アンプリウス、高性能なバッテリーを開発

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

ドローンや電気航空機、eVTOL(電動垂直離着陸航空機)にとって、バッテリーは命です。

バッテリーの性能によって、その機体の性能(飛行機間、航続距離)が決まります。

今日は、今までのバッテリーより格段優れたものを開発した企業を紹介します。

アンプリウス

リチウムイオン電池の性能向上

アンプリウス は、最新の超高出力高エネルギーリチウムイオン電池の詳細を公開

し、eVTOL 航空機の飛行距離を最大 50% 延長するのに役立つと発表しました。

同社の高度な材料システム機能を活用して、このセルは 400 Wh/kg のエネルギ

ー密度を実現しながら 10C *の放電率を達成します。これは、有人航空機システム

と無人航空システムの両方を含む電気航空にとって大きな進歩です。

10C *のCは、Cレートとといいます。Cレートとは、ある電池に対して通電する際の電流の

大きさのことを示し、ある電池を満充電状態からある電流で放電した場合、1時間で電池が

完全に放電される(0%となる)時の電流値が1Cと定義されています。

また、Cレートが大きいほど電流値が大きくなり、2Cであれば1/2時間、つまり30分で完全

に放電される(0%となる)時の電流値を表します。

例えば、定格容量が1000mAhの電池では、1Cは1000mAであり、2Cは2000mA、5Cは

5000mAとなり、それぞれ1時間、1/2時間、1/5時間で満充電から完全に放電されます。

アンプリウスによれば、このセルの出力はeVTOLおよびUAV業界に前例のない利

益をもたらし、離陸、巡航、着陸時の厳しい要求を満たす比類のない推進力とエネ

ルギーを提供できるとしています。同社は、この製品が積載量の増加に役立つと

さえ述べています。

アンプリウスの最高経営責任者であるカン・サン博士は次のように述べています。

「電動モビリティにおける商業機会は、電力とエネルギーの要件によって大きく

影響されます。当社の新しいセルは、従来のグラファイトセルよりも約 200% 高

い比出力とエネルギー密度の優れた性能を実現しながら、10C の放電率を達成し、

アプリケーションの可能性を大幅に拡大し、コスト効率を高めます。」

標準的な放電条件で 3500 W/kg という優れた出力密度を実現し、より低い放電

深度での最大出力が 4400 W/kg を超えるため、セルの使用可能な放電能力が拡

張されます。これは、下限カットオフ電圧、つまり 30% の放電深度で 3000 W/kg

を下回らずに、低い充電状態で高電流パルスをサポートします。

高エネルギー密度と高出力密度の組み合わせにより、バッテリーの重量と体積が軽

減され、航続距離の延長、充電頻度の削減、運用コストの削減につながります。

さらに、新しい超高出力セルは、約 6 分以内に 80% の充電に達する超高速充電

(UFC) 機能を備えており、迅速なターンアラウンドタイムでミッションクリティ

カルな運用を変革します。

アンプリウスは、電動モビリティの進歩に必要な重要なコンポーネントであるバ

ッテリーの提供に主眼を置いています。アンプリウスは、2023 年末までにこの

セルのサンプルを顧客が利用できるようにし、2024 年初めに予定されている新し

いセルの商品化を予定しています。

アンプリウス

アンプリウスは、業界最高のエネルギー密度のセルを製造する高エネルギーおよび大容量

のリチウムイオン電池の大手メーカーです。

同社の本社はカリフォルニア州フリーモントにあり、研究開発ラボとシリコンア

ノードとセルの製造のためのパイロット製造施設を維持しています。顧客の需要

に応えるため、同社は最近、コロラド州ブライトンにある約 774,000 平方フィ

ートの施設のリース契約を締結しました。

画像

他社製品との比較(資料:アンプリウス)

アンプリウスが開発したリチウムイオンバッテリーの性能は、他社製品(今まで)に比べて

容量で5~7倍、エネルギー密度は2倍、充電時間は5分の1とたいへん優れています。

この素晴らしい性能を生み出している技術は何でしょうか?

バッテリー技術の進歩

バッテリーの改良ペースが遅い主な理由は化学です。従来のリチウムイオン電池では、負極

は黒鉛の形の炭素でできており、黒鉛はエネルギー密度の限界に達しています。

電池の性能を向上させるには新しい負極材料が必要であり、その材料がシリコンです。シリ

コンはグラファイトと比較して最大 10 倍多くのリチウムを蓄えることができ、電池がより

大きなエネルギーを得ることができます。しかし、シリコンはリチウムを充電すると急激に

膨張し、亀裂が入って機能しなくなる可能性があります。

それを解決したのがアンプリウスの最高含有量の活性シリコン素材です。同社が開発した

バッテリーは、エネルギー密度に最適な素材です。より多くのシリコンを使用するというこ

とは、より高いエネルギー密度のリチウムイオンバッテリーを提供できると同時に、電力

に対するエネルギーの最高の比率を可能にすることを意味します。

 また同社のシリコン バッテリーは、継続的に改善されている優れたサイクル寿命を備えて

います。これは、米国国立研究所や大手航空宇宙企業を含む複数の組織による実際の使用で

実証されています。

画像

アンプリウスの高性能リチウムイオンバッテリー(画像:アンプリウス)

シリコンバッテリーの市場規模は、2023年の5,500万ドルから2028年までに4億1,400万

ドルまで成長すると予測されています。何と年間成長率は50%近い値を示しています。

北米や欧州の先進国、中国、インド、韓国などアジアの成長国からの持続的な家電製品の

生産が牽引しています。スマートフォンやラップトップ、タブレットなどの需要が高まる

と使用時間が長時間化してきます。そこで必要とされているのがシリコンバッテリーです。

アンプリウスは、このシリコンバッテリーを家電でもなくEV(電気自動車)でもなく、

エアタクシーやeVTOL航空機に最初に使おうと考えています。その理由は、今後EVより

eVTOL業界の方が成長すると予想しているからです。

エアバスのゼファーに提供

エアバスの太陽光発電監視ドローン「ゼファー」。

エアバスの高高度監視プラットフォーム「ゼフ​​ァー」(画像:エアバス)

アンプリウスは、エアバスの高高度監視プラットフォーム「ゼフ​​ァー」などの無人航空機に

バッテリーを提供しており、今後はさらに多くの電動航空機をサポートする予定です。

米陸軍にもセルを供給しています。

ゼファーは成層圏を飛行する無人機で、翼に取り付けたソーラーパネルの電力のみで駆動。

天候やほかの航空機などの影響を受けない高度を飛行するため、森林火災や石油流出時の

監視、自然環境の変化の追跡、通信ネットワークのない地域への通信環境の供給など、民

間/防衛両面で静止衛星のようなサービスが提供できるといいます。

すでに2018年7月に成層圏をおよそ26日間連続飛行するという記録を達成していますが、

昨年は11月の3週間で低高度の飛行と成層圏への早期移行などを確認、成功させました。

まとめ

バッテリーは、これからの世界の重要な産業の一つです。今までのカーボン素材に比べ

ても、シリコンは格段の性能を誇っています。弱点であったシリコン注入時のバッテリー

容器の膨張(300%膨張すると言われています)も最新技術によって解消されました。

シリコンは、衝撃にも強く、液漏れや熱膨張も少ないのが特徴です。

アンプリウスは、エアタクシーに適したコストで十分な大きさのバッテリーを製造するた

めに製造を強化する計画だと述べています。今後EV市場に参入するには、単価をさらに

下げる必要があり、それにはさらに時間がかかるだろうと予測しています。それだけEV

市場にはライバルが多い証拠です。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました