皆さんこんにちは!
今年に、中国の人口を追い抜いたインド。インドと言えばITや宇宙開発でも世界の
トップに躍進しています。そして何と言っても、その人口を利用して経済発展が
期待できます。はたして第2の中国となるのでしょうか?
成長著しいインド
クレジット: Sajjad Hussain/AFP/Getty Images
パリ航空ショーでエア・インディアとインディゴからエアバスとボーイングへの合計970
機の確定受注という記録的な受注を受けて、インドについては大きな話題になっています。
中国の国際航空旅行の回復が精彩を欠き、長期的な成長見通しも鈍化する中、業界は新た
な成長エンジンを模索しています。航空機メーカーも中国との地政学的緊張を考慮して、
低コスト調達の新たな選択肢を模索しており、インドはこのニーズに応える態勢を整えて
います。インドは航空業界の次の中国となる可能性があるのでしょうか?
インドの航空旅行産業は発展途上です。エアバスによると、新型コロナウイルス感染症拡
大以前のインドの一人当たり年間平均旅行者数はわずか0.12回で、中国の0.49回や米国の
2.07回には遠く及びませんでした。世界最大の人口が 14 億人であるインドでは、一人当
たりの旅行がわずかに増加しただけでも、大きな航空旅行需要が発生するでしょう。
航空旅行の伸びは国内総生産(GDP)の伸びと高い相関があり、経済協力開発機構はイン
ドの実質GDPが今後20年間で年平均5.5%上昇すると予測しています。これは、新型コロ
ナウイルス感染症以前の20年間における中国の驚異的な年間成長率14%には及びませんが
それでも今日の世界では異常値です。
空港インフラへの投資不足によって需要の増加が妨げられる可能性があります。これを防
ぐために、インド政府は既存の空港の近代化と新しい空港の建設に2025年までに120億
ドルを費やすことを約束しました。これに対し、EU は 2000 年から 2013 年までに空港
インフラにわずか 45 億ユーロ (54 億ドル) を費やしました。インドでは今後 5 年間で
80 もの新しい空港が建設される可能性があります。
これらの前向きな指標にもかかわらず、インドは主要な航空市場になるまでの過程で構造
的なハードルに直面しています。インドの経済成長は力強いですが、航空旅行需要の本当
の原動力は平均収入です。インドの一人当たり GDP は 2043 年までに現在のドルでわず
か 6,000 ドルに達する見込みで、航空需要が本格化する基準となる 10,000 ドルを大きく
下回ります。さらに、インドの富の不平等により、多くの人が飛行機に乗る余裕がありま
せん。インドは旅行性向を高めるために富裕層に富を集中させるのではなく、個人を中流
階級に引き上げる必要があるのです。
これらの競合要因を考慮して、エアロダイナミック アドバイザリーの 20 年間の航空旅行
需要予測では、インドが年間 8.3% で最も急成長する地域になると予測しています。そう
すれば、インドは世界の航空旅行の3%から9%に増えることになりますが、中国を追い越
すとは予想していません。
インドの航空産業の成長は、今後も航空機需要に大きな影響を与えるでしょう。中国は、
より薄い短距離旅行の需要に応えるために大規模な高速鉄道ネットワークに投資したため、
地域航空ネットワークを開発しませんでした。インドには高速鉄道網の開発という長期計
画がありますが、国内の総航空需要のうち、20年以内に開業予定の実行可能な鉄道路線に
代替されるリスクにさらされているのはわずか6%にすぎません。近年、世界中の地域航空
機の需要はパイロット費用の高騰により打撃を受けており、インドにおける地域旅行の増
加はこの低迷する市場を刺激するのに役立つ可能性があります。
インドは航空機の好調な受注と引き換えに、航空宇宙製造のパイの一部を手に入れる構え
です。世界貿易機関の民間航空機貿易協定に完全署名している国とは異なり、インドと
中国は航空機の注文と引き換えに製造オフセットを要求することができます。インドは知
的財産権を尊重しているため、製造業の観点からは中国よりも優れています。インドも西
側同盟国であり、オーストラリア、日本、米国とのクアッド同盟の一部である一方、中国
は技術移転承認の点で深刻な問題を引き起こす潜在的な対等敵国である。
航空宇宙製造におけるインドの戦略的関心は民間航空を超えて広がっています。世界最大
の防衛装備品輸出市場の一つです。軍事オフセットは一般的であるため、インドは防衛買収
や民事命令を利用して国内の航空宇宙サプライヤー基盤を発展させることができます。
インドは、こうした製造の機会を活用するために積極的に取り組むことができます。まず、
断片化した規制環境を合理化し、外部企業が容易に対応できるようにすることができます。
さらに、航空宇宙産業が確立していない国では熟練労働者へのアクセスが難しいため、イン
ドは労働力訓練プログラムを開発することができます。熱処理などの重要な製造サービスの
一部はインドのエコシステムに欠けており、アウトソーシングを余儀なくされているため、
これらの機能を国内で開発すれば価値提案が向上するでしょう。
インドに対する大きな期待は、同国の一人当たりGDPが低いことと、世界舞台で大きなプレ
ーヤーに成長するためには乗り越えなければならないハードルを考慮すれば、和らげられる
はずです。
エア・インディア、デリーに新しいエンジニアリング施設を開設
クレジット: エア・インディア
インドでのスペア部品不足によって生じるサプライチェーンの問題を軽減するために、
エア・インディアは100万個以上のスペア部品を保管するエンジニアリング倉庫の建設を
委託しました。
54,000フィート2 の集中倉庫は、デリーとムンバイの16拠点を1つの施設に統合し、航空
機や地上支援機器のメンテナンス、点検、修理のための部品を保管する計画です。
同社は声明で、この施設が成長を続ける同社の航空機をサポートし、エンジニアリング要
件に対する「ワンストップソリューション」として運航の信頼性を高めると述べました。
また、この施設はインドの拡大する航空エコシステムを強化すると述べたのです。
この施設はデリー・インディラ・ガンディー国際空港の航空貨物物流部門の近くに位置し、
デリーから運航する同航空便のターンアラウンドを大幅にスピードアップすることを目的
としています。また、エア・インディア、エア・インディア・エクスプレス、および AIX
Connect のメンテナンス業務をサポートする戦略的な位置付けにもなっています。
エア・インディアは、この倉庫を使用して、ハードウェアからより複雑な航空電子機器、
油圧機器、構造部品、空気圧部品、機械部品に至るまで、航空機の予備品、工具、地上支
援機器を保管します。
エア・インディアのキャンベル・ウィルソン最高経営責任者(CEO)は「この倉庫により、
航空機の予備品へのより近いアクセスとより適切な管理が可能になり、あらゆるエンジニ
アリング要件に迅速に対応できるようになり、フライトの定時性の向上につながる」と述
べました。
まとめ
インドは、世界一の人口を背景に今後経済はますます発展してきます。
しかしながら、インディゴのP&Wのエンジン問題がその成長を一時的に鈍化させるでしょ
う。
インドの航空業界は、世界の航空業界と同様、3年前、新型コロナウイルスのパンデミッ
クが続く中、困難に満ちた状況を乗り切りました。パンデミックは航空業界に多大な影響
を及ぼし、旅客数、収入、収益が大幅に減少しました。この減少は、広範囲の閉鎖、旅行
制限、健康への懸念の高まりに起因しています。このような逆境にもかかわらず、業界は
驚異的な回復力を示し、状況が徐々に改善するにつれて立ち直る能力を発揮しました。
インドは急速な成長を遂げており、世界最大級の市場として台頭しつつあります。
国際航空運送協会(IATA)によれば、2030年までに中国と米国を抜き、航空旅客にとっ
て最大の市場になると予測されています。インドは航空インフラと接続性を積極的に開発
しています。政府は国内の空港数を増やすべく熱心に取り組んでいるのです。 そのビジョ
ンの一環として、政府は2025年までに運用可能な空港の数を220まで増やすことを目指し
ています。地域間の接続をさらに強化し、一般市民に手ごろな価格で航空旅行を提供する
ため、政府はUDAN(Ude Desh ka Aam Nagrik:インド政府の地方空港開発プログラム)
のようなスキームも導入しています。
インドが世界の一角に入るためには、富裕層だけではなく国民全体の経済性をアップしな
ければなりません。インドにはカースト制度という悪しきしきたりがあります。これは
中等で働いていたときに実感しました。インドにステイ(滞在)したときに、貧富の差
を目の当たりにしました。それは、数年前の中国と同様ですが、インドの場合はその差は
絶対なものなのです。ただ、中国と違うところは人々に活気があることです。それが、
今後のインドの希望の光になることでしょう。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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