LSAが世界を凌駕する その4

LSA 軽スポーツ航空機

皆さんこんにちは!

3回にわたって「LSA(Light Sports Aircraft)」についてレポートしてきました。

3回目は、日本の空をLSAは飛べるのか?事業化の目途は?など具体的な問題を定義、解決策と方向性を示しました。

今回から数回にわたって、日本に合ったLSAをピックアップしていきます。

日本に適したLSAの主な特徴

STOL(短距離離着陸)性能に優れていること
    • 理由: 日本の飛行場は滑走路が短かったり、規模の小さい非公共用飛行場(場外離着陸場)を利用せざるを得ないケースが多いため。
    • 具体例: パイパー・カブのLSA版(CubCrafters Carbon Cubなど)、Zenith STOL CH 701/750シリーズ、一部のユーロスター(Eurostar)などが挙げられます。
静粛性が高いこと
    • 理由: 住宅地が近く、騒音問題が非常に敏感な日本では、LSAの運航が住民の反発を招かないためにも、エンジン音やプロペラ音が小さい機体が好ましい。
    • 課題: 既存のLSAで「非常に静か」と言えるものは限られるが、電動化への期待が高い。
    • 展望: 将来的に電動LSAが登場すれば、この課題を大きく改善できる可能性があります。
燃費効率が非常に高いこと
    • 理由: 運航コストを抑え、事業として持続可能性を高めるため。特に日本の燃料費は海外と比較して高め。
    • 具体例: ロタックス(Rotax)912シリーズエンジンを搭載した多くのLSAがこれに該当します。
整備性が良く、部品供給が安定していること
    • 理由: 国内に専門の整備工場や技術者が少ないため、メンテナンスが容易で、部品の入手が迅速かつ安価な機体が望ましい。
    • 具体例: 世界的に普及しているメーカーの機体や、部品の共通性が高い機体(例:ロタックスエンジン搭載機など)が有利です。
コンパクトで格納しやすいこと(または翼の折り畳み機構があること)
    • 理由: 格納庫のスペースが限られ、コストも高いため、よりコンパクトな機体や、翼を折り畳んで省スペースで格納できる機体は魅力的です。
    • 具体例: Icon A5(水陸両用だが翼の折り畳み機能あり)、一部のグライダー牽引機や、超軽量機でこのような機構を持つものもあります。
耐候性が比較的高いこと
    • 理由: 日本は四季があり、天候の変化が激しいため、多少の風雨に耐えうる頑丈さも重要です。
水陸両用機の可能性(限定的だが特定の需要)
    • 理由: 日本は水辺のアクセスが良い場所も多いため、遊覧飛行や観光飛行において、水上からの離着陸が可能なLSAにはニッチな需要があるかもしれません。ただし、運用場所の法規制は非常に厳しいです。
    • 具体例: Icon A5。

日本のLSA市場における現実的な選択肢

上記の特性を踏まえると、現状で日本に比較的適していると考えられるLSAは、

CubCrafters Carbon Cub SS/EX(LSA版)

Carbon Cub | CubCrafters

優れたSTOL性能と堅牢性。グライダー牽引にも実績がある機体です。

概要
  • メーカー: CubCrafters (キューブクラフターズ) – アメリカ合衆国ワシントン州
  • ベース: 伝説的な軽飛行機であるパイパー・カブ (Piper Cub) を現代的に再設計。
  • カテゴリー: LSA (Light Sport Aircraft) および Experimental (EX版)
  • 特徴: 優れたSTOL性能、軽量な複合材料の使用、強力なエンジンオプション。
主要な性能と特徴
  1. STOL(短距離離着陸)性能:

    • 卓越した性能: Carbon Cubの最大の特徴は、その驚異的な短距離離着陸性能です。無改造の機体でも、非常に短い滑走距離(通常、離陸で数百フィート、着陸でさらに短い距離)で離着陸が可能です。
    • 理由: 大型の翼、効果的なフラップ、強力なエンジン、そして軽量な機体構造が組み合わさることで、この性能を実現しています。
    • 用途: 未舗装の滑走路、草地、僻地へのアクセスなど、多様な環境での運用に適しています。ブッシュパイロット(未開発地域を飛ぶパイロット)に人気です。
  2. エンジンと推力:

    • CC340(Carbon Cub SS): CubCraftersが独自に開発した180馬力のCC340エンジン(LSAカテゴリーの最大馬力規制を回避するために工夫されたもの)を搭載しています。LSAの重量制限と最高速度制限(時速120ノット以下)を満たしながら、最大限のパワーを提供します。
    • CC363i(Carbon Cub EX/FX): キット機であるEX版やFX版では、さらにパワフルな186馬力のCC363iエンジンも選択可能で、より高い性能を求めるパイロット向けです。
    • 高いパワーウェイトレシオ: 軽量な機体に強力なエンジンを組み合わせることで、優れた上昇性能と機動性を実現しています。
  3. 軽量な機体構造:

    • 素材: 胴体は頑丈な鋼管フレームですが、翼や一部の構造にはカーボンファイバーや複合材が多用されています。これにより、軽量化と同時に強度を確保しています。
    • 重量: LSAカテゴリーの最大離陸重量(通常1,320ポンド/600kg)の範囲内に収まるように設計されています。
  4. 頑丈な降着装置:

    • 未舗装の場所での離着陸を想定し、頑丈なメインギアとテールホイールを備えています。大型のタイヤ(ブッシュホイール)を装着することも可能で、荒れた地面での運用に適しています。
  5. コックピットとアビオニクス:

    • モダンなコックピット: 伝統的なデザインを保ちつつも、最新のグラスコックピット(Garmin G3X Touchなど)やアビオニクスを搭載することができます。これにより、飛行情報の視認性が向上し、ナビゲーションが容易になります。
    • 視界: 大型窓と伝統的な高翼設計により、良好な視界を提供します。
  6. 多用途性:

    • グライダー牽引: その強力なエンジンとSTOL性能から、グライダー牽引機としても非常に優れた能力を発揮します。適切な牽引装置を取り付けることで、安全かつ効率的な牽引が可能です。
    • フロート装備: フロートを取り付けて水上機としても運用できるオプションがあり、水上からの離着陸が可能です。
    • ブッシュプレーン: 荒れた場所へのアクセスが可能なため、釣り、狩猟、アウトドアアドベンチャーなど、多様な目的で利用されます。
Carbon Cub SS と EX の違い
  • Carbon Cub SS (Sport Certified): LSAの完成機として販売され、FAAのLSA規制に適合しています。すぐに飛行可能な状態で納入されます。
  • Carbon Cub EX (Experimental): キット機として販売され、購入者が自分で組み立てる必要があります(または専門業者に委託)。これにより、LSAカテゴリーの制限を超えた改造や、より強力なエンジン(CC363iなど)の搭載が可能になります。ただし、Experimentalカテゴリーは、LSAよりも保守が自己責任となるなど、運用上のルールが異なります。

CubCrafters Carbon Cub SS/EXは、高性能なLSAを求めるパイロットや、未舗装地での運用を考えているユーザーにとって、非常に魅力的な選択肢となっています。

Tecnam P2002 Sierra/P92 Echo Super

Tecnam P92 Echo MkII: Regreso al futuro con la categoría EU 600 KG

信頼性の高いRotaxエンジン、良好な操縦性、比較的広範な流通。

Tecnam P2002 SierraとP92 Echo Superは、イタリアの航空機メーカーであるTecnam

(テクナム)が製造する、非常に人気のあるLSA(Light Sport Aircraft:超軽量動力機)

です。両機とも、その高い信頼性、優れた飛行特性、そして手頃な価格で知られており、

訓練機、個人ユース、そして一部ではグライダー牽引機としても利用されています。

ここでは、それぞれの概要と性能について説明します。


Tecnam P92 Echo Super (およびその派生型)

P92 EchoはTecnamの初期からのベストセラーモデルで、数多くの派生型が存在します。特に「Echo Super」は、その改良版の一つです。

概要:

  • メーカー: Tecnam (イタリア)
  • タイプ: 高翼単発、2人乗りLSA
  • 主な用途: 初等訓練、個人ユース、遊覧飛行、グライダー牽引(一部モデル・認証による)
  • 特徴: 広い視界、安定した飛行特性、堅牢な構造、優れた操縦性。

性能(P92 Echo Superの代表的な仕様):

  • エンジン: Rotax 912 ULS (100馬力) が一般的。
  • 巡航速度: 約100~110ノット (約185~204 km/h)
  • 最大速度(Vne): 約140ノット (約259 km/h)
  • 失速速度(フラップダウン): 約38~40ノット (約70~74 km/h)
  • 航続距離: 約500~600海里 (約925~1,110 km)
  • 離陸距離(標準条件): 約150~200m
  • 着陸距離(標準条件): 約120~150m
  • 最大離陸重量: 600kg (LSAカテゴリー上限)
  • アビオニクス: 最新のグラスコックピット(Garmin G3X Touchなど)を搭載可能。

特徴:

  • 高翼構造: 地上からのアクセスが容易で、視界も良好。
  • 堅牢な金属製構造: 信頼性とメンテナンスの容易さを両立。
  • デュアルコントロール: 訓練機として最適で、教官と訓練生の両方から操作可能。
  • グライダー牽引能力: 一部のモデルや認証によっては、適切な牽引装置を取り付けることでグライダー牽引が可能です。Rotax 100馬力エンジンは、小型グライダーの牽引には十分な性能を持つことが多いです。

Tecnam P2002 Sierra (およびその派生型)

P2002 Sierraは、P92 Echoの成功を受けて開発された、より洗練された低翼のLSAです。

概要:

  • メーカー: Tecnam (イタリア)
  • タイプ: 低翼単発、2人乗りLSA
  • 主な用途: 初等訓練、個人ユース、遊覧飛行、アクロバット訓練(一部モデル、限定的)
  • 特徴: 流線型のデザイン、高速巡航性能、よりスポーティな飛行特性。

性能(P2002 Sierraの代表的な仕様):

  • エンジン: Rotax 912 ULS (100馬力) が一般的。
  • 巡航速度: 約110~120ノット (約204~222 km/h) – P92よりも高速。
  • 最大速度(Vne): 約140ノット (約259 km/h)
  • 失速速度(フラップダウン): 約42~45ノット (約78~83 km/h)
  • 航続距離: 約500~600海里 (約925~1,110 km)
  • 離陸距離(標準条件): 約180~250m
  • 着陸距離(標準条件): 約150~200m
  • 最大離陸重量: 600kg (LSAカテゴリー上限)
  • アビオニクス: P92同様、最新のグラスコックピットを搭載可能。

特徴:

  • 低翼構造: よりスポーティな外観と、滑らかな空力特性を提供。
  • 電動フラップ: 操作が容易で、精密な着陸進入が可能。
  • 引き込み式降着装置オプション(P2002 RG): 一部のモデルでは引き込み式降着装置を選択でき、さらに高速巡航性能を高めることが可能(ただしLSA認証から外れる場合あり)。
  • 操縦特性: 応答性が良く、スポーツ飛行やより高度な訓練に適しています。

日本での適性

両機とも、信頼性の高いRotaxエンジンを搭載し、燃費効率が良く、整備性も比較的良いという点で、日本のLSA市場において検討に値する機種です。

  • P92 Echo Super: 高翼で視界が広く、安定した操縦特性から、訓練機グライダー牽引(特に小型グライダー)としての利用に適しています。STOL性能もP2002より優れる傾向にあります。
  • P2002 Sierra: 低翼で高速巡航性能に優れるため、個人ユースで長距離移動やスポーティな飛行を楽しみたい層に適しています。

ただし、日本での運用にあたっては、上述の通り飛行場の制約、空域の制約、騒音対策、

そして具体的な事業用途における航空局の承認状況を個別に確認することが非常に重要です。

Zenith STOL CH 701/750

Introduction STOL CH 701 - Zenith Aircraft Company

特にDIYでの組み立てキットも多く、極めて優れたSTOL性能を持つ機体です。

Zenith STOL CH 701およびCH 750は、カナダのZenith Aircraft Company(ゼニス・

エアクラフト・カンパニー)が製造する、優れたSTOL(短距離離着陸)性能に特化した

軽飛行機です。これらは「究極のSTOL機」として世界中で広く知られており、特に未舗装地や短い滑走路での運用を想定して設計されています。

これらの機体は、LSA(Light Sport Aircraft)カテゴリーにも適合するように設計されて

いますが、多くはキット機として販売され、購入者が自ら組み立てる「Experimental」カテゴリーとして登録されることが多いです。

Zenith STOL CH 701 の概要と性能

STOL CH 701は、このシリーズの元祖であり、その非常に高いSTOL性能で名を馳せました。

概要:

  • メーカー: Zenith Aircraft Company (カナダ)
  • タイプ: 高翼単発、2人乗り
  • 主な用途: ブッシュプレーン(僻地飛行)、農場間の移動、レクリエーション飛行、初等訓練、グライダー牽引(適切なエンジンと認証による)
  • 特徴: 強靭な構造、非常に優れたSTOL性能、優れた視界、DIY組み立てを前提としたシンプルな設計。

性能(代表的な仕様、エンジンにより変動):

  • エンジン: Rotax 912 ULS (100馬力) が一般的。より強力なエンジンも搭載可能。
  • 巡航速度: 約70~90ノット (約130~167 km/h) – 速度よりSTOL性能を優先した設計。
  • 失速速度(フラップダウン): 約26~30ノット (約48~56 km/h) – 非常に低い。
  • 離陸距離(標準条件、草地): 約30~60m (信じられないほど短い)
  • 着陸距離(標準条件、草地): 約30~50m (信じられないほど短い)
  • 最大離陸重量: LSAカテゴリーの600kgに適合するよう設計されるが、Experimentalではそれ以上も可能。

特徴:

  • 全金属製構造: 構造が比較的シンプルで頑丈、修理も容易。
  • 固定スラットと大型フラップ: 翼のリーディングエッジ(前縁)にある固定スラットと、大きなダブルスロットテッドフラップが、低速での揚力を大幅に向上させ、驚異的なSTOL性能を生み出します。
  • 大きな垂直尾翼と水平尾翼: 低速での優れた操縦性を確保。
  • 高翼・大型ドア: 優れた地上視界と、大きな荷物を積載しやすい。
  • DIYフレンドリー: 組み立てキットとして販売され、図面やマニュアルが詳細で、アマチュアビルダーでも組み立てやすいように設計されています。

Zenith STOL CH 750 の概要と性能

STOL CH 750は、CH 701の成功を基に開発された、より大型で快適性を向上させたモデルです。

概要:

  • メーカー: Zenith Aircraft Company (カナダ)
  • タイプ: 高翼単発、2人乗り (より広いキャビン)
  • 主な用途: CH 701と同様、ブッシュプレーン、個人ユース、訓練など。
  • 特徴: CH 701の優れたSTOL性能を維持しつつ、より広いキャビンと積載量、改善された快適性。

性能(代表的な仕様、エンジンにより変動):

  • エンジン: Rotax 912 ULS/iS (100馬力) が一般的。ContinentalやJabiruなど、よりパワフルなエンジンも選択可能(最大160馬力程度)。
  • 巡航速度: 約80~100ノット (約148~185 km/h)
  • 失速速度(フラップダウン): 約30~35ノット (約56~65 km/h) – CH 701よりはやや高いが、それでも非常に低い。
  • 離陸距離(標準条件、草地): 約60~90m (CH 701よりはやや長いが、依然として非常に短い)
  • 着陸距離(標準条件、草地): 約40~70m (CH 701よりはやや長いが、依然として非常に短い)
  • 最大離陸重量: LSAカテゴリーの上限またはそれ以上(Experimentalの場合)。
  • キャビン: CH 701よりも幅が広く、快適性が向上。大型のドアも特徴。

特徴:

  • 「クルーザー」バージョン: STOL CH 750は、より高速巡航に特化した「CH 750 Cruiser」や、水上機版、さらにはCH 750 Super Dutyといった派生型も存在し、多様なニーズに対応しています。
  • 改善された積載量: より多くの燃料や荷物を積むことが可能。
  • 安全性: パラシュートシステム(BRS)の搭載オプションなど、安全機能も充実。
日本での適性

Zenith STOL CH 701/750シリーズは、日本のLSAが直面する課題の一部を解決する可能性を秘めています。

  • STOL性能: 日本の短い滑走路や簡易な飛行場での運用には極めて有利です。これは大きな強みとなります。
  • 堅牢性と整備性: 全金属製でシンプルな構造は、整備が比較的容易であり、これも日本に適している点です。
  • コスト: キット機として自分で組み立てることで、完成機を購入するよりも初期費用を抑えることが可能です(ただし、組み立て時間と労力は必要)。

しかし、課題もあります。

  • キット機としての登録: 日本で完成機としてのLSA登録は可能ですが、多くがキット機(Experimental)として組み立てられるため、日本の航空法におけるExperimental機の運用規則(自家用のみ、販売不可など)に従う必要があります。事業用としての利用には、特別な許可や解釈が必要となる可能性があります。
  • 騒音: STOL性能を追求するため、強力なエンジンとプロペラを使用しており、必ずしも「静か」な機体とは言えません。日本の騒音規制や住民感情への配慮は必要です。
  • 速度: 速度よりもSTOL性能を優先しているため、長距離移動には向いていません。
  • 部品供給と整備: キット機であるため、部品の入手ルートや整備技術の専門性が求められる場合があります。

これらの点を総合的に考慮し、LSAの導入目的と運用環境に合致するかどうかを慎重に検討

する必要があります。特に事業用としての運用を考える場合は、JCABとの綿密な事前協議が不可欠です。

LSA価格(中古も含む)

最も安いLSA(Light Sport Aircraft:超軽量動力機)を探す場合、新品か中古か、またどの

ような性能や状態を求めるかによって大きく変わってきます。一般的に、航空機全体で見ても

LSAは安価な部類に入りますが、それでも「安い」と感じる価格帯は人それぞれです。

中古市場で最も安いLSA

中古のLSAを探す場合、価格を左右する最大の要因は機体の製造年、総飛行時間、エンジンの状態(TBOからの時間)、アビオニクス(計器類)、そして機体の損傷歴の有無です。

  • 価格帯:

    • 低価格帯(5万ドル〜10万ドル、約750万円〜1,500万円):
      • この価格帯で見つかるのは、初期のLSAモデル、飛行時間がかなり多い機体、基本的なアナログ計器のみ、あるいは修理が必要な状態の機体が多いです。
      • 例: Tecnam P92の初期モデル、一部のEvektor SportStar、Flight Design CTシリーズの初期型、あるいはあまり有名ではないメーカーのLSAなど。
      • 注意点: エンジンやプロペラのオーバーホールが近い、または必要となる可能性が高く、購入後にまとまった整備費用がかかるリスクがあります。アビオニクスも旧式で、アップグレードが必要になるかもしれません。
  • LSAキット機(Experimentalカテゴリー):

    • 完成機ではありませんが、自作することで最も初期費用を抑えられるのがキット機です。
    • 価格帯: キット本体の費用は**3万ドル〜8万ドル(約450万円〜1,200万円)**程度からあります。
    • 例: Zenith STOL CH 701/750(キット)、Rans S-6 Coyote II、Kitfoxシリーズなど。
    • 注意点: エンジン、プロペラ、アビオニクス、内装などは別途購入する必要があり、これらを含めると完成機に近い総額になることもあります。何よりも、自分で組み立てるための時間、労力、技術、そして専門的な工具が必要です。完成までに数千時間を要することも珍しくありません。また、Experimental機はLSAカテゴリーの完成機とは異なる運航規定(例えば、事業使用の制限など)が適用されるため、目的と合致するか確認が必要です。
新品で最も安いLSA

新品のLSAは、中古よりもはるかに高価になりますが、最新の安全性と技術、そして保証が得られます。

  • 価格帯:
    • 一般的な新品LSAは**15万ドル〜25万ドル(約2,300万円〜3,800万円)**の範囲が主流です。
    • 例: Tecnam P92、Tecnam P2002、Pipistrel Alpha Trainer、Flight Design CTシリーズなど。
    • 注意点: フルカスタムや高性能なアビオニクスを搭載すると、さらに価格は上昇します。
「最も安いLSA」を探す際の考慮事項

「安さ」だけで選ぶのは非常に危険です。以下の点を考慮することが重要です。

  • 隠れたコスト: 購入価格だけでなく、輸送費、輸入税、登録費用、初回の耐空証明取得費用、保険料、格納庫代、定期整備費用、燃料費など、運用にかかる総コストを考慮する必要があります。特に日本はこれらの費用が高額になりがちです。
  • 安全と整備記録: 事故歴がないか、定期的な整備が適切に行われていたか、飛行時間に対するエンジンの状態はどうかなど、詳細な整備記録とプリパーチェス・インスペクション(PPI:購入前検査)が不可欠です。安価な機体ほど、潜在的な不具合や高額な修理が必要となるリスクが高まります。
  • 部品の入手性: 特に古い機体や、あまり流通していないメーカーの機体は、部品の入手が困難になる可能性があります。
  • リセールバリュー: あまりにも安価な機体は、将来的に売却する際も買い手が見つかりにくく、価値がつきにくいことがあります。
まとめ

純粋な初期費用だけで見れば、飛行時間が非常に多い、古い年式のLSA中古機や、自分で組み

立てる前提のLSAキット機が最も安価な選択肢となります。しかし、トータルの運用コスト

安全性、整備の容易さなどを考慮すると、「安物買いの銭失い」になるリスクも高いため、慎重な検討と専門家のアドバイスが不可欠です。

まとめと解説

ただし、これらの機体も日本の特殊な環境(特に騒音と空域の制約)を完全にクリアしているわけではありません。

最終的には、LSAの導入目的(訓練、遊覧、個人利用など)、運用場所の特性、予算、そして何よりも安全性を考慮した上で、最も適切な機種を選ぶ必要があります。

究極的には、日本の環境においては、現状のLSAよりも「電動化」「垂直離着陸(eVTOL)」

といった次世代の航空機技術が、騒音やインフラの課題を根本的に解決し、より「日本に適した」小型航空機となる可能性を秘めていると言えるでしょう。

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