エアバスははたして安泰なのか?【2023年最新情報】

飛行機

皆さんこんにちは!

エアバス(仏)のライバルのボーイング(米)は、B737MAXの運航停止の問題や

ソフトウェアの問題でコロナからの業績回復が思うように進んでいません。

一方、エアバスはここぞとばかりに受注を延ばしています。しかし問題はまったく

ないのでしょうか?

エアバスの憂鬱

エア・インディア、エアバスとボーイングに過去最多の約500機を発注

2023年2月14日、インドの巨大複合企業タタ・グループ傘下に入った航空会社エア・

インディアは、欧州エアバスおよび米ボーイングに旅客機計470機を発注したと

発表しました。1航空会社の発注として過去最多記録となります。

エアバスには単通路(ナローボディ)機「A320neo」210機と複通路(ワイ

ドボディ)機「A350」40機の計250機を発注。ボーイングには「737MA

X」190機、「787ドリームライナー」20機、「777X」10機の計220

機を発注しました。

エアバス幹部によるとこの他、直ちに必要なエアバスの25機がリースされるため、

全体では495機の発注となる予定です。(記事はロイターから引用)

この記事からすると、エアバスとボーイングの両社にいいニュースですが、実は

インドは引退したエアバス最高執行責任者兼コマーシャルのジョン・リーヒー氏と、

インド大統領であるキラン・ラオとの蜜月の関係により、それまでボーイングはイン

ドにとってお得意さんではありませんでした。2016年には、インド政府とエアバス

320を1200機を含む1600機の受注を2015年から2034年までの20年間で行うことを

発表していました。市場規模は2240億ドル(約24兆9289億6000万円:当時)とし

ていました。つまりエアバスはインドでは一人勝ちだったのです。

それでは、なぜ今回ボーイングが入ることができたのでしょうか?

それは、コロナのパンデミックによりインド経済が低下して、それまで公営企業であ

ったエアインディアが、自動車グループ・タタに買収されたからです。

また、アメリカとの関係が緊密になり、世界人口と経済が中国を追い越すインドの台

頭があります。インドのモディ首相は、中国との対立を深めながら、ロシアとの関係

については中立的な立場をとっています。アメリカのバイデン大統領やヨーロッパの

反中国の国々は、インドとの関係を重視するようになりました。

この契約はエアバスとしては諸手を挙げて喜ぶことはできません。

生産ラインの遅れ

ボーイングのB737MAXの運航中止問題を受けて、コロナから回復した世界の航空会社

は、改めて新しい航空機を発注し始めました。特にナローボディ(通路が1つ)の航空

機A320、A321、A220などに注文が集中しています。

エアバスは、すでにA380の生産を中止しています。そこでフランス・トゥールーズに

あるA320の最終組立ラインのうち、一つをデジタル化したA320/A321兼用ラインに

置き換えました。A321はA320の長胴型で最終組立を担う工場は現在、ドイツ・ハン

ブルクとアメリカ・アラバマ州モビールの2カ所のみ。2023年からはA321neoの航続

距離を延長した超長距離型「A321XLR」の引き渡しが始まり、初号機はハンブルクで

製造することから、トゥールーズでもA321を製造できるようにすることで、生産体制

に柔軟性を持たせる計画です。ハンブルクは、元々A380の製造ラインでした。

しかし、その切り替えが上手くいっていないのです。

ハンブルグの A321 の最終組み立てラインでの品質管理の問題、カナダ・モントリオ

ールの A220 生産ラインはサプライヤー(部品納入業者)の遅延に悩まされています。

エアバスは、スロットが不足しているのです。エアインディアからの注文も捌(さば)

ききれない状態です。

エンジンの問題

ボーイングのB787が生産を再開して、エアバス350との競争が加速しました。

しかしB787に搭載する予定だったロールスロイス社製トロント1000が地上試験中に

爆発した事例がありました(2017年)。これを受けてANA(全日空HD)は、B787

の運航を停止しました。ANAのB787におけるロールス・ロイス製エンジンのトラブ

ルは、これが初めてではありません。2016年8月には、トレント1000の「中圧ター

ビンブレード」で設計よりも短期間で劣化し破断することがわかり、当初決めていた

整備サイクルよりも早い段階で部品を交換する必要に迫られました。結果、一部便

で欠航が発生しました。ANAは、もう一つ米ゼネラル・エレクトリック(GE)の

GEnx型も使っています。JAL(日本航空)のB787のエンジンはすべてGEnxです。

一方、エアバス350は、ロールスロイス社製トロント1000の改良型のXWBを使用し

ています。今のところ目立った故障はありませんが、航空会社の中にはトロントに

信頼を置いていないところもあります。一部の会社はロールスロイス社製エンジン

を搭載した新しい航空機の注文を停止しています。

その他の問題

ボーイングは、B737MAX、B777X、およびB 787 の納期遅延による顧客からの補償

請求に直面しています。ボーイングが不満を抱いている顧客を補償する 1 つの方法は

航空機の価格を引き下げることです。一方何年にもわたって完全な生産ラインを持つ

エアバスは、納期が遅れたとしても価格を下げることはほとんどありません。

しかし、エアバスにとってより厄介なのは、製品サポートが不十分な場合があるとい

う苦情です。南北アメリカオフィスの顧客サポートは、航空会社と貸主をトゥールー

ズに紹介することが多く、アメリカオフィスが困難な問題をかわす理由として都合

よくトゥールーズを利用しているという疑いを引き起こしています。

デリケートな問題として、エアバスは近年、ボーイングの株主価値にますます注目

するようになっています。エアバスは定期的に自社株を買い戻しています。

製品開発よりも株主価値を重視するボーイングとは異なり、エアバスは依然としてこ

の分野でボーイングよりもはるかに多くを費やしています。しかし、ボーイングが新

しい航空機の開発を「一時停止」しているため、エアバスは現在、後回しになってい

る、と批評家は言います。確かに、エアバスは今後 10 年間、水素動力の飛行機を研

究しており、現在の シリーズA資金調達で多くの利益を上げています。

シリーズAでは、1億〜5億円ほどの投資資金が目安)

エアバスのゼロエミッション旅客機「ZEROe」のコンセプト機を3種類

まとめ

エアバスは、ボーイングと大きく水を開けた形にはなっていますが、今後B737MAXの

問題が解決すると、あぐらをかいてはいられません。

整備部品の問題でいいますと、エアバス320型機は世界中で一番多く使用されています。

それも、LCC(格安航空会社)が発展してきたからです。コロナの影響もあって、消耗

部品や整備部品の不足が問題になっています。日本のLCC(ピーチ、ジェットスター)

はエアバス320/321を使っていますが、APUと呼ばれる部品が不足していて運航に

支障を来たしています。APUとは、飛行機が地上でエンジンをかけていないときに電気

やエアコンなどを供給してくれるもう一つのエンジンです。このAPUが世界的に不足し

ているのです。修理してもらうのも数ヶ月から1年単位の順番待ちが起こっています。

こういう部品不足問題が解決するのは、あと何年かかるのかもわかりません。

ブラジルのエンブライヤルや中国の新しい航空機C919など途上国の安い飛行機が勢い

を増してくると、エアバスとしても枕を高くして眠っていられません。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

 

 

 

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