皆さんこんにちは！
激動するエアタクシー（eVTOL)業界です。リリウムの破綻申請に続いてボロコプターの
開発延期など、順調な企業との格差が広がり、組織の再編が行われています。
リーダーの交代ははたして有効なのでしょうか？
eVTOLリーダーの成功は不均一
「それは最高の時であり、最悪の時でもあった。」チャールズ・ディケンズは今日のことを
語っていたのかもしれません。過去数か月間、電動垂直離着陸機（eVTOL）の大手開発企業数
社は、先進航空モビリティ（AAM）のビジョンの実現に向けて継続的に成功を収めてきまし
たが他の企業はそれほど幸運ではありませんでした。
米国の開発業者は進歩を遂げており、米国連邦航空局（FAA）は重要な規制計画で前進を遂げ
ていますが、欧州の電動航空機メーカー2社は不運に見舞われています。ロールス・ロイス・
エレクトリカルは事業を停止し、リリウムは破産を申請しました。
以下は、eVTOL 航空機の主要開発者による最近の活動の概要です。
アーチャー・アビエーション
アーチャー・アビエーションは、主要な資金調達契約の完了と重要な飛行試験のマイルストー
ンの達成を発表しました。
アーチャーは8月22日、同月初めに発表した2億3000万ドルの追加資本調達を、長年の戦略
的投資家であるユナイテッド航空とステランティス、およびその他の機関投資家が参加した上
場株式への私募投資（PIPE）を通じて実質的に完了したと発表しました。同社は「この追加資
本により、アーチャーは業界で最も強力な流動性ポジションの1つを獲得し、アーチャーのこ
れまでの総資金調達額は15億ドルを超える」と述べました。
発表ではまた、アーチャーがステランティスと、アーチャーの航空機ミッドナイトの製造拡
大を支援するために、労働力と設備投資の形で多額の資本を提供する契約（これも以前に発表
済み）の主要条件に達したことも述べられました。これにより、アーチャーは最大4億ドル
の追加資本にアクセスできるようになります。9月初旬、アーチャーは2024年の最初の8か
月で400回の飛行を突破したと発表しました。これは今年の目標より4か月早いのです。アー
チャーによると、飛行は航空機の負荷、振動、性能、操縦性を評価し、改良するための重要な
データを生み出すという。夏の終わりにカリフォルニア州サリナスで行われた同社の飛行試
験は、次の5つの主要分野に焦点を当てました。
- 移行飛行: データの収集、耐久性の延長、最大限の安全性の確保を目的として、より長距離かつより高速な移行飛行を継続します。
- 高頻度運航: 1 日あたりのフライト数を増やして、Archer の予想される商業運航の高頻度をシミュレートし、Midnight の耐久性をテストします。
- 着陸プロファイルの進化: さまざまな風の条件下で、降下率とフレア高度を変えながら一連のホバリング着陸を完了し、ミッドナイトの風の許容範囲を拡大して着陸プロファイルをさらに最適化します。
- 音響測定の強化: さまざまなマイク アレイを使用して一連のホバリング操作を実施し、FAA 向けの補足データを収集し、Midnight のノイズ特性をさらに評価および調整します。
- 制御法則の最適化: 制御法則に一連の最適化を施して限界を突破し、Midnight の耐久性を向上します。
ベータテクノロジーズ
バーモント州バーリントンに本社を置くベータテクノロジーズは、米国保健福祉省 (HHS)
の戦略的準備対応局 (ASPR) と協力し、公衆衛生の準備のための次世代モビリティ ソリュー
ションとインフラストラクチャを評価するパイロット プログラムを開発する 2,000 万ドルの
多段階契約を獲得しました。
ベータ社は9月初旬、米国東海岸とメキシコ湾岸沿いの医療および緊急対応活動の強化に重
要と判断された場所に22台の航空機用電気充電器を設置すると発表しました。ジョージア州、
フロリダ州、ミシシッピ州、アラバマ州、アーカンソー州ではすでに新しい施設が稼働してお
り、今後数か月でさらに増設が予定されています。
ベータ社によると、地方では地元の医療へのアクセスが不足しているため、罹患率と死亡率が
高くなっているといいます。航空救急車は毎年50万人以上の患者を診ており、米国で地方の病
院が閉鎖され続ける中、ますます重要な役割を果たし続けています。電気輸送のインフラを確
立するためのHHSとベータ社のこの提携は、医療と緊急対応への備えに取り組む新たな一歩となります。
ベータは、2025年にも貨物、物流、医療ミッションから市場参入し、その後旅客部門に進出
する計画。同社は、アリア機の旅客構成に関する最新情報を提供しました。アリア機の貨物構
成は、認証取得に向けて改良が進められています。キャビン構成は、アリアのA250 eVTOLと
CX300電動従来型離着陸（eCTOL）バージョンの両方でさらに改良が進められています。
同社の旅客機は、最大5人の乗客とパイロットを快適に運ぶことができるように設計されてお
り、客室には航空会社の機内持ち込み手荷物と標準的な預け荷物を収容できる十分な容積が
あります。「BETAの他のプラットフォーム構成と同様に容積と航続距離が最適化されたこの
航空機は、都市内および地域輸送ルートを含むさまざまな旅客ミッションを遂行できるように
設計されている」と同社は述べました。
ベータの設計チームは、さまざまな地域および観光事業者からの設計フィードバックと機能を
取り入れ、快適性、安全性、サービスを最適化することで、乗客中心の多様な顧客基盤に対応
する航空機を開発するために、従来の運航会社と緊密に協力してきました。キャビンのモック
アップの写真が示されています。
FAAが10月に電動リフトのパイロット認証と運用に関する規制を発表した際、ベータ社はFAA
のテストパイロットがアリア地上学校を修了し、昨年は定性評価飛行でベータ社のテストパ
イロットとともに同機を操縦したことを強調しました。同社はコックピットの写真（写真）を
公開し、同機がデュアルコントロールで設計された数少ないeVTOL機の1つであることを示しました。
一方、ベータ社の188,000平方フィート（16,700平方メートル）の製造ラインでは、
生産構成の最初のテスト機の組み立てが開始されました（写真参照）。
EHangホールディングス
8月下旬、EHangは2024年第2四半期の業績を発表しました。ハイライトとしては、旅客輸送
用の標準モデルEH216-S、航空消防用のモデルEH216-F、航空物流用のモデルEH216-L
を含むEH216ファミリーの49機の販売と納入が挙げられます。これは前四半期の26機から増
加しています。総収益は過去最高の1億200万円（1,400万米ドル）に達し、調整後純利益は
前四半期の調整後純損失に対し120万円（20万米ドル）でした。EHangの第2四半期のその他
の進捗状況については前号で取り上げました。
過去数か月間、中国広州に本社を置く同社は、世界中で EH216 の展示とデモンストレーショ
ンを行ってきました。ブラジル、カナダ、エジプト、イタリア、日本の複数の都市、スイス、
中東、そしてもちろん中国全土の複数の都市でのデモンストレーションが行われました。
EHangは10月15日、アブダビで中華人民共和国建国75周年とアラブ首長国連邦（UAE）と
中華人民共和国の外交関係樹立40周年のレセプションに参加しました。「EHangの主力製品
であるEH216-S（イベントで展示）は、政府関係者やビジネスリーダーを含む300人を超える
出席者を魅了しました」と同社は述べました。このイベントでは、UAEでのEHangの存在感の
高まりも強調されました。2024年4月、EHangはアブダビ投資事務所およびマルチレベ
ルグループ（MLG）と戦略的パートナーシップを締結し、UAE、中東、アフリカでのeVTOL
航空機の開発を推進します。
イブエアモビリティ
エンブラエルの子会社であるイブは10月15日、ブラジル国立開発銀行（BNDES）と5億レ
アル（8,800万米ドル）の融資契約を締結し、ブラジルのサンパウロ州タウバテにある同社の
eVTOL航空機生産施設の開発資金を調達すると発表しました。イブのCEO、ヨハン・ボルダイ
ス氏は「この資金調達は、ブラジル初のeVTOL製造施設となるだけでなく、持続可能性への取
り組みに沿って、クリーンで再生可能なエネルギーで稼働するeVTOL製造施設の設立に役立つ
でしょう」と語りました。この最近の資金調達は、イブのeVTOL開発プログラムを支援する
ためにBNDESから2022年に承認された9,250万米ドルの信用枠に続くものです。
「この融資は、高度な技術集約型航空輸送など、ブラジル産業における革新的なプロジェク
トを支援するというルラ大統領政権の公約を強化するものだ」とBNDES総裁のアロイジオ・
メルカダンテ氏は説明しました。
エンブラエルの子会社であるイブは、最終的には年間480機の航空機を生産すると予想してお
り、年間120機の航空機を4つの同サイズのモジュールに分割して、モジュール方式で工場の
生産能力を拡大する計画。「これにより、市場の成長に合わせて、規律ある資本効率の高い投
資アプローチが可能になります」と同社は述べています。
「イブは、13か国の30社の顧客から2,900機のeVTOL機に関する意向書（LOI）を交わした
業界最大の受注残を誇り、潜在的な売上高は145億ドルに上る」と同社は述べました。機体
以外にも、イブはこれらの顧客のうち14社とサービスおよび運用に関する拘束力のない契約を
結んでおり、運用開始後5年間で約1,100機の機体と12億ドルの潜在的な売上高が見込まれます。
同社は、10 月中旬にバルセロナで開催された MRO Europe 展示会で、イブ TechCare アフ
ターマーケット サービス ポートフォリオの立ち上げを発表しました。イブはこのサービスを
「業界で最も包括的なサービス、専門家による顧客サポート、最先端の運用ソリューションを
提供することで [eVTOL] 運用を合理化するように設計された先駆的なオールインワン ソリュ
ーション スイート」と呼んでいます。
一方、イブ社は7月21日に公式発表された初のフルスケール試作機の開発を進めています（写真）。
同社は「飛行能力から安全機能まで、航空機の運用と性能のあらゆる側面を評価することを目
的とした試作機を使った一連の総合テスト」を実施しています。
コメント