世界で起こっているパイロット不足は本当なのか?

飛行機

皆さんこんにちは!

ゴールデンウィークは、いかがお過ごしでしたか?コロナのパンデミックが終息して初めて

の大型連休。3年ぶりの海外旅行を楽しんだ方、または帰省された方。様々だと思います。

その際に飛行機を利用された方も多いかと思います。

航空需要が戻りつつある中、世界ではパイロット不足が問題になっているのです。

その実状と日本の航空業界の抱える問題について解説していきます。

アメリカのプライベートジェット、パイロット労働組合の憂鬱

アメリカのプラーベートジェット会社NetJetsのパイロットで構成している労働組合

NetJets Association of Shared Aircraft Pilots (NJASAP) は、パイロット不足による

長時間労働に悩まされています。

ネットジェッツ(NetJets)はバークシャー・ハサウェイの子会社で、ビジネスジェット

の部分的所有権や持分を販売するアメリカ企業です 。ネットジェッツは1964年にエグゼ

クティブ・ジェット・アビエーション (Executive Jet Aviation) として設立されました。

ビジネスジェットのチャーターや機体管理を行う世界初の会社で、現在保有機数は700機

とも言われています。

ボンバルディア・グローバル7500など14人乗りの長距離ジェットから、6人乗りの小型

ジェットまで保有機種も多彩です。

ボンバルディアの次世代型ジェット機のイメージ

ボンバルディア・グローバル7500、その価格は、7280万ドル(約81億4200万円)。

NJASAPは、経営陣が労働力を維持するための積極的な措置を講じていないことに懸念を表

明し、契約交渉が満足のいくものでなければ、NetJetsパイロットの22%が1年以内に退職

する予定であることを示しました。 NJASAPのペドロ・ルルー社長は、「従来の航空会社か

ら超低コストの航空会社まで、業界全体の経営陣が、トップパイロットの才能のための競争

力を強化するために大胆な措置を講じているのを見ている. 「業界を形作るこの瞬間におけ

るネットジェッツの非妥協は、顧客がプレミアムを支払う比類のない安全性とサービス製品

を提供するブランドの能力に非常に深刻な結果をもたらすことを恐れています。」

NJASAP は、同社のパイロットが 5,000 を超える空港にサービスを提供しているのに対し、

レガシー キャリアは平均して 262 の目的地にサービスを提供していると指摘しました。

「当社がサービスを提供している空港の数と場所は比類のないものであり、その多くは独自

のリスクを伴う遠隔地の管理されていない分野であり、NetJets が比類のない経験と熟練度

を備えたパイロット数を必要としていることに疑いの余地はありません。」

一方、NetJets のオーナーであるバークシャー ハサウェイは、2022 年のフライト セーフティ

インターナショナルを含む航空サービス事業の収益が前年比で 18.2% 増加したと報告してい

ます。訓練時間の増加と、NetJets での飛行時間の 9% の増加は、そのほとんどが 2022 年

の前半に発生したものです。また、燃料サーチャージの増加も増加を助長しましたが、販売

構成の変化によって緩和されました。

バークシャー ハサウェイのサービス事業の利益は 3 億 7,500 万ドル増加し、航空サービスは

その増加の 3.4% に貢献しています。

一方、デルタ航空が最近、パイロットの給与を約 34% 引き上げる契約について合意に達した

こともあり、給与はワイドボディの機長で約 60 万ドル(8400万円)、ナローボディの機長で

47 万 5,000 ドル(6650万円:$1=140円)に達します。アメリカン航空はこれに合わせる

ことを申し出ました。

各航空会社の給与の状況(画像:NJASAP) 

NetJets パイロットのキャリア収入は、もはや市場で競争力を持っていません。NetJets

のパイロット報酬は、従来の航空会社に劣るだけでなく、Jet Blue などの格安航空会社や

SkyWest などの地域航空会社にも及んでいます。

給与レートは、デルタで月額 78 時間、ジェットブルーで月額 88 時間、スカイウェスト

で月額 85 時間で年換算されました。ベース ペイの値には、ペイ プレミアムとオープン

タイムは含まれません。

昨年 10 月以降、パイロット グループとの交渉を終えた 5 つのメインライン キャリアは

すべて、大幅な賃上げやその他の大幅な改善を特徴とする契約を結びました。

以下が代表的な交渉結果です。

  • アラスカ航空 | パイロットの給与が 2 年間で23% 増加し、スケジュールが改善されました。| | 2022 年 10 月
  • スピリット航空 | 3 年間でパイロットの給与が30% 増加し、その他の特典もあり | 2023年1月
  • ジェットブルー | 18 か月の契約延長で、パイロットの支払い率が21.5% 増加。| | 2023年1月
  • ハワイアン航空 | パイロットの平均賃金率が 4 年間で32% 上昇。| | 2023年2月
  • デルタ航空 | パイロットの平均賃金が 4 年間で34% 上昇し、スケジューリング、福利厚生、雇用保護に関する文言が大幅に改善されました。| |2023年3月
ネットジェッツのパイロットがバークシャー・ハサウェイの会合でピケを張る

2023 年 4 月 19 日、オハイオ州コロンバスにあるネットジェッツ社の本社の向かいでピケを張る共有航空機パイロットのネットジェッツ協会

親会社であるバークシャー・ハサウェイの株主総会でピケを行う。(画像:NJASAP)

NetJets Association of Shared Aircraft Pilots (NJASAP) は、約 1,000 人のメンバーと

その家族がネブラスカ州オマハの CHI ヘルス センター親会社バークシャー・ハサウェイの

年次株主総会でピケを張って、同社が乗務員不足に対処できていないことに抗議しました。

NJASAPは「パイロットの労働危機が続いているにもかかわらず、ネットジェッツの経営陣

は、有能なパイロット要員を引き付けて維持するための有意義な措置を講じないことを選択

しており、プライベート航空輸送の世界的リーダーとしてのブランドの地位を危険にさらし

ています。

3月、ネットジェッツに対して、現在進行中の中間契約交渉の過程で給与と条件が改善され

ない限り、ネットジェッツは航空会社に乗務員を失うリスクがあると警告しました。ネット

ジェッツのパイロットのほぼ 4 分の 1 が、契約交渉が満足のいくものに終わらない場合、

12 か月以内に会社を辞める予定であることを示す調査結果を指摘しました。

契約ビジネスジェットパイロットの給与は急上昇

一方、このような記事もありました。

ビジネス航空機の契約パイロットの日当は、この 1 年間で劇的に上昇しました。CrewBlast

(テクノロジー主導の民間航空およびヨットの人材派遣会社)ユーザーから報告されたデー

タによると、ビジネス航空機のほぼすべてのカテゴリで増加が見られますが、一部の大型キ

ャビンのビジネス ジェットでは最も劇的で、一部の国内線の 1 日の料金が 25% 以上上昇

しています。

ボンバルディアグローバル (モデル 7500 を除く) の機長の料金は、昨年の 1,500 ドルから

2,000~ 2,500 ドルに上昇しました。チャレンジャー 300 シリーズの場合、1,300 ドルから

1,800 ドルから 2,000 ドルの間。サイテーション ソブリンの場合、1,250 ドルから 1,500

ドルから 1,800 ドルの間。ホーカー 900 は 1,200 ドルから 1,500 ドルから 1,700 ドル

まで。

パイロット不足による弊害

米地域航空協会(RAA)は4月末、航空業界がパイロット不足の「津波」に直面していると

米議会に報告しました。今後15年間で米国の現役パイロットの半数以上が65歳の定年を迎

えるが、退職による不足を補うのに十分な人員は養成できていない状況です。

問題はすでに顕在化しています。パイロット不足のため、米地方航空会社の多くは待機状態

の旅客機を抱え、パンデミック前のサービス水準を回復できていない。コロナ禍明けの「リ

ベンジ旅行」をしたい旅行客の膨大な需要に対して、空席が圧倒的に少ない理由の1つです。

RAAのフェイ・マラーキー・ブラック会長兼CEOは米下院運輸経済基盤委員会で、全米42州

で航空サービスがパンデミック前よりも縮小したと説明。136空港で運航数が少なくとも25

%減少したほか、大きなハブ空港周辺の小都市にある11空港への旅客便はやむなく乗り入れ

中止になったと述べました。

パイロット不足の原因はいくつかありますが、第一にパイロットの養成訓練を受けるのに多額

の費用がかかる問題があります。学位取得費用に加えて20万ドル(約2700万円)以上が必要

ですが、ローンを組んでまで資金を捻出しようという人は少ない。パイロットは医師や弁護士

と異なり、大学院支援プログラムによる追加融資の対象外なのです。

CNNによると、欧州や日本では長距離移動の際に航空便に代わる道路や鉄道といったインフラ

が整っているため、人員不足の実感は米国ほど深刻ではない可能性があるといいます。

また、欧州では政府が旅行業界の脱炭素化目標の達成を強く推進しており、その一環として航空

機利用から鉄道利用への移行を法的に進めています。鉄道で2.5時間以内に移動可能な代替ルート

がある場合、航空便での移動を禁止するフランスの新法はその代表例です。

まとめ

世界では、パイロット不足が深刻化しています。このため各航空会社は、パロット確保の

ため給料を上げなければなりません。その上がった人件費は、航空運賃にそのまま反映さ

れます。また、最近の燃料費高騰でますます航空機離れが加速します。パイロットは、自

分で自分の首を絞めている状況なのです。

日本もゴールデンウィーク明けの今日5月8日から、新型コロナが「5類」になり海外からの

観光客やビジネスが活発になるでしょう。

日本の格安航空会社ZIP AIRも海外路線を拡張しています。JALやANAも海外路線

をコロナ前までの水準に戻しています。

新規航空会社としては新潟空港をベースとするTOKI AIRが6月末から、物流大手のヤ

マトホールディングスは来年4月から貨物便の運航を始めます。

パイロットの採用活動、争奪戦が激しさを増しています。

また、2030年問題(パイロット大量定年)も控えており、今後更なるパイロット不足が懸念

されます。

それでは対策はないのでしょうか?

⑴ 訓練費用の軽減

諸外国に比べても日本での訓練費は高すぎます。奨学金制度や国の支援制度、訓練スクールの

充実などが考えられます。

⑵ 外国人採用

日本では外国人パイロットの就職が促進されていません。ある程度規制を緩和する必要があり

ます。

⑶ パイロット人口の増加推進

パイロット人口を増やすには、低価格な飛行機(LSA)や飛行空域の規制緩和が必要です。

⑷ AIの活用や完全自動化

AIの活用や完全自動化にすることで、全体的な必要パイロット数を削減できます。

皆さんはどうお考えですか?

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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