皆さんこんにちは!
先日のニュースで
『距離1600km超え。ひと飛び、海自US-2飛行艇、外国ヨット乗船者3名を
太平洋上で救出!』と言うのが出ました。(乗り物ニュース6月29日より)
US-2飛行艇とは?
防衛省は6月28日、海上自衛隊のUS-2救難飛行艇が、沖縄本島南東約780kmの洋上
において、外国人3名を救出したと発表しました。
ヨット遭難の通報を受けて、沖縄那覇基地から飛び立ったP-3Cが遭難しているヨットを
確認。山口県岩国基地から飛来したUS-2によって無事救出されました。
US-2とは?
新明和工業が開発した海洋における救難艇です。前任のUS-1Aの後継機として
2007年3月に山口県に岩国基地に配備されました。
機体はUS-1Aの改造機型として、US-1Aの機体にはほぼ手を加えず、新技術の導入
などを主体とした改良になっています。
性能は、波高3mの海への着水ができ、50~53ノット(時速約90km)で離水ができます。
先進的な技術として、フライバイワイヤーの導入があります。以前のUS-1Aの着水は
パイロットの経験則に頼っており、荒海での着水は非常な危険を伴っていました。
コンピューター制御により、最も適切な形で各部の運動をサポートしてくれます。
もうひとつは、キャビンの与圧です。与圧されることによって、悪天候時にも
雲の上を飛行でき、高高度まで上がれることによって、航空機の燃費が向上し、大幅な
航続距離の増加につながりました。
新明和工業
兵庫県宝塚市に本社を置く、輸送機器、産業製造会社です。
戦前は、川西航空機という社名で、九七式飛行艇や二式大型飛行艇や極地戦闘機
紫電/紫電改を開発、製造していました。
PS-1からUS-2へ
PS-1は、二式大型飛行艇譲りの良好な凌波(りょうは)性能〔大きな波のある水上
でも安定性があること〕を備えて機体でありましたが、対潜哨戒機としての性能は
今ひとつでした。P-3Cが、海上自衛隊の対潜哨戒機として代わり、PS-1は
救難飛行艇として活躍の場を移しました。
US-2
救難実績と事故
2013年6月、ニュースキャスターの辛坊治郎さんが、ヨットで太平洋横断中に
鯨と衝突してヨットが大破、遭難したときにUS-2に救助されたニュースは有名です。
しかしながら、US-1のころ、事故は頻繁に起こっていました。
1995年(平成7年)2月21日、豊後水道で洋上離着水訓練中に墜落し転覆大破
しました。乗組員は1名のみ生存、11名が殉職しました。
その他、大勢の殉職者を出しています。
幸い、US-2ではまだ死亡事故は起きていませんが、2015年4月28日、足摺岬沖で
訓練中だったUS-2の4基のエンジンのうち3基のみを使用した3発離水時に姿勢を維持できず
海面に衝突しました。エンジン1基とフロートが脱落し、機内に浸水して機首から海中に
沈みました。乗員は救命ボートで脱出したところを近くを航行していたタンカーに救助され
無事でした。
岩国基地
山口県岩国市にある岩国基地は、海上自衛隊とアメリカ海兵隊が共同で使用している飛行場
基地です。2012年から官民共有の飛行場として、全日空が羽田空港へ1日5回往復、
沖縄那覇空港へ1日1便往復しています。
アメリカ海軍のF/A18スーパーホーネット、海兵隊のオスプレイ、F-35Bなどが
配備されています。
海上自衛隊は第71航空隊のUS-2が配備されています。
なお、四国の松山空港の管制通信業務は岩国基地のアメリカ軍が行っています。
松山空港の離着陸の際には、岩国レーダー(管制機関のコールサイン)と交信をします。
やり取りは英語で行いますが、岩国レーダーの英語は聞きやすいと思います。
以前、まだ沖縄那覇空港の管制がアメリカ軍が担当の時は、早口の人もいてたいへん
苦労した記憶があります。
航空自衛隊時代は、福岡県の築城基地に所属していましたので、離着陸の経路上に
岩国基地がありました。築城基地を離陸すると直ぐ下に岩国基地を見ながら、日本海へと
飛んでいきました。
緊急着水
民間航空機でも、海に緊急的に着水することがあります。
基本的に飛行機は着水してもしばらくは浮いていられます。
最近有名になったのが、ハドソン川の奇跡と呼ばれる航空機事故です。
2009年1月15日に、ニューヨーク発シアトル行きのUSエアウェイズ1549便が
ニューヨーク市のハドソン川に不時着水した航空事故です。
ニュースでも大きく取り上げられ、映画化もされました。
みなさんの中にも覚えていらっしゃる方も多いと思います。
このときは、波もない川への不時着水でしたが、波のある洋上は困難なものと
なるでしょう。
不時着水するときには、基本的にうねりに平行に機首を向けます。
その時に、うねりの山か底の部分に着水できるようにします。着水時は、主翼を水平に
するよう心掛けます。速度は失速速度ギリギリ(失速速度の10%~20%増)を
保ちながら、パワーを入れたまま尾部が着水したのと同時にパワーをカットするように
します。ほぼ、失速速度で着水させます。
重要なのは、波のうねりの判断です。昔、PS-1に乗っていたパイロット曰く
『白波の形や大きさで風速や波の高さがわかる!』そうです。
こういう経験は重要ですね。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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