羽田衝突事故、他の航空機に必要な5つのこと

飛行機

皆さんこんにちは!

羽田空港の衝突事故の状況が丸1日経った3日の夜に明らかになってきました。今後は

管制官とパイロットの交信記録が解析されて、事故原因が明らかになってくるでしょう。

パイロットは、自機が事故に遭ったり緊急事態に陥った時の訓練は毎年定期的に行って

います。しかしながら、その時に飛行している航空機、またこれからその空港へ行こう

としている航空機に必要とされること5つをまとめてみました。

他の飛行機に必要な5つのこと

現在、日本で一番混雑している空港は羽田空港です。一日の航空機の離発着回数は

774回です。コロナで減便はありましたが、今後ますます増加する需要を見据えて

今後は880回程度に増やす見込みです。774回と言えば、実に2分に1回の割合

で航空機が離着陸を繰り返している計算になります。これは飛行回数が少ない深夜

時間も含まれていますので、日中の忙しい時間帯はほぼ1分に1機の割合です。

今回の事故は、そんなビッグエアポートで起こった不幸な出来事でした。ちなみに

羽田空港は4つの滑走路があります。全て離着陸用には使うことはできませんが

1つの滑走路が閉鎖になっても他の滑走路を使用することでリスクを軽減できるよ

うになっています。しかし一端重大事故が起きてしまったら、今回のように空港自

体を閉鎖してしまわなければなりません。その時、羽田に向かっている航空機はどの

用に対処しなければならないのでしょうか?

正確な情報の収集

事故が起こったときに、まずは管制機関(通信を行っている周波数)から情報が入り

ます。情報と言っても、管制側も事故直後は正確な情報を持っているわけでは無く

上空の適当な(決められている)地点で多くの航空機が空中待機を指示されます。

特に天気が悪い場合を除いて、そこでおかしいと判断できます。

すかさず、会社の無線から第一報が入ります。事故の場合は、正確な情報がわかるまで

かなりの時間がかかることが多いです。

情報の分析

その少ない情報の中でパイロットは正しい分析をしなければなりません。運良く会社が

素早く指示を出してくれることもありますが、あまり期待はしない方が良いでしょう。

地上も混乱していますので。

最近は、上空でもインターネットが使える航空機が増えましたが、それもまれなこと

です。

この限られた情報の中で、正しいと思われる情報を分析し判断していかなければなり

ません。

方針(意志)の決定

滑走路が閉鎖になる理由としては、悪天候(雪や雷)があります。その時はあらかじめ

燃料を多く搭載していますのでさほど問題にはありません。雷雲が通りすぎるのを待て

ば良いのですから。

後は、滑走路上で鳥が航空機にぶつかってその死骸を片付けるために一時的に閉鎖にな

ります。時間にして15分くらいです。

やっかいなのは、滑走路上で航空機がトラブルのため停止して滑走路が使えなくなる時

です。原因は、エンジン故障、オイル漏れ、航空機の滑走路からの逸脱などです。この

場合は少なくとも数時間、場合によっては1日中閉鎖になります。

最近の航空会社は、経費削減のために天気が良いときは、航空法で決められている最低

限の燃料+αしか持っていません。そんために一度事故が起きてしまえば、すぐに代替

飛行場(羽田だと成田空港)に向かわなければなりません。

羽田空港を目的地としている航空機の多くは、代替飛行場を近場の成田空港に設定して

います。そのため、多くの航空機が一斉に成田に向かうでしょう。そうなった場合は

成田での駐機場の確保、お客さんの着陸後のケアなど、はっきり言って『早いもの勝ち!』

です。まだ、目的地羽田に遠い場所にいる航空機は、すぐに近場の空港に着陸するか、

出発空港に引き返すという判断をします。まだ燃料にある程度余裕がありますので、会社

や地上と連携して、適当な空港に向かいます。

いずれにしても判断材料となるのは、『残りの燃料量』です。

クルーへの意志決定の伝達

我々、民間機はパイロット1人で飛んでいるわけではありません。客室乗務員には

十分な状況説明と意志を伝えます。

また、具体的なお客様への対応などは客室乗務員からの意見も聞いて判断します。

例えば、具合の悪い人や車椅子など使用している方など改めて確認することも必要

です。

方針(意志)が決まれば、細かいことは現場の客室乗務員に任せることも必要です。

彼女(彼ら)もプロフェッショナルですので。忙しいときにはある程度裁量を持た

せて、事後報告させるということも大切です。

また、重要なのがお客様への対応です。今現在判っている状況を説明し、これからどう

するのか(方針、意志)、地上に降りてからの行動(通常、地上スタッフに任せること

が多い)を丁寧に説明します。

実行、意志を変えない

一度、方針(意志)決定してしまえば、後は実行に移すのみです。

そこで大切なのは、普段通りやることです。決められた手順で操作を行い、抜けや

間違いが無いことを確認します。普段と違う空港に行ったり、慣れていない空港に

行くことは、それだけでリスクもありますし、ストレスもあります。

一番やってはいけないことは、一度決めた方針を変えてしまうことです。計画段階で

必ず、腹案(第2案)を決めます。何かあったときに腹案を実行すれば良いのです。

但し、腹案でも無いことを急に実行しようとしてはいけません。なぜなら多くの場合

失敗してしまうからです。思いつきの行動は、他者の信頼を失い、適切な助言や支援

を受けられないからです。

『臨機応変(りんきおうへん)』と『思いつき』は、まったく別です!

まとめ

今回の事故を教訓に、我々も考えさせられることが多くあります。

実際に、私も関西空港で運航再開を待っていました。理由は、羽田空港から多くの

航空機が成田空港に殺到したのです。羽田空港からの航空機を優先させて着陸させた

ために、成田に向かう航空機が制限を受けたのです。

結果として、2時間遅れで成田空港に帰ることができました。その間、いつ再開するとも

判らないフライトを待つしかありません。受け取る情報は限られており、判断材料が少ない

中、あらゆる状況を想定して方針を決めます。また、再開が決まればすぐにでも出発できる

ように準備を、地上スッタフと連携して進めます。幸いにも、お客様からのクレームも無く

無事にフライトを終えることができました。これも、支援してくださったスタッフ、フライ

トクルーのおかげです。

今回、私の考え方をお伝えしましたが、各航空会社やその時の状況によって変ってきます。

皆さんの参考になれば幸いです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました