皆さんこんにちは!
特別なパイロットの免許が要らず、家のガレージに収まる空飛ぶクルマのお話です。
Doroni Aerospace H1
Doroni Aerospace 社(ドロニ エアロスペース)
Doroni Aerospace (ドロニ エアロスペース)社は、アメリカ、マイアミに本社
を置くスタートアップ企業です。
2016 年にマーディンガーとウクライナの航空宇宙エンジニアのロマン・アントノフ
によって設立されました。ロマン・アントノフは、国の有名なアントノフ設計局で
キャリアをスタートさせました。マーディンガー自身のバックグラウンドは、イスラ
エル空軍諜報機関に所属していた退役軍人です。製品開発、製造、サプライチェーン
の専門家でもあります。
2021 年、ドロニは フロリダ宇宙コンソーシアム(Florida Aerospace Consortium)
の イノベーションと技術フォーラム で 2 位を獲得しました。現在までに、クラウド
ファンディングを通じて約 50 万ドル(約6800万円)を調達し、最近、フロリダ州コ
ーラル スプリングスの生産施設に移転しました。
ドロニは、他の空飛ぶクルマの企業のように都心部のエア タクシーを構築するの
ではなく、ドロニは H1 で個人ユーザーをターゲットにしています。
そしてその空飛ぶクルマは、たった20 時間の飛行訓練と普通自動車免許があれば、
自分で飛ばすことができます。その内容は、15時間の訓練と、5時間の単独飛行と
いうプログラムです。それではどうしてパイロットのライセンスが要らないので
しょうか?
そのカラクリは、ドマニ H1がLSA(ライトスポーツ飛行機)に分類されるからです。
LSAは、アメリカやヨーロッパ、アジアの一部地域(オーストラリア、中国など)で
認められている誰でもが気軽に乗ることができる軽飛行機です。国によって機体の基
準はそれぞれ決まっていますが、だいたい2人乗りの単発(エンジンが1つ)の機体で、
重量が600キログラム以下、失速速度は45ノット(時速84キロ)以下で最大速度は
120~135ノット(時速222~250キロ)と制限されますが、日本で言うところの自家
用操縦士免許は要らないのです。少しの訓練とLSAとういライセンスのみです。
家のガレージに収まるH1
H1は、通常の車のサイズに設計されていて、通常のガレージに収まります。まぁ、
通常のガレージといってもアメリカサイズのクルマで2台分(アメリカの一般家庭
では普通にあります)ですが。そしてそのままガレージで充電できるのです。
それでは実際の大きさと性能を見ていきましょう!
H1は、4つの大型ファンを使用して飛行および移動する2人乗りです。
だいたいの大きさはこのくらい。
H1完成図(ドマニより)
H1 は、1 回の充電で約 100km の範囲を走行できます。充電時間はフル充電の80%
まで15~20分で行うことができます。
巡航速度は時速 160 キロですが、完全に傾けると時速 225 キロ に達します。
H1 自体の重量は 650キログラム で、ペイロードは 200キログラムです。
あれ?LSAの基準の自重600キログラムを超えているじゃぁないですか?それは
今後、FAA(アメリカ連邦航空局)との調整になってくると思います。
H1は、ヘリコプターや飛行機よりも直感的に飛行できるとのことです。つまり、
平均的な自動車のドライバーにとってはるかに運転しやすいということです。
現在は、試験機の製作から飛行テスト段階です。ドマニのエンジニアリング チームは
機体に微調整を加えた後、さらに遠隔操縦のテザー フライト(ひもを付けた試験飛行)
を実施する予定です。
パイロットを搭乗させて自律飛行に徐々に移行することを目指しており、すでに
ヨー、ピッチ、ロール機能、および推進システムと自動操縦の統合をテストしています。
気になる販売価格ですが15~20万ドル(2千~2千7百万円)!すでに6機の注文が
入っており2024年後半には納車できるといいます。さらに36機の予約も入っています。
創設者マーディンガー
イスラエルで育った彼は喘息を患っており、あまりスポーツをすることができません
でした。そのため、他の子供たちが外で走り回っている間、彼はほとんどの時間を自
分の部屋で彫刻を作ったり、テープ レコーダーやレコード プレーヤーを分解して動作
を確認したりして過ごしました。
高校でマイクロエレクトロニクスとコンピューターを学んだ後、ニューヨーク大学経営
大学院を卒業する前に、イスラエル国防軍で 3 年間、ドローンと緊密に連携して勤務し
ました。イスラエルに戻ると、彼は家族と一緒に米国に戻る前に、3D プリンターを使
用して製品を開発する最初の会社を設立しました。
まとめ
創設者のマーディンガーのように、こういった新興事業に関わるイスラエル人は多く
見受けられます。国民性なのでしょうか?
イスラエルは1948年に建国されたユダヤ教徒の国です。ユダヤ教徒にとってはようや
く手に入れた自分の国だという背景からか、意欲的な性格の人が多い印象を受けます。
ユダヤ人という分類で見ると、世界中で最も多くのノーベル賞を受賞しています。
自立心が強く、日本のような押しつけ的な指導やマイクロマネジメントは合わない国民性。
信頼をもって自律的な環境を整えることこそが、先進的な技術を生み出すために重要と
考えています。
また、教育水準は高く文化面でも発展していますが、いつ戦争が始まるかわからないという
危機感が根底にあり、時間の無駄を非常に嫌う傾向にあります。
物事は即判断、見通しは半年程度の短いサイクルが常識だそうです。
AIR ONEを開発しているAIR、戦場からの負傷者の輸送機ドローン・コーモラントを作っ
ているTactical Robotics、また日本人の研究者と共同で製作しているeVTOL『ASKA』
すべてイスラエルの企業です。
日本人も負けてはいられませんね。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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