空飛ぶクルマのパイロット訓練のあり方

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

日本でも空飛ぶクルマが話題になっています。2025年の大阪万博において初めて

皆さんの前に本物の空飛ぶクルマがお披露目されます。

現在出展予定なのは、JALはドイツのボロコプター、丸紅がアメリカのバーティカル

・エアロスペース、ANAは同じくアメリカのジョビー、中国のイーハング。

そして日本のスカイドライブです。

中国のイーハングを除いてこれら全ての空飛ぶクルマにはパイロットが乗り組みます。

現在、世界で開発されている空飛ぶクルマの多くはパイロット無しでは飛ぶことを許さ

れていません。

それでは、空飛ぶクルマのパイロットはどのような訓練を行うのでしょうか?

今回は、その訓練を提供する企業を紹介します。

L3 Harris

空飛ぶクルマのパイロットトレーニング

少なくとも最初(約10年間)は、新しいエア タクシーや貨物配送サービスに使用さ

れる新しい eVTOL 航空機のほとんどにパイロットが搭乗します。これは、いわゆる

高度な航空モビリティ部門が、前例のない数の乗務員の採用と訓練という重大な課題

に直面することを意味し、既存の航空輸送業界はすでにスキル不足に苦しんでいます。

新しい航空機は、フライト デッキでより高度な自動化が期待されており、これはパイ

ロットにとって異なる役割を意味します。業界で期待されている「簡素化された車両

操作」には、トレーニングへの新しいアプローチが必要であり、いくつかのシミュレ

ーター メーカーとフライト トレーニング プロバイダーはこの要件に注意を向けていま

す。

 最近、L3 Harris によって開発された新しい汎用 eVTOL トレーニング デバイスが、

航空輸送のこの新しい分野への乗務員の流れを迅速に追跡するのにどのように役立つか

を確認する機会を得ました。

最近のファーンバラ国際航空ショーで、同社の高度な航空モビリティのビジネス開発責

任者であるチャールズ・コープが、私たちをロサンゼルスのダウンタウンへの仮想飛行

に連れて行ってくれました。

How New Flight Training Devices Could Produce New Pilots For eVTOL Aircraft – FutureFlight
Visit AIN's new resource for all the news on developing aviation technology.The high-volume operations promised by devel...

このビデオの中で、ジョビーのS4やバーティカルのVX4に対応したシュミレーターを

紹介しています。それぞれコントロール系統が異なるため詳細までは不確かですが、VR

を使った仮想空間はとてもリアルです。

L3Harris

L3Harrisは、1世紀以上の歴史を持つ航空・宇宙テクノロジー開発企業です。

その歴史は、1980年創設者のハリス兄弟が最初の自動印刷機フィーダーを発明すること

から始まりました。印刷機用のシート フィーダーを構築し、これまで時間のかかる手動

プロセスを自動化しました。

1901年、日本でもおなじみのビクターを設立。

1929 年にニューヨーク州ビンガムトンの拠点で最初のパイロット トレーナーを発明し、

1941 年にはリンク パイロット トレーナーが第二次世界大戦で 500,000 人の航空兵を

訓練しました。

1934年、最初のパイロット訓練機が米陸軍航空隊に販売されました。会社は、軍需企業

として重要なポジションを獲得したのです。爆撃機の高高度からの精密爆撃を可能にする

照準器を開発。

創業者の息子、スタルとして知られるアルフレッド・スタル・ハリスが1944年に大統領

になりました。

戦後はラジオ、テレビ会社を買収して、1950年には気象衛星や通信衛星に搭載される小型

電子機器を提供しています。その後、現在に至るまで宇宙開発の電子機器を開発しています。

1963 年から 1972 年まで、ニュージャージー州カムデンにあるアポロ有人宇宙計画 (アポ

ロ VII-XVII) のすべての VHF 通信を開発しました。

1956 年、テキサス州アーリントンの拠点で初めてジェット機のシミュレーターを開発し、

ダグラス エアクラフトとユナイテッド航空の注文に応えました。

その後様々な航空、宇宙関連のアビオニクスを開発して世界的なシアーを拡げています。

2010年から本格的にシュミレーターの開発を加速させています。同社のリアリティ セブ

ン シミュレーターが、英国クローリーのロンドン トレーニング センターで商用トレーニ

ングの市場に参入。

日本との関わりは、日本の気候を追跡するセンサー技術を提供しています。

同社の熱および赤外線センサー技術は、日本の気候を監視および測定するための日本の

GOSAT-2 衛星に採用されています。

ピーチのパイロット訓練をサポート

2023年2月、L3Harrisは、日本最大の航空会社である全日本空輸株式会社が次世代の

パイロットを訓練するために採用したことを発表しました。

この契約は、L3Harris と ANA の子会社の 1 つである Peach Aviation との間の数十年

にわたるパイロットの訓練とシミュレーターの関係に基づいています。L3Harrisが全日

本空輸とそのグループ航空会社にパイロット訓練を提供することで、この訓練関係は拡

大するでしょう。

2023 年 3 月から、全日本空輸の学生の最初のグループは、英国で 60 週間の単発および

多発機の飛行訓練と地上学校に参加し、その後日本に戻って日本の航空局の免許を取得

します。

L3Harris には、高度なスキルを持つ将来のパイロットを輩出してきた歴史があります。

その質の高いロケーションとトレーニング施設を使用することで、将来の成長に十分に

備えることができます。

全日本空輸は、年間売上高で世界のトップ 15 の航空会社にランクされています。

L3Harris は 1980 年代から全日本空輸に飛行訓練装置を供給しており、2018 年に両社

の間で最初のパイロット訓練契約が締結されました。

ドイツのフライト シミュレーション スペシャリストである FAST

ドイツのフライト シミュレーション スペシャリストである FAST は、パイロットが

新しい eVTOL 航空機を操作できるように準備するための複合現実トレーニング デバ

イスを開発しています。

FAST's mixed reality simulator for eVTOL aircraft.

VTOL 航空機の運用を計画しているシンガポールを拠点とする新興企業である EvFly は、

ドイツの Future Aviation Simulation Technologies (FAST Group) とのパートナー

シップを通じて、航空機の飛行訓練技術の開発に関与する予定です。最近署名された基本

合意書の条件の下で、両社は、パイロットが複数の eVTOL タイプを操作できるように訓

練するのに適した複合現実訓練デバイ​​スフルモーション フライト シミュレータを共同で

作成すると述べています。

ブレーメンに本拠を置く FAST グループの執行委員会のメンバーである ティル・ボーング

レーバー 氏によると、eVTOL トレーニング機器の正確な仕様は、先月、 EASA (欧州航

空局)による最終決定の対象となりました。1 月に、EASAは、VTOL 航空機のパイロッ

トタイプレーティングの承認に関する提案を発表しました。内容は一般的なガイダンスと、

フライト シミュレーション訓練装置 (FSTD) で使用される新技術の認定基準を提供して

います。さらに、エンベロープを縮小したモーション プラットフォームと組み合わせた

仮想現実 (VR) の使用に関する FSTD 特別条件が、最初のトレーニング デバイスの認定

のために EASA によって評価、規定、および適用されました。

ティル・ボーングレーバー 氏は、FAST の訓練装置とシミュレーターの開発に対する

モジュラー アプローチは、複数の航空機モデルをサポートするように容易に適応できる

ことを意味すると語りました。彼は技術データへのアクセスを得るために、同社はすで

にいくつかの eVTOL 航空機開発者と連絡を取っていると述べました。

FAST は、混合現実シミュレーターのデモ例をすぐに使用できるようにしており、EASA

や他の規制当局がトレーニング要件を確認したら、パイロットは eVTOL トレーニング

クレジットを獲得できるようになると述べています。「私たちのシミュレーターは、最初

から完全なライセンス トレーニングを提供できると確信しています」とティル・ボーング

レーバー 氏は述べ、EvFly は、新興の高度なエア モビリティ セクターに取り組むために

協力するいくつかのパートナーの 1 つになると付け加えました。

EvFly は、2025年に中国企業からの配送を開始し、UAEやサウジアラビアなどの市場に

展開することを目指しています。2022 年には、EvFly は、フランスのAscendance Flight

Technologiesが開発中の Atea eVTOL 航空機を 65 機注文することにも同意しました。

同社はまた、飛行訓練に使用できるいくつかの 2 人乗りモデルを含む、いくつかの eVTOL

タイプを自社のフリートに追加することに関心を示しました。同社のビジネスモデルには、

さまざまな車両のフリート管理と運用が含まれるといいます。

Ascendance Flight Technologies「ATEA」の機体イメージ(出典:同社プレスリリース)

Ascendance FlightTechnologiesが開発中の Atea eVTOL 航空機(画像:AFT)

まとめ

世界的にコロナが終わり、航空業界はコロナ前より活気づいています。その結果、

パイロットをはじめ航空業界の人員が不足しています。それは、空飛ぶクルマ業界

にとっても同じことです。予想では2024年から有人での試験飛行が終わり、実際に

人を乗せて飛んでいます。専門家の予想では2025年はわずか146億円の市場規模で

すが、2030年に6兆3900億円、2035年に19兆5800億円、そして2050年には122兆

8950億円に成長すると予測しています。自動車産業の世界市場は現時点で400兆円

規模といわれているので、この予測通りに推移すれば、将来はモビリティーの中でも

eVTOLが大きな存在感を示すことになります。

そして、2030年時点でおおよそ7000機の空飛ぶクルマが飛んでいると考えられてい

ます。ということは、最低でも7000人のパイロットが必要だと言うことです。

2017年の統計では、世界中に商業パイロットは46万人いると言われています。その後

LCCの台頭でその数は増えてはいますが、今後は大幅な不足が予想されています。

ちなみに日本のパイロットは約6000人です。つまり、日本と同じ規模の空飛ぶクルマ

のパイロットが必要になってくるのです。

パイロット1人を訓練するのに最低でも2~3年はかかります。ということは、今から

訓練を行わなければ遅いということです。

現時点では、機体の開発ばかりに目が行きがちですが、インフラストラクチャーを含めた

総合的な取り組みが必要なのです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

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