皆さんこんにちは!
今からちょうど40年前の1982年11月14日、静岡県浜松北基地において
航空自衛隊ブルーインパルスが演技中に墜落した事故がありました。
今日は、航空ショ-における事故について見ていきます。
日本の航空ショーでの事故
浜松基地 T-2ブルーインパルス墜落
1982年11月14日、日曜日。静岡県浜松基地(北)で航空祭が行われていました。
その日は秋晴れの穏やかな日で、多くの見物人が訪れていました。航空自衛隊の
曲技飛行チームブルーインパルスはそれまで使っていたF-86からT-2へと
代わったばかりでした。13時過ぎに離陸し、展示飛行を行っていた6機のブルー
インパルスが「下向き空中開花」の曲技を行った際、事故は起こりました。
「下向き空中開花」とは、6機のT-2がデルタ(三角)隊形で上昇し、頂点を越え
た後、真下を向いたとき、編隊長の命令を合図にスモークをたきながら6方向に
散開(ブレイク)する曲技です。しかし、編隊長の命令が遅れ、4番機の上昇が
間に合わずに、地上へと激突しました。
4番機は基地の北側約500mの駐車場に磊落し、爆発・炎上。機体はバラバラに
なって広範囲に飛散しました。4番機の搭乗者の遺体も原形をとどめないほどに
粉々になっていたとされています。これがブルーインパルスのパイロットとして
3人目の殉職者となりました。地上での被害も甚大で、重軽傷は13名。住宅や工場
など、全焼家屋1戸を含めて29棟の住宅、工場が被害を受けました。また、駐車中
の車やホンダの新車置き場にあった車など、500台近くが被害をこうむりました。
しかし、墜落地点は本来の飛行ルートから離れた場所に墜落しており、もしも本来
の飛行ルートのままで墜落していたならば住宅地や東名高速道路に突っ込んでいた
可能性もあり、パイロットが少しでも被害を減らそうと操縦した可能性も指摘され
ています。
T-2 ブルーインパルス
世界の航空ショーの事故
アメリカ テキサス
今月の12日(現地時間)アメリカ南部テキサス州で行われた航空ショーで、第2次
世界大戦中の爆撃機と戦闘機が空中衝突して墜落する事故が起き、地元当局の関係
者によりますと6人が死亡しました。
テキサス州ダラスの空港で12日に行われた航空ショーで、飛行中の「B17」爆撃機
と「P63」戦闘機が空中衝突し、2機とも墜落しました。
会場にいた人などによりますと、B17爆撃機にP63戦闘機が後ろから近づく形でぶつ
かり、機体がばらばらになって地上で炎上したということです。
2機はともに第2次世界大戦中のもので、B17には通常、4人から5人の乗組員が搭乗し
P63には1人のパイロットが搭乗していたということです。
墜落したときに、それぞれの機体に誰が何人乗っていたのかは分かっていませんが、
ダラス郡の判事はSNSで「あわせて6人が死亡した」と明らかにしました。
リヴィウ航空ショー墜落事故
2002年7月27日にウクライナのリヴィウにあるスクヌィーリウ空軍基地(リヴィウ
国際空港)で行われていたウクライナ空軍の航空ショーで発生した墜落事故です。
77人が死亡、543人が負傷し、航空ショーにおいて発生した事故としては、
1988年にドイツ連邦共和国(西ドイツ)のラムシュタイン空軍基地で発生した
事故(空中衝突事故でパイロット3人を含む死者70名に重傷者346人、ほか軽傷者
多数の大惨事となった)を上回る航空ショー史上最悪の惨事となりました。
この日はウクライナ空軍第14師団創設60周年記念の航空ショーが行われており、
その航空ショーの演技飛行のプログラムであるウクライナ空軍所属のSu-27UB
による曲技飛行が行われていた。ウクライナ空軍の展示飛行チーム「ウクライーン
シキ・ソーコルイ」所属の2名の熟練操縦士が搭乗しており、観客席付近に低高度
で進入したときに、機体が急激に降下して左翼が地面に接触しました。そのまま機体
は地面を滑走して駐機中のIl-76輸送機の前面に接触した後、観客エリアになっていた
駐機場に突入し、地面に激突して爆発炎上しました。
Su-27UB同型
ラムシュタイン航空ショー墜落事故
1988年8月28日、ドイツ連邦共和国(西ドイツ)の近郊の在欧アメリカ空軍ラム
シュタイン空軍基地において開催されていた航空ショーの最中、イタリア空軍
フレッチェ・トリコローリのアエルマッキMB-339PAN 3機が曲芸飛行中に空中
衝突を起こしました。
事故発生時、地上には約30万人の観客がいましたが、空中衝突した機体が観客席
の中に墜落し、パイロット3人を含む70人が死亡、346人の観客が爆発や火災に
よる重傷を負い、その他多数の観客が軽傷を負う大惨事となりました。
イタリア空軍アクロバットチーム『フレッチェ・トリコローリ』
フレッチェ・トリコローリはイタリアの国旗:三色旗を表しています。
アエルマッキMB-339(練習機)同型機
まとめ
今日は、これまで日本を含め世界各地の航空ショーで起こった墜落事故について
見てきました。
ここ3年ばかりは、コロナの影響で航空ショーが中止になっていましたが、今年
から日本でも再開されるようになりました。航空ショーは、主に軍が広報目的
で開催するのがほとんどです。その中で、その国の最も優秀なパイロットが
曲技チームを作って様々な演技を披露しています。飛行機の限界、パイロットの
限界すら超えてしまうことがあります。それは、墜落という最悪の状況と隣り合
わせの世界です。事故が起こるのは、ほんのちょっとしたミスが原因で起きるも
のです。コミュニケーションの行き違いや、ヒューマンエラーといったものです。
そこには百戦錬磨のベテランのパイロットでさえ陥ってしまう罠があります。
だからこそ、私を含めパイロットは日々、努力をし続けなければいけないと思い
ます。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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