皆さんこんにちは!
今日は、プロペラや翼はあるのだけれど、海面すれすれを飛ぶ、飛行機のようで飛行機
でない乗り物、地面効果翼機(WIG)を紹介します。
Regentcraft(リージェントクラフト)
Regentcraft(リージェントクラフト)
Regentcraft(リージェントクラフト:以下リージェント)社は、高速ゼロエミッション
の沿岸輸送用に水上のみで動作する全電気式の海上車両であるシーグライダーを製造して
います。シーグライダーは12人乗りの特徴的な航空機です。
リージェントは現在、マサチューセッツ州ボストン郊外に本社を置いています。
自動車が電動化に向かう一方で、航空機やモーターボートの電動化についてはバッテリー
のエネルギー密度の面から停滞していることに着目しました。水との抵抗を大きく減らし
て高速に水上を“走行”できる水中翼船と、コンパクトな翼飛行ができる地面効果翼機の効
率性を組み合わせることで、水上輸送の電動化が可能ではないかと考えたのです。
シーグライダーは2025年までに実用化(商業化)される見込みです。
シーグライダー
シーグライダーは、水面からわずかに離れた高度で飛行し、飛行機の高速性とボートの
低運用コストを兼ね備えた地面効果 (WIG) を利用した乗り物です。シーグライダーは、
ハイドロフォイル、分散型電気推進、フライ バイ ワイヤー制御により、過去の WIG と
は異なります。これにより、安全な港湾運用、波耐性の向上、快適な乗客体験が可能にな
ります。
すべての最新の航空機や船舶と同じ安全基準に合わせて構築された当社の航空機は、既存
のバッテリー技術を使用して最大 180 マイル(290キロ)の距離を航行でき、次世代バッ
テリーを使用して最大 500 マイル(805キロ)の距離を航行することができます。
最高速度は160ノット(時速300キロ)です。
シーグライダーは、底面を船のようにV字型にした船体を浮かべ、ボートのようにゆっく
りとスタートするものの、速度が上がると水中翼によって機体が持ち上がり、水面をスム
ーズに滑走しつつ機体を空中まで持ち上げます。水中翼船の利点である水の抵抗の低さに
よって、離水可能な速度まで加速するのに必要なエネルギー消費も削減できます。なお、
この水中翼は離水後は機体に収納され、着水時に再び展開します。
地面効果翼機 WIG:Wing In Ground-effect vehicle
地面効果翼機(WIG)とは、地面効果を利用して地表ないし水面から数十センチ~数メート
ルほどの高度で航行する航空機もしくは船舶の一種です。外見は主翼の短い航空機に近く、
その翼によって揚力を得て浮上します。ゆえに航空機に準じる速度で航行することができ、
一方で地面効果によって大きな揚力を発揮し、通常の航空機では不可能なほどの大重量を
搭載できるのです。それほど普及してはいませんが第二次世界大戦頃から現在まで研究・
開発が行われており、民間用・軍用として少なくない数の機体が製造されています。実用
例として有名なものにロシアで開発されたエクラノプランがあります。
エクラノプラン
地面効果翼機は通常の航空機に比べて燃費が良く、積載量を大きくできるという大きな利点
があります。 また、機体設計時に課せられる安全上の制約が航空機ほど厳しくなく、エンジ
ントラブルが起こった場合でも比較的容易に不時着水することができます。しかし、低高度
を飛ぶことは水面に接触しやすいという危険も同時に孕んでおり、そのためバンク角を大き
く取るような小半径での旋回を行うことは難しく、また、機体形状が特異なためにコンピュー
タを用いても姿勢制御が難しいという欠点もあります。
地面効果(じめんこうか)
地面効果(じめんこうか)とは、翼形状を持つ物体が地面付近を移動する際、翼と地面
の間の空気流の変化に影響を受ける現象です。
翼が地表面近くを滑空するとき、揚力が上昇する現象のことです。そして、同じような
現象は、水面近くでも見ることができます。なお、地表面と水面も平らなほど効果は
大きくなります。
地面効果のメカニズム
翼端渦(よくたんか、よくたんうず)の一部が地面に近づくことによって遮られます。
翼の下から上に回り込む空気が少なくなり、翼を上から抑えていた力が弱くなります。
その分だけ揚力が増えて、地面すれすれで飛行できます。
翼端渦とは、翼の端で下から上へ渦が発生する現象です。
翼端渦の図と写真
アホウドリやハクチョウなどの海鳥は、海面近くを飛ぶときに、地面効果(水面効果)を
利用しています。これらの海鳥は、海面付近で一度も羽ばたくことなく長距離を飛ぶこと
ができますよ。
他に、トビウオやトビイカなどの動物も、地面効果を利用しています。
AIRFISH 8 (エアフィッシュ)
同じように地面効果を利用したWIGの航空機、エアフィッシュ 8があります。
Wigetworks Private Limited (ウイングワークス) は、2004 年 4 月にシンガポールで
設立されました。
2008 年に、エアフィッシュ 8 プロトタイプは、海上試験を開始しました。このプロトタイ
プは後にエアフィッシュ 8-001 と命名され、2010 年 3 月 31 日にシンガポール船級登録
簿に商船として正式に登録された世界初の WIG 航空機です。
エアフィッシュ 8 は、翼面積が 17m x 15m の 8 ~ 10 人乗りの WIG 航空機です。2 人
の乗組員と 6 ~ 8 人の乗客を収容できるように設計されています。95 オクタンの自動車グ
レードの無鉛ガソリンで作動する、強力でありながらコンパクトな V8 カー エンジンを搭載
しています。
最大速度は108ノット、巡航速度80ノット、航続距離は300マイルです。搭載貨物は1600kg
にもなります。
まとめ
この様に、地面効果翼機(WIG)は少ない揚力で多くの荷物を運ぶことができます。
しかしながら、水面が凪(なぎ)ていて比較的穏やかな水面でないと効果が期待でき
ません。
また、地面効果は我々パイロットにとってはやっかいな代物です。大型機や翼の大きな
航空機は、着陸時に地面効果の影響を受けて浮いてしまうのです。結果として着陸距離が
伸びてしまったり、高い高度(2~3メートルくらい)落着したりします。特に風も穏やかで
少し背風(後ろからの風)の時は地面効果が顕著に表れます。そんな時は、エンジン出力を
絞り気味で、地面ギリギリでアイドルにして、姿勢(ピッチ)はそのままで着陸します。
(この方法はある程度経験していないと難しい)
しかしながら地面効果翼機(WIG)という発想は、面白いですし理にかなっています。
日本では、穏やかな瀬戸内海などでその威力を発揮できると思います。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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