不法侵入ドローンに怯える空港

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

ドローンは個人的な趣味や映画の撮影、インフラ整備など多様な使われ方をしていて、我々の社会に溶け込んでいます。

また、近代戦争にも欠かせない兵器としての一面を持っています。

そんなドローンが、空港への不法侵入により航空機の安全が脅かされています。

欧州におけるドローンによる妨害行為への対策を求める圧力が高まる

ドイツのミュンヘン空港が最新の標的となった

ドイツの政治家たちは10月3日金曜日、ミュンヘン空港の業務を妨害したドローンの撃墜

を求めました。欧州各国の当局は、同様の事件が相次いで発生していることを受け、対応を

迫られています。土曜日にミュンヘンで開催されるEU内務大臣会合は、ドローンによる侵入

がもたらす安全保障上の脅威に焦点が当てられると予想されています。

ドローンの影響で、木曜日の午後10時20分(現地時間)から金曜日の午前5時の間に、

ミュンヘン空港から少なくとも15便の定期便が迂回運航となり、少なくとも17便の出発便が欠航となりました。

これらの侵入は、デンマーク、ノルウェー、ドイツ、ベルギーの複数の空港で発生した混乱

と同様のパターンを辿りました。木曜日の夜、ドイツ国境近くのエルゼンボルン軍事基地

上空を15機のドローンが飛行しているのが目撃されました。

治安部隊は、公共空港の安全上の懸念から、ドローンの撃墜に消極的でした。ロシア軍が

空域の混乱の一部または全部に関与していると広く疑われている一方で、ノルウェー警察は

スボルベル空港付近でドローンを飛行させたとして中国人8人を拘束し、ノルウェーのロス

ヴォル近郊のモ・イ・ラーナ空港で発生した事件を受けてドイツ人3人を逮捕しました。

水曜日、フランス海軍はロシアのプリモルスク港を出航した石油タンカーを検挙しました。

このタンカーは、9月22日から25日にかけてデンマークの民間航空の運航を妨害したドローンの発射台として利用された疑いがあります。

ダヤミ・セキュリティ・インテリジェンスによると、小型ドローンは安価で使いやすく、

追跡が困難であることもあって、航空機へのリスクは依然として高いのです。一部のドロ

ーンは他のドローンよりも大型だったようで、ウクライナ紛争でロシア軍が使用したドロー

ンと同様の長距離用ドローンだったのではないかという憶測が広がっています。

コペンハーゲンとオスロでドローン侵入により航空便が欠航

空から見たコペンハーゲン空港

上空から見たコペンハーゲン空港。© Wikimedia

9月29日月曜日の夜、コペンハーゲン空港の運航は、2機または3機の大型ドローンが飛行場

付近を飛行しているのが確認されたことで、大きな混乱に陥いりました。デンマーク当局は

ロシア軍によるNATO領空への最新の侵入と広く信じられているこの事件の捜査を進めてお

り、30便以上の便がビルン、オーフス、マルメ、ヨーテボリなどの空港への迂回を余儀なくされました。

コペンハーゲン空港での事件は、現地時間午後8時30分から午前0時30分頃まで続きまし

た。ノルウェーのオスロ空港でも、3時間にわたるドローンの目撃情報を受けて同様の混乱

が発生しており、欧州に拠点を置くコンサルティング会社ダイアミセキュリティインテリ

ジェンスは、航空運航会社に対し、運航へのさらなる脅威に備えるよう警告しています。

デンマーク当局は、軍の火力使用によって乗客や燃料農場などの主要施設に巻き添え被害

が生じる可能性を懸念し、ドローンを撃墜しないことを選択したと表明しました。警察の

上級捜査官によると、空港周辺のドローンの飛行パターンは、犯人の能力を誇示する意図が

あったと見られ、この事件は「有能な行為者」によって仕組まれたものと結論付けられました。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相は、今回の事件は「デンマークの重要インフラに

対するこれまでで最も深刻な攻撃」だと述べました。ノルウェーのヨナス・ガール・ストー

レ首相は、ロシアがここ数ヶ月、デンマークの領空を繰り返し侵犯していると非難しまし

た。今回の事件は、ポーランドとエストニアで同様の領空侵犯が発生した直後に発生しました。

ディアミ氏によると、欧州各国政府と空港当局は、空域侵入への対応をより迅速かつ効果的

に行うため、セキュリティ対策を強化しています。これらの対策には、ジオフェンシング

技術の活用拡大、ドローンの無力化のための権限拡大、運航の混乱を軽減するための航空機

運航者への迂回飛行および乗客管理手順の改善要求などが含まれる可能性があります。

「戦略レベルでは、ドローン事件の継続と、欧州連合(EU)に対する米国の安全保障コミ

ットメントに関する不確実性が相まって、EUおよびNATO加盟国全体が、ますます脆弱視

されている空域保護のための自国の安全保障対策を加速させるため、米国の支援拡大を求

めるようになる可能性がある」と、のアナリストは結論付けました。「最近の傾向を踏ま

えると、ドローンによる航空妨害事件は今後数週間続くと予想され、航空分野の関係者は、

計画を策定し、状況の変化を予期する必要がある。」

ロシアのドローン侵入、ポーランドの航空便に脅威

Russian drones shot down in Poland

航空機運航者は、9月9日火曜日の夜遅くから水曜日の朝にかけてポーランド領空に侵入した

ロシアの無人機のリスクを緊急に評価する必要に迫られているのです。ポーランドの防衛

システムがドローン撃退に反応し、その過程で複数のドローンを破壊したため、ワルシャワ

のショパン空港とモドリン空港、そしてルブリン空港、ジェシュフ空港の飛行が突然停止されました。

この事件は、NATO領土上空でロシアの無人機が撃墜された初の事例であり、安全保障

専門家は、ウクライナ紛争によって不安定化した地域における民間航空交通への危険が高ま

っていると警告しています。ポーランドのドナルド・トゥスク首相は、ロシアの無人機19機

のうち4機がポーランドとNATOの航空機によって撃墜されたことを確認しました。

今回の侵入により、ポーランドは第二次世界大戦以来、最も紛争の危険に瀕しています。

9月10日、クレムリン報道官は領空侵犯に関するロシアの責任を認めることを拒否しま

した。ポーランド東部チョスノフカ村近郊の野原で発見された、ほぼ無傷のドローン1機は

ロシア軍がウクライナで一般的に使用する囮機と特定されました。12日には、ロシアとベラ

ルーシの合同軍事演習が開始される予定でした。

「ビジネス航空事業者は、ロシアのドローンによるポーランド領空侵犯のような最近の侵入

を深刻な警告として受け止めるべきです」と、ダイアミセキュリティインテリジェンス

のCEO、エリック・スハウテン氏は語っています。「NATO領空への侵入は直接的な脅威

となるだけでなく、既に空港の閉鎖を余儀なくされ、アクセスが遮断され、より広範な

エスカレーションの恐れが高まっています。飛行は可能ですが、状況把握が重要です。

定期便の運航停止や混乱が発生した場合に備えて、避難飛行を準備する選択肢もあるかもしれません。」

ポーランド当局は木曜日、ロシア製ドローンの一部がベラルーシから飛来したと判断し、

ウクライナおよびベラルーシとの国境沿いの空域に「飛行制限空域」を導入した。12月9日

まで実施されるこの制限には、民間航空機の夜間飛行の全面禁止、日中飛行する航空機は

飛行計画の承認を受け、トランスポンダーと通信システムの搭載を義務付ける、そして

無人民間航空機の25時間年中無休飛行禁止などが含まれます。

地域におけるさらなる脅威を予測し、Dyamiは顧客に対し、セキュリティ警報に細心の

注意を払い、ポーランドやドローン侵入の影響を受ける可能性のあるその他の国の空港当局

と緊密に連携するよう助言しています。「これには、一時的な閉鎖、(フライトの)

ルート変更、そして進化する防衛プロトコルへの対応が含まれます。」

この記事は9月11日に更新され、ポーランド東部の新たな空域制限の詳細が追加されました。

ドローン脅威の増大と日本の安全保障

1. EU諸国の空港で顕在化するドローン脅威

最近、EU諸国、特にロシアと国境を接する東欧諸国や北欧の重要インフラ(空港、軍事

施設など)に対するドローンを用いたハイブリッド攻撃の脅威が急速に高まっています。

事例:デンマークおよび東欧諸国での事態

  • デンマークの空港への飛来: 2025年9月頃、デンマークのコペンハーゲン空港や複数の軍事施設周辺に所属不明のドローンが相次いで飛来し、一時的な空域閉鎖や警備強化の措置が取られました。
  • 領空侵犯: ポーランドやルーマニアといったEU東側の国々では、ロシア国境付近でのドローンによる領空侵犯が相次いで報告されています。
  • 目的: これらの行為は、単なる偵察ではなく、民間航空機の運航を妨害し、社会に混乱と不安をもたらすことを目的としたハイブリッド戦略の一環と見られています。これは、ウクライナ戦争でドローンが主要な兵器となっている現状が背景にあります。
2. EU各国およびEUとしての主要な対策

ドローンによる脅威の深刻化を受け、EUは統一的な防衛体制の構築を急いでいます。

A. 物理的・技術的な対策

  • 「ドローンの壁」構想: EUの国防相級会合では、ロシアとの国境沿いに、ロシアのドローンを迅速に探知、追跡、破壊するための多層的な**「ドローンの壁」**を設置することで合意しました。
    • これは、レーダー、光学センサー、ジャミング装置、そして対ドローン兵器を組み合わせた統合的な防衛システムを構築するものです。
  • 国際協力による支援: デンマークの事例では、ポーランド、英国、米国など同盟国10カ国以上が、対ドローン監視支援を緊急に提供し、警備を強化しています。

B. 法的・運用の対策

  • 緊急時の飛行禁止措置: デンマークでは、EU首脳会議の開催に際して、民間ドローンの飛行を一時的に全面禁止するなど、状況に応じた迅速な空域規制が実施されました。
  • 規制の統一化: 欧州航空安全機関(EASA)主導で、域内共通の安全規制策定が進められており、空港や軍事施設周辺の飛行禁止区域の設定やリスク評価の義務化が進んでいます。
3. 日本への影響と取るべき対策

EUで顕在化したドローン脅威は、地理的に離れている日本にとっても無関係ではありません。安価で容易に入手可能なドローンが、高価な軍事兵器やインフラを麻痺させるという非対称的な脅威は、日本が特に脆弱な部分を突いています。

A. 日本が直面するリスク

リスク 具体的な事態
重要インフラの麻痺 空港(関西国際空港などで既に対処事例あり)、原子力発電所、石油コンビナートなどへの同時多発的な妨害・攻撃。
安全保障上の情報漏洩 **海上自衛隊の護衛艦「いずも」**がドローンで撮影された事件など、自衛隊基地や装備の機密情報が露呈するリスク。
要人警護の困難化 小型ドローンによる要人や政府中枢(首相官邸、国会議事堂など)への斬首作戦(decapitation strike)のリスク。

B. 日本が今後取るべき対策

  1. 「低コストの盾」の開発・導入: 安価なドローンという「槍」に対し、高価なミサイルで対抗し続けるのは持続可能ではありません。電波妨害(ジャミング)、ネットワーク捕捉、レーザーといった多様な**低コストな対ドローン技術(C-UAS)**を迅速に開発・配備することが急務です。
  2. 法制度と運用の強化:
    • 空域規制の迅速化: 緊急時や重要施設周辺において、空域閉鎖やドローン無力化の措置をより迅速に行えるよう、法的な枠組みを整備する必要があります。
    • 官民連携: 警察、自衛隊、海上保安庁に加え、空港や重要インフラの管理企業(民間)との間で、ドローン探知・対処のための情報共有と役割分担を強化することが必要です。
  3. 国際的な教訓の共有: EUやウクライナ戦争から得られたドローン戦術や対策の教訓を継続的に学び、日本の地理的・法的特性に合わせた防衛策を構築していく必要があります。
まとめ

ドローン脅威は「想定外」ではなく、すでに「現実の脅威」です。EU各国が協調して

ドローンの壁の構築を急いでいるように、日本も国境だけでなく、国内の重要インフラ

を守るための多層的な防御網を早急に確立する必要があります。

ドローンの脅威は、自衛隊基地や重要インフラの防護における脆弱性を浮き彫りにしていま

す。こちらのビデオでは、市販のドローンが日本の安全保障に与える影響と、日本の基地

上空の現状について、専門家が検証しています。

【専門家と検証】市販のドローン…自衛隊の「脅威」に 日本の基地上空は“無防備”?
今年3月、海上自衛隊の護衛艦「いずも」がドローンで撮影されたとみられる事件が発生。防衛省はSNSで明らかになるまで把握できず、この後も侵入の事例がありました。日本の基地上空は大丈夫なのでしょうか? 専門家との現地取材を交え、検証しました。こ...

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