LSAが世界を凌駕する その3

LSA 軽スポーツ航空機

皆さんこんにちは!

2回にわたって、LSAとは、私の『推し』LSA4選を紹介してきました。

第3回目は、日本にLSAが必要なのか?また、どのようなLSAが良いのか?

日本のLSAを阻んでいるものとは?今後の課題と解決策を見ていきます。

日本のLSAの実態

航空法の規制緩和の影響:

2000年代後半に、国土交通省(JCAB)がLSAのカテゴリーを新設し、型式証明や耐空証明の

取得要件を緩和しました。これにより、海外製のLSAの導入や、国内での製造・組み立てが以前よりは容易になりました。

LSAは、通常の小型機よりも運航コストが低いとされ、自家用パイロットの裾野拡大が期待されました。

機体と市場規模:

現在、日本で登録されているLSAの機体数は限定的です。主に海外(米国、欧州など)製のLSAが輸入されており、国内メーカーによる量産はほとんどありません。

運用されているLSAは、個人所有のものが多く、飛行クラブやフライトスクールで訓練機として利用されるケースも一部にあります。

主にレクリエーション飛行、観光飛行、訓練飛行などに用いられています。

飛行可能な場所:

飛行場や訓練空域、あるいは航空管制の許可を得た空域での飛行が基本となります。一般的な

ヘリコプターや自家用機と同様に、自由にどこでも離着陸できるわけではありません。

非公共用飛行場(いわゆる「場外離着陸場」)や、滑空場などが利用されることが多いです。

日本のLSAの課題

飛行場の制約

日本は国土が狭く、人口密度が高いため、飛行場や離着陸可能な場所が限られています。既存

の空港はジェット機や大型機が優先されるため、LSAが自由に利用できる場所は少ないです。

新たな場外離着陸場を設置するには、土地の確保、周辺住民の理解、環境アセスメントなど、多くの課題があります。

空域の制約

日本の空域は混雑しており、航空管制による制約が厳しいです。特に、主要空港周辺の空域は高度に管理されており、LSAが飛行できる空域は限定的です。

無人航空機(ドローン)の普及により、空域の管理はさらに複雑化しています。

パイロットの確保と訓練

LSAのパイロット免許(特定操縦技能審査合格証明書)は、通常の自家用操縦士免許よりも取得しやすいとはいえ、まだ認知度が低いのが現状です。

LSAの訓練に対応できるフライトスクールやインストラクターも限られています。

コスト

機体価格自体は通常の小型機より安いものの、維持費(格納庫代、燃料費、整備費、

保険料など)や、飛行場の利用料、訓練費用などを合わせると、決して安価ではありません。

特に、日本は海外に比べて格納庫などのインフラコストが高い傾向にあります。

整備体制

国内にLSAの専門的な整備士や整備工場が少ないため、部品調達やメンテナンスに時間がかかったり、コストがかさんだりする場合があります。

社会的な理解と安全性への懸念

LSAは、一般の人々から見ると「空を飛ぶ乗り物」であり、騒音や安全性に対する懸念を持つ人も少なくありません。過去の航空事故のイメージも影響している可能性があります。

日本でLSAを事業化できるのか?

LSA事業の主な方法

LSAを事業として行う場合、主に以下の形態が考えられます。

  1. フライトスクール・訓練事業:

    • 方法: LSA操縦に必要な特定操縦技能審査の取得を目指す訓練を提供する。座学、模擬飛行、実機飛行訓練を実施し、パイロットの育成を行う。
    • 機材: LSA機体を複数保有し、訓練生に貸与する。
    • 顧客: LSA操縦資格取得を目指す個人、レクリエーション飛行を楽しみたい層。
  2. チャーター・遊覧飛行事業:

    • 方法: LSAの特性(低速での安定飛行、開放感のある視界など)を活かし、短時間・短距離の遊覧飛行や観光飛行を提供する。
    • 機材: 整備されたLSA機体と経験豊富なパイロット。
    • 顧客: 観光客、特別な体験を求める個人やグループ。
  3. 機体販売・リース・メンテナンス事業:

    • 方法: 海外製のLSAを輸入して販売、あるいは国内で組み立てて販売する。購入希望者へのリースも行う。機体の定期点検、整備、修理サービスも提供する。
    • 機材: 各種LSAの輸入代理店契約、部品供給網、整備施設、専門技術者。
    • 顧客: LSAの購入を検討している個人、フライトスクール、既存のLSAオーナー。
  4. イベント・プロモーション事業:

    • 方法: LSAを活用した航空ショー、イベントでの展示飛行、体験搭乗などを企画・実施する。
    • 機材: LSA機体、イベント運営ノウハウ。
    • 顧客: 一般大衆、企業(広告・プロモーション目的)。
LSA事業の課題

LSA事業を行う上で、日本においては特に以下の課題に直面します。

  1. 法規制と許認可の複雑さ:

    • 耐空証明・登録: LSAは通常の航空機より緩和されているとはいえ、型式証明や耐空証明、機体登録、無線局免許など、多くの許認可が必要です。
    • 運航規定: 訓練事業や旅客運送を行う場合、それぞれに合わせた厳格な運航規定や安全管理体制の構築が求められます。
    • JCABとの連携: 国土交通省航空局(JCAB)との綿密な連携と指導が必要です。
  2. インフラの制約とコスト:

    • 飛行場・格納庫: LSAを運航するには、専用の飛行場や離着陸場、格納庫が必要です。これらを確保することは土地の制約が厳しい日本では困難であり、取得・維持コストも高額です。
    • 燃料供給: 航空燃料(AVGAS)の供給場所が限られており、安定的な確保が課題となる場合があります。
  3. パイロット・整備士の確保と育成:

    • LSAパイロット: LSAの操縦資格を持つパイロットの数がまだ少ないため、確保が困難です。
    • インストラクター: 訓練事業を行うには、LSAの飛行教官資格を持つインストラクターが必要です。
    • 整備士: LSAに特化した整備経験を持つ整備士の確保も課題です。
  4. 機体の調達とメンテナンス:

    • 輸入依存: LSAの機体の多くは海外製であり、輸入に頼るため為替変動の影響を受けやすいです。
    • 部品供給: 輸入機の場合、部品調達に時間がかかったり、コストが高くなったりする可能性があります。専門の整備工場も限られます。
  5. 安全性の確保と保険:

    • リスク管理: 航空機を扱う事業であるため、安全性の確保は最優先事項です。事故発生時のリスク管理体制、緊急時対応計画などが不可欠です。
    • 保険: 航空機保険は高額であり、事業の収益性を圧迫する可能性があります。
  6. 市場性と需要の創出:

    • LSAの認知度: LSAそのものの認知度がまだ低く、潜在顧客層への啓発が必要です。
    • 価格設定: 飛行体験や訓練の料金設定が、顧客にとって魅力的かつ事業として継続可能なレベルである必要があります。
    • 競合: ドローンなど他のレクリエーション航空手段との競合も考慮する必要があります。
  7. 社会受容性と環境問題:

    • 騒音問題: 飛行場の周辺住民からの騒音苦情が発生する可能性があります。
    • 環境への配慮: 持続可能な事業運営のために、環境負荷低減への配慮も求められます。

LSA事業は、手軽な航空体験という点で魅力的な可能性を秘めていますが、日本特有の法規

制、インフラ、人材といった複合的な課題をクリアしていく必要があります。これらの課題を

克服するためには、政府や自治体の支援、関連業界の連携、そして地域社会との良好な関係構築が不可欠となるでしょう。

海外のLSA事業

海外でのLSA(Light Sport Aircraft:超軽量動力機)事業は、日本と比較してはるかに多様で

活発です。特に、広大な国土を持ち、航空文化が根付いている国々(アメリカ、カナダ、オー

ストラリアなど)や、ヨーロッパの一部では、LSAが手軽な航空手段として普及しています。

具体的な事業例をいくつかご紹介します。

1. アメリカ合衆国

アメリカはLSA市場が最も成熟している国の一つです。

  • フライトスクール(Flight Training Schools):

    • 具体例: 全米各地に数多くのLSAフライトスクールが存在します。「Sporty’s Pilot Shop」のような大手パイロット用品販売店が運営するフライトスクールでは、LSA操縦士免許(Sport Pilot Certificate)取得コースを提供しています。

The Sporty's Story : Media Center – Sporty's Pilot Shop

「Sporty’s Pilot Shop」が運営するフライトスクール

    • 特徴: LSA専用の訓練機(Cessna 162 Skycatcher, Icon A5, Pipistrel Alpha Trainerなど)を使用し、通常の自家用パイロット免許よりも短期間・低コストで取得できる点をアピールしています。多くの空港に併設されており、訓練環境が整っています。
  • 機体製造・販売・ディーラー網:

    • 具体例: Icon Aircraft (水陸両用LSAのIcon A5), CubCrafters (高性能なLSAのCarbon Cub), Tecnam (イタリア製LSAの米国販売) など、LSA専門のメーカーや代理店が多数存在します。
    • 特徴: 完成機販売だけでなく、キット販売(自分で組み立てる)、レンタル、リース、中古機販売なども手掛けています。大規模なディーラー網を構築し、メンテナンスサービスも提供しています。
  • 航空イベント・エアショー:

    • 具体例: オシュコシュ(EAA AirVenture Oshkosh)などの大規模エアショーでは、LSA専用の展示エリアや飛行デモンストレーションが充実しており、LSAメーカーが積極的にプロモーション活動を行っています。
    • 特徴: 体験飛行や最新モデルの試乗会、購入相談会などが活発に行われ、新規顧客獲得の場となっています。
  • レンタカーならぬ「レンタプレーン(Rent-a-Plane)」サービス:

    • 具体例: 資格を持つパイロット向けに、時間貸しでLSAをレンタルするサービスを提供している企業やクラブがあります。
    • 特徴: 機体を購入するよりも手軽に飛行を楽しめるため、趣味で飛行する個人や、たまにしか飛ばないパイロットに人気です。
2. ヨーロッパ(特にチェコ、イタリア、ドイツ)

ヨーロッパでは、LSAの設計・製造が盛んで、特にチェコやイタリアはLSAメーカーが多いことで知られています。

  • 製造拠点としての役割:

    • 具体例: Czech Sport Aircraft (SportCruiser), Pipistrel (Slovenia, LSAや電動航空機), Tecnam (Italy) など、世界市場に機体を供給するLSAメーカーが存在します。
    • 特徴: 高品質で多様なLSAを開発・製造し、世界各国に輸出しています。研究開発も活発で、電動LSAなどの次世代機開発も進んでいます。
  • レクリエーション飛行とクラブ活動:

    • 具体例: ドイツやフランスなどでは、飛行クラブの活動が盛んで、LSAを利用したレクリエーション飛行や、会員向けの訓練、イベントが多数開催されています。
    • 特徴: 会員が共同で機体を所有・管理したり、安価な料金でレンタルできる仕組みが普及しており、気軽に飛行を楽しめる環境が整っています。
3. オーストラリア

広大な国土を持つオーストラリアでもLSAは人気です。

  • 農場間の移動・監視:
    • 具体例: 広大な農地を持つ農家が、農場内の移動や作物の監視、家畜の管理などにLSAを活用するケースが見られます。
    • 特徴: 四輪駆動車での移動よりも迅速で、広範囲を効率的にカバーできるため、実用的なツールとして利用されています。

海外のLSA事業が成功している要因
  • 緩やかな規制環境: 日本と比較して、LSAの規制が緩やかで、パイロット資格取得のハードルも低い場合が多い。
  • 豊富な飛行場と空域: 広大な土地と人口密度の低さから、飛行場や離着陸可能な場所が多く、空域も比較的開放的。
  • 航空文化の浸透: 一般市民の間に航空に対する理解や関心が高く、レクリエーション飛行への抵抗感が少ない。
  • コストの低減: 機体価格が比較的安価な上、維持費や訓練費も日本より低く抑えられる傾向がある。
  • 多様な機体選択肢: 世界中のLSAメーカーから多様な機体が供給されており、選択肢が豊富。

これらの具体例や成功要因は、日本でLSA事業を考える上で、インフラ整備、規制緩和、コスト削減、そして航空文化の醸成が重要であることを示唆しています。

まとめと解説

日本のLSAは、航空法上の規制緩和が進んだものの、依然としてインフラ(飛行場、空域)

の制約、運用コスト、訓練体制、社会的な理解といった多角的な課題に直面しています。

これらの課題を克服し、LSAがより広く普及するためには、官民一体となったインフラ整備

コスト削減努力、安全啓発、そしてパイロットの裾野を広げるための取り組みが不可欠です。

とは言え、個人で高価なLSAを保有することはかなり難しいことです。アメリカのようにシアすることも考えられますが、利用者が限定的な日本では現実的ではないでしょう。

それでは、投資対象としてLSAはどうなのでしょうか?

投資対象としてLSAを考える場合、一般的な株式や債券、不動産投資とは異なる、航空産業や

特定のニッチ市場への理解が求められます。リスクとリターンの両面を考慮し、慎重な分析が必要です。

投資対象としてのLSAの種類

LSA関連への投資は、主に以下の形態が考えられます。

  1. LSAメーカーへの投資:

    • 上場企業: LSAも手掛ける(または手掛けていた)大手航空機メーカーや部品メーカーの株式。例:セスナ(テキストロン傘下)、パイパーなど。
    • 非上場企業(スタートアップ含む): LSA専業メーカーや、電動LSAなどの新技術を開発するスタートアップへの直接投資(ベンチャーキャピタル、プライベートエクイティ、クラウドファンディングなど)。
  2. LSA関連サービス企業への投資:

    • フライトスクール: LSAの訓練サービスを提供する企業への投資。
    • チャーター・レンタルサービス: LSAを使った遊覧飛行やレンタルを行う企業への投資。
    • メンテナンス・部品供給: LSAの整備や部品供給を行う企業への投資。
  3. LSA機体への直接投資(個別資産):

    • 個人または共同所有: 趣味としての側面が強いですが、LSA機体を購入し、それをレンタルに出したり、フライトスクールに貸し出したりして収益を得る。
    • リース会社: LSAを航空会社や個人にリースする専門のリース会社への投資、またはその株式。
投資対象としての魅力(潜在的なリターン)
  1. ニッチ市場の成長性:

    • グローバルな航空人口の増加、プライベートな移動手段への関心の高まり、規制緩和の動きなどにより、LSA市場は今後も一定の成長が期待されます。
    • 特に新興国や、広大な国土を持つ地域での普及が期待されます。
  2. 技術革新への期待:

    • 電動LSA、自律飛行LSAなど、新しい技術が導入されることで、市場がさらに拡大し、新しいビジネスモデルが生まれる可能性があります。先行投資は大きなリターンを生む可能性があります。
  3. レクリエーション航空の需要:

    • 経済的な余裕がある層の間で、趣味としての飛行やレクリエーション活動への需要は根強く存在します。
  4. 既存航空機の代替としての可能性:

    • 従来の小型機よりも運用コストが低いLSAは、一部の用途において既存航空機の代替となる可能性があります。
投資対象としてのリスク
  1. 規制と法改正のリスク:

    • 各国の航空当局による規制は厳しく、予期せぬ法改正や規制強化(安全基準の変更など)が事業に大きな影響を与える可能性があります。
    • 日本のように規制が厳しい国では、市場拡大の足かせとなることもあります。
  2. 市場規模の小ささ:

    • 全体的な航空機市場から見れば、LSA市場はまだニッチであり、流動性が低い可能性があります。
    • 企業数が限られており、投資機会も限定的かもしれません。
  3. 高額な初期投資と維持コスト:

    • LSAメーカーやサービス事業は、機体の製造・購入、施設・インフラ整備に高額な初期投資が必要です。
    • 整備費、燃料費、保険料、格納庫代などの維持コストも高く、収益性を圧迫する可能性があります。
  4. 安全性の問題と風評リスク:

    • 航空事故は企業の評判に深刻な影響を与え、事業継続に支障をきたす可能性があります。安全基準の維持・向上が不可欠です。
  5. 技術変化と陳腐化のリスク:

    • 新しい技術(電動化、自律化など)の登場により、既存の技術や機体が急速に陳腐化する可能性があります。
  6. 経済状況への依存:

    • LSAはレクリエーションやビジネス用途が主であり、景気変動の影響を受けやすい傾向があります。経済が停滞すれば、需要も低迷する可能性があります。
  7. 投資回収期間の長さ:

    • 航空関連の投資は、一般的に投資回収に時間がかかる傾向があります。
結論

LSAへの投資は、高いリターンを期待できる可能性を秘めている一方で、航空産業特有の高い

リスクを伴います。特に非上場企業や個別機体への投資は、専門的な知識とリスク許容度が求められます。

投資を検討する際は、以下の点を thorough に分析することが重要です。

  • 対象企業の技術力、市場でのポジショニング、経営陣の経験。
  • 対象国のLSAに関する法規制の動向と市場規模。
  • 機体の安全性実績とメンテナンス体制。
  • 資金計画と事業計画の実現可能性。

十分なデューデリジェンスを行い、自身の投資目標とリスク許容度に見合っているかを慎重に判断することが不可欠です。

LSAをグライダーの牽引機として利用することは、費用対効果や運用の柔軟性から、非常に魅力的な選択肢となり得ます。

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LSAをグライダー牽引として利用するメリット
  1. 低コスト:

    • 従来の牽引機(小型単発機など)と比較して、LSAは機体購入費、燃料費、維持費、整備費が一般的に低く抑えられます。
    • これにより、グライダークラブや個人の運航コストを削減できます。
  2. 燃費効率:

    • 軽量な設計と効率的なエンジン(例:Rotax 912シリーズなど)により、低燃費で運用できます。
  3. 操縦の容易さ:

    • LSAは比較的操縦が容易であり、グライダー牽引のような特定の技能が求められる任務においても、パイロットの負担を軽減できる場合があります。
  4. 飛行場の柔軟性:

    • 短い滑走距離で離着陸が可能なLSAも多く、より小規模な飛行場や草地の滑走路でも運用できる可能性があります。
LSAをグライダー牽引として利用する際の要件と課題
  1. 牽引能力(馬力と上昇性能):

    • グライダーを安全かつ効率的に牽引するには、十分なエンジン出力と上昇性能が必要です。特に、重いグライダーや高高度まで牽引する場合、LSAのパワーが不足する可能性があります。
    • LSAは最大離陸重量が制限されているため、燃料、パイロット、牽引されるグライダーの重量を考慮する必要があります。
  2. 安全性と構造強度:

    • 牽引任務は、航空機に通常の飛行とは異なるストレスをかける可能性があります。牽引機として使用するLSAは、牽引装置の取り付けを含め、その構造強度と安全性が確認されている必要があります。
    • 適切な牽引装置(Tow Hook)の設置と、その強度計算が重要です。
  3. 法規制と認証:

    • グライダー牽引を行うためには、パイロットは適切な牽引資格(例えば、日本であれば「航空機使用事業の種別に係る特定操縦技能審査合格証明書」の追加や、グライダー牽引教官の資格など)を有している必要があります。
    • 機体自体も、牽引機として改造・運用することに対する航空当局の承認(耐空証明の範囲など)が必要です。
  4. 冷却性能:

    • 牽引時はエンジンに高い負荷がかかり、低速での上昇中にエンジンの冷却が不足するリスクがあります。牽引任務に適した冷却システムを備えているか確認が必要です。
グライダー牽引に適したLSAの機種例

グライダー牽引機として世界的に実績があるLSAや、その特性から適していると考えられる機種は以下の通りです。

  1. パイパー・カブ(Piper Cub)のLSA版 / クローン機:

    • 例: CubCrafters Carbon Cub SS / EX, Legend Cub など
    • 理由: オリジナルのパイパー・カブは長年にわたりグライダー牽引機として利用されてきた実績があり、そのLSA版は高いパワーウェイトレシオ、STOL(短距離離着陸)性能、堅牢な構造を引き継いでいます。比較的大きなエンジンを搭載できるモデルも多く、牽引に必要な力を持ち合わせています。
    • 課題: 他のLSAに比べて高価な傾向がある。
  2. Tecnam P92 Echo / P2002 Sierraなど:

    • 例: Tecnam P92、P2002などの派生型
    • 理由: イタリアのTecnam社はLSA市場で広く普及しており、信頼性の高いRotax 912エンジンを搭載し、良好な上昇性能を持つモデルもあります。一部のモデルは牽引装置のオプションが用意されています。
    • 課題: モデルによっては牽引能力が限定的である可能性。
  3. Dynamic WT9 / Aeroprakt A-22 Foxなど:

    • 理由: 軽量で効率的な設計のLSAの中には、エンジン出力と空力性能のバランスが良く、グライダー牽引にも対応できる設計がされているものもあります。
    • 課題: 個々の機体の牽引能力と認証状況を詳細に確認する必要がある。
まとめ

LSAをグライダー牽引機として利用することは、運用コストの削減に大きく貢献し、グライダ

ー文化の活性化に寄与する可能性があります。しかし、その際には、LSAのパワー、構造強度

安全性、そして法規制への適合性を慎重に評価し、適切な機種と運用計画を立てることが不

可欠です。グライダークラブや飛行学校は、既存のユーザーからの情報収集や、専門家への相談が特に重要となります。

これらの可能性を、一つ一つ検証しながら、日本の空にLSAを飛ばすことを実現していきます。

それには、広くLSAを知っていただけるよう今後も努力していきます。

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