eVTOL の死の谷を越える

皆さんこんにちは！

今やエアタクシー（eVTOL)は、人類の夢から現実のものとなります。ジョビーやアーチャー

などの世界の先進スタートアップ企業は、次々と人を乗せて飛行試験を行っています。

今後のエアタクシーは、「死の谷」を越えたのでしょうか？

eVTOL の死の谷を越える

モントリオールで開催された ICAO AAM シンポジウムで展示された、ウィスク社の飛行していない第 6 世代プロトタイプ。クレジット: ベン・ゴールドスタイン

モントリオール—電動垂直離着陸機（eVTOL）の新興メーカーは、高密度の都市型航空モビ

リティ（UAM）サービスの世界を思い描いているが、まずは死の谷を越えなければなりません。

ビジネス用語では、「死の谷」という言葉は、スタートアップ企業が事業を開始したものの、

まだ顧客がおらず、したがって収益も得られていない段階を指します。この段階では、eVTOL

企業のような資本集約型のスタートアップ企業は、かなりの収益が得られるまで何年も巨額の

資金を浪費することがあり、赤字企業に資金提供し続けることにうんざりしている投資家の忍

耐力が試されます。

9月9日から12日まで当地で開催されたICAO AAMシンポジウムの傍らで、数社の大手

eVTOLスタートアップ企業の幹部と会話を交わした際、「死の谷」という言葉が何度も出てき

て、当初の興奮がスケジュールの延長や資本市場の逼迫に対する懸念に取って代わられるなか

業界の不確実な状況を内部関係者がどのように認識しているかを示唆しました。

「業界全体が今、死の谷にいる」とイブのCEO、ヨハン・ボルダイス氏は語りました。

「誇大宣伝の段階は終わった。今は開発段階にあり、現金の調達が難しくなっています。

我々は他の皆と同じようにこの状況を経験していますが、最新の[9,600万ドルの株式]調達後

は非常に好調です。

しかし、これはサイクルの厳しい時期であり、皆の幸運を祈るが、おそらく生き残れない人も

いるだろう。」

すでに型式認証キャンペーンが順調に進んでいるボロコプターは、来年の第1四半期または第2

四半期に予定されているeVTOLの認証を取得する最初の欧米企業になる準備が整っているようです。

この新興企業の最高リスクおよび認証責任者であるオリバー・ラインハルト氏も、業界の現状

を「死の谷」という言葉で表現しましたが、同時にボロコプターがロードマップを実行する能

力については楽観的な見方を示しました。

また、ラインハルト氏は、ボロコプターのディルク・ホーク最高経営責任者（CEO）とシュテ

ファン・クロッケ諮問委員会会長の2月の退任が発表されたことについても言及し、次期取締

役会長で元ダイムラー・ベンツのCEOであるディーター・ツェッチェ氏が次期CEOの選出を監

督するため、同社は良い体制で運営されるだろうと強調しました。

「サプライズは常に起こるものですが、全体として、私たちはすべての重要な要素を揃えてい

ると思います」とラインハルト氏は語りました。「確かに、これはスタートアップ企業にと

って困難な時期であり、私たちは最善を尽くして対処していきます。しかし、私たちには明確

な道があります。それは、そのパフォーマンス特性、つまりその使命と範囲を満たすことがで

きることを実証した製品です。タイムラインが厳しいことはわかっています。しかし、最終的

にそのゴールラインを越えれば、直接的な運用経験を積み始めることができます。そして、そ

れはこの業界で誰もが必要としているものです。」

収益を上げていないスタートアップ企業である eVTOL 企業は常に資金調達モードにあります。

たとえば、アナリストは リリウム（独）が年末までに資金を使い果たすと予想していました。

先週、同社がバイエルン州政府から 5,000 万ユーロ (5,560 万ドル) の融資保証を確保し、

ドイツ連邦政府からも同額の融資を受ける予定であるというニュースが報じられました。

しかし、この新たな資金は、問題を少し先送りするだけです。

「確かに、彼らは資金を増やしたが、それでどうなるのか？」とSMGコンサルティングのアナ

リスト、セルジオ・セカッタ氏は言います。「第4四半期に資金が尽きる予定だったが、来

年の第1四半期か第2四半期まで持ちこたえられる。それは素晴らしいことだが、実際にどの程

度まで状況が改善するのか？」

セカッタ氏はまた、ほとんどの新興企業にとって、型式認証の取得は最終段階ではなく、最も

費用のかかる段階でもないと指摘します。新興企業は、ローンチ市場でのサービス開始に必要

な資金も調達する必要があり、最も重要なのは、大量生産施設を立ち上げることです。「生

産に必要な資金は、現在必要な金額よりもはるかに多くなるだろう」と同氏は言います。

エアバス、ボーイング傘下のウィスク、エンブラエルからスピンオフしたイブなど、大手航空

宇宙OEMの支援を受けている企業にとっては、リスクはいくぶん低いのです。

「エアバスの支援を受けられるのは、本当に光栄なことです」と、CityAirbus NextGen

eVTOLを開発しているエアバスUAMのCEO、バルキス・サリハン氏は語ります。「無制限で

疑問の余地のない開発予算があるのは当然ではありません。そういうものではありません。

ロードマップがあり、達成すべきマイルストーンがあります。ですから、常に資金調達モード

にあるわけではありませんが、次のステップに進む権利を常に獲得しなければなりません。」

ウィスク社のエンジニアリングおよびプログラム担当上級副社長セバスチャン・ビニヨン氏も

同意見です。「OEM のサポートがなければ、このようなことはできなかったと思います」と

同氏は言います。「彼らはウィスク社に多額の資金を投資し、知的財産と技術サポートを提供

しています。ボーイング社はウィスク社を真剣に考えています。彼らは私たちの最大の資産です。」

各社が大規模な運用開始までに予想以上に長い期間を要する可能性があるため、エアバス、ボ

ーイング、エンブラエルなどの OEM 企業、またはアーチャーの場合は自動車メーカーのステ

ランティスからのサポートが特に重要になるでしょう。

「バブルではありませんが、この業界は人々が予想するよりも膨らむのに時間がかかる風船の

ようなものだと思います」とセカッタ氏は言います。「貨物や観光などは簡単に実現できます。

UAM はドミノ効果のようなものになると思います。まず世界中のいくつかの都市で実施すれ

ば、他の都市もそれに追随するでしょう。しかし、正直言って、規模が拡大するのは 2030 年

代後半までにはならないと思います。」

Volar Air MobilityとEtihad Aviation Training LLCが先進的な電気航空機の運用に関する覚書を締結

ボラールエアモビリティとエティハド航空訓練 LLCは、先進的な電気航空機の運用分野におけ

る協力を強化するための覚書を締結しました。

このMOUは先週カナダのモントリオールで開催されたICAOのAAMシンポジウムで調印され

ました。両社は相互の関心分野における情報交換と共同イニシアチブを通じて双方の能力と専

門知識を最大限に活用し、UAEの航空部門の発展を目指します。

これには、電気航空機の運用、革新的な持続可能性プロジェクト、UAE当局との規制関与に関

する研究開発（R&D）への重点が含まれます。

ボラールエアモビリティインダストリーの創設パートナーであるサイフ・アルダルマキ氏は、

次のように述べています。「エティハド航空訓練との今回の契約は、航空モビリティに革命を

起こすという当社の使命において大きな前進を意味します。協力することで、電気航空の可能

性の限界を押し広げ、より環境に優しく効率的な未来への道を切り開きます。」

ボラールエアモビリティインダストリーのマネージングパートナー兼共同創設者であるアンワ

ル・フセイン氏は次のように付け加えました。「EATとのコラボレーションは、戦略的パー

トナーシップがいかにしてUAEの野心的な持続可能性目標をサポートできるかを示す強力な

例です。」

「私たちは共同の努力を通じて、UAEと世界の航空業界の両方に利益をもたらす持続可能な航

空モビリティソリューションの開発を推進することを目指しています。」

この協力は、UAEの2050年までのネットゼロ計画に沿ったものであり、国の持続可能性目標

に貢献する先進的な航空モビリティソリューションを推進します。

エティハド航空トレーニングLLCのCEO、パオロ・ラ・カーヴァ氏は次のように述べました。

「このMOUは、航空業界におけるイノベーションと持続可能性を推進するという当社の取り

組みを強調するものです。ボラー・エア・モビリティとの提携により、UAEの持続可能な未来

のビジョンに沿って、先進的な電動航空機の運用に向けた新たな道を模索できるようになります。」

ボラールエアモビリティは、先進的な航空モビリティ ソリューションの先駆的企業であり、航

空旅行の未来を形作る持続可能な航空技術の開発に取り組んでいます。

同社はRXシリーズ電動航空機の独占的商品化権を保有しており、イノベーションとコラボレ

ーションを通じて航空業界の持続可能性を促進することに尽力しています。

エティハド航空訓練 LLC は UAE を代表する航空トレーニング組織であり、パイロット、客

室乗務員、航空専門家向けに最先端のトレーニング ソリューションを提供しています。アブダ

ビの航空エコシステムの一部として、EAT は革新と卓越性を通じて航空産業の発展に取り組ん

でいます。

覚書の調印式には、UAE民間航空総局長サイフ・モハメッド・アル・スワイディ閣下とフジ

ャイラ民間航空局長モハメッド・アブドゥラ・アル・サラミ閣下も立ち会いました。

2024年上半期のバーティカルエアロの損失は1,710万ドルに増加

バーティカル・エアロスペースは2024年上半期の業績を発表し、純損失は1,710万ドルとな

り、前年同期の1,170万ドルから45%増加したと報告しました。

しかし、同社は、当該期間中に3,270万ドルのその他の営業利益（前年同期比1045%増）を

計上できたため、営業損失が前年同期の4,890万ドルから1,990万ドルに減少し、前年同期比

59%の大幅減少となったと報告しました。

「バーティカルは、2024年上半期の営業損失が2,000万ポンド（2,500万ドル）で、業界ト

ップクラスの資本効率を維持しました。この期間の営業損失は主に、バーティカルの2機目の

実物大試作機を無事に完成させるための支出を反映しています」と 同社は決算発表で述べました。

営業費用のさらなる内訳を見ると、バーティカルは管理費を削減する一方で、研究開発費がわ

ずかに増加したことがわかりました。さらに、同社は、調査期間中に金融収益の減少（前年比

77% 減の 740 万ドル）と金融費用の増加（前年比 35% 増の 1,100 万ドル）も報告しました。

全体として、同社の営業活動における現金支出は、前年同期の4,060万ドルから1,450万ドル

に減少しました。

現金支出の減少と業務効率化により、Vertical は現金ポジションを維持できました。2024 年

上半期末の時点で、同社の現金および現金同等物は 6,670 万ドルとなり、2024 年上半期の

4,860 万ドルから増加しました。

2024年上半期に、Vertical社は次世代プロペラの開発のために英国航空宇宙技術研究所

（ATI）から800万ポンド（1,000万ドル）の助成金も確保しました。

さらに同社は、バーティカル・エアロスペース社の創業者 スティーブン・フィッツパトリック

氏が所有するイマジネーションエアロインベストメンツ株式会社から 2,500 万ドルの現金注

入を受けました。バーティカル・エアロスペース社は現在、この投資の第 2 弾である 2,500

万ドルについて協議中です。

まとめ

エアタクシー（eVTOL)業界は、はたして「死の谷」を自らの力で越えることができるのでし

ょうか？多くのスタートアップ企業は、資金難に直面します。中国など一部の国では政府が

国策としてバックアップすることもありますが、資本主義の国ではあり得ない事です。

その企業が成功するには、多くの会社との合併を繰り返し確固たる基盤を作っていくことです。

特に航空業界、エアタクシーは開発に多くの時間と資金が必要です。そのためには、バーティ

カル・エアロスペース社のVX4の墜落事故など一度失敗すると、投資家からの信頼を失ってし

まいます。企業としては挑戦と失敗という相反する要素を上手く乗りこなさなければ行けません。

その先には「成功」という栄光が見えてくるのです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。