ビジネスジェットもリサイクルの時代

飛行機

皆さんこんにちは!

景気回復を受けて、多くの新しい飛行機が開発され販売されています。その陰で古くなった

機体は解体され、スクラップになってしまいます。計器などの小さな部品は再利用できますが

胴体や翼などは形がそれぞれ異なるために再生が難しいとされてきました。

そんなスクラップを再生させる企業があります。その名は『ドットソン』

ドッドソンはビジネス航空機を生まれ変らせる

ドブソンのアバンテア艦隊の残骸

カンザス州ラントゥールのドッドソン国際空港にあるアバンテア機の残骸。© マーク・フーバー/AIN

2015 年 3 月 5 日、俳優兼パイロットのハリソン・フォードは、エンジン故障により、ビン

テージのライアン ST-3KR 単葉機をカリフォルニア州ベニスのゴルフコースに墜落させまし

た。最終的に、残骸はカンザス州ラントゥールのドッドソン インターナショナルの墓場に運

ばれました。

ドッドソンは中古航空機部品の売買を行っているます。これには事故機、飛行不能になった

機体、または駐機して分解した方が価値が上がる機体などが含まれます。そのほとんどは聞

いたことのない人物や団体が所有していたものだが、注目すべき例外もいくつかあります。

故俳優ジョン・ウェインのジェット・コマンダー、NASCAR の伝説的レーサー、リチャード

・ペティがかつて所有していたジェットストリーム 31 ターボプロップ、アルティメット・フ

ァイティング・チャンピオンシップの CEO ダナ・ホワイトがかつて所有していたガルフス

トリームGIII、2009 年に不名誉な投資家マーカス・シュレンカーが自らの死を偽装しよう

としてラシュートで降下したパイパー・メリディアン、廃業したアバンテアのピアッジオ

・アバンティ 4 機、同機の飛行試験プログラムで使用されたホーカー 4000 などです。

ドッドソンは、FBO オペレーターが古いセスナ 172 とパイパー チェロキーの部品を分解す

る副業として始まりました。今日では、ビジネス ジェット機とタービン ヘリコプターの部品

の世界最大のサプライヤーの 1 つです。リアジェット 30 シリーズと初期のセスナ シテーショ

ンは特に人気があり、ビンテージのベル ジェットレンジャーとモデル 212 ヘリコプターも同

様です。

しかし、敷地内には最新型のダッソー ファルコン 7X など、新しいビジネス ジェット機も展示

されています。ドッドソンは、通勤用航空機や大型輸送機、さらには燃料トラックやタグボー

トなどの航空機支援車両も取り扱っています。

カンザス州ラントゥールのドッドソン・インターナショナル社ヤード

カンザスの牧草地では、まだ必要とされているあらゆる種類の航空機部品が収穫されています。© Dodson International

町外れのバーモント ロード沿いの起伏のある牧草地を車で走ると、支柱の上にロッキードジェ

ットスターが取り付けられているという奇妙な光景が目に入ります。隣接する門をくぐると、

かつてはロデオが開催されていた巨大な土間牛舎に着きます。

この施設は、ドッドソン氏の約 200 エーカーの複合施設の一部で、屋根の下には 200,000

平方フィート以上の広さがあり、2,000 機の機体を含む 1,800 万点の航空機部品が保管され

ています。機体は周囲のフィールドに整然と並べられ、メーカーやモデルごとにグループ分

けされています。CEO の JR ドッドソン氏は、1984 年の創業以来、同社が 5,000 機の

航空機をリサイクルしたと見積もっています。JR ドッドソン氏は、息子のディロン氏と

ニック氏、および 65 人のフルタイム従業員とともに同社を運営しています。

ドッドソンは、保険会社やその他の会社との確立したネットワークから機体と部品を調達して

います。同社の取引の約 70% は北米で行われています。かつて航空会社のパイロットを志し

たジェット機の型式認定パイロットでエンブリー・リドル大学卒業生の JR ドッドソン氏は

時折、買収予定の現場にファルコン 10 を操縦して検査に赴くのです。同氏はファルコンを

「ステロイドを投与されたフェラーリ」と呼び、1 回の出張で 10 の年間運営費を賄えるこ

ともよくあると指摘。ドッドソン氏はファルコン 50 と 900 も一部所有しています。「写真

やビデオは良いが、実際に機体を見ることに勝るものはない」、とドッドソン氏は言います。

ドッドソン社では、自社で解体する航空機もあれば、契約した FAA パート 145 修理ステーシ

ョンで分解する航空機もあります。ドッドソン社はパート 145 証明書を持っていませんが、

品質とコンプライアンス上の理由から機体と動力装置の整備士を雇用しています。航空機はト

ラックで運ばれるか、契約パイロットによって運ばれ、道路を挟んだ芝生の滑走路か、姉妹会

社のドッドソン アビエーションの本拠地であるカンザス州オタワ (KOWI) の近くの空港に運ば

れます。最近オーバーホールされた部品や、耐用年数が十分に残っている部品は特に高く評価

されます。ドッドソン社の技術者は、新型のシーラス SR22 ピストン単発機、救急搬送用の

レオナルド AW109 ツインタービン ヘリコプター、火災で全焼した TBM ターボプロップ機

を解体中でした。

在庫の入力には、文書化、検査、評価、そしてデータ入力とバーコード処理という骨の折れる

プロセスが伴います。関連データは、3 重冗長サーバーに保存されます。部品自体は、写真に

撮られてタグ付けされ、キャップ、袋詰め、ケージ、またはシールされてから、倉庫に送られ

回収されます。ドットソンは、権限のあるユーザーが携帯電話から在庫のどの部品のデータ

や写真にもアクセスできるプログラムを使用しています。

ドッドソンの事業の約20%を占めるエンジンは、別途保管され、推奨スケジュールに従って

メンテナンスされています。ビンテージの航空電子機器も人気商品で、「非常に価値がある」

とJRドッドソンは語りました。同社の顧客は主にMROと個々の飛行部門だが、新型コロナウ

イルスの影響によるサプライチェーンの混乱が続いているため、OEMという新しい顧客層が生

まれました。

「メーカーが特定の部品を供給できないことは、明らかに私たちにとって有利に働いていま

す」と彼は言います。「現在、メーカーが長いリードタイムをとっている構造部品やその他の

部品が多数ありOEM がタイムリーに生産するためのツールを用意できないこともあります。

OEM が自分たちが持っていない部品を購入しない月はありません。JR ドッドソン氏による

とこれは特にエンジンに関して当てはまります。「通常、エンジン MRO は価格を高騰させ

リードタイムを長くしているので、そこにチャンスがあります。」

ドッドソン国際空港のジョン・ウェインの元ジェット機指揮官

カンザス州ラントゥールのドッドソン国際空港にいるジョン・ウェインの元ジェット機指揮官。© マーク・フーバー/AIN

しかし、リスクもあります。保険やNTSBの問題が未解決のままの場合に備えて、ドッドソン

氏は残骸を保管しておかなければいけません。さらに、特定の部品がいつ買い手を見つける

かは確実ではありません。これらのタイムラインは正式には設定されていませんが、「売れな

いとわかっている部品がいくつかある場合は、一定量の在庫を処分する可能性がある」と

同氏は述べました。ドッドソン氏は、航空機の購入価格を組み込んだ計算式を使用して部品の

価格を設定しています。サプライチェーンの問題はチャンスをもたらす一方で、同社に買収価

格のプレッシャーもかけていると同氏は指摘。再積み込みにはコストがかかるのです。

副社長を務めるディロン・ドッドソン氏によると、幸いにもドッドソンは債権者と強い絆で結

ばれています。「ありがたいことに、当社には長期にわたる関係を築いている債権者がいま

す。彼らはあまり細かく管理しません。当社は多くの債権者とかなり長い関係を築いていま

す」。同氏は、ドッドソンの長期にわたる関係が顧客、特に保険会社を引き付けていると付け

加えます。彼らは、当社が迅速な取引に適した情報源であることを知っています。

部品は通常、「ロデオ バーン」内の高く積み上げられた棚から取り出されます。現在はセメン

トの床になっており、ざっと見回すと、どの OEM もなかなか揃えられないような部品が

山積みになっています。ブレーキが一列に並んでいるのに、車軸が別の列に並んでいます。

ダスト キャップ、トルク プレート、フラップ、トリム タブ、スポイラー、ウィングセット、

ランディングギア アセンブリなど、他にもいろいろあります。「通路を空けるようにしていま

すが、だんだんスペースが足りなくなってきています。おそらくこの建物を拡張し、倉庫を

もう 1 つ追加することになると思います」とディロン ドッドソンは言います。

フロントガラスは特に人気の高い商品です。彼は、コロナ禍以降、製造業者が熟練労働者の採

用に苦労していることが原因だとしています。「今、フロントガラスの供給がかなり滞ってい

ます。製造業者は、フロントガラスを作るために人を雇い、訓練しなければなりません。コロ

ナ禍以前は5~10%の不良率が見られましたが、現在は40~45%の不良率になっています。」

カンザス州ラントゥールのドッドソン・インターナショナル副社長、ディロン・ドッドソン氏。

カンザス州ラントゥールのドッドソン・インターナショナル副社長ディロン・ドッドソン。© マーク・フーバー/AIN

ドッドソンの仕事の量は膨大で、気が遠くなるような量になることもあるとディロンは認めて

います。「圧倒されるような気分になることもあります。でもその反面、常に何か新しいこと

をやれるので、本当にワクワクします。月曜日に起きて何かやると、金曜日になると何か新し

いことをやっています。いつも面白いです。」

彼が今興味を持っているのは輸送用コンテナです。「コンテナは入手が非常に困難になり、

非常に高価になっています。」ドッドソンでは通常 15 個から 20 個必要だが、現在はさら

に必要になっています。

入り口にはジェットスターが設置されているが、JR ドッドソン氏は、同社は今のところタ

ーボジェット機には興味がないだろうと語りました。「何か特別な事情がない限り、わざわざ

[ガルフストリーム] G1 やジェットスターなど、その種のものを購入することは考えられません。」

しかし、パイロンのジェットスターはそのまま残ります。パイロンに載せたのはJRの父親のア

イデアでした。JRドッドソンによると、ドッドソンは1980年代にプラット・アンド・ホイッ

トニーJT12エンジン4基のためにこの機体を手に入れました。当時JRドッドソンによると、

JT12は「まだいくらかは実行可能だった」といいます。この機体はロッキードが製造したジ

ェットスターの最後から4機目で、メキシコの鉱山会社が所有していました。この鉱山会社は

単に機体を退役させたのではなく、機長を退役させたのです。機長はオタワまで飛行機を飛ば

し、キーを手渡しました。「父の目には涙が流れていた」とJRドッドソンは回想しました。

その機長やその他大勢の人々と会うことが、彼の仕事の最高の部分だと彼は言います。「航空

業界の最もユニークな点は、非常に興味深く、成功し、意欲的で、素晴らしい人々が集まり、

旅行と飛行機への愛を共有する交差点であることです。世界中の人々と出会うことができま

す。それはまさにかけがえのない経験であり、私はすべての瞬間を楽しんできました。」

では、ハリソン・フォードの事故機ライアンはどうなったのか?ドッドソンはそれをカンザス

シティのチャールズ・B・ウィーラー・ダウンタウン空港の航空歴史博物館に売却しました。

賃貸借紛争が続いているため、博物館は閉鎖されています。

中古ビズジェット機の在庫が8月にさらに増加

エンブラエル フェノムの在庫は減少していますが、市場でのレガシー ジェット機の増加によって相殺されています。

エンブラエル フェノムの在庫は減少していますが、市場でのレガシー ジェット機の増加によって相殺されています。

アナリストのジェフリーズによる最新レポートによると、中古ビジネスジェット機の在庫は今

月も引き続き増加し、前年比20%増、7月から4%増となった。ジェフリーズは自社および

アムスタットのデータに基づき、製造中止から7年未満の比較的新しい航空機の在庫は前年比

23%増となりましたが、それでも3.9%と低い水準にとどまっていると付け加えました。

今月売りに出されているビジネスジェット機は全体で1,259機で、全機数の5.2%に相当しま

す。これは2023年8月の販売数1,051機と比較すると、利用可能な機体数の割合は1年間の

平均4.6%から増加しています。この増加はすべての航空機サイズに及び、中型ジェット機は

前年比23%増大型ジェット機は19%増、小型ジェット機は18%増となっています。同時に、

価格は前年比8%減で、7月から横ばいとなっています。

メーカー別では、販売中のエンブラエル機数は前年比横ばいの 39 機で、全機数の 3.3% を占

めています。販売中のレガシー機数の増加が、販売中のフェノム機数の減少を相殺しました。

エンブラエル ジェット機の平均価格は 10% 下落し、1,190 万ドルとなりました。

一方、ボンバルディアの在庫は13%増加して69機となり、全機数の3.9%を占める。リアジ

ェットの在庫は40%増加、グローバルは24%増加したが、チャレンジャーの在庫数は29%減少

しました。平均価格は7%下落して2,190万ドルとなりました。

ガルフストリームの在庫も27%増加して90機となり、1年前の3.2%から4%に増加しまし

た。この増加は、G650の在庫数が8機、G450が6機増加したことによる。ガルフストリーム

の平均価格は12%下落して2,160万ドルとなりました。

テキストロンアビエーション のセスナサイテーションの機数は 141 機で、前年比 33% 増加

しています。これは、市場に投入された CJ2/CJ2+ 機が 20 機、 Sovereignジェット

機が12 機増加したことによるものです。利用可能な航空機は、稼働中の サイテーション

ジェット機機数の 4.1% を占めています。定価は 4% 引き下げられています。

ダッソーの在庫はさらに前年比28%増となり、稼働機数の4.4%を占めます。これは1年前の

3.5%増と比べると大きいですが、販売機数が23機と低い水準から減少したとジェフリーズ

は指摘しました。ファルコンジェット機の価格は7%下落しました。

まとめ

ユーザーは、常に快適性と新しい機体を求めます。自動車でも『新車』は、やはり人気があります。

パイロットも、新しい機体は装備が充実しており、操縦もしやすいのです。経験の少ないパイ

ロットは、新しい機体に慣れてしまうと以前の飛行機には乗りたくないと思うものです。

またライセンス的にも違うメーカーの飛行機に乗ることは、訓練などリスクが伴います。どう

しても同じメーカーのバージョンアップした機体を好みます。私個人的には、古い機体も面白

いと思いますが。

こうやって古い機体は、今までは解体され鉄くずになっていました。再生することはかなりの

リスク(耐空性上)があります。自動車のジャンコなどと違って、溶接や組み立てビス一本に

至るまで厳しく規制され、信頼性を確保しなければ実際に飛ぶことはできません。最悪は空中

分解してしまうからです。また、故障が多くなり余計に費用がかかってしまいます。

そのような難しい事業にチャンスを見つけたドットソンは、『革命児』と呼ぶべきものかもし

れません。地球環境に配慮したSDGs(持続可能な開発目標)にも貢献しているのです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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