水中ドローン国産化へ

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

政府は、全自動で水中を航行できる自律型無人探査機(AUV:水中ドローン)の国産化を

進める方針を固め、AUV戦略を年内にも策定します。

自律型無人探査機(AUV:水中ドローン)

自律型無人探査機(AUV:水中ドローン)

自律型無人探査機AUVAutonomous Underwater Vehicle)は水中ドローンとも

呼ばれています。船舶とケーブルで繋いで人が操作する必要がなく、広範囲の海域で

活躍できるモノです。政府は、海洋資源開発や安全保障分野などで利用拡大が見込ま

れます。今後活用が期待されるのは、洋上風力発電設置のための地形調査や保守点検

港湾施設などのインフラの管理です。防衛省や海上保安庁は、日本周辺海域に侵入す

る船や潜水艦などの警戒・監視にも役立てることを検討しています。

海洋無人機

海洋無人機とは、水中を潜航できる「無人潜水機」と水面上を航行する「無人水上機」

に大別されます。

水中を潜航可能な「無人潜水機」は①母船に曳航される曳航型(Tow Fish)、②母船

もしくは基地局から操作する「遠隔操作型」、③遠隔操作を必要としない「自律型」に

分類されています。

遠隔操作型は一般的に「ROV(Remotely Operated Vehicle)」と呼ばれています。

一般的にはアンビリカルケーブルを洋上の母船と接続し、給電および通信をアンビリカ

ルケーブルにおいて実施します。

また、自律型は「AUV(Autonomous Underwater Vehicle)」と呼ばれています。

「自律」が示しているとおり、AUV 自身が状況に応じて決められた潜航ルートからの逸

脱や緊急浮上などの判断を行うことができる能力を持っています。

人が乗り込んで直接操縦する有人潜水艇(HOV: Human Occupied Vehicle)は人が直

接海中に行けるという利点がありますが、人が乗るために大型になることと厳重な安全

対策が求められることから、運用コストが大きいのです。このため、運用者は大規模な

研究所や海底油田産業などに限られています。ROVはテザーケーブルを介して人が操縦

するタイプであり、HOVよりは手軽でありながら、人が操縦するため複雑な作業も可能

です。世界最深部まで行ける大型のものから、クレーン無しで運用できる小型のものまで

さまざまな種類があり、3種類ののうち現在最も普及しています。ちなみに最近話題の

「海中ドローン」は小型ROVに該当するものが多い。AUVは人が操縦せずに全自動で行動

するロボットで、最大の利点はテザーケーブルが無いことであり、これにより行動範囲の

制限を受けず、また波や流れの影響を受けずに安定した観測ができます。ケーブルのハン

ドリング装置や操縦室といった支援設備も最小限で済むため、ROVよりも運用コストが小さ

くて済みます。また、支援船無しでの運用や、複数同時運用による効率化などのポテンシャ

ルを秘めています。

 

AUVの運用方法

AUVの運用概要(海上保安庁 海洋情報部資料)

予めプログラミングした潜航ルートを自律的に航行し、調査を行います。

母船では、無線通信(海面上)や音響通信(潜航中)によって、AUVの位置や航行状態

を監視するとともにAUVの制御等を行います。

なぜ、国産化なのか?

現在、国内で使われているAUVの多くは海外製で、国内企業の参入は遅れているのが

実情です。世界市場でトップを占めているのは米国で、中国や英国も水深6000メー

トル級を開発するなど、研究に力を入れています。

AUVは1機あたり、数千万円から10億円を超えるものもあります。政府は新たに策

定する戦略で、製造コストを抑えるため、機器や部品、ソフトウェアの共通化、互換性

の確保を図ることを明記する予定です。官民連携で運用指針を含め、関連する制度の整

備を進め、メーカーの人材育成や海外展開を支援する方針なども盛り込む方向で調整し

ています。

川崎重工業のAUV

川崎重工業は、潜水艦技術を応用し、海中設備の保守・点検を目的とした自律型無人潜水

機 (AUV) を開発しています。川崎重工業が目指すAUVは水中作業時間の長時間化及び近

距離検査作業を可能とするもので、海中設備の保守・点検に要するコストを削減し、今後

さらに拡大する海洋開発に寄与しています。

上記の写真は試作機で、最大潜水深度は2000メートル、速度は約3ノット(時速5.5キロ

メートル)、2時間の充電時間で約8時間運用できます。

AUV市場予測

AUV市場は、2022年に808.3百米ドルの市場価値から、2030年までに3,289.2百万米

ドルに達すると推定され、予測期間中に22.20%のCAGR(企業の年平均成長率)で成

長すると予想されています。

海の境界を監視するためのAUVの世界的な需要の増加、および石油・ガス産業でAUVの

アプリケーションの増加は、この市場の成長を推進しています。オフショア石油とガス

産業の企業の設備投資の増加、海洋研究の増加と防衛費の増加、および軍事部門の開発

のための投資の急増も、市場の成長に貢献するいくつかの要因です。さらに、設計および

ソフトウェアコンポーネントに関する技術の継続的な開発と進歩、および水生生物のバラ

ンスを維持するための海水モニタリングに対する政府支出の増加も、予測期間中の市場の

成長を後押ししています。特に、レアメタルと呼ばれるコバルト、亜鉛、マグネシウムな

どの鉱物を抽出するための水中探査活動の重要なツールとして広く使用されています。

これらの鉱物は、スマートフォン、ラップトップ、ハイブリッド車などの製造に使用され

ています。しかし、一番のシェアを占めているのは軍事と防衛関連です。

バルト海の大規模ガス漏れ、水中ドローンによるロシアのインフラ攻撃か

2022年9月にロシアとドイツをバルト海経由で結ぶ海底ガスパイプライン「ノルトスト

リーム(NS)」で発生した大規模なガス漏れがありました。バルト海には、デンマー

ク経由で資源国ノルウェーと欧州大陸を結ぶパイプラインや、船で輸送できる液化天然

ガス(LNG)施設、洋上風力発電など、エネルギーの脱ロシア依存のカギを握るイン

フラが集積しています。

ロシアは関与を否定していますが、欧米各国はロシア側の水中ドローンによる攻撃とみて

警戒をしています。

世界トップレベルの潜航能力!海自の新型潜水艦

海上自衛隊の潜水艦の能力が世界でも上位に入ることをご存知の方も多いと思います。

では何が優れているのでしょうか?

海上自衛隊では2022年3月に、クジラにちなむ名前を授かった最新鋭潜水艦「たいげい」

が就役したばかりです。 これで2010年の防衛大綱(22大綱)で定められた潜水艦22船

制度が整いました。

そうりゅう型潜水艦は通常動力型潜水艦の中では世界最強と呼ばれています。通常動力型

というのは動力にディーゼルエンジンやスターリングエンジンを使う潜水艦のことで、そ

れとは別の潜水艦として原子力潜水艦があります。

そうりゅう型潜水艦は原子力潜水艦と比較して総合的には敵わないものの、探査能力など

は劣らない性能だとされています。

優れた性能の内の一つとして、非大気依存推進というものがあります。非大気依存推進と

は潜水艦を浮上させずに長期間の潜行を可能にする技術です。

潜水艦は内燃機関に必要な空気を取り入れる為に浮上かシュノーケル航走ができる深さで

潜行しなくてはいけませんが、それだけ敵の船やヘリなどに見つかる可能性が高くなって

しまいます。

非大気依存推進では液体酸素を積むことで内燃機関に必要な酸素を発生させることで深

く潜行したままでも発電することができます。

従来の潜水艦では酸素の補充に半日からギリギリ数日で浅い深度まで浮上をしなければい

けませんでした。しかし、液体酸素と高燃費エンジンのおかげでそうりゅう型潜水艦では

最長で2週間ほどの潜水が可能となっています。

2022年3月就役した『たいげい』。漢字では「大鯨」と書きます。

2017年から建造が始まった新型潜水艦『たいげい』型は、原子力を使わない通常動力潜水

艦としては世界トップレベルの潜航能力を持ちます。鉛蓄電池と比べて、より多くの電力を

素早く充電、放電できる上、水素ガスも発生しないリチウムイオン蓄電池の特性を最大限に

発揮できるよう、設計を改めた点が大きなポイントです。

潜水艦は、ディーゼルエンジンで発電・充電した電気でモーターを動かしプロペラを回して

推進する。潜航しながら充電するためには、スノーケルと呼ばれる吸排気装置を海面から突

き出し、外気を取り入れながらディーゼルエンジンを回して航行する必要があるが、『たい

げい』型の4番艦からは、潜航しながら速やかに蓄電池を充電できる「新型スノーケル発電

システム」を採用。これにより、これまで以上に効率的に潜水艦の充電ができるようになり

ました。

1番艦の『たいげい』は22年3月に完成・就役、2番艦の『はくげい』は23年3月に完成予定。

現時点では、古くなった艦の代替として6番艦までの建造が計画されています。

まとめ

旧日本海軍の潜水艦技術は、ドイツのUボートから来ていると言われています。

しかしながら、その技術の高さは定評がありました。旧日本海軍の、伊400型をアメリカ

が見つけたときにはその技術力に酷く驚き、当時のソ連が知る前に自沈させた程です。そ

の意味では船体設計に関しては十分な技術を持っていたことが証明できます。

また潜水艦の推進力の源となるスクリューの羽根(プロペラ)の技術は素晴らしく、水を

かく音がしないとまで言われています。

戦後、敗戦と共に日本の優れた飛行機や船、潜水艦の技術などが失われました。失われた

時間は取り戻せませんが、新しい技術の開発で日本が世界の頂点に返り咲く日を期待します。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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