航空機の燃料はお高いの?

飛行機

皆さんこんにちは!

最近、ガソリンの値段が高騰していますね!

本日6月25日現在の、レギュラーガソリンの全国平均価格は170円です。

いやぁ~、本当に高くなりましたね。

そんな中、こんなニュースも飛び込んできました!

JAL、8~9月燃油サーチャージ過去最高 欧米行47000円 - 日本経済新聞
日本航空(JAL)は24日、国際線の旅客便を対象に、2022年8~9月発券分の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)を引き上げると発表した。日本発の各方面で過去最高とし、北米や欧州行き(片道)は4万7000円と従来比1万200円上げる。ハワイ...

JALをはじめ航空会社は、燃油サーチャージの値段を大幅に上げたのです。

それでは、燃油サーチャージとは何か?航空機の燃料とは?

今日は、ここにスポットを当てて見ていきましょう!

燃油サーチャージ

燃油サーチャージとは?

燃油サーチャージ、正式には燃料特別付随運賃と言います。

航空機の燃料価格の高騰により、費用の一部を飛行機を利用する旅客に負担してもらうため

設定された付加運賃です。

これは航空業界だけではなく、トラック輸送の業界にも適用されている制度です。

各社の値段は?

これは、航空会社ごとに決められるものです。例えば

ハワイ路線 (往復料金)

JAL 61000円

ANA 62200円

ZIP 55000円 (ZIP AIR【ジップエア】はJALの子会社のLCC)

ロサンゼルス (往復料金)

JAL 94000円

ANA 88000円

ZIP 72000円

(2022年8月から9月の燃油サーチャージ価格)

燃油サーチャージ、いつから始まった?

燃油サーチャージはいつから始まったのでしょうか?

1991年頃、燃料価格はイラクがクエートに侵攻したイラク戦争の影響を受け高騰しました。

そこで、航空会社は旅客にコストの一部を負担してもらうことを考えました。

これにより、貨物輸送は2001年、旅客輸送では2005年から、燃油サーチャージが設定

されました。

燃油サーチャージの値段はどうやってきめているの?

燃油サーチャージの値段を決めるには、指標となる燃料価格が必要となります。

現在、日本の航空会社は主にシンガポール市場で取引されるシンガポールケロシンの価格を

使用しています。

なぜ、日本はシンガポールケロシンを採用している航空会社が多いのでしょう?

アジア地区で主に使われていると言うのが理由の一つですが、シンガポールケロシン以外の

市場価格が掲載されているHPが、ある時アクセスできなくなったためとも言われています。

燃油サーチャージの計算

各航空会社ごとに決まっている運航スケジュールを基に、路線、便数、使用機材、旅客数や

貨物の量を確認して、そこから合計年間消費燃料を算出します。

そして、計算された合計年間消費燃料と申請時のケロシン価格から高騰する前(安定時)の

ケロシン価格差し引いた額を掛け合わせたのが追加燃料コストとなります。

(申請時のケロシン価格ー高騰する前(安定時)のケロシン価格)×合計年間消費燃料

=追加燃料コスト

そして、燃油サーチャージの価格はこの追加コストを上回らないように設定します。

このようにして、各社で燃油サーチャージの価格が決められます。

 

航空機の燃料

航空機の燃料は?

航空機の燃料は、ケロシンといい、ストーブで使う灯油によく似ています。ロケット燃料にも

使用されて、ナフサ(ガソリンの原料)よりも比重が重く、灯油より軽いものです。

ケロシンは、灯油の中でもより純度が高く、水分が少ないため、気温がー50℃以下の高高度

でも凍らずに飛行できる燃料です。冬のシベリア上空を飛行するときは、外気温度が-50℃

以下になってしまうので、特に注意が必要だと聞いています。

航空機の燃費は何km?

航空機はどれくらいの燃費なのでしょうか?

成田からニューヨークまでのおおよそ1万1000kmをボーイング747型機で飛行した

場合の消費燃料は35万ポンド(約15万900kg)、新型のボーイング787型機は

15万ポンド(約6万8000kg)となり、半分以下の燃料で済みます。ちなみに

ボーイング777は25万ポンド(約11万3400kg)です。

ドラム缶一本200kgとすると、ボーイング747で755本、777で567本

787で340本となります。

それでは、燃料1リットルあたり何キロ飛行できるのでしょうか?

ボーイング747  0.043km(43m)

ボーイング777  0.075km(75m)

ボーイング787  0.120km(120m)

これだけ見ると、自動車よりとても燃費が悪いように思えます。

しかしながら1座席あたり(旅客1名)だと、747が384席、777が244席

787が161席(JALの国際線使用)とした場合の燃費は

ボーイング747 16.8km/リットル

ボーイング777 18.8km/リットル

ボーイング787 28.8km/リットル

普通自動車    32~40km/リットル(5人乗り)

となります。新型のボーイング787だとスポーツカーより燃費が良いですね。

最新鋭機ボーイング787型機
航空会社の燃料の価格はどうやって決めているの?

各航空会社は、燃料を仕入れる場合、その年ごとに先物買いを行い燃料価格の変動リスクを

分散回避するための方法をとっています。先物買いとは、あらかじめ決められた期日に

特定の商品を決められた価格で買うことができる制度です。

ただし、今はウクライナ戦争や円安の影響により、企業努力の範囲外になってしまい

今回の燃油サーチャージの高騰を招きました。

パイロットができること

さて、パイロットもいかに燃料を削減するか努力しています。

地上でのエアコンの使用

お客さんが飛行機に乗るギリギリまで、エアコンを入れないようにしています。夏場は地上

から冷たい空気が送られてくる大型のエアコン装備を使います。

エンジンの始動はタイミングを見て

なるべく遅くエンジンを始動させます。

地上走行はゆっくり、短い距離で

自動車と同じように、急発進、急ブレーキを避けて、なるべく燃料を使わないようにします。

自分の前に他の航空機がいない場合は、離陸する滑走距離を短くします。これにより、地上

走行距離が短くなり、その分だけ燃料減となります。

一番燃費の良い高度を飛行

出発前に地上で計算した最良巡航高度を飛行しますが、実際に飛行し上空の風の状況などを

判断して揺れない高度の中で最も燃費の良い高度を選択します。

最短距離を飛行

可能な限り短い距離を飛行することを心がけます。途中の経路を、管制の許可をもらって

ショートカットしたり、天気の良いときには目視による着陸を行います。

着陸はスムーズに

着陸後は、長い滑走路の場合、エンジンの逆噴射をなるべく使用せず、また、駐機場に

近い誘導路から出られるようにします。

片方のエンジンを停止?

着陸してから駐機場まで距離がある場合は、片方のエンジンを止めて地上走行します。

燃料の量

飛行機に搭載しなければならない最低限の燃料の量は、法律で決まっています。

燃料が少ないほど、機体重量が軽くなり燃費も向上します。安全に支障がない範囲内で

搭載する燃料の量を決めています。

 

SAFとは?

燃料削減と平行してCO2削減も問題視されています。

地球温暖化問題では、特に航空機から排出されるCO2量を減らすことが求められています。

航空機のCO2排出量は、バスの1.5倍、電車の5倍と他の交通機関と比べるとたいへん

大きい数字です。

スエーデンの環境活動家グレタさんが、国際会議に参加するために飛行機を使わず、ヨットで

移動したことでも有名になりました。

そんな中、新たな航空燃料として

SAF (Sustainable  Aviation Fuel : 持続可能な航空燃料)が注目を浴びています。

原料として、使用済みの食用油、ゴミ、植物などを使用することによって航空機燃料に

取って代わろうとしています。CO2の削減効果は6~8割あると言われています。

今は、世界の航空燃料の0.03%に過ぎないSAFですが、2050年には市場規模は

日本だけでも2.3兆円になると予想されています。

ミドリムシが飛行機を飛ばす?
Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

ミドリムシのSAFを作っているユーグレナという会社は、

『世界から食糧不足をなくす』ことを目的に2005年に設立したベンチャー企業です。

食用のミドリムシを培養して、飲料やクッキーを作ってきました。

2010年にバイオジェット燃料の開発をスタートさせ、培養したミドリムシの油脂を

使った燃料の製造に乗り出しました。

実用化されれば、CO2排出量は5分の1まで削減されると言われています。

現在コストは1リットルあたりおおよそ1万円!

大量生産される3年後には1リットルあたり250円くらいになると予想されています。

Euglena green and ciliate in the natural environment. 3d illustration

 

まとめ

SAF 持続可能な航空燃料の開発は、地球温暖化の原因であるCO2を削減する意味では

大きく貢献できるでしょう。

また、次世代型エアモビリティ(空飛ぶクルマ)の開発も、その一つです。

人類の英知を集めて、地球温暖化問題の解決を進めるとともに

我々、一人一人が貢献できることもあります。

この積み上げこそが、未来につながることを信じています。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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