オーストラリア製の eVTOL 航空機初飛行・オーストラリア編

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

今日は、初めてオーストラリア製の空飛ぶクルマがホバリングの試験飛行に成功した

話題です。同時にオーストラリアの現状についても見ていきます。

AMSL の VERTIIA EVTOL 航空機

AMSL の VERTIIA EVTOL 航空機プロトタイプが初のホバー飛行を達成

シドニーに本拠を置く高度な航空モビリティの新興企業である AMSL Aero は、5 人

乗りのVertiia eVTOL航空機のプロトタイプが最初のホバー飛行に成功したと発表し

ました。

Vertiia プロトタイプの飛行試験の開始以来、AMSL Aero は 11 回の遠隔操縦による

ホバー テストを実施しました。航空機が地面につながれた試験飛行は、最大3メート

ルの高度に達し、それぞれ約1分間続き、1回の飛行は90秒を超えました。

ホバー テストはすべて、シドニーのすぐ西にあるニュー サウス ウェールズ州のセン

トラル ウエスト地域で行われました。

AMSL's Vertiia eVTOL aircraft prototype is pictured during one of its first hover flight tests.

ホバーテストの様子(写真:AMSLエアロ)

オーストラリアで設計および製造された eVTOL 航空機が飛行したのはこれが初めてです。

同社によると、完全電気式の Vertiia は、1 回の充電で約 250 キロメートル (155 マイル)

の航続距離を誇り、世界で 最もエネルギー効率が高く、航続距離が最も長いeVTOL航空機

になるといいます。

Vertiia (ヴェルティア)eVTOL航空機

ヴェルティアは、時速 300 km で巡航し、再充電が必要になる前に純粋な電池のみで

250 km 飛行します。ヴェルティアは、水素を使って最大1000kmノンストップで飛行

できるように設計されています。

これが、ヴェルティアの完成予想図です。2020年1月22日_FULL SCALE CONCEPT 2のコピー

8 セットのモーターに 7 メートル  の大型プロペラが取り付けられており、それらを支え

る2つの翼構造に取り付けられた傾斜翼設計が特徴です。この翼の構成は、狭い都市空間

での運用に必要なコンパクトなサイズを維持しながら、はるかに大きな翼幅を持つ固定翼

eVTOL と同じ空力効率をもたらします。現在テスト中のヴェルティア プロトタイプは、

予定されていた量産バージョンよりわずかに小さく、重量は 1,500 キログラム  です。

実物大バージョンの重量は 2,000 キログラム 未満になると予想されます。 

AMSL は最終的にヴェルティア の水素動力バージョンを開発することを計画しており、

同社は全電気バージョンの 4 倍の航続距離を持つことができると述べています。同社はまた

パイロットの搭乗を必要としない完全自律型の航空機の開発も検討しています。 

フルスケールのヴェルティア航空機は、4 人の乗客と 1 人のパイロット、または最大 500

キログラム の貨物を収容できます。航空救急車の操作のための 3 番目のキャビン構成は、

1 人の患者と 3 人の医療関係者を収容することができます。AMSL は、緊急医療サービスが

ヴェルティア を早期に採用する可能性が高いと予想しており、同社はオーストラリアの地

方および地域医療向けの航空医療アプリケーションを開発するために、シドニーに本拠を置

く CareFlight と覚書を締結しています。 

AMSL Aero は、2023 年 2 月 28 日から 3 月 5 日までビクトリアで開催される Avalon

International Airshow で展示されるヴェルティアの試験飛行をさらに実施し、CASA 認証

(オーストラリア民間航空安全局)を開始します。

AMSL Aero

AMSL Aeroは、2018 年から ヴェルティア を開発しており、当初からCASA(オースト

ラリア民間航空安全局)と緊密に協力してきました。同社はすでに型式認証プロセスを

開始しており、ヴェルティア プロトタイプの試験的耐空証明書を取得しています。

これまでのところ、AMSL Aero は個人投資家や政府筋から 4,000 万豪ドル (2,740 万

ドル) 以上を調達しています。同社は、航空機が型式認証を取得し、2026 年までにサー

ビスを開始することを計画しています。

AMSL Aeroは、 アンドリュー・ムーアと シボーン・リンドンの2人によって設立されま

した。アンドリュー・ムーアは、航空エンジニアおよびパイロットであり、20 年以上に

わたって航空宇宙の指導的役割を担ってきました。シボーン・リンドンは法律とビジネス

の学位を取得しており、テクノロジー、電気通信、専門サービスの分野で 20 年以上の経

験を持ち、Google では 10 年間、世界中で上級管理職を務めました。

ムーアは航空エンジニアであり、オーストラリア海軍でキャリアをスタートさせ、輸送イ

ンフラの整っていない平和維持任務の一環としてヘリコプターに取り組み、その後、レイ

セオンなどの企業と協力して救急車の改造などのプロジェクトに携わりました。海軍パイ

ロットの父親に育てられた彼は、国の田舎の滑走路の 1 つからアクセスできる農場に住ん

でいたときに飛行を始めました。彼の経験は、オーストラリアとアジア太平洋地域の周辺

国での AAM の可能性についての彼の見方を形成しました

「世界の多くは、標準的なアーバン エア モビリティ モデルに適合していません。適切な

タイプの eVTOL 航空機は、地球の社会構造を変え、経済を加速させることができると信

じています」とムーア氏は締めくくりました。「オーストラリアは、さまざまな形態の航

空の最大のユーザーの 1 つであり、世界で 2 番目に大きな航空救急車市場を持っており、

その大部分は 政府の資金提供を受けています。」

現在、航空救急車の多くは固定翼航空機に基づいており、ヘリコプターは高すぎると見な

れています。

AMSL は、雪や猛烈な摂氏 40 度の気温など、オーストラリアのさまざまな環境条件に耐

えられるようにヴェルティアを設計しています。

オーストラリアの航空のパイオニアであるローレンス・ハーグレイブが、ヴェルティア の

「ユニークなボックス翼」のデザインのベースとなったボックスカイトを発明してから、

ほぼ 130 年になります。

「ヴェルティアが離陸したとき、130年近く前にローレンス・ハーグレイブが感じたにちが

いないアドレナリンの急上昇を感じました。ヴェルティア のプロトタイプは、予想以上に

うまく飛びました。それは非常に滑らかで、飛ぶのは楽しいものでした」と開発者のムーア

は言いました。

ローレンス・ハーグレーブ(Lawrence HARGRAVE 1850~1915)はイギリスに生まれ、

15 歳の時に家族と共にオーストラリアに移民しました。ハーグレーブのボックス・カイト

は 1893 年に開発され、それ以前に気象観測用に使用されていたエディ・カイトを置き換

えていきました。それはボックス・カイトは気象観測機器を持ち上げるのに良い特性(安

定性と揚力)を持っていたからです。

ハーグレーブはボックス・カイトの発明者として知られていますが、自身では、ボック

ス・カイトといわずにセルラー(セル型)カイトと言っていたようで、ユニット(構成単

位)の形状も角形のボックス型に限らず、いろいろテストしており、当初は二面角や円筒

形から始まったようです。

Lawrence Hargrave , an English-born Australian aeronautical pioneer, developed the box kite to produce a wing form for early aircraft. In 1894 he...

ハーグレーブの発明したボックス・カイト

オーストラリアの環境問題

グリーンバード コンソーシアム

オーストラリアで高度な航空モビリティ (AAM) の開発に取り組んでいる新しいグリーン

バード コンソーシアムには、現在 8 つのメンバー組織があり、今週、充電の専門家であ

る Electro.Aero がグループに参加する最新の組織になりました。AMSL Aero は、オース

トラリア初の国産 eVTOL 航空機を市場に投入しようとしています。

グリーンバード コンソーシアム のマネージング ディレクターである  サラ・ヘイルズ氏

によると、この国は AAM の技術とサービスを早期に採用するのに適した場所にあるとの

ことです。「オーストラリアは政治的に安定しており、比較的裕福であり、AAM が特に

地域の航空モビリティのコンテキスト内で解決できる独自の一連のモビリティの課題を

抱えています」と彼女は語りました。「地理的に多様な地域間の接続を改善することは、

地域の経済的および社会的パフォーマンスを改善する良い方法です。AAM はまた、輸送

と医療へのアクセスの公平性を改善し、他の政府サービスの [提供] を最適化する機会を

提供します。」

グリーンバード コンソーシアム のメンバーは、グローバルな画一的な AAM ビジネス

モデルをすべての市場に効果的に適用することはできないことを認識しています。

オーストラリアの陸地は広大ですが、人口は比較的少なく、その多くは東部と南部の海

岸線の延長に沿って集中しています。

グリーンバード コンソーシアムの主な目的は、AAM がその可能性を実現するのを支援

するために、業界と政府を組み合わせた対応を活性化し、調整することです。「さまざま

なレベルの政府が、オーストラリアの AAM がオーストラリアをサポートし、オーストラ

リアの人々、コミュニティの最善の利益になるように確実に発展させる方法について、

統一的なビジョン、実行可能な戦略、および実用的なロードマップを作成する時が来まし

た。」とヘイルズ氏は言いました。

グリーンバード コンソーシアムは、特にブリスベン市が 2032 年のオリンピックを開催

する予定であるため、AAM 運用の有望な初期試験場としてクイーンズランド州にますます

注目しています。グループは、オーストラリアの各州が、そのニーズと状況に応じて独自

の AAM の運命を形作りたいと考えています。

オーストラリアの抱える問題

近年、オーストラリアは「森林火災」「水不足」「海洋汚染」など、さまざまな環境問題に

直面しています。

2019年から2020年にかけて起きた大規模な森林火災は、日本でも大々的に報道されました。

森林火災

オーストラリアでは、過去に4度の大規模な森林火災が発生しています。

2019年から2020年にかけて起きた森林火災では、ポルトガルの国土より広い面積の森林

が焼失。死者は約34名、約3,000の住宅やビルが焼失し、コアラの総数の3分の1が命を

落としました。

また、森林火災の懸念点として、二酸化炭素の排出量も挙げられます

この森林火災で発生した二酸化炭素の排出量は、2017年に人為的に発生した二酸化炭素の

量に比べ、約1.5倍とも言われています。

水不足

オーストラリアでは、水不足も大きな問題となっています。

年間平均降水量が1,718mmである日本と比べても、オーストラリアは500mm以下と降

水量が少なく、蒸発量も多いため常に乾燥している気候なのです。

そんな水不足によって、オーストラリアは深刻な干ばつに悩まされています。

中でも、2019年の降水量は特に少なく、干ばつの規模が拡大しています。

このまま地球温暖化が進み、干ばつが深刻化していけば、農作物は育たなくなり農業にも

大きなダメージを与えることになるでしょう

海洋汚染

プラスチックごみの海洋汚染も深刻な問題です。

海に囲まれたオーストラリア大陸では、大量のプラスチックごみが廃棄されています。

しかも、それらは国外から漂流してきたものではなく、オーストラリアの都心部付近

のごみなのです。

こうした状況を踏まえ、オーストラリアの大手スーパーでは、2018年という早い段階

からレジ袋の廃止を進めているほか、2021年にはオーストラリア連邦政府が「国家プ

ラスチック戦略」を発表するなど、国全体で問題解決に向き合っています。

気温上昇

オーストラリアでは、著しい気温の上昇が見られています。

温暖な気候に恵まれたオーストラリアでは、場所によっては40℃を超える地域も存在し

ますが、なんとオーストラリア西部にて、2022年1月に気温が50℃以上に達しました

50℃以上超えを観測したのは、約60年以上前の1962年以来のことです。

森林火災で排出された温室効果ガスが大気中にたまり、気温が上昇したのではないかと

考えられています

まとめ

オーストラリは、極めて深刻な環境問題に直面しています。そのために、積極的に

環境問題に取り組んでいます。

ビニール袋やプラスチック製品のゴミの回収や、AAMの開発のように化石燃料からの

乖離を模作しています。

日本も人ごとではありません。年々、気温は高くなり、プラスチックゴミは減りません。

国や企業の努力もそうですが、我々個人の意識も変わらなければいけないと思います。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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