皆さんこんにちは!
前回、ピピストレル社のヴェリスエレクトロ電動エンジン訓練機を紹介しました。
今回はヨーロッパが生んだ『ブリストルB23エナジック』です。
H55の電動ブリステルトレーナーが米国ツアーを完了
H55の全電気式航空機、Bristell B23 Energicが、ニューヨークのロングアイランド、ハンプトンズ上空でデモ飛行中の様子。
スイスの推進力専門企業H55は、全電動2人乗り練習機「ブリストルB23エナジック」に
よる全米横断飛行を終えたと火曜日に発表しました。H55によると、同機は過去4ヶ月間
で192回の旅客飛行を行い、フロリダ州、アラバマ州、アリゾナ州、ネバダ州、カリフォ
ルニア州、コロラド州、ウィスコンシン州、ニューヨーク州の8州25空港を訪問しました。
「アクロス・アメリカ」ツアー中、H55のチームは飛行学校、航空機所有者、大学、米国
空軍、その他さまざまな関係者を訪問し、旅客飛行を念頭にB23エナジック向けに開発した電気推進システムを実演しました。
「飛行機から降り立った時の乗客の笑顔がすべてを物語っていました」と、H55の共同
創設者兼会長のアンドレ・ボルシュベルグ氏は語りました。「電気航空機の利点は、すべて
の乗客にすぐに伝わってきました。騒音、振動、排出ガスゼロ、メンテナンスの削減、
そしてダウンタイムの最小化。忘れられない体験でした。パイロットの中には、その効果に
すっかり納得し、その場で注文した人もいました。」
ブリストルB23エナジックは、チェコのメーカーBRM Aero社によって開発されています。
BRM Aero社は、特注の超軽量機および軽スポーツ機を専門としています。
BRM Aero社はブリストル機の複数のモデルを製造しており、15年間で1,000機以上を納入しています。
H55は、同社の電気推進システムが2026年にEASA(欧州航空安全局)から、2027年に
FAA(連邦航空局)からそれぞれ型式証明を取得すると見込んでいます。H55によると、
全電気式のB23エナジックはこれまでに約100機の受注を獲得しています。
「米国ツアーで2つのことが疑いなく証明されました。電気航空機、特にB23はまさに
航空学校が求めているものを実現し、すでに多くの自家用およびプロのパイロットの期待
を超えているということです」とボルシュバーグ氏は語りました。
H55によると、全電気式のB23エナジックは、同等のピストン式航空機の10分の1の騒音
レベルしか発生しません。また、タクシーとランアップに必要な電力は約0.25ドルで済む
ため、燃料費の13ドル分を削減し、運用コストも削減します。
「4ヶ月半で、技術的な問題は一切発生せず、192便の旅客便を運航しました」と、H55の
共同創業者であるグレゴリー・ブラット氏は述べています。「一度も欠航になったことは
ありません。実際、このツアーのおかげで飛行範囲を拡大し、極暑から高地の空港まで、
これまで経験したことのない状況下で運航することができました。しかも、ダウンタイムは一切ありませんでした。」
「これは、当社の技術が準備が整っているだけでなく、実世界の状況において堅牢で信頼
できるものであることを強力に証明するものです」とブラット氏は付け加えました。
「そして、同等の内燃機関航空機では、このように一貫して利用できるとは限らないことは注目に値します。」
H55は、新型電気航空機およびハイブリッド航空機向けの電気推進システムを開発してい
ます。スイスに拠点を置くこの企業は、太陽光発電航空機で世界一周飛行を達成したソーラ
ーインパルス社からスピンオフした企業です。
2016年7月25日、太陽エネルギーだけで飛ぶ飛行機「ソーラー・インパルス2」は、液体燃料を一切使わずに初の世界一周飛行を成し遂げた。
同社の推進システムには、バッテリーパック、バッテリー管理システム、モーター、モータ
ーコントローラーで構成されるエネルギー貯蔵システムが含まれています。同社によると、
この装置はすでに飛行試験済みで、2人乗りのB23エナジックを含む4種類の航空機に搭載されています。
チェコのLSAメーカー、BRM AERO
BRM AERO社の歴史と実績
BRM AERO社は、チェコ共和国に拠点を置く軽スポーツ機(LSA)の製造メーカーです。
家族経営の会社として2009年に創業し、わずか15年でLSAメーカーのトップランクに
躍進しました。その実績は驚異的で、これまでに1,000機以上の航空機を納入しています。
同社は、顧客のニーズに合わせたカスタマイズを重視しており、低翼機、高翼機、尾輪式、
格納式ギアなど、多様なモデルを開発してきました。これにより、世界中の顧客から支持
を集め、短期間で高い評価を得ることに成功しました。
ブリステルB23をベースにした電動航空機「B23 エナジック」
BRM AERO社のブリステルB23をベースとしています。
BRM AERO社は、同社の主力機である「ブリステルB23」をベースに、電動航空機
「B23 エナジック」の開発を進めています。このプロジェクトは、スイスの電動推進システム専門企業H55社との提携によって実現しました。
- 開発経緯: H55社は、ソーラー・インパルス(世界初の太陽エネルギーのみで世界一周を達成した電動飛行機)のリーダーシップチームによって設立された企業で、電動航空機分野で20年以上の経験を持っています。BRM AERO社は、このH55社の電動推進システム(モーター、バッテリー、エネルギー管理システムなど)をブリステルB23に統合し、電動化を進めました。
- 性能: B23 エナジックは、1時間の飛行時間と予備電力、そして約1時間の充電時間(条件による)を実現しています。これにより、フライトスクールでの訓練用途に特化した設計となっています。
- 認証と販売: この機体は、一般航空カテゴリのCS-23認証を満たすように設計されており、既に最初の20機がフライトスクール向けに「ファウンダーズ・エディション(初期の限定版の製品)」として販売されています。EASAの完全な型式証明と引き渡しは、2025年初頭に予定されています。
ファウンダーズ・エディションの主な特徴
- 独占性: 一般販売に先駆けて提供されるため、初期にしか手に入らない特別な価値があります。
- 特典: 通常の製品にはない特別な仕様、限定カラー、シリアル番号、特別なパッケージなどが含まれることが多いです。
- 先行者への敬意: 「Founders(創業者、設立者)」という言葉が示すように、プロジェクトの立ち上げ段階から信頼し、支援してくれた人々への感謝と敬意を表す意味合いが込められています。
BRM AERO社とH55社が「B23 エナジック」でこのエディションを提供しているのは、
フライトスクールに対して、新しい電動飛行機技術のパイオニアとなる機会を提供し、
早期導入を促す狙いがあると考えられます。
電動航空機としての将来性
B23 エナジックは、パイロット訓練市場に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。
BRM AERO社のCEOであるマルティン・ブリステラ氏は、インドや中国のような大規模
な市場で、訓練用のクリーンで安価な航空機への需要が高まっていると述べています。
B23 エナジックは、まさにこのニーズに応える機体です。
BRM AERO社とH55社の提携は、航空業界における電動化の大きな一歩であり、よりクリー
ンで効率的な未来の航空交通網への道を開くものとして注目されています。
「B23 エナジック」の性能は以下の通りです。
- 最大離陸重量: 850 kg
- 航続時間: 1時間 + 予備電力
- 充電時間: 約1時間(条件による)
- モーター: 90 kWの電動モーター
- 推進力: 140ブレーキ馬力相当
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