皆さんこんにちは!
英国大手のビジネスジェット会社、ビスタジェットの勢いが止まりません。
先日、羽田空港でグローバル7500を初公開しました。
日本もいよいよ本格的なビジネスジェット開国となるのでしょうか?
日本市場でのビジネス展開を一層強化する戦略を発表
VistaJet グローバル7500
ビスタジェット(英国)は、アジア太平洋地域での成長をさらに加速させる中で、日本を最重
要市場の一つとして位置づけています。今年創業20周年を迎えるにあたり、同社は日本におけ
るビジネスジェット市場でのシェア拡大を目指し、事業戦略を発表する記者会見を東京・羽田
空港で開催しました。会見では、ビスタジェットが提供する他に類を見ないユニークな会員制
度、厳格な運航基準に基づく高い運航効率が紹介されるとともに、日本市場における現状の分
析と将来の展望についても語られました。
Global 7500 キャビン
ビスタジェットは、東京・羽田空港で開催された特別イベントにおいて、同社のフラッグシ
ップ機「グローバル7500」を披露しました。同機は記者会見に併せてお披露目され、注目を
集めました。現在ビスタジェットは「グローバル7500」を18機保有しており、これはビジネ
スジェット業界で世界最大規模の所有数を誇ります。「グローバル7500」は最大の快適性と
速度を追求して設計されており、ビジネスジェットとして最長の飛行距離を実現。最大17時
間に及ぶノンストップ飛行を可能にし、多くのお客様に極上の快適さを提供しています。
ビスタジェットは、アジア太平洋地域での成長をさらに加速させる中で、日本を最重要市場の
一つとして位置づけています。今年創業20周年を迎えるにあたり、同社は日本におけるビジネ
スジェット市場でのシェア拡大を目指し、事業戦略を発表する記者会見を東京・羽田空港で開
催しました。
南アフリカと東アフリカで顧客獲得を目指す
ヨハネスブルグ、ケープタウン、ナイロビでロードショーイベントを開催
ビスタジェットは、最近ケープタウン、ヨハネスブルグ、ナイロビで開催したロードショーイ
ベントを通じて、アフリカでの顧客基盤の拡大に取り組んでいます。ビスタジェットは、南ア
フリカと東アフリカのこれらの主要ビジネス都市をチャーター便サービスの有望な拠点と見て
いると述べました。
ビスタジェットがボンバルディア グローバル 7500 を展示した最新のロードショー ミーテ
ィングは、第 2 四半期に西アフリカで開催された同様のイベントに続くものです。同社は、
今週訪問した 3 つの都市でのイベントで「民間の利害関係者」とメディアの代表者を歓迎した
と述べました。
ビスタジェットによると、2024年上半期にアフリカで販売されたフライトプログラム時間は
103%の成長率を達成しました。同期間中、アフリカ大陸を飛行した時間数は29%増加。
「ビスタジェットのこの地域での大幅な成長を踏まえ、東アフリカおよび南アフリカ ロード
ショーは、アフリカ大陸自由貿易協定の成功を支える物流および航空パートナーとしての役割
を果たすという当社の戦略の重要な部分です」と、ビスタジェットのヨーロッパおよびアフリ
カ担当社長フィリップ スカラブリニは述べています。「アフリカは国際ベンチャーにとって大
きな成長の可能性を秘めているため、ビスタジェットは、これらの地域の経済および起業機会
に世界的な資金を結び付ける重要な役割を果たすことに尽力しています。」
8%の成長予測の中アフリカで事業を拡大
ビスタジェットは、今後5年間でアフリカ大陸のビジネスジェット部門が年間8%の成長を遂
げると予測されていることに合わせて、初の東アフリカおよび南アフリカのスタティック・デ
ィスプレイ・ロードショーを開催する予定。このイベントは、同社がアフリカ大陸全体で飛行
時間の増加を報告している2024年上半期の大幅な成長を受けて開催されます。
ビスタジェットは、2024年上半期にアフリカ全土で新規プログラム販売時間が前年比103%
増、総飛行時間が前年比29%増となったと報告しました。東アフリカでは総飛行時間が46%増
南アフリカでは79%増となりました。これらの指標は、ビスタジェットが高まる需要に応え続
けるアフリカ大陸での足場を固めていることを示しています。
中東および北アフリカビジネス航空協会 (MEBAA) のデータによると、アフリカのビジ
ネスジェット機の数は現在の 418 機から市場が拡大すると予想されており、南アフリカ、
それにケニア、ナイジェリアが市場をリードしています。MEBAA は、民間航空部門の拡大が
経済成長に大きく貢献し、推定 770 万人の雇用を支え、630 億ドルの GDP を生み出すと予
測しています。
2024年アフリカ富裕層レポートによりますと、アフリカ大陸の投資可能な富は2.5兆ドル
にまで増加しています。このレポートでは、今後10年間で億万長者の人口が65%増加すると
予測しています。主要な成長分野には、フィンテック、ビジネスプロセスアウトソーシング、
グリーンテクノロジーなどがあります。この経済状況は、ビスタジェットにとって市場内での
地位を強化する機会となります。
「この重要な地域における当社の独占的サービスへの取り組みを強化するため、東アフリカお
よび南アフリカロードショーを発表できることを嬉しく思います」とビスタジェットの欧州お
よびアフリカ社長フィリップ・スカラブリニ氏は述べました。
ロードショーは、東アフリカの技術とビジネスの中心地として知られるケニアのナイロビで
始まり、その後南アフリカのヨハネスブルグとケープタウンへと続きます。これらの都市は
ビスタジェットの成長戦略にとって極めて重要であり、潜在顧客と既存顧客の両方と関わる大
きな機会を提供します。このイベントは、同社の主力航空機を展示するだけでなく、ビスタジ
ェットの地域経済発展促進への取り組みを強調することを目的としています。
ロードショーでは、ビスタジェットは、最大かつ最長航続距離を誇るビジネスジェット機とし
て評判が高く、2024年上半期の飛行時間が33%増加した主力機であるボンバルディア
グローバル 7500を展示します。この航空機はアフリカの主要都市を結び、長距離国際旅行
を促進するのに最適です。
東アフリカと南アフリカで 10 年以上にわたり事業を展開してきたビスタジェットは、アフリ
カ大陸全域でビジネス接続を促進し続けています。同社は世界中の 2,700 以上の空港で運航
しており、24 時間以内の航空機の可用性を約束しています。この広範な運用能力によりサー
ビス提供が強化され、ビスタジェットはアフリカのビジネス航空市場で競争力のある企業となっています。
ビスタジェットの戦略
ビスタジェットは26日、日本で初の事業説明会を開いた。会員になれば1時間約1万5千ドル
(約230万円)で利用ができる「サブスク」サービスを日本で本格展開します。航空機の貸切
利用は海外に比べて普及が遅れています。一方で国外への渡航や来航の伸びしろは大きく、
富裕層に時間価値を提示して需要を開拓する計画です。
グローバル7500クラスの機体であれば、東京-ロサンゼルス間の往復であれば5000万円程
度、ニューヨークなど東海岸であれば6000万円以上になるとみられます。
会見では、ビスタジェットが提供する他に類を見ないユニークな会員制度、厳格な運航基準に
基づく高い運航効率が紹介されるとともに、日本市場における現状の分析と将来の展望につい
ても語られました。その内容とは
- アジア太平洋地域における総飛行時間が14%増加、日本市場では10%増加
- アジア太平洋地域における総フライト数が20%増加、日本市場では25%増加
- プログラム会員数がアジア太平洋地域で15%増加、日本市場では400%増加
ビスタジェットの最高商業責任者であるイアン・ムーア氏は次のように述べています。
「日本はプライベート航空市場において、ダイナミックで進化を続ける魅力的な市場です。
当社は、自社で航空機を所有せず、必要に応じて最適なジェット機を提供するユニークなビジ
ネスモデルを通じて、新たなビジネスおよびラグジュアリートラベルのスタイルを提案し、
業界をリードしていることを誇りに思います。特に「グローバル7500」はその快適性や大西
洋横断の直行便に対応する能力により、アジア太平洋地域で高い人気を誇る機種です。大企業
の経営者や役員にとって、長距離のビジネス旅行を快適かつ効率的にサポートする最適な選択
肢となっています。最先端技術と卓越したサービスを融合させた優れた体験を提供できること
を光栄に思い、この並外れたジェット機での旅を今後日本の顧客にもお届けできることを楽し
みにしています。」
同社の展望について語る記者会見の中で、エイミー・ヤン氏(アジア太平洋・中東・アフリカ
地区マーケティング副社長)は、ビスタジェットが特に注力しているサステナビリティへの取
り組みについて次のように述べました。「ビスタジェットは、環境への配慮を最高水準で実現
しています。可能な限り持続可能な航空燃料を使用することで、二酸化炭素の排出量を最大
80%削減しています。また、世界中に広がる飛行ネットワークを活用し、最短距離で航空機を
手配することで、資源を有効活用しながら燃料消費の効率化に努めています。さらに、機内で
使用する備品は使い捨てを一切排除し、持続可能性を重視した選択を徹底しています。弊社と
提携するサプライチェーンもこの理念に賛同しています。」
今年1月から9月までの日本発着の空港トップ10は、出発空港の1位が香港、2位がソウル
(金浦)、3位がシンガポール(セレター)、4位が上海(虹橋)、5位が中部(セントレア)
6位が羽田、7位が台北(松山)、8位が北京(首都)、9位が札幌(新千歳)、10位が関西でした。
目的地の1位も香港で、2位はソウル(金浦)、3位は羽田、4位は台北(松山)、5位は上海
(虹橋)、6位はシンガポール(セレター)、7位は北京(首都)、8位は札幌(新千歳)
9位は中部(セントレア)、10位がソウル(仁川)。
チャーター利用者の習慣や購入に関する洞察
プライベート ジェット カード比較の最新のジェット カード レポートによると、プライベー
ト チャーターと分割飛行の需要は過去 1 年間安定しており、パンデミック中にプライベート
飛行を始めた人の大多数はそれを継続しています。4 回目の年次レポートでは、分割所有、
ジェット カード、メンバーシップ サービス、オンデマンド チャーター、ジェット シェアリ
ング プログラムのユーザー 1,000 人以上を調査し、回答者のプライベート ジェットの飛行習
慣と購入決定について詳細に分析しました。
報告書によりますと、回答者は今後12カ月間にプライベートで42.7時間飛行すると予想してお
り、これは2023年の調査の42.4時間とほぼ変わりません。一方、パンデミック以降にプライ
ベートで飛行を始めた回答者の95.5%は、今も変わり有りません。
プライベート航空の利用を検討している回答者のうち、54.1% は、航空会社や空港の遅延や
不快な経験がプライベート航空の利用を検討するきっかけになっていると答えています。価格
上昇は引き続き回答者が航空会社の変更を検討する最大の理由であり、昨年の 55.3% から今
年の調査では 64.5% に増加しています。ただし、レポートによると、プライベート航空機の
航空会社を変更する理由として、フライトの遅延、変更、キャンセルは 37.4% から 24.3%
に減少しています。
プライベートジェットカード比較は、この調査はビジネス航空の投資家やアナリストに加え、
ジェットカード、会員権、フラクショナルプロバイダーにサービスを販売する企業にとって非
常に重要であると述べました。
大手のプライベートジェット会社は、時間単位で利用できるジェットカードを提供し、利便性
と快適さを両立させています。例えば、アメリカ大手のネッツジェットのジェットカードは、
頻繁にプライベートジェットを利用するビジネスマンや高所得者に最適です。多彩な機種選択
と高い柔軟性が魅力です。具体的には25時間単位で購入でき、多様な機種から選択可能で柔軟
な予約も可能です。同様に高級プライベートジェットのフラクショナルオーナーシップおよび
ジェットカードサービスを提供するフレックスジェットは、パーソナライズされたサービスと
特別な機内カスタマイズを求める顧客に最適です。専任コーディネーターがフライトのすべて
をサポートします。卓越したカスタマーサービスを提供し差別化を図っています。
ネットジェットは、時間単位でジェットカードを購入できます。飛行時間分を事前に購入する
ことで固定料金での利用が可能になります。国際的な移動に最適な固定料金体系です。
ジェットリンクス、新しいジェットカードプログラムで顧客を結び付ける
民間航空会社のジェットリンクスは、最大 6 人のユーザーがジェットリンクスの全国規模の航
空機で 90 日間チャーター便を予約できる「期間限定アクセス カード プログラム」を発表し
ました。また、ピーク旅行期間でも追加料金なしで時間単位の料金が保証されます。
「ジェットリンクス アクセス カードは、機会を狙うプライベート ジェット利用者に、当社の
比類のないサービスと柔軟性を体験できる競争力のあるソリューションを提供します」と、
ジェットリンクス社長兼 CEO のブレント ウーターズ氏は述べています。「この障壁の低いソ
リューションは、経験豊富なプライベート航空利用者が求める最高級のアメニティを提供し、
好奇心旺盛なジェット利用者が当社の地域に重点を置いた価値重視のモデルの利点を発見でき
るようにします。」
「この新しいジェット カードは、ジェットリンクスを体験する明確な利点を紹介するための招
待状として設計されました。今日の市場では、目の肥えたプライベート航空の顧客が当然なが
ら並外れた価値を求めており、私たちは彼らの慎重な評価を歓迎します」と、ジェットリンク
ス のジェット カード販売担当エグゼクティブ バイスプレジデントの アダム・ポサール 氏は
付け加えました。「現在、分割所有に投資しているか、別のプロバイダーのジェット カードを
持っているかに関係なく、このプログラムは、当社の独自のサービス モデルがプライベート航
空を業界標準を超えて高める方法を実際に体験する機会を提供します。」
アクセス カードの主なサービス エリアは、米国本土、メキシコとカナダの一部、および一部
のカリブ海諸国です。ただし、ジェットリンクスは 180 か国以上への国際便を運航する能力
を備えています。
日本の現状と課題
世界に目を広げると、ビジネスジェットは定期航空ほど目立たないものの大きな航空産業の柱
になっています。
米国のジェネラル・アビエーション・マニュファクチャリング・アソシエーション(GAMA)
が発表する、航空機の製造機数と売り上げのデータによりますと、2022年に一般航空(ジェ
ネラルアビエーション)を製造するメーカーは世界で30社あります。
世界の航空機の年間製造機数は2818機になり、その額は228億ドル(3兆1,900億円)と
なります。うちビジネスジェットはホンダエアクラフトも含め9社で製造されその数は712機。
一方、国土交通省が2021年に発表したビジネスジェットの国別保有機数は、米国が2万978
機に対し、日本は61機と大差どころではない激差がついてしまっています。
数字が示すように日本ではビジネスジェットは普及率が低い状況。普及のためには、開かれた
航空行政が求められるのはいうまでもありません。
日本では、2023年6月1日施行で、ビジネスジェット運用に関する航空法が改正されました。
海外から日本へ旅客を有償運送するための申請と、国土交通大臣の特別許可を必要としない
指定空港以外の36空港において、離着陸するためのチャーター機・自家用機申請の期限が緩和
されました。具体的には、10日前までの申請期限が改正後は3日前までとなったのです。
国内間でビジネスジェットを利用する場合は、商用や医療目的の場合は24時間前まで、観光な
どの目的の場合は3日前までに国土交通省に申請することとなっています。ANAやJALなどの
国内定期航空便でも24時間を切った予約が可能なことを考えると、さらなる緩和が必要となる
ことは明白です。
ビジネスジェットが多いのはアメリカ、ブラジル、メキシコなど。これらの国は富裕層への
あこがれが強い。日本はみんなが中流意識で富裕層への嫌悪感が強い。こういった国民性の違
いがビジネスジェットへの理解が進まない障壁になっています。
世界標準から比べると 10 年も 20年も日本は遅れていると言われています。大きくは、航空
・空港規制がまだまだ発展途上ということと、日本全体の空港におけるビジネスジェットの受
け入れ体制・施設の整備不足。これらが理由で、日本で開催予定だった国際的大企業の会議
が他国開催になったことも複数回ありました。また、ビジネスジェットへの理解が不足してお
り、これは日本人の感覚や意識 、文化の違いや時間価値への考えの欧米との差も背景にあるの
ではないかと思われます。
インフラ整備の遅れとしては、新千歳空港に VIP 専用レーンがなく、他の定期便の乗客列に
並び続けなければなりません。羽田や成田のビジネスジェット専用ターミナルは 1 回利用で
約 25万円ですが、使うお客様は多いのです。最近始めた中部空港では、大きくターミナルを
改造したわけではなく、空いていたスペースを少し改装して、使用料は 1 回 15 万円。利用が伸びてきています。
ビジネスジェット受け入れではCIQ の縦割り行政が最大の障壁になっています。特に地方空港
はCIQ が常住しておらず、時間によっては対応困難な場合があります。
CIQとは、税関(Customs)、出入国管理(Immigration)、検疫(Quarantine)です。
アメリカは入国空港が決まっていて、入国手続きを警察が一手にやってくれます。そこで手続
きをすれば、その先の国内移動は自由です。シンガポールは CIQ 業務をまとめて委託業者が
受けています。海外では、CIQ 職員が飛行機に行って手続きをする空港もあります。どうして
も冬場に運航が集中するので、ターミナルで列に並ぶよりは自分の機内で待っている方が良い
というお客様も多いと思います。
最も重要な課題は、ビジネスジェットが使える発着枠が少ないことです。定期便の発着枠確定
後の残った枠で取得するしかない現状があります。
これらの状況を見てみますと、行政の縦割りの弊害と人材不足があります。国を挙げてインバ
ウンド需要を増加したいのであれば、規制緩和と人材育成が急務です。
政府も新規参入する企業のハードルを低くするとともに、海外からの企業誘致と並行して国内
の企業の参入を促すために対策が必要です。
ビジネスジェット企業側も競争力を高めるとともに、低価格や利便性(アプリの利用など)を
向上させるなど企業努力も必要です。一方で、国内の観光業界との連係やバス、タクシー会社
旅館、アミューズメント施設などとコラボレーションすることで日本の産業全体を押し上げる
ことになります。
もう一つは、日本でビジネスジェット機の一時的、定期的な整備を請け負うことで航空産業が
活性化して更なる雇用を生み出すことができ、日本の航空産業の発展に繋がることが期待されます。
いずれにしても、官民が連携をとり早期の対策、規制緩和が必要です。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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