人工知能はどのようにして未来の航空機を完全に作り変えることができるのか

飛行機

皆さんこんにちは!

最近、AI(人工知能)の記事が、新聞やニュースに載らない日はありませんね。

先の広島で開催されたG7サミットにおいても、AI技術を使ったChatGPTが議題に

上るほど今注目されています。

そんなAI技術は、航空機の製造にまでその威力を発揮できるのでしょうか?

またこれから起こるであろう航空機の自動運転や、パイロット不足を解消する有効な

手段となるのでしょうか?

すでに始まっているAIの航空機設計

民間旅客機やビジネスジェットにはさまざまなサイズやモデルがありますが、表面的

にはすべて本質的に同じに見える傾向があり、平均的な素人には区別することさえで

きないほどです。市場にある最新モデルであっても、ほぼ 1 世紀前に設計された初期

の民間旅客機との大きな類似点が依然として残っています。しかし、航空機設計者が

新しい設計を生み出すために人工知能 (AI) に目を向けるようになると、状況はすぐに

変わる可能性があります。 

ボーイングの最高技術責任者トッド・シトロン氏は、ボーイングが先週シアトル近郊で

主催した持続可能な航空宇宙一緒フォーラムのパネルディスカッションで、研究者らは

すでに生成AIモデルを使って航空機設計を最適化する新たな方法を模索していると述べ

ています。機械学習アルゴリズムを使用すると、AI は空気力学とエンジニアリングにつ

いて知っておくべきことをほぼすべて吸収し、高度に最適化された独自の設計をすぐに

たたき出すことができます。これは、人間が過去に作った飛行機とはまったく似ていま

せん。 

人間が構造物を設計するとき、既存のパターンを繰り返す傾向があるとシトロン氏は説明

しました。たとえば、橋によくあるトラス構造は、人間が機能することが証明されている

パターンを繰り返した結果です。過去 1 世紀にわたって、ほとんどの飛行機の設計にも同

じことが当てはまりました。ただし、AI がゼロから設計を生成する任務を負った場合、必

ずしも人間のエンジニアと同じパターンに従うとは限りません。「[AI] は人間よりも電子

頭脳に複雑さを加えることができるため、より広い範囲にわたって最適化することができ

ます」とシトロン氏は説明しました。 

「機械学習に最適化された構造を見ると、本質的に異なって見えます。それらはほとんど

エイリアンの宇宙船のように見えます。なぜなら、それらは、一人の人間が設計を行うの

を容易にするような規則的な構造を持っていないからです」と彼は言いました。「つまり、

それを取り込むとデザインの外観が変わります。それが今日私たちが行っていることです。」

ボーイングは必ずしも自社の保有する飛行機を新しい「エイリアン宇宙船」に置き換えるわ

けではありませんが、エンジニアは、航空機とそのさまざまなコンポーネントを設計する際

に、AI によって生成された独自の設計を使用して新しい洞察を収集し、既成概念にとらわれ

ずに考えることができます。 

2040年に新しい飛行機がどのようになっていると想像しているかと尋ねられたとき、シトロ

ン氏は機体とエンジンの形状にいくつかの変更が生じる可能性が高いと述べました。「空力効

率を高めるために(ボーイングが)NASAと協力して行っている研究に基づいて、翼が非常に

薄いことに気づくかもしれません。これは排出量の削減を意味します」とシトロン氏は言いま

した。「エンジンは異なって見えるかもしれませんし、より高い効率とより低い排出ガスを実

現する大型のオープンローターファンが見えるかもしれません。したがって、その期間内に多

くのテクノロジーが登場すると思います。」

オーストラリア政府の科学機関である CSIRO の未来産業担当エグゼクティブディレクターで

あるカーステン・ローズ氏も、飛行機は 2040 年までに大きく変わったものになる可能性が高

いということに同意した。パネルディスカッションの中で、彼女は、新技術、特に生成 AI に

よって設計パラメーターが「次のような方法で変化する可能性がある」と述べています。

現在の航空宇宙産業は、「設計パラメータなどについて、効率を高める最適化の機能を理解し

ているところです」と彼女は述べました。「したがって、既存の航空機と新しい航空機の設計

と強化において、それが完全に反映されることがわかり始めると思います。」

新しい航空機の設計方法を形作っている新興テクノロジーは AI だけではありません。ボーイン

グやその他のメーカーも現在、積層造形(3D プリンティング) 技術を活用して、航空機の部品

やツールをより効率的に作成しています。AI と積層造形の新たな進歩により、「さらに興味深

い構造が得られるでしょう」と NASA の主任技術者 AC シャラニア氏は持続可能性フォーラム

で述べました。 

シトロン氏は、積層造形は、原材料の大きなブロックを切り出して部品を製造する従来の製造や

「減法」製造(このプロセスでは大量の廃棄物が発生する)よりもはるかに持続可能であると

付け加えました。サブトラクティブ マニュファクチャリングでは、「材料を除去することにす

べてのエネルギーを注ぎます。添加物とは、材料を徐々に追加することです。エネルギーの節

約は 50% 以上であり、そこから固有の持続可能性が生まれます。」

新しい飛行機は製造も飛行もより効率的になりますが、現在飛んでいる飛行機と 2040 年に見

られる飛行機の最も重要な違いは、おそらく乗客が目に見える物理的な変化ではないでしょう。

その時までに、より多くの便が持続可能な航空燃料(SAF)、あるいは少なくともSAFとジェッ

トAの混合燃料で運航されるようになることを願っている、とパネリストらは同意しました。

現在、SAF の供給は非常に限られており、世界中の少数の空港でのみ入手可能です。

業界がSAFの生産規模を拡大し、サプライチェーンを構築することに取り組んでいる中、現在

飛行している従来の航空機だけでなく、他の新しい設計の航空機も、代替燃料を使用して二酸

化炭素排出量を削減できるようになるだろうと述べています。

DAEDALIAN、2028年までの自動飛行のロードマップを発表

自律飛行の新興企業Daedaleanは、2028年までの自動飛行航空機の開発に向けた道筋を概説

したロードマップを発表しました。 

スイスの会社は、パイロットの補助として使用される状況認識ソフトウェアとセンサーから始

めて、航空機に依存しない完全自律飛行システムに取り組んでいます。同社は最終的には、

人工知能 (AI) と機械学習を使用して、機内の安全パイロットや地上のリモート パイロットの

助けを借りずに、あらゆる種類の航空機を完全自律飛行できるようにすることを目指していま

す。 

「遠隔地でも機内でもパイロットを実際に置き換えたい場合は、それができるシステムを作ら

なければなりません」とDaedalean CEOのルーク・ファン・ダイク氏は語っています

「その後、十分なセンサーが必要になり、さらにこれらのセンサーを理解するためにこれらの

AI パーツが必要になります。」

まず、Daedalean は、設計保証レベル (DAL) C で一般航空目的の状況認識システムの認定を

取得することに取り組んでおり、最終的には最高レベルの設計保証である DAL A までの完全

自律飛行システムを認定することを目指しています。それは空中ソフトウェアに適用できます。

同社は、機械学習ベースの一般航空向け機内操縦補助装置「PilotEye」を2023年に発売予定

フロリダに本拠を置くアビオニクス企業Avidyneと協力してシステムを開発しています。

「私たちのパートナーであるアビダイン社がボックスを製造しており、現在認証試験を行って

おり、それが完了すると追加の型式認証書が発行される予定です」とファン・ダイク氏は語っ

ています。「これは業界全体にとって大きな瞬間となるでしょう。なぜなら、機械学習コンポ

ーネントが設計保証レベルC(重大な影響を与える安全ケースに適していることを意味します)

に認定されるのは初めてのことだからです。」

Daedalean のテクノロジーの最初の実装は、コンピューター ビジョンに基づいています。

「このシステム(私たちは『ビジュアル・エブリシング・システム』の略でVXSと呼んでいま

す)は、視覚カメラからの入力のみに依存しているため、視覚的な気象条件に適しています」

とDaedaleanは2028年までのロードマップを説明しました

「それに取り組んで、私たちは最も困難だった 2 つのタスクを解決しました。1 つは、実際の

飛行の距離、速度、不確実性におけるセンサー入力を認識、分類、解釈できる機械学習ベース

のテクノロジーを作成することです。適切なサイズ、重量、消費電力のコンピューティング ボ

ックス内で動作します。第二に、そのような技術を認証するための原則を確立し、規制当局と

協力してその設計保証方法の開発に取り組むことです」と論文は付け加えています。 

次に、ロードマップでは、Daedalean が IXS (「計器すべてのシステム」と呼ぶ) について説

明します。IXS は、カメラやその他の従来の計器 (GPS、高度計、ライダー、レーダー、交通

情報ソースなど) からのデータを使用して、計器内で動作できるようにします。気象条件も含

まれます。「DaedaleanのIXSは、完全に認定された地形と交通の衝突回避、VMCとIMCにお

ける着陸誘導と飛行計画に従った機能を提供し、最小限の乗組員の監視のみで機能する適切な

レベル(EASAレベル3)に認定されています」と同紙は述べています。

Daedalian は、車車間通信機能を備えた IXS システムをさらに強化し、航空機が地図データや

飛行計画を共有して安全な誘導を調整できるようにする予定です。論文によると、XXSと呼ば​​れ

るこの機能は、都市部のエアモビリティにおける航空交通管理に特に役立つ可能性があるといい

ます。

これらの新しい AI および機械学習ベースのテクノロジーの認定を取得するために、Daedalean

は欧州連合航空安全局 (EASA) と緊密に連携しています。2020 年 2 月、同機関はAIロードマ

を発表し、機械学習アプリケーションの認定段階を正式に定めました。 

EASA の AI ロードマップは 3 つのフェーズに分かれています。第 1 段階は 2024 年までの検

期間です。2024 年から 2028 年までの次の段階は「フレームワークの統合」と呼ばれており、

この段階で当局は AI および機械学習コンポーネントの最初の承認を発行する予定です。「障壁

の突破」と名付けられたフェーズ 3 では、AI テクノロジーのさらなる革新と、初の完全自律型

商業航空輸送業務が実現します。  

Deadalianは、ニューラルネットワークベースの滑走路着陸に関する米国連邦航空局 (FAA) と

の共同研究プロジェクトにも参加しており、これは AI と機械学習に関する同局の政策の形成

役立つ可能性があります。 

完全自律飛行技術の認証を得るには、規制当局が同社に数年、数千時間の飛行とサービス時間

要求するだろうとデイダリアンは予想しています。

EASA、航空分野における人工知能のロードマップを更新

EASAは、航空分野における人工知能(AI)の利用拡大に向けたロードマップ案を更新しまし

た。この文書の初版を公開してから 3 年が経ち、ヨーロッパの航空安全庁は現在、「航空業界

学界、研究センターの関係者が関与する具体的な AI ユースケースから得た経験」を盛り込ん

だ、拡張された AI ロードマップ 2.0 を公開しました。と声明で述べました。 

EASA は、AI ロードマップを通じて、安全性、セキュリティ、倫理的配慮に重点を置き、航空

業界における AI と機械学習 (ML) の利用拡大に向けた包括的な計画を提供することを目指して

います。 

2020 年 2 月に発行された 30 ページの文書である AI ロードマップ 1.0 は、EASA と業界関

係者の間で継続的に行われている議論の基礎として機能することを目的としていました。

EASA は 5 月 10 日に改訂版 AI ロードマップ 2.0 を発表しました。EASA は、このロードマ

ップを「生きた文書」として扱い、これらの議論と AI テクノロジーと航空分野での応用の継続

的な進歩に基づいて毎年改訂すると述べてい ます。

「AIにより、人間のエンドユーザーに高度な支援ソリューションを提供し、航空機の性能を最

適化し、航空交通管理を改善し、ひいては以前は想像もできなかった方法で安全性を向上させ

ることができるインテリジェントなシステムを作成することができます」とEASA事務局長の

パトリック・カイ氏はカバーレターで書いています。「しかし、航空分野への AI の導入は、

対処する必要のある新たな課題や疑問も引き起こします。」

EASA は更新されたロードマップに、航空業界における AI の一般的な課題を特定して対処す

るための新しい章を追加しました。このセクションで EASA が説明する課題は、品質保証フレ

ームワーク、知識とデータの管理、AI の動作の予測可能性などに関連しています。

更新された文書には、AI のための新しいルール作成の概念も含まれており、EASA はクロス

ドメイン ルールとドメイン固有のルールを含む「混合ルール作成アプローチ」を求めています。

EASA は、これらの規則は 2 つの段階で策定されると予想しています。まず、機械学習アプリ

ケーションに関するEASAコンセプトペーパーで特定された 3 つの主要な規定に対する横断的

な「Part-AI」ルールを開発します。これらには、当局の要件 (Part-AI.AR)、組織の要件 (Part-

AI.OR)、AI の信頼性に関する要件 (Part-AI.TR) が含まれます。

ステップ 2 では、これらのルールをドメインごとに分析して、「新しい Part-AI を導入するため

の適切な規制基盤を提供するために補完する必要がある」ルールを決定することになると文書に

は記載されています。

EASA の AI ロードマップへのもう 1 つの注目すべき追加は、乗客や貨物を輸送する空港やバー

ティポートを含む空港に関する新しいセクションです。EASA によると、AI はエアサイドとター

ミナルベースの両方の業務に使用できます。たとえば、エアサイド AI は、UAS 検出システム、

鳥類レーダー、滑走路上の異物の破片の検出に使用できます。ターミナルではセキュリティや

検査手続きにAIが活用される可能性があります。

EASA は、航空業界における AI アプリケーションを理解、開発、改善するために業界関係者と

協力しながら、AI ロードマップを更新し続けます。同庁はさまざまなAI関連研究にも資金を提

供しており、DaedaleanCollins Areospaceなどの民間企業と提携してAIロードマップに

関連する研究に協力しています。 

まとめ

AI(人工知能)の技術は、人類にとってインターネットの開発と同じレベルの発明と言われて

います。

掃除ロボットは内蔵カメラなどで部屋の構造や家具の位置を把握し、自動走行します。AI製

品は家事などの負担を軽減し、生活を豊かにすることが期待できます。

一方で、スマートスピーカーが音声を誤認識して不必要な商品を発注するトラブルや、掃除ロ

ボットが想定外の動作で家財を壊してしまった例も報告されています。

AI製品は万能ではありません。大切なのは、消費者がAIの判断を鵜呑うのみにせず、できること

できないことを理解して正しく活用することです。(読売新聞社説より)

私たちの周りには、すでにAIが浸透しています。例えば、人手不足のコールセンターのオペレー

タの代わりとしてAIのチャットが使われいます。現代人(特に若い世代)は、AIに対して違和感

は無いでしょう。人々の意識が変れば、航空機の完全な自動運転も現実化するでしょう。しかし

AIも間違えるということを正しく理解しておかなければ、取り返しのつかない事態に陥るでしょう。

AIの正しい教育と理解が求められます。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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