皆さんこんにちは!
ドイツのLilium Jet (リリウムジェット)は、パイロットの操縦桿をエアバスと同じ様な
サイドスティック方式に決定しました。
革新的なサイドスティック システム
初の完全電動垂直離着陸 (「eVTOL」) ジェットの開発者である Lilium(リリウム) は、
Collins Aerospace (コリンズ エロスペース)と協力して、 リリウムのパイロット
が航空機を制御するために使用する革新的なサイドスティック システムを採用しました。
コリンズ エアロスペースは、世界の航空宇宙および防衛産業向けの技術的に高度でイ
ンテリジェントなソリューションのリーダーであり、Raytheon Technologies(レイセ
オン) の事業部門でもあります。レイセオンはアメリカ・バージニア州に本社を構え
航空、軍事、宇宙産業に従事している企業です。
リリウムは、安全で直感的な取り扱い品質、機能への簡単なアクセス、美的で人間工学
に基づいたデザインを提供しています。従来のすべての機械的および電気的飛行制御を
2 つのサイドスティックに統合する一方で、コリンズ エアロスペース は、eVTOL 領域
でのシングル パイロット操作に新しい操縦哲学をもたらします。このシステムは、従来
のサイドスティックと比較して、スペースと重量を大幅に節約できるように設計されて
います。
リリウムとコリンズ エアロスペースとのコラボレーションは、確立されたティア 1 航空
宇宙サプライヤーと協力して認証をサポートし、産業の立ち上げを準備するというリリウム
の戦略を継承しています。サプライヤー契約の一環として、商用ジェット機のインセプター
の開発と認証に豊富な経験を持つコリンズ エアロスペースは、リリウムのインセプターを
商用航空規格になるようにバックアップします。
リリウムについて
Lilium (NASDAQ: LILM) は、人や物のための持続可能でアクセスしやすい高速地域輸送
モードを作成しています。全電動の垂直離着陸ジェットである Lilium Jet を使用して
業界をリードする容量、低騒音、高性能を実現し、運用時の排出ガスをゼロにすることで
Lilium は空の旅の脱炭素化を加速させています。航空宇宙、技術、インフラストラクチャ
のリーダーと協力し、ドイツ、米国、ブラジル、英国で発表された計画された打ち上げネ
ットワークとともに、Lilium の 800 を超える強力なチームには、約 450 人の航空宇宙
エンジニアと、最も成功した航空機のいくつかを提供する責任を負うリーダーシップ チ
ームが含まれます。航空史で。2015 年に設立された Lilium の本社と製造施設はドイツ
のミュンヘンにあり、チームはヨーロッパと米国に拠点を置いています。
コリンズ・エアロスペースについて
Raytheon Technologies の事業部門である Collins Aerospace は、世界の航空宇宙および
防衛産業向けの技術的に高度でインテリジェントなソリューションのリーダーです。
コリンズ エアロスペースは、顧客の最も困難な課題を解決し、急速に進化するグローバル
市場の要求を満たすために、広範な機能、包括的なポートフォリオ、および幅広い専門
知識を備えています。
エアバスとボーイングの操縦桿
エアバスのサイドスティック
3次元を飛ぶ飛行機には、①補助翼(エルロン)、②昇降舵(エレベータ)、③方向舵
(ラダー)の3つの舵が必要です。それらの舵面を動かすため、昔は、「ケーブルでア
クチュエーター(作動装置)を制御して動かす方式」でしたが、現在は「デジタル信号
に変換しワイヤ(電線)でクチュエーターを制御する方式」であるフライ・バイ・ワイ
ヤ(FBW)が主流です。
そのエルロンとエレベーターをコントロールするのが操縦桿です。
エアバスの操縦装置は、コントロールスティックと呼ばれるものです。
左右操縦席の外側(左席は左側、右席は右側)に付いています。
このスティックを操作することによって、飛行機が旋回、上昇、降下を行うことができ
るのです。リリウムのコントロールスティックも同じ様な形をしています。
ただ、違うのはリリウムはパイロットは1人しかいませんので、パイロットがどの席に
座るかでコントロールスティックの位置が変わってきます。
リリウムの7人乗り(パイロット1人、乗客6人)のモデルです。これでは前にコクピット
があります。パイロットは1人なのでもちろん真ん中に座るでしょうが、コントロールステ
ィックの位置は左?右?どちらになるのでしょうか?
右利きの人は当然右が操作しやすいですし、左利きの人は左手で操作する方がやりやすい
と思います。民間機では機長は左席に座っているので左側にスティックがあって左手で操縦
します。副操縦士は逆になり右手で操作します。
それでは戦闘機ではどうでしょうか?戦闘機は右手で操縦桿を握り、左手はスロットルを操作
します。エアバスと同じ様にサイドスティック方式をとっている戦闘機はF16ファイティング
ファルコンがあります。日本のF2戦闘機もそうですね。
私が乗っていた戦闘機はF4ファントムでしたので、真ん中に操縦桿がありました。
そして、初めて乗った民間航空機はエアバスA300型機でしたが、まだ操縦輪と呼ばれる
ボーイングが使っている操縦桿でした。その後、エアバスA320に変わって初めてサイド
ステックになったときには驚きました。それは、サイドステックを真っ直ぐ引けないの
です。左手で引くと人間工学上体の内側(右方向)に、右手で引くと左方向に傾いて
引いてしまって自然にバンク(傾き)が入ってしまうのです。離陸するときにはスムー
ズにピッチを真っ直ぐ上げなければならず、傾いてしまうとダメなのです。そのため初期
の訓練中は、豆腐の真ん中に割り箸を立てて真っ直ぐ引く練習をしました。その当時は、
練習に使った豆腐を毎日食べていました。
ボーイングの操縦桿
ボーイングで使われている一般的な操縦桿(操縦輪)です。小型機やエアバス以外の
航空機の操縦桿はこのタイプです。ボーイングの考え方は、一貫して人間工学とそれ
まで(小型機から)の訓練の効率化を考えています。ボーイングの「パイロットの過
去における訓練と運航経験を重要視する」という設計思想です。パイロットの基礎訓
練では操縦桿の飛行機が多く、不測の事態に遭遇したときには訓練時代から感覚的に
身についている操縦桿のほうがよいと考えているわけです。
もう一つエアバスとボーイングの操縦桿の違いは、ボーイングは左右の操縦桿が連動し
て動くのに対して、エアバスは左右が連動して動かないのです。どういうことかと言い
ますと、ボーイングは連動しているために左(右)が操縦している範囲が目でわかるの
ですが、エアバスは自分のサイドスティックが全く動かないので相手がどのように操縦
しているのかがわからないのです。ましてや自動操縦の時はサイドスティックは旋回し
ようが上昇、降下しようが全く動かないのです。一番困るのが、新人パイロットの訓練
です。左右連動しているボーイング型の操縦桿だと一緒に触らせて感覚を教えることがで
きますが、エアバス式のサイドスティックでは一緒に触ることもできません。また、
何か危険が迫っていて左右同時に操縦すると動かなくなることがあります。慣れるまでは
たいへんでした。
まとめ
今回、リリウムが採用した操縦桿はエアバスタイプのサイドスティックでした。
やはり、ドイツということもあってエアバスのパイロットが多いからでしょうか。
戦闘機乗りの私からするとサイドスティック方式がなじみやすいと思います。
リリウムや他のeVTOL航空機は、初めこそパイロットが必要でしょうが、最終的には
自律飛行ですので問題はないかと思います。リリウムがサイドスティック方式を採用
したことは、他のeVTOLも追従するでしょう。サイドスティック方式は、場所を取ら
ないことにより軽量化を図れますし、何と言ってもコックピットが広く快適に使える
ので私は賛成です。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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