エアバス、完全自律飛行への道

飛行機

皆さんこんにちは!

フランスの大手航空機メーカー・エアバス社は、全くパイロットが操縦に関与しない

『完全自律飛行』を目指しています。

小型機やヘリコプター、さらに大型旅客機エアバスA350-1000をも自動化して

しまう実験に成功しました。

それでは、その成果をご覧ください。

A350を使ったATTOLプロジェクトで自律飛行を実証

A350 autonomous flight

エアバスの ATTOL プロジェクトは、A350 ワイドボディ機がコックピットのパイロットの介入なしにタキシング、離陸、着陸する完全自律飛行を数回実現しました。[写真:エアバス]

エアバスは、自動タクシー離陸・着陸(ATTOL)プロジェクトの2年間にわたる飛行試験を

完了しました。この研究は、A350-1000 ワイドボディー旅客機の完全自動視覚ベース飛行

で最終目標を達成しました。これは、機内画像認識技術の使用によって達成されました。

エアバスは 、昨年6 月 29 日の報道発表で、これを世界初と説明しました。

プロジェクトの一環として 500 回を超えるテスト飛行が行われ、そのうち約 450 回は、

エアバスのエンジニアが自動運転技術のアルゴリズムをサポートおよび微調整するため

に必要な生のビデオ データを収集するために使用されました。自律飛行能力を評価する

ために6回の試験飛行が行われ、それぞれの試験飛行には旅客機の5回の離着陸が含まれ

ていました。

エアバス アップネクスト チームの指導の下、ATTOL は、Vahana eVTOL 技術デモンス

トレーターを開発した Acubed のプロジェクト ウェイファインダー チーム、エアバス

ディフェンス アンド スペース、エアバス チャイナなど、エアバスのいくつかの部門から

技術的専門知識を活用しました。フランス国立航空宇宙研究所オネラも研究に参加。

エアバスによると、ATTOL は、データのラベル付け、処理、モデル生成のための機械学

習アルゴリズムや自動化ツールの使用を含む自律技術が、パイロットが飛行中の戦略的

な意思決定やミッション管理に集中するのにどのように役立つかを探ることを目的とし

て考案されました。目標は、既存の旅客機の運航の安全性を高めることですが、潜在的

には新世代の eVTOL アーバン エア モビリティ航空機による自律飛行も可能にするこ

とです。

「多くの航空機はすでに自動着陸が可能です」と ATTOL プロジェクトリーダーのセバス

ティアン ジュリアーノ氏は説明します。「しかし、それらは計器着陸システムやGPS信

号などの外部インフラに依存しています。ATTOL は、効率を最大化し、インフラストラ

クチャのコストを削減するために、オンボード技術のみを使用してこれを可能にすること

を目指しています。」

Acubed の Wayfinder チームは、コンピューター ビジョンと機械学習に基づいて、航空

機が周囲の環境を検出し、その中で最適なナビゲーション方法を計算できるソフトウェア

を開発しました。これは、カメラ、レーダー、レーザーベースの LiDAR、強力な車載コン

ピューターなどのセンサーの組み合わせを使用して実現されます。

「自動操縦機能の主な課題は、予期せぬ出来事にシステムがどのように反応するかという

ことです」と Wayfinder プロジェクト責任者の アルネ・ストシェック氏は述べています。

「これは自動化から自動化への大きなジャンプです。」

機械学習アルゴリズムをトレーニングするために 100 の空港を調査

Airbus's flight test lab is a modified Beechcraft Baron 58

エアバスの Acubed イノベーション部門は、改造されたビーチクラフト バロン 58 を使用して、全米 100 以上の空港の詳細な画像を撮影しました。(画像:エアバス)

民間航空分野の自動化を推進するエアバスの継続的な取り組みの一環として、航空機メー

カーのシリコンバレーにある Acubed イノベーション部門は現在、全米の 100 以上の空

港でデータを収集しています。大規模なデータ収集事業は 2019 年にカリフォルニアで

始まり、全米に拡大しました。欧州に本拠を置く航空宇宙グループによると、昨年米国

東部で人工知能(AI)と機械学習による自律飛行の実現に貢献するという計画です。 

Acubed は 4 か月間にわたり、カメラとセンサーを搭載して改造されたビーチクラフト

バロン 58 といういわゆる飛行試験ラボ用航空機を、さまざまな天候や照明条件の下で

全国の 100 以上の空港に飛行させました。各空港で実験用航空機は大量の画像を収集し

Acubed チームはそれらの画像を使用して機械学習アルゴリズムのトレーニングとテスト

を行っています。 

Acubed チームは、実験飛行で収集した現実世界のデータを使用して合成データセット

を生成し、機械学習アルゴリズムが同化するためのより堅牢なデータ プールを作成する

こともできます。「各空港で必要なレベルまでデータを収集するのは不可能です」と、

Acubed の飛行試験運用ディレクターである ポールスミス氏は述べています。合成デー

タを現実世界のデータと組み合わせることで、研究者は滑走路上の障害物など、さまざ

まな条件やシナリオをシミュレートできます。 

「私たちには2つの課題があります」とスミス氏は語りました。「1 つは合成データを

構築すること、もう 1 つは構築した合成データが実行中のモデルで現実を再現すること

を証明することです。したがって、私たちが行っていることは、航空機内で収集した実

際のデータを取得し、規制当局が許容できると判断するのに十分なケースで合成データ

と比較することです。」

データ収集飛行にどの空港を含めるかを決定するために、Acubed チームはエアバス

A320 旅客機が運航する米国の空港を調査しました。A320 は単通路旅客機としては最

も売れており、現在世界中で 10,000 機以上が運航されています。エアバスは、A320

ファミリーなどの旅客機に自律走行、離陸、着陸の機能を提供し、それによってパイロ

ットの作業負荷を軽減しながら運航効率と安全性を向上させることを目指しています。 

「100 の空港は、見た目以上に多くのことを象徴しています。これは、アルゴリズムの

堅牢性を開発およびテストするために、当社の機械学習開発パイプラインを通じて集め

られる 500 万枚以上の画像を意味します」と、データ プロジェクトを監督している

Acubed の Wayfinder グループのチーフ エンジニアであるセドリック・ココー氏は述

べています。

エアバスは、自律飛行制御システムに加えて、その AI 研究を航空交通管制や空港の地

上業務にも応用しています。Acubed は 9 月にダラス フォートワース国際空港 (DFW)

と覚書を締結し、AI と機械学習によって地上業務をより安全、より効率的、持続可能な

ものにする方法を検討しています。 

Acubed は、姉妹会社エアバス・ヘリコプターズのシティエアバス・プログラムと並行

して実施されたヴァハナ技術実証機のと取り組みを通じて、新しいeVTOL航空機開発の

選択肢を探るエアバス初期の取り組みを主導しています。エアバスはそれ以来、4人乗り

のシティエアバス次世代航空機の開発に取り組んでおり、2024年に飛行試験を開始する

ことを目指しています。

CityAirbus NextGen eVTOL 航空機。

2021年に発表されたCityAirbus NextGen eVTOL航空機。(画像:エアバス)

Acubed 、エアバス社のシリコンバレー イノベーション センター

Acubed は、人工知能、自律性、データ分析、ラピッドプロトタイピング、デジタルコミュ

ニケーションなど、シリコンバレーが明らかにコンピテンシー上の優位性を享受している

技術領域に焦点を当ててイノベーションを推進しています。

ウェイファインダー・プロジェクト

ウェイファインダー・プロジェクトは、次世代航空機向けの自律飛行および機械学習ソリ

ューションの開発を行うものです。

ウェイファインダーは、次世代民間航空機の安全性と効率性の大幅な向上を実現するため

に、スケーラブルで認証可能な自律システムを構築しています。

ウェイファインダーの専門家チームは、自律飛行を強化するためのコア技術の成熟を推進

しています。ハードウェアおよびソフトウェア システムを含むリファレンス アーキテク

チャを作成し、航空機が環境を認識して反応できるようにするためのデータ駆動型開発プ

ロセスを適用しています。

ヴァハナ・プロジェクト

ヴァハナ・プロジェクトは、自動操縦の電動垂直離着陸飛行を推進するという使命を持

って 2015 年に立ち上げられました。

ヴァハナ

全電動の自動操縦垂直離着陸 (eVTOL) 旅客機ヴァハナ・アルファ・ワンを開発し、飛行テストを行いました。

ヴァハナ・アルファ・ワンは、2019年から本格的に試験飛行を行いました。

全電動垂直飛行:バッテリー、モーター、インバーター、高電圧配電、アクチュエーターを

含む全電動推進システムを設計し、チルトウィング構成で飛行できるようにしました。

数週間前の飛行テストの終了時点で、 138 回飛行し、合計でほぼ 500 海里、飛行時間は

13 時間を超えました。

自律性:リアルタイムの検出および回避機能など、自律性の中核要素のリスクを軽減しまし

た。飛行制御ソフトウェアだけでなく、高度なセンシング機能にも取り組む必要がありま

した。これらの概念を組み合わせて、空中と地上の両方の危険を検出し、回避する必要

がありました。そのチームは大成功を収め、現在は Acubed 内で Wayfinder と呼ばれる

独自のプロジェクトになっています。

車両に関するビジネスケース:チームは、将来の乗客や運行者に有意義な価値を提供する

には、パフォーマンスに関して何が必要かを学びました。この情報は、Vahana によって

証明された機会もあって 2018 年半ばに設立されたエアバス内のグループであるエアバス

アーバン モビリティによって実施されている戦略に直接貢献します。

まとめ

民間航空分野への自動運転航空機の導入は、北カリフォルニアを拠点とする新興企業Xwing

などの企業が主導する小型貨物機から始まります。

過去数年間、Xwing は主にカリフォルニアで自動テストミッションを実行してきました。

あたかも人間のパイロットがいるかのように飛行計画が提出され、離陸前に飛行パラメー

タが事前にプログラムされます。Xwing は 2025 年後半までにこれらの車両を導入して

運用し、その後他の通信事業者が利用できるようにする予定です。例を挙げると、FedEx

は米国ネットワーク用に約 240 台のセスナ 208 を保有しています。

パイロット不要の小型飛行機の直接的な利点の 1 つは、輸送能力の向上です。自律性が

あれば、6人乗りの飛行機をすぐに7人乗りに変えることができます。

2040年代までに完全自律した航空機が飛行できるかをこれら民間開発企業は想定して

います。2030年から小型機による自動飛行が始まり、2040年から2050年までには

大型民間機まで自動飛行が常識となると予想しています。

そうすると、パイロットが要らなくなってしまいます。

そんな世界が実現するには、パイロットの意志では無く、乗客の意識改革が必要に

なってきます。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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