ジョビーの目指すもの

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

アメリカのeVTOLトップランナーのジョビーアビエーションが、ヘリコプター大手のブレイドを買収し完全子会社化しました。

これを受けてジョビーの株価は大きく値を上げました。はたしてジョビーの目指すところは?

ブレード・エア・モビリティ、旅客部門をジョビーに1億2500万ドルで売却

ブレード・エア・モビリティは今週、旅客部門を最大1億2,500万米ドルでジョビー・アビエ

ーションに売却することで合意したとプレスリリースで発表しました。売却対象には、米国お

よび欧州での事業、主要ハブ空港のラウンジおよびターミナル、そしてブレードブランドが

含まれます。事業はジョビー・アビエーション傘下の独立した事業体として継続される計画です。

予想通り、両社の株価は発表(8月4日)を受けて急騰しました。ジョビーの株価は20%近く

上昇(終値は20.39米ドル)、Bladeの株価は14%以上上昇(終値は4.43米ドル)しました。

AAM関連のその他の株価も好影響を受けたのです。

ブレードは昨年、世界有数の都市型航空輸送市場に位置する12の都市ターミナルネットワーク

から5万人以上の乗客を運びました。これには、ジョン・F・ケネディ国際空港とニューアー

ク・リバティー空港、そしてマンハッタンの西側、東側、そしてウォール街にある専用ラウンジとターミナル拠点が含まれます。

同社の旅客運航は通常通り継続される見込みで、事業は引き続きジョビーの完全子会社とし

てブレードの創設者兼CEOであるロブ・ヴィーゼンタール氏が率いる予定です。

ブレードの創設者兼CEOであるロブ・ヴィーゼンタール氏

リリースでは、「ブレードの既存のインフラを活用し、従来のヘリコプターから次世代の

eVTOL機へと多くの忠実な乗客を徐々に移行させることで、ジョビーはインフラ投資の必要性

と顧客獲得コストを削減しながら商業化を加速できると期待している」と説明されています。

ジョビー・アビエーションの創業者兼CEOであるジョーベン・ベバート氏は、「これは戦略的

に重要な買収であり、ジョビーのドバイでの商業事業の成功と、それに続く世界展開、そして

この分野での継続的なリーダーシップを支えるものとなるだろう」と述べました。

彼はさらに、「過去10年間、ロブとブレード社のチームは、垂直離着陸機の価値を実証する

世界クラスの乗客体験を築き上げてきました。彼らが確保したインフラへのアクセスと築き上

げた忠実な顧客基盤により、認証を取得し次第、静粛性の高い電気航空機を発売する最良の立場に立つことができます」と述べました。

取引後もブレイドの医療部門は上場を維持し、ストラタ・クリティカル・メディカルとして

ブランド名を変更します。リリースにはさらに、「アセットライトなプラットフォームを活

用し、全国の病院や医療機関にミッションクリティカルな物流と医療サービスを提供すること

に注力するとともに、事業ポートフォリオを有機的な成長と買収を通じて強化・拡大していきます」と記されています。

ストラタは、両社による長期的なeVTOLパートナーシップの一環として、医療用途でジョビー

社の航空機を利用できるようになります。ジョビー社のS-4の静粛性と、従来のヘリコプター

やその他の短距離航空機よりも低コストで運航できる可能性が相まって、ストラタの顧客に

価値を提供し、競合他社に対する優位性を獲得することが期待されます。

同社の医療分野における事業であり、米国における移植用臓器の航空輸送最大手の一つである

トリニティ・メディカル・ソリューションズは、引き続きストラタの完全子会社として存続します。

ヴィーゼンタール氏は、「ブレードの創業以来の使命は、従来の回転翼航空機から電動航空機

への移行を加速させることです。この使命の実現を支援する上で、ジョビーほど強力な企業は他にありません」とコメントしました。

同氏はさらに、「過去8年間で、当社は米国最大級の人体臓器航空輸送会社を設立することに

成功しました。今回の取引により、当社は単一の戦略と買収および有機的拡大のための十分な

資本を活用し、医療物流およびソリューションバリューチェーン全体にわたって提供内容を

拡大することに注力できるようになります」と述べました。

ブレイドのマンハッタンのヘリポートの1つ

支払われる買収価格は、慣習的な補償保留の対象となり、業績と保持指標に基づく最大

3,500 万ドルのアーンアウトを含む、現金または ジョビー株のいずれかで支払われます。

ブレイドの最高財務責任者ウィル・ヘイバーン氏は、「今回の売却により、2024年度の

利益の大部分を占める、当社で最も急成長し、最も収益性の高い事業ラインであるトリニテ

ィ・メディカルに完全に集中できるようになります」と付け加えました。

一方、ヴィーゼンタール氏はジョビー氏と共にブレード・エア・モビリティのCEOに就任し

ストラタの取締役会長も兼任します。取引は数週間以内に完了する予定です。ストラタの新しいティッカーシンボルは後日発表されます。

ブレイド社の社長兼最高法務責任者であるヘイバーン氏とメリッサ・トムキール氏は、

ウィーゼンタール氏の後任として、それぞれCFOと最高法務責任者の職を維持しながら、

ストラタ社の共同CEOに就任します。ブレイド社の現会長であるエリック・アフェルト氏は、筆頭独立取締役に就任します。

‎Gemini - ジョビー、ブレイド買収でeVTOL商用化加速
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ジョビーの株価の推移

ジョビー、ブレイド旅客事業買収の狙いは

「市場への即時参入」 インフラと顧客基盤獲得で商用化を加速

ジョビー・アビエーションが、ヘリコプターチャーターなどを手掛けるブレイド・エア・モビ

リティの旅客事業を買収した狙いは、「インフラ、顧客基盤、ブランド、運営ノウハウ」を

一体で獲得し、自社開発のeVTOLが型式証明を取得後、即座に商業運航を開始できる体制を整えることにあります。

これは単なるインフラの確保にとどまらず、既存のヘリコプター市場の置き換えを明確に見据えた戦略的な一手と言えます。

ブレイドは、ニューヨーク都市圏や南ヨーロッパなどで、空港と都心、あるいは都市間を結ぶ

ヘリコプターの定期便・チャーター便のネットワークを既に構築しています。これには、発着

に不可欠なヘリポートやラウンジといった物理的なインフラが含まれます。

通常、航空事業に新規参入する企業にとって、こうしたインフラをゼロから確保するには膨大

な時間とコストがかかります。ジョビーは今回の買収により、このプロセスを省略し、サービ

ス開始までの時間を大幅に短縮する「ショートカット」を手に入れました。既存のブレイドの

運航ルートは、将来的にジョビーのeVTOLが就航する有力な候補地となります。

今回の買収は、インフラの獲得が大きな目的であることは間違いありませんが、その本質は

ヘリコプターからの代替を加速させることにあります。

ジョビーのeVTOLは、従来のヘリコプターに比べて大幅に騒音が少なく、運用コストも低い

とされています。ブレイドが持つ既存のネットワーク上で、より優れた性能を持つ自社の機体

を運航することで、ヘリコプターが提供してきたサービスを段階的に置き換え、都市航

空交通(UAM)市場のリーダーになることを目指しています。

つまり、ジョビーにとってこの買収は、単なる事業拡大ではなく、自らが描く「空飛ぶクルマ」の未来を実現するための、極めて戦略的な布石なのです。

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