皆さんこんにちは！
2018年、2019年立て続けにボーイング737MAXが墜落事故を起こして、多数の死者を出し
ました。ボーイングは原因究明のために、運航を停止していましたが2020年11月のFAAの
運航停止命令取り消し以降、多くの航空会社は運用再開に踏み切った矢先の出来事です。
新たな問題が発生しました！
ソフトウェア プログラムの新たな問題
ソフトウェア問題
ソフトウェア プログラムの新たな問題により、一部のボーイング 737 MAX の納入が最大
1 年遅れる、と報告がありました。FAA（連邦航空局）は、その使用を、再構成中の航空機
への納入前に解決しなければならない安全上の問題と見なしています。
オプション選択ソフトウェア (OSS) と呼ばれるボーイングのソフトウェアは、ボーイング
が 737 MAX にインストールされているソフトウェアを識別するために使用されます。たと
えば、737 が航空会社 A 用に製造され、代わりに航空会社 B に行く場合、コックピット
ディスプレイと関連システムの再構成が必要になる場合があります。MAX と 787 が影響を
受けると言われています。これは、ボーイング737MAXを所有していた航空会社の一部が
運航停止で長期間保管されていた航空機の大量の在庫があるためです。新たに別の事業者向
けに販売または再構成する場合、ボーイングは OSS を使用してソフトウェアを再構成し、
変更に関連する部品を特定しなければなりません。
当初、すべての 7 シリーズ航空機が影響を受けると考えられていました。ただし、影響
を受けるのは MAX と 787 だけです。
FAAの見解
FAA は詳細についてコメントすることを拒否しましたが、「私たちの関心は、航空機関連
のソフトウェアの安全性への影響について予想されることです」と述べました。
さらに、ある規制管轄区域から別の規制管轄区域に移行する場合にも、再構成が必要にな
る場合があります。たとえば、連邦航空局の当局から欧州の規制当局である EASA に移行
する場合などです。再構成要件はキャビンには影響しません。コックピットと関連する
システムと部品のみです。
FAA はこのソフトウェアシステムが完璧であることを完全に検証する必要があると主張
しています。しかし、このプロセスの経験は証明されておらず、過去にはほとんど必要
ありませんでした。このソフトウェアは、多くの動作機能に関するデータを生成し、
再構成が必要な特定のシステムと部品を識別することになっているためです。
中国が注文したMAXに影響する
ボーイングは、中国の航空会社が注文し、中国の航空会社のために製造された138台の
MAXを保管しており、パンデミック中に運航を停止した他の航空会社の数は不明です。
ボーイング社のデービッド・カルフーン最高経営責任者（CEO）は、ボーイング社が
これらの航空機を再販する予定であると2022年9月に発表しましたが、中国政府は
これまでの所納入の承認を否定しています。しかし、カルフーンは 1 月に方針を転換
し、2023年1 月 26 日に航空機のリマーケティングを「一時停止」すると発表。
カルフーン氏は、米中関係に雪解けの兆しが見られたことを理由として挙げました。
しかし数日後、中国の偵察気球が米国の領土に入ると、緊張が再び高まりました。
最終的にはサウスカロライナ沖で撃墜されました。再び米中関係は悪化しました。
単純な航空機問題だけでなく、運航停止時におけるアメリカ合衆国のトランプ政権に
よる米中摩擦の先鋭化や中国商用航空機（COMAC）による旅客機開発競争への参入
とも重なり、ボーイングが中国での運航再開に向けた要件提出後もCAAC（中国民用
航空局）は新型コロナウイルス感染症による渡航制限などを理由に運航再開に向けた
CAAC担当による飛行試験自体を先延ばしにしていて、通商問題の一つになる可能性
が出てきています。
ボーイング787の別の問題
このソフトウェア問題は 787 にも当てはまりますが、関連するのははるかに少ない
です。
ボーイングは以前、新しく製造された787に紙一枚の厚さの小さな隙間が発見された
とき、787 の納入を一時停止しました。ボーイングは休止中に 115 機の 787を製造
しました。FAA は、修正を承認する前にボーイングに細心のレビュー プロセスを実施、
ボーイングが配送を再開できるようにしました。製造された飛行機の再加工には 5 か
月かかりました。
ボーイングが配送再開の許可を受け取った後、すべての顧客に配送スケジュールの修正
が行われました。現在、多くの航空会社は、さらに 6 か月から 18 か月の遅延が発生す
ることを通知されています。この新たな一連の遅延が、再構成の問題だけのためのもの
かどうかは不明です。
VC-25（エアフォースワン）
このソフトウェア問題はまた、ボーイング 747-8 ベースの VC-25 (米国大統領専用機
のエア フォース ワンとして使用) の再構成にも問題を与えています。エア フォース
ワンに改造するため、2 機の747-8 が政府によって購入されました。
今後の予想
ボーイングが MAX を再認証するのに 20 か月かかり、787 の納入を再開するための
FAA の承認を得るのにほぼ同じ時間がかかりました。現在、別の長いプロセスに直面
しています。この問題は秋に発見されましたが 、「秋」とは 9 月 21 日から 12 月
21 日までの期間です。ボーイングは、4 月末までにソフトウェアの検証と承認を得た
いと考えています。しかし、この目標が達成される保証はどこにもありません。
シアトル近郊の不動産の売却
ボーイングが 737 MAX の飛行停止と COVID パンデミックの際にコストを削減する
ためにシアトル近郊の不動産の売却を開始したと報じられました。
ロングエーカーズとして知られる元競馬場のレントンにあるすべての建物が売却され
ました。これらの建物は、ボーイング民間航空機の本社でした。複合材料が作られ、
研究が行われていたいくつかの建物は売却されました。
またボーイングのアーカイブの長年の本拠地であったシアトル郊外のベルビューにある
建物が縮小されました。ここにはボーイングの過去の書類、エンジニアリング計画。
写真、映画と考えられるほぼすべての記録が納められていました。
そしてモデル飛行機の数々。これまでに販売されたすべてのボーイング航空機のモデルや
コンセプト飛行機のモデル、いくつかは本当に貴重なものです。
これらすべての記録、モデル、写真などは、タコマ郊外のオーバーンにあるボーイング
の工業およびデザイン複合施設内の新しく大きな場所に移動しました。移転は1月に完了。
コスト削減にもかかわらず、ボーイングはこれらの歴史的文書、写真、モデルの保存に
専念し、オーバーンのスペースを新しいアーカイブに変換することに投資しました。
ボーイングはすべての記録、フィルム、写真をデジタル化しています。しかし、このす
べてを完了するには数十年かかります。最も古い記録は、創業者ビル・ボーイングが現
在有名なレッド・バーン工場を建設していた1910年にさかのぼります。
エアバスは絶好調！
エアバス社は、2月16日に2022 年の結果を発表しました。同社は2022 年にいくつか
の破壊的な出来事があったにもかかわらず、588 億ユーロ（８兆５千億円）の収益に
対して 43 億ユーロ（６千２百億円）の純利益を発表しました。
ロシアとウクライナの戦争の影響やCOVID後のサプライチェーンの増加などの混乱
により、2022年の納入数は目標の110機の半分で維持され、当初予定されていた
720機ではなく661機の納入となりました。
現在、A320 シリーズは 2029 年まで完売しています。2024 年末には月間 65 機
への増加が計画されており、75 機は 2025 年から 2026 年まで延期されます。
2022 年の初めには、供給の問題はエンジンでしたが、これが緩和されると、
チップ不足や特殊材料不足により多くの部品の供給がボトルネックになります。
ワイドボディ機の需要は、予想よりも早く回復しています。ワイドボディ機の納入
に遅れはありませんが、A350 の生産率は 2025 年末までに月 9 機に引き上げら
れます (現在は 6 機)。
A330neo の需要も増加しています。2024 年には現在の 3 回/月が 4 回に引き上げ
られます。
まとめ
COVID後の航空需要回復が、本格化してきました。しかし、ボーイング737MAX
の新たな火種は、ボーイング社だけではなく全世界の航空業界にとってもたいへんな
痛手です。エアバス社だけでは、航空機の生産は世界の需要に追いついていかない
でしょう。そして大きな影を落としているのは、ロシアとウクライナの戦争の長期化
です。世界の大きなサプライチェーンが崩れています。
昨日お話ししたように日本の航空宇宙産業も危機を迎えています。そうすると台頭
してくるのは？そう中国です！中国は新しい航空機の開発や、宇宙ステーション建設や
ロケットの開発など宇宙ビジネスも伸びています。ボーイングの衰退と共にアメリカ
経済の先行きの不透明さが鮮明になってきます。アメリカが世界のリーダーの座を失う
日が来るのでしょうか？
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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