイル(1.6km)未満のところで脱出した後、サウスケンウッド通りで発見されました。
チャールストン統合基地の発表によりますと、パイロットは地元の病院に搬送され、状態は
安定しているということです。
しかし、同機は北東方向に飛行を続け、最終的にサウスカロライナ州ウィリアムズバーグ郡
の「チャールストン統合基地の北東約2時間」に墜落したと海兵隊は声明で述べました。
時間ごとの測定値が走行距離を指していたとしたら、墜落機はウィリアムズバーグ郡の北東
端に位置することになります。
しかし、墜落場所が発見されるまで、軍関係者は、いくつかの機密技術を搭載した先進兵器
システムが紛失しているという、ありそうもない安全保障上の脅威に直面していました。
軍が手がかりを必死に求めていることの表れとして、チャールストン統合基地はパイロット
の脱出から1時間以内に情報提供を求める公開嘆願書を発表しました。
同基地はソーシャルメディアチャンネルで「回収チームに役立つF-35の所在に関する情報を
お持ちの場合は、JBチャールストン基地防衛作戦センターに電話してください」と述べまし
た。
最初の声明を発表してから1時間以上が経過し、基地はF-35Bの捜索範囲をチャールストン
北部の遠隔地で湿地帯に限定するという迅速な最新情報を発表しました。
F-35Bは、サウスカロライナ州ビューフォート海兵隊基地を拠点とする第2海兵航空団の海
兵戦闘機攻撃訓練飛行隊501に所属していました。
同団体は声明で、この事件は捜査中であり、現在進行中であるため「捜査プロセスの完全性
を保つため」追加の詳細は公表できないと述べました。
事件後、海兵隊司令官代理エリック・スミス大将は2日間の作戦停止を命じました。
この間に、航空指揮官は安全な飛行運用、地上の安全、メンテナンス、飛行手順について海
兵隊員と話し合うよう指示されます。
オーストラリアでの訓練中にMV-22オスプレイが墜落し海兵隊員5名が死亡したことを受け、
スミス長官が安全政策と手順の見直しを命じてから1カ月も経たないうちに行われました。
2018年にも燃料チューブの製造上の欠陥により同翼はF-35Bの墜落事故を起こしたが、パイ
ロットは無事脱出しました。
航空機に射出座席が装備されている場合、墜落現場の場所は通常、射出されたパイロットが
着地する場所の近くにあります。しかし、パイロットが脱出した後も航空機が数百マイル飛
行し続けたケースもあります。
たとえば、1989 年にソ連空軍のミコヤン MiG-23 がベルギーで墜落しましたが、その距離
は 600 マイル(965km)でした。パイロットがポーランド上空に脱出した場所から。アフ
ターバーナーが故障した後、パイロットは脱出し、機体は降下を始めたが、脱出後もエンジ
ンは作動し続け、機体は自動操縦で飛行を続けたのです。
F-35B
F-35Bは、日本の自衛隊も導入予定の戦闘機です。
令和2年の防衛白書より(画像:防衛省)
F-35 ライトニング IIは、アメリカ空軍の統合打撃戦闘機(JSF)計画に基づく、単発単座の
ステルス多用途戦闘機です。アメリカのロッキード・マーチン社を中心とする複数の企業によ
って開発されました。
コンピュータによる情報統合を推し進めており、ヘルメットディスプレイによる全周囲視界
まで実現しています。最初から多用途戦闘機として開発されたため、対地攻撃能力や電子装備
の充実度はライバルのF-22を超える性能を持っています。また、ほぼ同一の機体構造を有する
通常離着陸型・垂直離着陸型・垂直/短距離離着陸型・艦上機型の3タイプが存在します。
防衛省は、すでに通常離着陸型F-35Aを平成29年から青森県三沢基地に配備しています。
F-35A(画像:防衛省)
そして、今回墜落したのは垂直離着陸型のF-35Bです。
防衛省によりますと、日本周辺国は、いわゆる第5世代戦闘機とされる機種や最新型の第4
世代戦闘機とされる機種の配備を進めるなど、航空戦力の近代化の進展が著しい状況にあ
ります。こうした状況の中で日本の防衛に万全を期すためには、高い性能を有する戦闘機
を用いて航空優勢を間断なく確保できるよう、より多くの飛行場から対処を行えるといった
柔軟な運用ができる体制を構築することが極めて重要です。
しかしながら、現在、全国の陸海空自衛隊が使用している飛行場など45か所(民間との共
用を含む。ヘリポートは除く。)のうち、航空自衛隊が保有する戦闘機が通常使用している
2,400メートル以上の滑走路が設置されている飛行場は20か所にとどまり、特に、太平洋に
おける飛行場は硫黄島の1か所しか存在せず、自衛隊の展開基盤が乏しい状況にあります。
この点、短距離離陸・垂直着陸が可能な戦闘機(STOVL(ストーブル)機)であれば、一般
的に数百メートル程度の滑走路でも離陸が可能であると見込まれ、理論的には、自衛隊が使
用している全ての飛行場など(45か所)で離着陸できると考えられます。
このように、国土が狭隘で通常の戦闘機が活用できる滑走路の数が限定的である我が国の特性
を踏まえ、航空優勢の継続的な確保のため、18(平成30)年に策定した中期防衛力整備計画
において、STOVL機を導入することとしました。
これを受け、19(令和元)年に機種選定を行い、F-35A戦闘機と同様にネットワーク性能や
ステルス性能など最新鋭で高い能力を有するF-35B戦闘機の導入を決定しました。現中期防衛
力整備計画の期間(令和元~5年度)において、合計18機のF-35B戦闘機を取得する予定です。
さらに、新たな安全保障環境に対応し、広大な太平洋を含むわが国の海と空の守りについて、
自衛隊員の安全を確保しながら、しっかりとした備えを確保するため、「多機能な護衛艦」
である「いずも」型護衛艦について、必要な場合にF-35B戦闘機の運用が可能となるよう、
改修を行うこととしています。
このようにF-35B戦闘機を着実に導入していくとともに、「いずも」型護衛艦とも連携し、
日本の防衛に万全を期すことを目的としています。
その優れた性能は、STOVL機能を兼ね備えた機体によって、強襲揚陸、護衛艦クラスの
短い甲板上でも着陸が可能。発進時は垂直離陸はできませんが、他の機体とくらべて短距
離の滑走路で離陸ができます。十分な滑走路を距離を保持できない場所でも運用が可能で
局地戦闘機としても利用できる特徴があります。
F-35は凹凸のない滑らかな形状に特殊コーティングされたボディ、内蔵されたセンサー、
武器を機体内に全て納めるウェポンベイ、最先端の製造プロセスなどにより、F-35独自の
超低観測ステルス性能を実現しています。これにより、敵レーダーの検知を回避し、敵に
見つかることなく任務を遂行でき、致死率、生存率を上げているのです。
F-35は世界で最も優れたセンターシステムを搭載しています。アビオニクスシステムの
AN / APG-81は1000個の送信モジュールを持ち150㎞先まで探知可能。対地レーダーの
EOTSは赤外線、光学線センサーを用いて地上を高解像度でマッピングできます。カスタ
ム設計のAN / ASQ- 239バラクーダ電子戦システムはヘッドディスプレイシステムを使っ
て360°の状況を認識することができる。パイロットは戦場のすべてを認識することが可能。
ウェポンベイには対空ミサイル、対地ミサイルから対艦ミサイル、巡航ミサイルと多種多様
な武装を搭載できます。また、ステルス機能を犠牲にするが、ビーストモードと呼ばれる機
外にも武装を搭載すれば搭載能力は更にあがり、最大6,800kgの搭載能力を誇るのです。
F-35Bは、超音速まで加速できる世界で唯一のステルス型のSTOVL。ウェポンベイの武器が
満載されていても、マッハ1.6の速度に到達できる。これにより、一撃離脱も可能。
F-35B(画像:アメリカ海兵隊)
海上自衛艦いずも(画像:海上自衛隊)
「いずも」は15年、「かが」は17年にそれぞれ配備されました。砲やミサイル発射装置
を備えた通常の護衛艦とは異なり、ヘリコプターを多く搭載できるように艦首から艦尾まで
平らな全通甲板を備えた姿が特徴的で、外観は空母そのものだ。これまで「ヘリ空母」とも
呼ばれていました。
搭載するヘリで外国の潜水艦の監視に当たったり、大きな船体に大量の物資を載せて輸送し
たりするのが任務です。16年の熊本地震の災害派遣では、北海道から九州へ隊員と車両約
40台を輸送した実績があります。
ただ、全長248メートルだと、通常のジェット戦闘機の発着艦は難しい。このため、ジェ
ットエンジンの排気口を下向きに変えることで短距離で離陸し、垂直に着陸できる最新鋭の
F35Bを搭載する予定。
改修の第1段階で、高熱の排気が当たる甲板に耐熱塗装を施す。第2段階では、下からの乱
気流の影響を抑えるため、艦首部分が細い飛行甲板を長方形に変える工事などを行う計画。
まとめ
今回、無事に機体回収が終わって関係者は安堵しているでしょう。
なにせ、国家機密の詰まった機体ですから。
幸いにも、地上に犠牲者が出なかったこと。我々の先輩で、最後まで機体を市街地に
墜落させまいと亡くなられた方が多くいます。
近年は、空き地などが少なくなってあらゆるところに住宅地などがあります。
今回のイタリアの事故のように離陸直後の事故に対しては防ぎようがありません。
鳥を吸い込んだことによるエンジン故障が、墜落原因として有力視されています。
早い原因究明と、再発防止が求められます。またフレッチェ・トリコローリは旧式化
したMB-339をM-345練習機に更新する計画を既に立てており、この計画も今回の事
故に影響を受けるのは間違いありませんが、更新機種のM-345も単発機であることか
ら、事故原因の調査結果によっては、改めて安全性の面から懸念の声が強まる可能性
もあるかもしれません。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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