皆さんこんにちは!
先日、6月12日の夜、
ジェットスタージャパンの新機種『エアバス321LRneo』が成田空港に降り立ちました。
この新型機について、パイロット目線で解説していきます。
エアバス321LRneoという飛行機
エアバス321LRとは、フランス、エアバス社が開発、製造している旅客機です。
A(AIRBUSエアバスのA)の頭文字をつけて、300シリーズで構成されています。
A320シリーズ(ファミリーと呼んでいます)を発展させ、新しい効率の良い
エンジンを搭載したシリーズのうち最も大型の旅客機となります。
2016年2月に初号機が初飛行を行いました。
2020年のコロナ渦にあっても、受注数が3400機以上と人気にの航空機です。
日本では、ANA(全日空)がA321neoを使用している他、ピーチが昨年の12月
に受領して就航させています。
A321LRneoはどう新しくなったのか?
従来のA320シリーズとの違いは?
① 胴体の長さが長くなった
② 2つの燃料タンクを追加
③ 新型エンジンの搭載
それでは、一つずつ見ていきましょう。
① 胴体の長さが長くなった
従来のA320は胴体の長さが34.4mです。
A321は44.51mと10mも伸びました。
翼幅は35.8mと変わりませんので、胴体だけが伸びた形となります。
座席は180席から238席になりました。通路を挟んで横に片側3席、40列になります。
残念ながらシートのピッチ(間隔)は従来どおり変わりません。
ピーチの座席は218席で少し余裕があります。
シートはレカロ製の座り心地の良いものとなっております。
各シートには、モバイル端末ホルダーとUSBの差し込み口が付いています。
これはたいへん便利ですね。ただし、一列目にはありませんのでご注意を!
② 2つの燃料タンクを追加
2つの燃料タンクを追加しました。このことと新型エンジンのおかげで
巡行距離が3000kmから約5500kmにまで大幅に伸びました。
これにより、成田から西はシンガポール、南はオーストラリア北部まで行ける
ことになります。
ただし、良いことだけではありません。
元々、A321LRはその名の通りLR(ロングレンジの略)、
長距離の国際線向けに作られており、重心位置が最適になるように計算されています。
国内線のような受託手荷物や貨物が少ない場合には、重心位置が前方よりになって
しまいます。制限を超えないように座席の配置や燃料量にも気を配らなければなりま
せん。
③ 新型エンジンの搭載
新型エンジンは、低燃費(従来比-15%)、騒音量の低減が売りです。
加えて、出力も約1.3倍増と言うこと無しです!
エンジンを構成する部材、エンジン性能を調整するコンピューターも進化し、
エンジン内部の熱が1000℃以上にも耐えれるものになりました。
エンジンは直径が約2mと従来型より一回り大きくなりました。
そのためエンジンと地面との間隔が約46cmと短くなってしまいました。
これにより、石ころやゴミなど地上に落ちている障害物や水などを
吸い込む危険性が高くなりました。これは、エンジンが壊れやすくなったと
いうことです。そのため、我々パイロットとしては、地上の障害物に注意しながら
出力もゆっくりと出していかなければなりません。
ジェットスタージャパンのスケジュール
ジェットスタージャパンでは、
7月1日より、成田~福岡便、成田~新千歳便の一部を新型機で運航予定です。
なお、機材の都合上急に変更することもありますので、出発日までに確認してください。
おまけ
ピーチのパイロット曰く
A321LRneoはたいへん操縦しやすいそうです。
エンジンの性能、コントロール(操縦感覚)などストレスがないそうです。
どんどん、航空機の性能が良くなってきて、パイロットの負担も減ってくる一方で
『飛ぶ楽しさ』がなくなってきてると思うのは、私が古い人間だからですかね。
今回は、画像が少なくてすみませんでした。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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