皆さんこんにちは!
全ての空を飛ぶ物(鳥、航空機、ドローンなど)にとって、一番の障害となるものは
悪天候です。暴風、雨、雪、雷は、前に進むどころか飛ぶことすら困難にします。
特に小型の飛翔物体にとっては、大きな影響を受けます。
しかし、全天候型のドローンを開発している企業があります。
その名は、ウェーブ・エアロスペース!
ウェーブ・エアロスペース
ウェーブ・エアロスペースの事業
ウェーブ・エアロスペースは、アメリカ、コネチカット州に本社を構えるドローン製造
会社です。創立は2014年です。コネチカット州はニューヨークの北側にある風光明媚
な自然豊かな街です。
ウェーブ・エアロスペースは、全天候型ドローン(無人航空機)および航空システムを
設計および製造しています。同社の技術の違いは、風や天候により他の航空機が飛行で
きない場合でも飛行できることです。偵察 、通信、兵站、捜索救助のための軍事仕様
に基づいて構築されており、昼夜を問わず、最も必要とするときに飛行可能な製品を
提供しています。
創設者のひとり、マーク・ストラウスはイェール大学で化学の学位を取得しており、
マーケティング、電子商取引、分析の分野で豊富な経験を持っています。
もうひとりの創設者、スティーブ・ボフィルは、シコルスキー(米ヘリコプター会社)
の航空宇宙エンジニアであり、さまざまな防衛企業の複合材および推進設計エンジニア
でした。それ以前は、スティーブはニューヨークにある小型小型自動販売機会社として
成功を収めたヴェンゴラボの共同創設者でした。 ヴェンゴラボは全米に 1,300 台以上
の自動販売機を設置し、自動販売機とメディア収入を生み出しています。
エンジニア&テストパイロットのイーリー・ドリスコルは、工学物理学プログラムの
3 年生です。イーリーは、小型航空機の設計、運用、ミッション計画において豊富な経
験を持っています。彼は、出版された研究の主著者として、複数の製造研究開発部門で
働いてきました。
企業規模は、まだ小さいですが、その特化した技術力は注目されています。現時点で
シリーズAの投資、310万ドル(4億6,500万円)を受けています。
ハイブリッド型ドローン、ハントレス・ターボジェット
ハントレス・ターボジェット 無人 VTOL 航空機は、今年後半の飛行試験開始に向けて
準備を進めています。このドローンはマッハ0.4(300ノット)の最高速度が見込まれ
ており、あらゆる気象条件で運行できるとされています。
ペイロードが 110 ポンド(50kg)で、飛行持続時間は 2 時間と予想されています。
ウェーブ社によると、地上だけでなく船舶や航空機からの発射も可能で、最大フォース
10の風条件下でも運用できるということです。
力 | 名称 | 相当風速 | 陸上の様子[16] | 海上の様子 |
---|---|---|---|---|
0 | 平穏(へいおん) / 静穏(せいおん) / Calm | 0〜0.2m/s0knot | 煙はまっすぐ昇る。 | 水面は鏡のように穏やか。 |
1 | 至軽風(しけいふう)/ Light air | 0.3〜1.5m/s1〜3knot | 煙は風向きが分かる程度にたなびく。 | うろこのようなさざ波が立つ。 |
2 | 軽風(けいふう)/ Light breeze | 1.6〜3.3m/s4〜6knot | 顔に風を感じる。木の葉が揺れる。 | はっきりしたさざ波が立つ。 |
3 | 軟風(なんぷう)/ Gentle breeze | 3.4〜5.4m/s 7〜10knot |
木の葉や小枝が揺れる。 | 波頭が砕ける。白波が現れ始める。 |
4 | 和風(わふう)/ Moderate breeze | 5.5〜7.9m/s 11〜16knot |
砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が宙に舞ったりする。 | 小さな波が立つ。白波が増える。 |
5 | 疾風(しっぷう)/ Fresh breeze | 8.0〜10.7m/s 17〜21knot |
葉のある灌木が揺れ始める。 | 水面に波頭が立つ[2]。 |
6 | 雄風(ゆうふう)/ Strong breeze | 10.8〜13.8m/s 22〜27knot |
木の大枝が揺れ、傘がさしにくくなる。電線が唸る。 | 白く泡立った波頭が広がる。 |
7 | 強風(きょうふう)/ High wind / Moderate gale / Near gale | 13.9〜17.1m/s 28〜33knot |
大きな木の全体が揺れ、風に向かって歩きにくい。 | 波頭が砕けて白い泡が風に吹き流される。 |
8 | 疾強風(しっきょうふう)/ Gale / Fresh gale | 17.2〜20.7m/s 34〜40knot |
小枝が折れる。風に向かって歩けない。 | 大波のやや小さいもの。波頭が砕けて水煙となり、泡は筋を引いて吹き流される。 |
9 | 大強風(だいきょうふう)/ Strong gale | 20.8〜24.4m/s 41〜47knot |
屋根瓦が飛ぶ。人家に被害が出始める。 | 大波。泡が筋を引く。波頭が崩れて逆巻き始める。 |
10 | 全強風(ぜんきょうふう) / 暴風(ぼうふう)/ Storm / Whole gale | 24.5〜28.4m/s 48〜55knot |
内陸部では稀。根こそぎ倒される木が出始める。人家に大きな被害が起こる。 | のしかかるような大波。白い泡が筋を引いて海面は白く見え、波は激しく崩れて視界が悪くなる。 |
11 | 暴風(ぼうふう) / 烈風(れっぷう)/ Violent storm | 28.5〜32.6m/s 56〜63knot |
めったに起こらない。広い範囲の被害を伴う。 | 山のような大波。海面は白い泡ですっかり覆われる。波頭は風に吹き飛ばされて水煙となり、視界は悪くなる。 |
12 | 颶風(ぐふう)/ Hurricane | 32.7m/s 以上 64knot 以上 |
被害が更に甚大になる。 | 大気は泡としぶきに満たされ、海面は完全に白くなる。視界は非常に悪くなる。 |
ビューフォート風力階級表
この表から見ますと、レベル10は暴風、24.5~28.4m/sになり台風の一つ前の段階
になりますがほぼ台風と言って良いでしょう。
このドローンはさまざまな軍事的役割だけでなく、捜索救助任務や過酷な環境での重要
な偵察飛行などの目視外の用途にも使用されることを想定しています。
ウェーブは、フルサイズのターボジェットモデルへの道を準備するために、いくつかの
サブスケールおよび電気プロトタイプを構築して5年間にわたって車両を開発し、2025
年初めにハントレスの納入を開始する準備を整えることを目指しています。すでに米国
沿岸警備隊に対してこの車両の全電気バージョンを実証済みです。
同社は現在、地上試験用の「アイアンバード」のサンプルと、第3四半期に飛行試験の
準備が整う予定の実物大のプロトタイプを構築しています。アイアンバードは主に
高い回転応力下でのターボジェットの動作をテストするために使用されます。
同社は、FAAのパート107とは対照的に、ハントレスが00kg以下無人航空機システム
と同じ認証プロセスの対象となることを期待しています。海外のいくつかの法域での
要件を調査しています。
「スケジュールは短いように見えるかもしれませんが、ハントレスが安全かつ確実に
飛行できるようにする構成と制御システムは、実世界でのテストが何年にもわたって
行われてきたことを覚えておいてください。」と同社のマーク・ストラウス氏は述べ
ました。 「ハントレス・エレクトリックは、穏やかな海洋状態からフォース10の海洋
状態まで、さまざまな条件で数百時間のテストを飛行しました。本質的に、私たちは単
に航空機をスケールアップし、その10 kWの電気推進コアを小型のターボジェットに
交換しているだけです。」
ウェーブ社はハントレスに未公開の既存の推進システムを使用しており、すでに米国沿
岸警備隊に同車両の全電気バージョンを実証済みです。ハイブリッド推進のターボジェ
ット要素は、ジェット A1 や JP-5 などの標準燃料で動作し、翼端に取り付けられた 4
つの高速電動プロファンと結合されています。
暴風でも飛行できるハントレスⅡ(画像:ウェーブ)
ターボジェットと電動翼端の組み合わせ
ウェーブによると、ターボジェットは約 350 ポンドの推力を生成し、航空機の翼端モー
ターによって生成される補助推力を安定化と方向調整に利用できるとのことです。
ハントレスのフォワード スパイク機能は、ターボジェットの周囲で空気が加速される
「吸気整形」をサポートし、エンジンの効率を最大化するためにエンジン入口の圧力が
最適に維持された、本質的にファンレスの低バイパス エンジンを作り出します。
監視操作の場合、ハントレスには EO/IR (電気光学/赤外線) カメラなどのさまざまな
センサー パッケージを取り付けることができ、静止徘徊モードでホバリングすること
ができます。同社によると、標準的な通信リンク範囲は 30 キロメートル (18.6 マイル)
ですが、ビデオ ストリーミングを使用しない衛星ベースのメッシュ ネットワークでは
120 キロメートルまで延長されます。
2023年9月、ウェーブはAugurey Ventures(オーグレーベンチャーズ:米フロリダの
投資会社)とBrookline Capital Markets(ブルックライン・キャピタル・マーケッツ:
ウォール街の投資銀行)から非公開の資金を確保しました。同社は、コネチカット大学
のスタンフォード テクノロジー インキュベーター プログラムの創設メンバーです。
ウェーブ は、法執行機関や緊急サービス用途向けに、より小型の Falcon (ファルコン)
II LE 全天候型ドローンも開発しています。ペイロードは 20ポンド(9kg)で、カメ
ラやサーチライトなどの機器を取り付けることができ、飛行時間は 60 分です。
まとめ
これまでのベンチャー企業に対して、アメリカという投資大国は積極的に投資を行い
経済を発展させてきました。しかし、投資対象になるのはわずか数パーセントで
その中でも成功を収めた企業は僅かです。
今回このウェーブ・エアロスペースへの投資ラウンドはニュージャージー州とフロ
リダ州のオーグレーベンチャーズが独占的に主導しました。そしてニューヨークにある
Arcadia Securities, LLC (アルカディア証券:1998 年に設立したニューヨークに
本拠を置く登録ブローカーディーラー)であるの一部門である ブルックライン・キャ
ピタル・マーケッツが独占的な仲介代理店を務めました。
「今後 10 年間で最も急速に成長する分野の 1 つはドローン分野になるだろうと私た
ちは考えています。私たちは防衛産業だけでなく、ここにも多額の投資を行ってきま
した。ウェーブ・エアロスペースの優れた経営チーム、最先端のテクノロジー、今日
の市場でのカスタマイズ能力は、同社が競合他社に対して不公平な優位性を持っている
と当社が考える理由のほんの一部です。」オーグレーベンチャーズのマネージング パ
ートナーであるクリス・パラシオス氏は次のように述べています。
「自分が頂上に近づかなければ、誰かが丘を登るのを手伝うことはできない」と言いまし
た。 「優れたスケーラブルなビジネスには、スケーラブルな関係が求められます」と。
この様に、アメリカではベンチャー企業を育てていこうという風土が根付いています。
ただ単に、短期的な投資対象としてはなく、新たなビジネスが発展することにより
巡り巡って自分たちの利益になることを知っているからです。
日本にも多くの優秀なベンチャー企業が埋もれています。それを掘り越してくれる
投資家が今の日本には必要です。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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