皆さんこんにちは!
最近、相次いで超音速ジェット機の開発、試験飛行が行われています。
有名な超音速ジェット機、コンコルドが退役してから約20年。今、超音速ジェット機の開発が再び脚光を浴びています。
その背景と将来展望は?
NASAのX-59超音速実証機が初試験飛行を実施
超音速実証機、初テストで254ノットを突破

X-59実証機は2025年10月28日に初飛行を達成した。© ロッキード・マーティン
NASAの静音超音速技術実証機X-59「クエスト」が火曜日の朝、南カリフォルニア上空で初の試験飛行を実施しました。
フライトデータ24の飛行追跡データによると、N859NAの超音速実験機は、10月28日
午前8時14分(現地時間)にパームデール地域空港を離陸し、エドワーズ空軍基地に向け
て北東へ向かいました。基地上空をレーストラック状に旋回しながら約1時間飛行した後、
午前9時21分にエドワーズにあるNASAアームストロング飛行研究センターに着陸。
ADS-B追跡データによると、同機は高度12,400フィート(約3,600メートル)に達し、
最大対地速度は約254ノット(音速の半分以下)でした。NASAは今後の飛行試験で、
段階的に高度と速度を上げ、最終的に音速の壁を突破して静かな超音速飛行を実証する予定です。
今年初めに可聴ソニックブームを発生しない初の超音速飛行を達成したブームソニック社
のXB-1技術実証機とは異なり、NASAのX-59は、マッハ1.42で巡航し、大きなソニック
ブームではなく静かな「衝撃音」を発生させるように設計されています。NASAは、米国
のいくつかの都市上空で騒音試験を実施し、「ソニック・衝撃音」に対する一般市民の認識
と反応に関するデータを収集します。このデータは、FAAが陸上超音速飛行における衝撃音の制限値を設定する際に使用されます。
ロッキード・マーティンは2016年からNASAの低空飛行実証機プロジェクト向けにX-59
の開発を行ってきました。X-59実証機は2024年初頭にカリフォルニア州パームデールの
米空軍プラント42にあるロッキード・マーティンのスカンクスワークス施設からロールアウトされる予定です。
政府閉鎖が続いているため、NASAはX-59の初飛行の結果について詳細を公表していませ
ん。しかし、ロッキード・マーティンは火曜日の午後に声明を発表し、X-59は「当初の飛
行特性と航空データ性能を検証し、新たな拠点への安全な着陸に向けて計画通りに飛行した」と述べました。
「X-59の初飛行を達成できたことを大変嬉しく思います」と、ロッキード・マーティン社
スカンクワークス副社長兼ゼネラルマネージャーのOJ・サンチェスは述べました。
「この機体は、私たちの共同チームの革新性と専門知識の証であり、静粛超音速技術開発の最前線に立つことを誇りに思います。」
XB-1は、オーバーチュアの3分の1スケールの実証機です。オーバーチュアは、マッハ1.7の
速度で最大4,250 nmの航続距離を飛行する計画で、80人乗りの商用航空機として計画され
ています。全長71フィート(約21メートル)のこの実証機は、GE J85エンジン3基を搭載
し、合計12,300ポンド(約5,300kg)の推力を発揮します。

ブーム社は、オーバーチュア超音速旅客機を2024年に発表し、2029年に型式認証を取得する予定だ。(画像: ブーム・スーパーソニック)
クレイトス、MACH-TBにハーメウスの超音速機を採用

クレジット: Hermeus
クレイトス・ディフェンス社は、米国海軍とミサイル防衛局の多軍先進能力極超音速
試験装置(MACH-TB)プログラムに対する支援業務の一環として、ハーメウス社の高速
クォーターホース航空機を活用する予定です。
ハーメウス社の創業者兼CEOであるAJ・ピプリカ氏は、この提携契約はアトランタに拠点
を置く同社のクォーターホースMk.2に特化していると認めました。ピプリカ氏は、ハーメ
ウス社にとって初の主要製品適用となるこの提携は「現時点では飛行試験のみ」に限定されていると語りました。

クォーターホース Mk. 2。提供元: Hermeus。
マッハ5以上の極超音速飛行には対応していないものの、無人操縦式のクォーターホース
Mk.2は高い超音速飛行能力が期待されています。ハーメウス社が後継機開発に向けた
ロードマップの一部を構成するこの実証機は、現在、プラット・アンド・ホイットニー
F100-229エンジンを搭載し、統合システム試験を実施しています。
ハーメウスがクレイトスのラインナップに加わることで、同社は滑走路からの離着陸を
単独で行うことができる初の高速機体を手に入れることになります。しかし、MACH-TB
チームには、ストラトローンチの空中発射型再使用型極超音速試験機「タロンA」も含ま
れています。この機体は既にマッハ5以上の飛行を複数回完了しており、カリフォルニア州
ヴァンデンバーグ空軍基地への自律着陸に成功しています。
Mk. 2実証機はロッキード・マーティンF-16と同程度の大きさで、可変インレットを備え
ハーメウス社が設計したキメラタービンベース複合サイクル推進システムの最初の要素で
ある統合型プレクーラーを搭載すると予想されています。このプレクーラー構成は、
ハーメウス社が運用可能な最初の実用量産機と見なしているMk. 2.1にも搭載される可能性が高いと考えられます。
クレイトス・ディフェンス社の極超音速試験チームの急速な拡大は、2025年1月に
MACH-TBプログラムを支援する14億5000万ドルの契約を締結したことを受けてのも
のです。MACH-TBプログラムは、他国との極超音速能力の格差を埋めることを目指す5カ年
計画です。このプログラムでは、より頻繁かつ費用対効果の高い極超音速試験を可能にするテストベッドの開発が行われます。
超音速旅客機はなぜ復活するのか? コンコルド退役から20年、ブーム・オーバーチュアが変える空の旅
2003年のコンコルド退役から約20年。私たちは再び、音速を超えて空を旅する時代を迎え
ようとしています。ブーム・スーパーソニック社が開発を進める超音速ジェット機
オーバーチュアは、ユナイテッド航空や日本航空(JAL)などからの発注も得て、その実現性が高まっています。
なぜ、コンコルドが挫折した「超音速」が今、再び求められているのでしょうか?
復活の核心:時間こそ「究極の資源」
コンコルドが失敗した時代と現代では、価値観が根本的に変わりました。
| 項目 | 過去 (1970s) | 現在 (2020s) |
|---|---|---|
| 移動時間 | 贅沢なオプション | ビジネスの必須要件 |
| エンジン | 燃費の悪い旧型 | 軽量・高効率な新素材 |
| 環境 | 騒音・燃料消費が問題 | SAF(持続可能燃料)が前提 |
現代において、超音速機が求められる最大の理由は、グローバル化の加速と移動時間の劇的な短縮です。
- ビジネスを加速: 東京―シアトル間の飛行時間を約3時間短縮することで、出張効率が向上し、ビジネスの意思決定を加速できます。
- 生活圏の拡大: 地球上の主要都市が「半日圏内」に収まり、文化・経済の交流がさらに活発になります。
進化した技術がリスクを克服
オーバーチュアは、コンコルドの抱えた主な問題を技術で解決しようとしています。
エンジンの効率化と環境対応
コンコルドが燃費の悪いアフターバーナー付きのエンジンを使っていたのに対し、オーバーチュアは、新開発のシンフォニーエンジンを搭載予定です。
- アフターバーナー不使用: 巡航時の燃費を大幅に改善し、騒音を抑制します。
- 100% SAF対応: 持続可能な航空燃料(SAF)で運航することで、コンコルドの課題だった環境負荷を大幅に低減します。
ソニックブームへの対策
依然として陸上での超音速飛行は規制されていますが、オーバーチュアは「低ブーム設計」の研究を進めています。
- 洋上での高速巡航: 洋上ではマッハ1.7で飛び、陸上に近づく際は亜音速に減速することで、コンコルドと同じ運用上の制約を回避します。
超音速機のメリットと残るリスク
| メリット (Pros) | リスク (Cons) |
|---|---|
| 飛行時間の劇的な短縮 | 依然として運賃が高額になる可能性が高い |
| 航空機利用率の向上 | 陸上での超音速飛行の規制は解除が困難 |
| SAF対応による環境負荷低減 | 開発スケジュール遅延やコスト超過のリスク |
結論:未来のインフラとしての超音速機
超音速ジェット機は、もはや富裕層のための「技術的な夢」ではありません。オーバー
チュアは「経済合理性」と「持続可能性」を両立させることで、「時間短縮のプレミアム
サービス」として市場を確立しようとしています。
多くのエアラインが注文している事実は、世界の富裕層とビジネス層が「時間」に最高の
価値を見出し、高速移動に対する根強い需要があることを示しています。現代の技術と
環境意識に対応した超音速機は、再び空の主役になる可能性を秘めているのです。



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