皆さんこんにちは!
今年初めてのドローンニュースは、Amazonがドローンの宅配を開始できる目途が立った
と言う話題です。このプレスリリースは2022年の年も押し迫ったクリスマスの直前に
発表されました。それはまるでサンタのプレゼントのように。
Amazon Prime Air
Amazon Prime Air
Amazon Prime Air は、Amazonが運営するドローン宅配サービスです。このサー
ビスは、宅配用ドローンを使用して個々の荷物を顧客に自律的に飛ばし、2022 年に
正式に運用が始まりました。
今を遡ること10年前の2013年にAmazon CEOのジェフ ベゾスはのインタビューで
Amazon Prime Air の計画を明らかにしました。
2015 年 3 月、FAAは Amazon に対し、当時の規制を免除してプロトタイプの米国での
テストを開始する許可を与えました。しかしAmazon は、使用が許可された車両は時代
遅れであると報告しました。2015 年 4 月、FAA は Amazon が現在のモデルのテストを
開始することを許可しました。
2016 年 12 月 7 日、Amazon は Prime Air の小包をケンブリッジ地域のフルフィルメント
センターからイギリスのケンブリッジに配送することに成功しました。
2020 年、同社は Zipline、Wingcopter、その他 7 社とともに配達用ドローンの型式承認
プログラムに参加するためにFAA(アメリカ連邦航空局)に選ばれました。
2022年6月13日、Amazonはカリフォルニア州ロックフォードの小さな町に住む顧客に、
Prime Air ドローンを使用して製品を配送すると発表しました。
そしてAmazon は 2022 年 7 月に Prime Air 施設を設置できるようにするゾーニングの変
更を承認しました。
そして12月23日にカリフォルニア州ロックフォードに加えて、テキサス州カレッジステー
ションにあるAmazon Prime Air 施設は、プレスで Prime Air の配送を開始する準備ができ
ていると発表しました。
ヒューストンの北西約 100 マイルに位置するカレッジ ステーションの人口は約 120,000 人
ですが、サクラメントとモデストの間に位置するロックフォードは人口がわずか 3,500 人と
非常に小さくなっています。
製品の最大ペイロードは 5 ポンドで、出荷の 85% がこの重量以下になります。両方の町の
住民がサービスにサインアップすると、Amazon は会社がその人の住所に安全に配送できるか
どうかを確認します。受け入れられた注文が行われると、顧客は配達予定時間と追跡情報を受
け取ります。
Amazon Air の広報担当者である ナタリー バンク 氏は、次のようにコメントしています。
「私たちはこれらのコミュニティから始めており、時間の経過とともに、より多くの顧客へ
の配送を徐々に拡大していきます。」と。
宅配ドローン、その名も「Cry Wolf:クライ ウルフ」
Amazonの宅配ドローンは、Cry Wolfと言います。
配送に使うのは独自開発した電動ドローン「MK27-2」。六角形の形状で6本のシャフトそ
れぞれにプロペラを搭載しています。重量は約36kg。機体の下部に配送する荷物を収納する
スペースを持ち、ドローンが配送先に到着すると低空飛行状態で自動で扉が開き荷物を落下
させる仕組みです。
完全自律型のドローンで、飛行機の管制塔の役割を果たす「グラウンドシステム」がルート
や配送先で安全を確保できる場所を決定します。ドローン自体にもセンサーなどで予期せぬ
飛行物や配送先での障害物を認識して自動で回避するシステムを搭載。グラウンドシステム
とドローンとの通信が途切れたとしても安全性を担保する設計になっています。
MK27-2には米航空宇宙局(NASA)が開発して世界中の航空宇宙産業メーカーが使用する
標準的なシステムエンジニアリング手法を採用。他社と同様の安全要件を定義して設計し、
部品やサブシステム、システムのそれぞれで必要な試験をクリアしているといいます。
FAAはカレッジステーションでの環境影響評価を2022年9月に公開。「住宅地での最大騒
音は50dBを超えないとみられています。これはFAAの基準値である65dBを大幅に下回って
いる」とし、「(Amazonが)提案した行為は周囲に対して重大な影響を与えない」と結論
付けています。
また、雨にも強い、全天候型のMK-30型も開発しています。
今後の課題
Amazonは、2013年のプレスリリースから、おおよそ10年をかけて実用化にこぎ着けまし
た。なぜここまで時間がかかったのでしょうか?理由の一つに、Cry Wolfの開発に時間
をかけたからだと言われています。それほど性能に拘ったのでしょう。
しかしながら、気になるのはライバル達の存在です。Amazonは 2013 年以来先延ばしを
続けている間に、他の企業が主導権を握りました。米国でサービスを提供している主なドロ
ーン配送会社は、Drone-Up、Zipline、Flytrex です。小売業者とのコラボレーションに
は、アメリカの大手チェーン、ウォルマートが含まれます。ウォルマートは最近、治験を
6 つの州に拡大することを発表しました。次に、米国、オーストラリア、フィンランドで
ますます多くの小売業者と提携し、その中には現在多くの成功した試験を受けている
Alphabet のWing が含まれています。
Wingは、バージニア州クリスチャンバーグで、輸送サービスのFedEx Express、薬局チェー
ン大手Walgreens、地元の小売業者Sugar Magnoliaの荷物をドローンで配送しています。
しかし、Amazonのドローン技術は競合他社よりも優れている可能性があり、BVLOS運用中
のドローンの飛行の信頼性と安全性が向上する可能性があると示唆する人もいます。同社は
2013 年以来、機体の外観を大幅に変更するなど、少なくとも 20 種類のプロトタイプを製
造してきました。
そして、ライバルに対する Amazon の最大の強みはオンライン企業そのものです。1994 年
の 設立以降、今日では 333.6 億米ドル (2021 年) の純年間収入を集めています。154 万人
の従業員がいます。世界のなグローバル企業になりました。ウィングやその他のライバルは、
拡大するためにさまざまな国の小売業者との新しい関係を着実に構築する必要がありますが、
Amazonはすでにその場所にグローバルなオンラインネットワークを持っており、競合相手が
直面する潜在的な物流の悪夢を回避しています。
配送メカニズムも、Amazon のすでにどこにでもあるオンライン注文システムに基づいており
アプリやサイトから商品を注文する際に、配送の選択肢が増えるだけです。
Prime Air の開始は、ドローン配送の開発を加速するだけでなく、世界中の小売輸送の変化を
示す可能性があります。
日本の取り組み
さて、我が国の最新のドローン宅配はどうなっているのでしょうか?
2022年12月5日から、レベル4が解禁になりました。レベル4とはドローンが人のいる
街中の上空を自動で飛行できることです。今までは、ドローンが墜落しても問題ないよ
うに、人の多い市街地や街中の上空を飛行することは原則できませんでした。
今回の航空法改正で、街の上空を操縦者の目視外(完全自律飛行)で飛ばすことがで
きる様になったのです。しかしながら、機体の開発や監視システムなど課題が多く
アメリカのように実際には飛ぶことはできていません。そんな中でも実験的に課題を
克服して、実績を積み上げている取り組みを紹介します。
日本郵便、日本初のドローンと配送ロボットが連携した荷物配送実験
日本郵便はドローン(UAV)と配送ロボット(UGV)を連携させて郵便物などを配送
する試みを、2021年12月1日から東京都奥多摩町で行っています。同町でも山間の最
深部にある集落に対してドローンで郵便物を空輸し、さらにその荷物を自動配送ロボッ
トに直接受け渡し、戸宅前まで自動配送ロボットが届けるというものです。ドローン、
配送ロボットそれぞれを使った自動配送の取り組みは、これまでにもさまざまな形で
行われてきましたが、ドローンと配送ロボットを連携させた形での取り組みは日本で
初めてのことです。
日本郵便は2017年に郵便物の配送にドローン(UAV)を活用する取り組みを始めました。
2018年11月には福島県南相馬市と浪江町において、日本初となる無人地帯での補助者な
し目視外飛行(レベル3)による郵便物配送を実施。また、2020年3月には東京都奥多摩
町で個人宅に向けた郵便物の配送試行を実施するなど、いち早くドローン物流の取り組み
を始め、毎年その方法や技術を発展させる形で実績を積み重ねています。
ドローンで村の集積場まで荷物を運びます。
また、地上を走行するドローンである配送ロボット(UGV)に関する取り組みも並行して行
っています。2020年3月には同社オフィス内で配送ロボットによる社内便配送試行を行い、
同年10月には公道を使った自動配送ロボットの走行実験を実施。また、2021年3月にはマン
ション内での配送ロボットの運用実証実験を行っています。今回の奥多摩町での取り組みは、
これまで日本郵便が実施してきたUAVとUGVによる配送の技術とノウハウを組み合わせたも
のです。
集積所から受け取った荷物を各家庭までロボットが配送してくれます。
今回の試行は奥多摩町の奥多摩湖畔に位置する奥多摩フィールド(旧小河内小学校)から、
直線距離で約2kmにある峰集落の戸宅に郵便物や荷物を配送するというものです。
奥多摩フィールドから峰集落の中心にある、峰生活改善センターまではドローンが荷物を空
輸。同センターには配送ロボットが待機していて、配送ロボット上空でドローンが荷物を切
り離して投下する形で荷物を受け渡す。そして直ちに配送ロボットが発進し、集落内の道を
走行して配送先の戸宅前で荷物を地面に降ろす形で届ける。長距離かつ高度差のある輸送を
UAVが、戸宅前までの輸送をUGVがそれぞれ分担して担う形です。
楽天の「そら楽」
楽天株式会社(現、楽天グループ株式会社)は、2016年5月よりドローンによる物流サービ
ス「そら楽」の提供を試験的に始めています。その一例が、ゴルフ場でのドローンによる物
流サービスの提供です。
専用アプリで注文された品物をドローン発着所付近に設けられたデポ(小型の物流拠点)で
梱包し、安全確認をしたうえで自律飛行のドローンで荷物を届けます。
利用者は、アプリでドローンの位置を確認したうえで、商品を受け取ります。このサービス
により、たとえばゴルフを楽しみながら飲食物を随時購入することが可能になります。
また、2022年の11月には秩父市内の事業者が担当する運用体制を検証しました。ドローン機
体は最大積載量7kgのものを活用し、弁当や飲料などの物資を、「道の駅大滝温泉」から山間
地域を含む片道約3kmの「二瀬ダム管理所前」まで配送しました。
千葉市内の超高層マンションの住民が専用サイトで注文した救急箱や非常食、医薬品などの物
資を、千葉県市川市の物流施設の駐車場からマンションの屋上にあるヘリポートまでの東京湾
海上や公道上空を含む片道約12km、配送する実験なども行っています。
更に、日本郵便と同様に地上移動型の宅配ロボットとの連携実験も積極的に行っています。
まとめ
Amazonは、機体の開発に時間がかかったものの、宅配の性能そのものには定評があります。
これから、インフラストラクチャーの整備がドローン物流の発展の鍵となってくるでしょう。
アメリカに比べて、大きく遅れをとっている日本ですが、今回の山間部の実験のように、日本
の独特の地形(平野部が少なく、各家庭に庭がないなど)を考えた日本なりのドローン宅配の
道筋が見えてきました。また、日本は海に囲まれて、入り組んだ海岸線、大小多くの島々から
成り立っています。これをヒントにもっとドローン宅配の活躍の未来が見えてくると思います。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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