逆風の中国、ロシアの航空業界

飛行機

皆さんこんにちは!

ロシアのウクライナ侵攻から今週の金曜日2月24日で一年になります。

ロシアのプーチン大統領は、ここまで戦況が長くなるとは予想していなかったでしょう。

そして同盟国の中国もアメリカとの関係がここ一年の間で最悪の状況が続いています。

この両国は、世界から経済的に制裁を受けています。

ここ一年の中国とロシアの航空業界の動向を見ていきます。

中国

中国航空会社とエアバス

中国の国有三大航空会社である中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空は昨年7月

1日、欧州の航空機製造大手のエアバスと大型購入契約を結んだと、それぞれ発表しま

した。

3社の購入機数は合計292機、カタログ価格ベースの総額は約372億5700万ドル(約5

兆807億円)に上ります。

3社が今回発注したのは、すべてエアバスの短距離路線向け主力機種「A320neoシリー

ズ」です。内訳は国際航空が96機、東方航空が100機、南方航空が96機となっている。

機体の納入は2024年から始まり、2027年に完了する予定です。

中国市場から“追放”のボーイング

ボーイングは先日、2022年に納入した民間航空機は480機だったと発表しました。ライ

バルであるエアバスは同年に661機を納入しました。ボーイングの納入機数は4年連続で

エアバスに及びませんでした。ボーイングがエアバスに差をつけられた大きな原因の一

つは中国企業への納入で、エアバスは同年に100機以上を納入したが、ボーイングの納入

は8機のみでした。

ボーイングは、新鋭機であるB737MAXがインドネシアで18年10月に、エチオピアで19年

3月に墜落事故を起こしたことで、中国では19年3月以来、同機種に対する飛行禁止処分が

続いています。ボーイングは22年10月、中国の航空会社向けに製造した航空機138機が納

入を待っていましたが、中国の航空会社が短期間内に受け入れる兆しがないことから、他

の航空会社への転売を開始したことを明らかにしました。

中国側のボーイング排除は、事故の影響だけではなく「米国切り捨て・EUに接近」という外

交上の理由があり、米国と欧州を「利益が対立する状態」に導こうとする意図があるとの見

方もあります。ここでも、米中の政治の対立が明らかになっています。

新しい航空機C919

中国が独自開発した初の幹線用旅客機「C919」の第1号機が、航空会社に納入され

ました。2022年12月9日、国有航空機メーカーの中国商用飛機(COMAC)から国有

航空大手の中国東方航空に機体が引き渡され、中国民航局の華東管理局が(第1号機

の)国籍登録証、耐空証明書、無線免許を交付しました。

中国東方航空によれば、同社は第1号機のテスト飛行を無乗客で100時間以上実施し、

運航の安全性や整備の信頼性などを検証・確認します。そのうえで「運航マニュアル」

を作成して中国民航局に提出し、商用運航開始の最終許可を申請します。

以上のプロセスを第1号機が完了した後、早ければ2023年春からの商用運航を目指して

います。中国東方航空は合計5機のC919を中国商用飛機に発注済みで、残る4機は今後の

2年間で順次納入される予定です。

C919は、中国が国際的な耐空基準に基づいて独自開発した初の幹線用ジェット旅客機で、

航続距離は4075~5555キロメートル。客室内に最大168席を設置でき、第1号機はビジネ

スクラス8席、エコノミークラス156席の合計164席の仕様となっています。

COMAC B-001A May 2017.jpg

COMAC C919(ウィキペディア)

これからの中国の航空事情

2023年になって、中国のゼロコロナ政策はなし崩し的に無くなりました。この政策の

失敗で、中国経済は大きな打撃を受けました。

2023年の3月の春節を迎えて徐々にではありますが、中国航空業界も復活の兆しが見えて

きました。

そんな中、中国が独自で開発した航空機C919はエアバスやボーイングのように世界企業

(航空機)になることはできるのでしょうか?

新しい航空機が、主要な国際航空路線で広く使われるためには、欧州航空安全局(EASA)

と米連邦航空局(FAA)による認証を取得せねばなりません。ロイターは、中国企業がボ

ーイングとエアバスの独占的な地位に挑戦できる状況になるには10年間が必要とする専門

家の意見を紹介しています。ただし逆に言えば、C919がEASAやFAAの認証を取得できれば

非欧米諸国で開発されたジェット旅客機として初めての出来事であり、中国は航空機製造

で米国やEUの主たる競争者としての地位を獲得することになるということです。

なお、C919は現状では、米国企業とフランス企業が共同開発したジェットエンジンLEAP

-1Cを搭載するなど、主要部品で西側企業に大きく依存しています。中国も独自にC919に

搭載することを念頭に「長江-1000A(CJ-1000A)」航空エンジンを開発中ですが、同エン

ジンは中国国内でもまだ認証を取得していません。

C919には価格競争力にも強みがあるとされています。中国東方航空はC919の1機当たりの

購入価格は9000万ドル(約122億円)であり、同クラスのエアバス機とボーイング機の価格

は1億1000万-1億2000万ドル前後(149億~162億円)とされています。

また中国商用飛機は、中国の航空会社が保有する航空機の数は2041年には1万機を突破し、

世界で運航される旅客機の21.1%に達すると予測しています。中国の航空市場は世界最大

となり、世界で最も多くの新型機を受け入れる市場になると予想されています。

ロシア

ロシアへの制裁

ちょうど一年前に、ウクライナに侵攻したロシアは世界から数々の制裁を受けています。

ロシア航空最大手アエロフロートは必要な部品の入手が困難となり、3カ月後にも一部
の航空機を分解し、部品の再利用をしています。飛行機を運航させるための「共食い」
を行っているのです。
アエロフロートグループが保有する350機以上の航空機の大半は、米ボーイングや欧州
エアバス製でウクライナ侵攻後に機材や部品の供給が禁じられました。ロシア経済紙コメ
ルサントは「ロシアの航空会社が保有する飛行機の半分以上は、3年以内に分解される恐
れがある」と報じています。
ロシアの政策

ロシア政府は海外製航空機を国産モデルに切り替えるため、政府系ファンドから1兆40

00億ルーブル(約227億ドル)を確保することを計画しています。

西側諸国の制裁を受けて、航空機の整備に必要な部品の調達が難しくなっているためです。

ボーイングやエアバス機を、ロシア企業スホイのスーパージェット・ニューやイルクート

のMS―21などに置き換える資金をリース会社に提供する計画です。

ロシア国営企業「ロステック」傘下の統一航空機製造会社(UAC)は、2023年までにジェ

ット旅客機「スホーイ・スーパージェット100(SSJ100)」の派生型となる「スホイ・ス

ーパージェット・ニュー」を開発・製造します。また、この新型機にはロシア製の部品が

使用される予定です。新型旅客機の開発に1200〜1300億ルーブル(約1670〜1800億円)

が割り当てられると報じられています。この開発費の約半分かそれ以上の金額が、スホーイ

・スーパージェット100で使用中の露仏製エンジンSam146の代わりとなるロシア製エンジ

ン「PD-8」の開発に費やされる予定です。このエンジンは、新型機の他に多目的用水陸両用

機Be-200にも用いられるといわれています。

スホーイ スーパージェット100 - Sputnik 日本

スホーイ・スーパージェット100(SSJ100)

まとめ

中国とロシアは、今世界から切り離されています。それは、経済的にもそうですが

航空業界のつながりも例外ではありません。

中国のゼロコロナ政策が終了して、中国の人たちが世界にやっと出て来ることができ

ました。ロシアの人たちは、依然として制限を課されています。

今、世界の文化の流れがいびつになっています。中国、ロシアは自国で航空機の開発を

行っています。航空機の開発で一番難しいのはエンジンです。両国は、国産航空機とい

えどもエンジンは自国だけで開発はしていません。それは、エンジンそのもののノウハ

ウが乏しいからです。

戦争が終結し、再び世界が平和になったときに、はたして中国、ロシアの飛行機が飛んで

いるかは疑問が残ります。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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