皆さんこんにちは!
空を飛びたいということは小さい頃からの夢です。そして人類は、約100年前に飛行機を開発
し実際に飛ぶことができました。しかし、自動車の運転のように誰でもが飛行機を飛ばすこと
はできません。そんな考えを覆す新たな試みが始まっています。
飛行機に乗ることは、車の運転のように簡単で低コストになるでしょうか?
飛行場に着陸し、飛行機に飛び乗り、行きたいところへ飛ぶことは長い間、少数の人だけに限
定された自由でした。購入、維持、飛行の習得にかかる高額な費用が、この自由を限定的なも
のにしてきたのです。しかし、ニキータ・エルモシュキン氏によると、個人用飛行機の操縦は
現在よりも大幅に安価で簡単になるはずだという考えです。
元スペースXのエンジニアである彼は現在、スタートアップ企業 エアハート ・エアロノーテ
ィクスの共同創設者であり、2人の同僚とともに同社を設立し、基本的には一般航空機用の自
動変速機を開発していまする。同社のモットーは「より多くの人々に空を開く」ことにあります。
これを実現するために、 エアハートは、安全性を高め、運用の複雑さを軽減するように設計さ
れたコンピューター化された飛行制御システムであるエアハートアシスト を搭載した最新の航
空機を製造し ています。
エルモシュキン氏は、エアハートスリングとも呼ばれるこの航空機 によって、パイロット訓
練生の離脱率が低下し、誰もが訓練を受けやすくなり、飛行を希望する人々の入門価格が下が
ることを期待しています。 エアハート スリングは当初 50 万ドルで販売されますが、規模を
拡大して価格を 10 万ドルまで引き下げる計画です。
Yコンビネーターの2022年夏のクラスに受け入れられ、プレシードラウンドで資金を調達した
エアハートは、 大西洋を単独で横断飛行した最初の女性、アメリア・イアハートにちなんで名
付けられました。最初のプロトタイプは、南アフリカの軽飛行機メーカー、スリング・エアク
ラフトと提携して、4人乗りのスリングTSiをベースに開発されています。
一度完成すれば、誰でも、つまり飛行経験のない人でも、たった 1 時間の訓練でこの飛行機を
操縦できるようになります。 エアハート スリングは現在、FAA の実験用/アマチュア製作の
飛行機のカテゴリに分類されています。つまり、商業利用はできず、操縦者は依然として自
家用操縦士の免許が必要となるのです。とはいえ、エルモシュキン氏は、昨年の特殊耐空証
明の近代化 (MOSAIC) などの法律の改正により、新しい飛行機の革新と開発が容易になるこ
とを期待しています。
「ですから、初日にはやはりパイロット免許が必要です。 [当社の航空機は] MOSAIC では軽
スポーツ機に分類されているので、スポーツ免許で十分です。しかし、実際の学習の複雑さと
いう点では、ほぼ全員が 1 回目の試みで離着陸できます」と彼は説明します。「私が学んだ
ときは、最初の 20 時間は飛行機の操縦方法の学習に費やされました。私たちにとっては、
15 分程度に感じます。」
エアハートのビジョンについて語る中で 、エルモシュキン氏は「なぜもっと多くの人が飛行機
を飛ばさないのか?」という疑問を投げかけました。
「私たちが特定した根本的な理由は安全性です」と彼は言います。 「航空機の操縦は自動車
や小型船よりも複雑です。一般航空機では自動車よりも事故に遭う可能性が 27 倍高くなります。
これが、私たちがエアハートアシストで取り組んでいる根本的な問題です 。」
エアハートの共同創業者は「全体像」をとらえる人です。FAAの統計によると、米国人口の
0.2%未満がパイロット免許を持っていますが、90%近くが一般航空空港から車で15分以
内の場所に住んでいるのです。「米国には19,000の空港があるが、商業輸送に実際に使
用されているのはそのうち約100のみだ。残りは比較的十分に活用されていない」とエルモシ
ュキン氏は言います。「この国にはよく組織化された公共交通機関のネットワークがない。
中西部やアラスカなどのインフラは一般航空用に整備されているので、それを活用するのは理
にかなっている」。 エアハートの技術は、米国の他の地域よりも1人当たり平均6倍のパイロッ
トがいるアラスカで人気が出るはずです。
航空管制(ATC)システムの機能停止が最近、ニュースの見出しになっています。今年初め、
航空業界団体「エアラインズ・フォー・アメリカ」は、フロッピーディスクが今でも日常的
に使われている米国のATCシステムを「緊急に近代化」するよう米国政府に要請しました。
管制官とパイロット間のデータリンク通信など、商業航空ではいくつかの最新の航空管制通
信技術が導入されていますが、投資不足をはじめとするさまざまな理由から、一般航空では遅
れをとっています。
しかし、エアハートの構想が実現し、一般航空の数が 20 世紀後半のピークに近い水準に戻る
ためには、効率的で信頼性の高い航空管制システムが必要になるでしょう 。
「より大きな視点で見ると、航空管制システムを更新する必要があります。数十年前に設計さ
れたシステムで、通信には音声と無線が使われています。管制官の数も減少しています」とエ
ルモシュキン氏は言います。「しかし、このシステムは、一般航空の航空機が現在よりも 10
倍多く飛び回っていた時代に設計されたものです。そのため、現時点では成長のための緩衝地
帯となっていますが、一般航空の航空管制通信を近代化する方法を考え始める必要があります。」
エアハートは、 ATC との通信を事前に近代化するための社内対策をいくつか講じています。
同社は、ATC 通信の音声をテキストに変換する自動通信サービスを開発している。「システム
は状況を認識するようになります。たとえば、機体番号が表示された場合、他の航空機との一
般的な通信とは異なる色で表示されます。『この周波数に切り替えてください』や『このコー
ドを鳴らしてください』などの応答がある場合は、それをタップするだけで、トランスポンダ
ーに読み込まれます。これでプロセスの簡素化が始まります。」
最終的には、逆のことを実装し始めることができます。つまり、人が話して指示を読み返す
代わりに、テキストを音声に変換する合成装置がそれを実行し、自動的に応答できるように
なります。そこから、音声をデジタル化されたコミュニケーションに置き換え始めることが
できます。」
エルモシュキン氏は、エアハートがゼロから自社の航空機を設計し始めるという長期計画を掲
げており 、これが同社が「航空の民主化」 という聖杯に近づくための鍵となると考えてい
るのです。「今日、10万ドルの航空機を販売するには、垂直統合が必要です。さまざまなベン
ダーからすべての部品を購入して組み合わせるのではなく、機体と航空電子機器を一緒に設計
する必要があります」とエルモシュキン氏は言います。
スペースXでの経験に一部触発され、このスタートアップは航空電子工学システムの開発に迅
速な反復アプローチを採用しています。2022年11月に最初のソフトウェアテストベッドを飛
行させてから、今年2台目のプロトタイプを飛行させてEAAオシュコシュでその機体をデビュ
ーさせるまで、同社はわずか2年前の設立以来急速に進歩してきました。タイムラインでは、
エアハートは 2026年1月に最初の顧客への納品を行い、2027年後半に独自の機体の開発を
開始する予定です。
「SpaceX から学んだ教訓はたくさんあります。特に、航空電子工学エンジニアとして、航
空業界で一般的なものよりはるかに低コストで信頼性の高い電子機器や航空電子工学システム
を構築する方法について多くを学びました。その教訓をエアハートにも活かしていきたいです」
とエルモシュキン氏は語りました。
エアハート エアロノーティクス
共同創設者兼CEO/CTO:ニキータ・エルモシュキン
ニキータ・エルモシュキンは、電気、機械、ソフトウェア設計の経験を持ち、コーネル大学で
電気およびコンピュータ工学の学位を取得した電気およびシステム エンジニアです。
ニキータは SpaceX の航空電子システムおよび統合エンジニアで、Falcon 9 フェアリング
の回収、Falcon 9 ペイロードの設計、Falcon 9 ステージ 2 の航空電子工学、その他いくつか
のプロジェクトに携わりました。SpaceX とコーネル大学に勤務する前は、Carbon の共同設
立者兼システム アーキテクトとして、Carbon の 3D 印刷技術とプリンター アーキテクチャの
開発に携わっていました。
エアハート ・エアロノーティクスの目標は、業界で最も先進的な航空機を製造することです。
彼らは、既存のソリューションに満足するのではなく、直面するあらゆる問題にテクノロジー
を投入すべきだと考えています。安全性、信頼性、操作のしやすさ、先進テクノロジーを重視
して航空機を設計することで、顧客の目標達成を容易にするだけでなく、小型航空機の典型的
なイメージを打ち破ります。
エアハートスリングは史上最も安全な個人用航空機
カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くスタートアップ、スリング・エアクラフト社。
同社の創設者であるマイク ブライスは、冒険家であり飛行家でもあります。パイロットがパイ
ロットのために設計した数々の航空機を世に送り出しています。エアハートは、この航空機サ
プライヤーと手を組んで新しい航空機「エアハートスリング」を開発しています。
両社は、2022年11月にソフトウェアテストベッドを飛行させ、最初のプロトタイプを展示
するなど、この飛行機の開発で大きな進歩を遂げています。エアハート・エアロノーティクス
社は、この航空機の納入が2026年1月に始まると想定しています。
最大収容人数は4人、最大有効荷重992ポンド(450kg)、最大離陸重量2,094ポンド
(950kg)最大航続距離800マイル(1300km)
エンジンはロータックス 915 iSで141馬力、巡航速度148km
LSA(小型軽量スポーツ機)のジャンルには入りませんが、4人乗りで性能は申し分ありません。
4つの特徴
- エアハートアシスト
エアハートアシストは、現在発生している一般的な航空事故の 90% を防ぐことを目的とした、
飛行機を操縦する新しい方法です。
離陸、操縦、着陸を実行するために複数のコントロールを手動で調整する代わりに、飛行機を
飛ばしたい方向にサイドスティックを押すだけで、飛行機はそれに従って飛行するため、熟練
したパイロットと同じレベルの安全性で飛行できます。
- 多くの自動化
同機の航空電子機器スイートには、他の一般航空機には見られない多数の自動化機能が搭載さ
れています。
複雑な起動手順、チェックリスト、手動センサーチェック、重量とバランスのワークシートの
時代は終わりました。
- アシストラジオ
航空電子機器スイートは、すべての無線通信を解釈し、音声をテキストに変換して通信を理解
しやすくします。
将来のソフトウェア アップデートでは、パイロットの介入なしに高度計の設定、スクォーク
コード、無線周波数を自動的に設定し、自動音声システムを介して ATC に応答できるように
なります。
- 贅沢なデザイン
このような小型飛行機では、革新は航空電子機器だけに留まるべきではないと私たちは考え
ています。彫刻のようなファブリックの内装パネルと快適な革張りの座席により、飛行機全体
と同様にコックピットにも細部へのこだわりが取り入れられています。
内装は、なめらかなラインと人間工学に基づいた曲線で完全に再設計されており、長時間のフ
ライトでも快適に過ごせるほか、エアハートスリングに真に贅沢でモダンな雰囲気を与えています。
エアハート・エアロノーティクスの将来
エアハートスリングは、自作のキットとして購入できます。この新しい航空機には、他の軽飛
行機に比べて簡素化された航空電子機器システムである完全なエアハート航空電子機器スイー
トが含まれます。エアハートアシストはまた、2031 年までに実験的な エアハートスリングか
ら完全に認定された Part 23 航空機に、白紙の設計で移行する計画を持っています。最初にキ
ット航空機として航空機を確立することで、エアハートアシストはより広い市場範囲を確立す
ることができるようになります。
エルモシュキン氏はまた、「従来の航空機とは異なり、エアハート スリングは高度な航空電子
機器とオプションの監視付き自律飛行機能を備えており、安全に飛行することがはるかに容易
になります。エアハート スリングは、フライバイワイヤ システムを採用した個人使用向けに
設計された初の小型飛行機になります。」
エアハート スリングが幅広い市場に受け入れられると考えています。これには、既存のパイ
ロット オーナー、現在飛行機を所有していない新米パイロット、さらには自家用操縦士免許を
まだ取得していない個人も含まれます。この飛行機は操縦が簡単なので、新米パイロットが飛
行機を操縦する際の障壁が低くなります。
前述のとおり、エアハート スリングはキット航空機として就航します。ただし、エアハート
エアロノーティクスは将来的にさらに多くの航空機を開発する計画があります。これには、
訓練機として使用できる大型航空機も含まれており、この航空機は航空学校やその他の商業オ
ペレーターに販売される可能性があります。
について、エルモシュキン氏はシンプル・フライング誌に次のように語りました。
「同社の長期的見通しは有望であり、一般航空市場の規模を拡大し、飛行機の所有と運用にか
かるコストを削減することで、多くの人にとって飛行を運転に代わる現実的な選択肢にする計
画がある。」
全体的に、エアハート エアロノーティクスは、航空全般のアクセシビリティの向上を含む明確
なビジョンを持っています。同社は、熱心なプロジェクトを支援するために資金調達を開始し
強力なリーダーシップ チームも育成しました。このチームは、同社が航空業界で偉業を達成す
るのに役立つさまざまな経験を持っています。
まとめ
一般航空には娯楽的な要素も含まれますが、この業界に参入するのは比較的難しいのです。
軽飛行機を所有したり、リースする飛行機を見つけることさえ困難で費用もかかります。
航空愛好家にとって、飛行学校に通うのは非常に費用がかかります。一部の飛行学校では、
この費用は16,000ドルから21,000ドルの範囲になると見積もっています。一般航空業界で軽
飛行機の操縦を始めるのに通常必要な、プライベート パイロット ライセンス (PPL) を取得す
るのにも非常に時間がかかります。プライベート パイロット ライセンスを取得するための最
小飛行時間は 40 時間ですが、ほとんどの飛行学校では 60 時間以上を推奨しています。
それでは日本ではどのように一般の人はライセンスを取っているのでしょうか?
以前はアメリカやオーストラリアなどの海外でFAAのライセンスを取得するのが一般的でした。
しかしこのところの円安で費用も増加して、日本で取るのと変らなくなりました。しかしなが
ら日本国内の訓練所も人手不足と人材費や燃料費の高騰を受けて思うような経営ができていません。
それでは解決策はあるのでしょうか?
まずは、航空人口を増やすにはパイロットや整備士の仕事を増やすことと報酬を上げることです。
そうして民間航空会社だけでなく使用事業、ビジネスジェット事業、輸送事業などの底上げが
必要です。
また高額な訓練費の抑制は、エアハートスリングのような安価な練習機兼個人飛行機を使うこ
とによって経費を抑え、訓練費、訓練時間の短縮を行うことで全体の費用を抑えることができ
ます。それには、整備費用等を抑制するために規制の改革を行う必要があります。
もう一つは、JAPAの奥貫先生が推奨するLSAを使った改革、MOSAIC(Modernization of
Special Airworthiness Certification)です。詳しくは下記を参照してください。
https://www.japa.or.jp/wp-content/uploads/2018/07/3cc1ebdf57518aef1675c29d275dfa37.pdf
世界の航空業界は変ろうとしています。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
コメント