皆さんこんにちは！
航空関係者や世界の航空会社の責任者が一堂に会して、毎年数回開催されている「ルートワー
ルド・サミット」。今年は10月に中東のバーレーン王国で開催されます。その会議の中で、
オーバーツリズムについて話し合う観光季節サミットが開催。世界の現状と問題点は？
ルートワールド2024
IATAによると、2024年の世界全体の乗客数は前年比10.4%増加すると予想されています。
世界中で何百万もの雇用を支える航空輸送部門の重要な役割を認識し、ルートワールドは
今週（10月6～8日）バーレーンで開催され、航空会社、空港、目的地から2,300人以上の
意思決定者が集まり、将来の世界の航空接続を定義する予定です。
29回目となる今年のイベントには、世界最大手の航空会社230社の副社長やネットワーク計
画責任者が出席し、空港や目的地の代表者と9,000回以上の会議を行い、新しい路線の機会
を探ります。参加航空会社には、カタール航空、エティハド航空、エミレーツ航空、デルタ
航空、中国東方航空、ルフトハンザ グループ、エア カナダ、インターナショナル エアライ
ンズ グループ、リヤド航空、トルコ航空、日本航空、エールフランス、ガルフ エア、オマーン
航空、中国国際航空などがあります。
ルートワールド 2024 では、世界中の航空会社、空港、航空関係者が一堂に会し、航空サー
ビスの構築と世界経済の成長を目指します。このイベントでは、業界の世界的な将来を定義す
る上級ネットワーク プランナー間の対話のプラットフォームが生まれます。
今年の4月に開催されたルートヨーロッパ2024では、「サプライチェーンの苦境、地政学的
混乱、労働力不足への対処」という議題が話し合われました。その背景には、コロナのパン
デミックは過去のものとなり、国境は開かれ、地域の交通量とキャパシティは 2019 年の
レベルに回復しました。しかし、このような進歩にもかかわらず、依然として大きな課題が
残っています。インフレ、コスト圧力の高まり、労働力不足は依然として残っています。
航空会社は前例のないサプライ チェーンとエンジン関連の問題に取り組んでおり、航空機の
キャパシティ不足と、今後 1 年以降のスケジュールの不確実性につながっています。
さらに複雑なのは、東ヨーロッパと中東の地政学的不安定性で、航空路線ネットワークが混乱
しています。影響力のある幹部のパネルから、航空会社と空港がどのように混乱を管理し
乗り越えているかについて議論しました。
観光季節サミット
ローシーズン・トラベラーおよび太平洋アジア旅行協会（PATA）と提携して、初の 観光季節
サミット主催します。10月8日に開催されるこのサミットでは、観光地、空港、航空会社の思
想的リーダーが一堂に会し、観光のピークシーズンを超えた持続可能な成長のための革新的な
ソリューションを模索します。
なぜバーレーンなのか?
バーレーンはその戦略的な立地、ビジネスに優しい環境、世界クラスのデジタルインフラ、
革新に有利な規制構造、そして優秀な労働力と相まって、世界的な路線開発コミュニティを
結集するのに最適な目的地です。
バーレーンは GCC 地域（湾岸協力会議：中東・ペルシア湾岸地域における地域協力機構）
で最も多様化した経済を有し、金融サービス、技術革新、製造、物流の各分野で力強い成長
を遂げています。バーレーンの経済ビジョン 2030 は、持続可能で国際的に競争力があり
公正な、生産的で強固な経済を目指しています。先駆的な民間部門の推進により、国の最終
目標は 2030 年までにバーレーンのすべての世帯の収入を 2 倍にすることです。
バーレーンは、この地域で唯一の島国であり、市内観光や文化ツアーから、ウォータースポ
ーツ、真珠採り、ビーチでの休暇、ゴルフ、モータースポーツ、芸術、史跡、演劇、食事、
ショッピング体験など、さまざまな魅力的な観光スポットがあります。その他の人気の観光
スポットには、F1 バーレーン国際サーキット、バーレーン国立劇場、ゴルフ界のレジェン
ド・コリン・モンゴメリーが設計した 18 ホールのチャンピオンシップ スタンダード ゴルフ
コースなどがあります。
インフラや観光プロジェクトを含む戦略的プロジェクトへの300億ドル以上の投資は、成長を
さらに促進し、バーレーンを国際観光拠点として強化することを目指しています。長期的には
クリーン産業、再生可能エネルギー、観光の拠点となるようゼロから設計された5つの新し
い都市がこれに加わり、バーレーンの都市化地域は60パーセント拡大します。
今年のイベントは バーレーン国際空港で開催されます。バーレーンからの輸送能力は、ここ
数カ月に開設されたいくつかの新路線の追加により、2024年8月に過去最高を記録しました。
バーレーン空港会社はまた、同空港の乗客数が13.2%増加し、2024年上半期に460万人の
旅行者が利用したと報告しました。
2021年1月にオープンした新しい旅客ターミナルは、乗客、貨物、商業活動の収容能力がさら
に向上しました。これにより、空港の収容能力は倍増し、年間1,400万人以上の乗客と13万便
の航空機が利用でき、さらに1時間あたり4,700個の手荷物を処理できるようになりました。
ルートワールド2024の開催により、サウジアラビアが世界中の航空会社の意思決定者に提供
できる大きな機会が紹介されます。
これまでのルートワールドの開催地では、航空路線網の拡大が競合他社を 5.2% 上回っており
このイベントがサウジアラビアの MICE および観光産業のさらなる成長を促進すると確信して
います。MICEとは、企業等の会議（Meeting）、企業等の行う報奨・研修旅行
（インセンティブ旅行）（Incentive Travel）、国際機関・団体、学会等が行う国際
会議（Convention）、展示会・見本市、イベント（Exhibition/Event）の頭文字を使った
造語でこれらのビジネスイベントの総称です。
今週のイベントには、世界を代表する航空会社、空港、観光地、業界サプライヤーなど680
社以上が参加し、そのうち100社以上が出展またはスポンサーを務めます。これはバーレーン
王国にとってのグローバルプラットフォームであり、110か国以上がバーレーン王国が提供す
る機会を直接目にすることになるでしょう。」
バーレーン空港会社のモハメド・ユスフ・アルビンファラー最高経営責任者は次のように述べ
ました。「ルートワールド2024を主催し、世界中の航空業界のリーダーたちにバーレーンの
卓越したホスピタリティと接続性を体験していただくことを光栄に思います。このイベントは
戦略的な立地と世界クラスのインフラを活用し、バーレーンを世界的な航空・観光の中心地
として確立するという当社のビジョンと完全に一致しています。これはバーレーンのビジョン
と2026年までに王国を100の目的地に接続し、バーレーン国際空港を拠点とする航空会社
の数を増やすという当社の5カ年戦略にも合致しています。」
観光成長の再考：季節性のバランス
オーバーツーリズム
2019年、世界は記録的な14億人の海外観光客の到着数を記録し、多くの観光地はすでにこの
増加への対応に苦戦していました。「オーバーツーリズム」という言葉が流行語となり、
地域社会とインフラへの負担が浮き彫りになりました。現在、旅行が回復する中、私たちは
同じ課題に直面していますが、その規模はさらに大きくなる可能性があり、2030年までに
海外からの観光客数は倍増すると予想されています。
エアバスとボーイングは2040年までに航空機数を倍増させると予測しており、ヨーロッパ
の主要空港の半数以上がすでにピークシーズンには満員で運航している状況で、本当の問題
は、観光客と受け入れコミュニティの両方にとってプラスになる方法で観光業の成長を持続
するにはどうすればよいか、ということです。
答えは季節性の問題に取り組むことにあります。多くの観光地では、混雑した混雑したピー
クシーズンの後に、訪問者の少ない長いローシーズンが続きます。より多くの旅行をオフピー
ク期間に移行させることは、観光地と旅行者の両方に大きな利益をもたらす可能性があります。
オーバーツーリズムとは、過度な観光地化によって、地域住民の生活環境や観光客の観光体
験に悪影響を与える状態のことを指します。
2010年代後半から、スペイン・バルセロナやイタリア・ベネチア、オランダ・アムステル
ダムなどの都市では、観光客の集中にともなう交通渋滞や騒音、市街地への民泊の増加による
治安悪化への不安などにより、市民の住環境が脅かされる状況になりました。
オーバーツーリズムの背景には、新興国における観光需要の増加やLCC（格安航空会社）を
含む航空路線の拡大、クルーズ観光の拡大などが挙げられます。
オーバーツーリズムという言葉は、2015年ごろにアメリカの観光に関するインターネット
メディア「skift」が用いた造語であるといわれ、以来、世界的にこの問題が注目されてき
ました。
目的地のメリット
季節性曲線を平準化することで、観光地は多くの利益を得ることができます。ローシーズンの
旅行を促進することで、より安定した収入源を生み出し、ピーク月への依存を減らし、年間を
通じて雇用を維持できます。地元の労働者は、数か月間過重労働を強いられ、残りの年は
不完全雇用になるという、疲弊する悪循環に悩まされることがなくなります。
環境への影響も考慮する必要があります。ピーク時の観光客が減れば、地元の資源への負担が
軽減され、自然や文化遺産をよりよく保護できるようになります。つまり、ローシーズンの
旅行を受け入れることは、より健全で持続可能な観光モデルに貢献できるのです。
旅行者にとってより良い体験
旅行者にとって、オフピーク旅行のメリットは同様に魅力的です。ルーブル美術館や京都の
寺院などの象徴的な名所を、人混みのストレスなしに探索することを想像してみてください。
閑散期の静かな時期には、地元の文化に深く触れ、ユニークな体験をし、その土地の本当の
感覚を味わうことができます。
静かな空間を楽しむだけではありません。この時期に旅行すると、多くの場合、航空運賃や
宿泊費が安くなります。空室状況と柔軟性が高まるため、旅行者はより充実した旅程を組み、
よりお得な料金で旅行を楽しむことができます。
それは達成可能でしょうか?
この変化を実現するには、観光エコシステム全体での協力が必要です。たとえば、航空会社は
スケジュールと価格を調整し、空港はオフピーク便を奨励するために着陸料を下げることがで
きます。ホテルはローシーズンに合わせてサービスを再設計し、この時期にしか体験できない
ユニークな体験を強調したパッケージを作成することができます。
だからこそ、初開催となる観光季節サミットタイムリーなイベントなのです。観光局、航空
会社、空港、ホテルのリーダーたちが一堂に会し、戦略を共有し、成功事例を探ります。
お互いに学び合うことで、観光の恩恵が年間を通じて、そしてコミュニティ全体でより均等に
共有される未来を形作ることができます。
動的なルート変更は変化する需要パターンを反映
国際航空運送協会（IATA）が発表したデータによると、2023年に世界中の航空会社は6万
7000以上の定期路線を運航し、そのうち4200以上（約6.3％）が完全に新規となります。
これらの新規路線の大半、約3,400路線（81%）は地域内移動であり、国内および地域
の接続性の向上を反映しています。米国では619路線が新規追加され、中国とインドでは
それぞれ514路線と175路線が新規追加されました。
IATAは、新たに導入されたこれらの路線に加えて、少なくとも1年間運休していた5,200路線
が2023年に運航を再開し、全路線の8%を占めると報告した。これらの路線のほとんどは、
COVID-19パンデミック中に休止されていたが、航空旅行の需要が回復するにつれて運航を
再開しました。
アジア太平洋地域は、ネットワーク内で最も大きな変化を経験し、2023年の路線のうち
2022年に運航された路線と同じ路線はわずか82%でした。この地域では、中国などの国が
国際旅行市場を再開したため、路線が戻る割合も11%と最も高くなりました。それにもかか
わらず、アジア太平洋地域では、2014年から2022年の間に一度も運航されなかった新規路
線が7%導入され、中東やアフリカで見られる割合と一致しました。
ヨーロッパとアメリカ大陸の両方で新しい路線が追加され、それぞれのネットワークの6%
を占めました。この割合は他の地域よりもわずかに低いものの、市場規模が大きいため、
実際の新しい路線の数は相当な数になりました。
IATAは報告書の中で、「変化する消費者の需要とニーズに対する航空会社の関心と対応は
航空路線の変動に明確に表れている」と指摘しました。
「こうした展開は、総交通量だけでは、常に進化する航空輸送ネットワークの全体像を語れな
いことを示しています。航空会社は乗客のニーズと好みを綿密に監視し、それに応じてネット
ワークを調整しています。これは、ダイナミックで競争の激しい市場で当然のことです。」
まとめ
日本は、季節（春夏秋冬）常に観光できる国です。ここで言うローシーズンは当てはまらない
部分もありますが、観光立国として特定観光地（京都、北海道、富士山、東京など）から
地方観光へのシフトが必要です。そのためには地方へのアクセスを充実させ、季節ごとの地方
観光を体系づけることが求められます。
今こそ、観光業の成長を再定義すべき時です。ローシーズンは、休止期間としてではなく、
よりバランスのとれた、持続可能で回復力のある観光産業を築く貴重な機会として捉えるべき
です。この機会を捉えて、いつ、どこに、どのように旅行するかを再考し、観光業が人々の生
活を豊かにし、文化を守り、世界の美しさを未来の世代に残す善の力となるようにしましょう。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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