皆さんこんにちは!
半年続いた大阪万博もあと2週間足らずになりました。
昨日10月1日に万博の目玉であるアメリカのジョビーアビエーションのeVTOLの飛行展示フライトが行われました。
万博終了後、日本のeVTOLの行く末は?
JOBYとANA、大阪万博での飛行実証でエアタクシー開発の次期フェーズを始動
ジョビーアビエーションと日本のパートナーであるANAホールディングスは、今週、
2025年大阪万博においてジョビーのエアタクシーの公開飛行デモンストレーションに成功
したとプレスリリースで発表しました。米国のeVTOL企業であるジョビーアビエーシ
ョンは、SkyDriveから飛行デモンストレーションを引き継ぎました。
デモでは、垂直離陸、翼上飛行への完全な移行、そして垂直着陸が行われました。ジョビー
は13日間の期間中、このような飛行を20回以上実施することを目指しています。
ジョビーのCEO兼創設者であるジョーベン・ベバート氏は、「これらの飛行により、私たち
はコミュニティを巻き込み、規制当局と協力し、より多くのパートナーを集めて私たちの夢
を現実にするという重要な仕事を始める準備が整いました」と熱く語りました。
彼は続けて、「日本は世界トップクラスの自動車産業と象徴的な新幹線によって、地上交通
の変革において世界をリードしてきました。今、日本は再び世界をリードする態勢を整え
ています。今度は空の旅です。」と述べました。
ANAの塗装が施されたジョビー社の航空機は、エアタクシーの一般受け入れに向けた重要な
一歩となるとともに、空域統合に関する貴重なデータを提供し、この地域における航空自衛
隊の規制経路の開発に日本航空局(JCAB)と協力して活用されることになります。
ANAホールディングスの柴田浩二社長は、「国や自治体、そして共に未来を築いていく民間
パートナーの皆様のご支援をいただきながら、空の移動の新時代を切り拓いていきたい」と述べました。
リリースでは、「両社は、日本における全国的なエアタクシー・エコシステムの構築に向け
て取り組んでおり、東京を皮切りに段階的な展開を計画しています。この開発には、垂直離
着陸場(バーティポート)ネットワーク、パイロット訓練プログラム、航空機整備サポート
が含まれます。両社は不動産、製造業、地方自治体など、幅広い分野のパートナーと積極的
に連携しています。今回の実証飛行は、これらの取り組みを前進させ、次の段階の展開に
向けた木祖を気付くものです、と説明されています。
大阪府、アーチャーとソラクルを市と府の空中タクシーサービスに選定
左側:アーチャー・アビエーションの共同創業者兼CEOである アダム・ゴールドスタイン氏、右側株式会社ソラコムの代表取締役社長である 玉川 憲(たまがわ けん)氏
アーチャー・アビエーションは今週、日本航空と住友商事の合弁会社である日本のパートナ
ー企業ソラクル社が、大阪市と府でのエアタクシーサービスの設立を主導するために選ばれ
たと発表したとプレスリリースで報じられています。
これにより、アーチャーは、この地域でそのようなサービスを形成する上で重要な役割を果たす唯一の米国eVTOLメーカーとなります。
大阪市および大阪府との協定は、大阪と関西広域をエアタクシーで結ぶために必要な運用
規制、地域社会の枠組みを構築する上で重要な一歩となります。
プレスリリースには、「アーチャーとソラクルは昨年11月、日本でエアタクシー事業を共同
で開始するための提携を発表しました。これは、交通渋滞や地理的障壁により既存の地上
交通が制限されている都市でサービスを提供することを目的としています。アーチャーと
ソラクルは最近、大阪・関西万博でミッドナイト機を展示し、関西地域での将来的なエア
タクシーサービス計画をアピールしました。」と記載されています。
アーチャーのCEO兼創設者であるアダム・ゴールドスタイン氏は、「ソラクルとの継続的
なパートナーシップを誇りに思うとともに、先週、中野大臣と日本代表団をお迎えできたこ
とを光栄に思います。日本における商業用エアタクシーサービスの基盤構築にあたり、
ソラクルとの関係をさらに深めていくことを楽しみにしています」と述べています。
さらに先週、中野弘昌国土交通大臣、日本民間航空局、サンフランシスコ駐在日本総領事を
含む日本からの代表団がカリフォルニア州サンノゼのアーチャー本社を訪れ、同社の幹部と
ブリーフィングを行い、全国でエアタクシーサービスを実現する方法について協議しました。
ソラクル代表取締役の太田幸宏氏は、「アーチャーの献身的かつ継続的な協力とサポートの
おかげで、大阪の目標を達成し、大阪府市とともに社会実装を実現できると確信しています」と述べています。
リリースは、「高速鉄道から近代的な航空インフラに至るまで、日本は長年にわたり先進的
な輸送システムの導入において世界をリードしてきました。eVTOL機の商用化が間近に迫る
今、日本は再び次世代の航空輸送の早期導入国となる態勢が整っています」と締めくくっています。
JAL vs. ANA!「空飛ぶクルマ」で激突?政府が考える未来の空のインフラ戦略とは
今、航空業界で最もホットな話題といえば、やはり「eVTOL(電動垂直離着陸機)」、通称「空飛ぶクルマ」でしょう。
この分野で、日本の二大巨頭であるJALとANAは、それぞれ異なる道を進んでいるのが非常に興味深い点です。
- JALは、米国のアーチャー・アビエーション社と提携。
- ANAは、同じく米国のジョビー・アビエーション社と提携。
当然ながら、ビジネスで競合する両社が「一緒に」サービスを始めることはまずありませ
ん。しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。「日本の空を担う2社が別々の道を歩むことについて、政府はどう考えているのだろうか?」
今回は、JALとANAの「競争」の裏で、日本政府がどのような未来戦略を描いているのかを解説します。
核心:政府の役割は「競争阻止」ではなく「市場設立」
結論から言うと、政府(国土交通省や経済産業省)は、JALとANAが異なるメーカーと組ん
で競争することに対し、むしろ歓迎の姿勢を示しています。
なぜなら、政府の最大の目標は「どちらの企業が勝つか」ではなく、「この空飛ぶクルマの
市場そのものを日本で成立させること」だからです。
「技術の中立性」と安全基準の確立が最優先
JALがアーチャー機を、ANAがジョビー機を導入しようと、政府はどちらのメーカーを優遇
することもありません。政府が力を入れているのは、以下の共通ルールの整備です。
- 安全基準(型式証明): どちらの機体であっても、日本の空で安全に運航するための耐空性基準を国際基準(FAAやEASA)と整合させながら、迅速に策定すること。
- 性能ベースの審査: 最終的に、最も安全で効率的だと証明された機体が市場で選ばれるよう、公平な審査プロセスを構築すること。
つまり、政府は「ルールブック」と「審判」の役割に徹し、プレイヤーであるJALとANA
には思い切り競争してもらいたいのです。この競争こそが、技術検証を加速させ、サービス
を洗練させる原動力になると考えています。
インフラは「共通化」が絶対条件
JALとANAが別の機体を使うとしても、飛行する「空域」と離着陸する「場所」は共通で
なければ、インフラとして成り立ちません。
- 共通の空域管理システム(UTM):
- eVTOLはドローンと同じく低高度空域を飛びます。政府は、両社の機体を含むすべてのeVTOLが衝突せず、安全に飛行できるための「空の交通管制システム(UTM)」を共通インフラとして整備します。
- 共通の離着陸場(バーティポート):
- 大阪・関西万博後の事業開始に向けて整備される離着陸場(バーティポート)も、標準的な設備と運用ルールを設けることで、原則としてJAL/ANA両社が利用できる「バス停」のような役割を担うことになります。
企業は競合しても、社会インフラとしての基盤は政府が責任を持って統合的に構築していくという明確な分業体制です。
最終ゴールは「日本のサプライチェーン」への組み込み
政府がeVTOL事業に熱心な最終的な理由は、単に「空を便利にする」だけではありません。
- 将来の産業競争力:
- eVTOLは、「電動化」「自動運転化」が進む未来の航空産業の最前線です。日本は、機体そのものでは海外メーカーに遅れをとっているかもしれませんが、バッテリー技術、電動モーター、精密部品、そして機体の整備(MRO)といったサプライチェーンの部分で高い技術力を持っています。
JALやANAが海外メーカーと組んで事業を始める過程で、日本の部品メーカーや技術が
機体の「中身」や「整備」に関わることで、ノウハウが国内に蓄積され、将来的に世界市場
で勝てる体制を作ることこそが、政府の描く大戦略です。
まとめ
JALとANAのeVTOL事業は、一見するとバラバラな戦略に見えますが、それは市場を拡大
し、技術を磨くための「健全な競争」であり、政府はその後ろで「安全という名のレール」
と「共通の駅(インフラ)」を着々と敷いている状況です。
「空飛ぶクルマ」が日本の空を日常的に飛び交う未来は、この二社の競争と、政府の地道な
インフラ整備にかかっていると言えるでしょう。
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