皆さんこんにちは!
パリエアショーは、ビジネスジェットや旅客機、AAM(アドバンスドエアモビリティ:次世代
航空機eVTOL)の展示、商談だけではありません。
ウクライナ戦争、中国の軍備増強など軍事防衛に関心が高まっている現在、各国の軍事メーカー
もここぞとばかり、商品を売り込んでいます。
今日は、戦闘機やミサイル、装備品にスポットを当ててみます。
ヨーロッパの次世代戦闘機はどこ?
パリ航空ショーで展示された次世代戦闘機のモックアップ(画像:マッキントッシュ)
欧州次世代戦闘機 (NGF) は、フランス、ドイツ、スペインがパートナー国となり開発を進
めています。この FCAS( Future Combat Air System)は、英国が主導し、イタリアと
日本が支援する他の FCAS (テンペストはその戦闘機要素である) とは違います。
日、英、伊共同開発、次世代型戦闘機・テンペスト
一方、アメリカは独自の FCAS、次世代制空権 (NGAD) プロジェクトに取り組んでいます。
これら3 つのプログラムすべてにおいて、システムコンセプトは進化し続けています。しか
し、重要な要素の 1 つは「遠隔空母」、つまり電子戦、偵察、対地攻撃用の小型 UAV に関
係しており、その一部は消耗品である可能性があり、NGF やテンペストなどの戦闘機から
発射される可能性が高くなります。
最近ロンドンで開かれた王立航空協会の会議で、フランス空軍FCAS長官のジャンリュック
・モリッツ少将は、遠隔空母はまずラファールなどの従来の戦闘機と統合されるべきだと述
べています。同氏は、FCASの11の「作戦概要」が投影されており、攻撃的な対空攻撃や深
部攻撃などの明白な任務だけでなく、短距離野戦作戦や展開方法も網羅していると述べまし
た。フランスはシャルル・ド・ゴールに代わる新しい軍艦が建造される予定であるため、NGF
が空母搭載可能であることを前提としています。
エアバスとダッソーの協定により、参加 3 政府はプロジェクトのフェーズ 1B に資金を放出
することが認められました。それは約 3 年間続き、その間に NGF のデモンストレーターが
設計されます。第 2 段階は 2026 年初めに承認され、2029 年にデモ隊の初飛行が行われる
予定です。第 3 段階は 2030 年に開始される予定です。
フランス軍備総局(DGA)によるFCASの概要によれば、運用システムの運用開始は「2040年
までに」行われる予定です。しかし、昨日ここで記者会見を行った後、ダッソー・アビエーシ
ョンの社長兼最高経営責任者(CEO)のエリック・トラピエ氏は、複雑な性質を理由にその日
付は「不確か」だと述べました。2042年から2044年の間のどこかの時期が可能性が高いと同
氏は付け加えました。
最近発表された、ダッソーのラファール戦闘機の更なる改良型を開発するというフランス政府
の国防支出計画が、おそらく彼の意見に影響を与えたと思われます。その計画は、少なくとも
2030年まで実用化されないことになります。さらに、この2024年から2030年の計画には、
数年前に終了した成功したニューロン実証プログラムを基礎とする無人戦闘航空システム
(UCAS)の開発への資金も含まれています。トラッピアー氏は、新しいUCASは「当面は」
FCASの一部を形成しないと述べました。しかしダッソーは、具体的な利益をもたらすことが
できるのであれば、パートナーを検討する用意があったと述べました。Neuron プロジェクト
には、ギリシャ、イタリア、スペイン、スウェーデン、スイスが参加しています。
一方、英国主導のFCASプログラムは加速しており、本格的な開発は2025年に開始され、テン
ペスト機体の運用開始は10年後に予定されています。多くの関係者は、類似しているが競合す
る2つの計画がヨーロッパで開始されたことに疑問を抱いています。今になって統合するには
遅すぎるように思えますが、モーリッツ氏はロンドン会議で、西側の空軍力の団結のために必
ず実現しなければならない夢がある、「NGF、テンペスト、NGAD、ラファールが連携して運
用できるようにすることだ」と語りました。
欧州次世代戦闘機 (NGF)イメージ(画像:MTUエアロエンジン)
アメリカ空軍の第6世代戦闘機NGAD(Next Generation Air Dominance)
FCAS 、2029 年のデモに向けて進行中
将来戦闘航空システム (FCAS)(写真:MBDA)
遠隔輸送機、つまり他の要素と並んで飛行する無人航空機は、フランス/ドイツ/スペインの
将来戦闘航空システム (FCAS) の重要な柱となっています。その開発は、エアバスが元請け
となっていて回収可能なリモート キャリア (RRC) と、使い捨て可能なリモート キャリア
(ERC) の 2 つです。
MBDA (ミサイルを販売するヨーロッパの武器製造企業:本社イギリス)は後者の開発を
主導し、FCAS フェーズ 2 の一環として 2029 年の技術実証機の初飛行に向けて取り組んで
います。対象となるミサイルの重量は約 400 キログラム、長さは約 4 メートルになります。
飛行持続時間、つまり「飛翔時間」は約 1 時間になります。ERCは戦闘機のような性能と
機動性を備えており、有人戦闘機と並行して運用したり、囮として行動する際に有人戦闘機
をエミュレートしたりすることもできる。機動性とレーダー断面積が狭いため、交戦は困難
ですが、敵から視認性が高くなるように構成できる戦術シナリオもあるかもしれません。
ERC は将来の空戦に新たな次元をもたらします。戦闘機から大型航空機、船舶、潜水艦、
陸上車両に至るまで、幅広いプラットフォームから発進できる ERC は、戦闘空間にさまざま
な効果をもたらし、戦闘質量を増加させる低コストの手段です。
ERC のコストを比較的低く抑えることで、多数の車両を使用できるようになり、敵の防御を
飽和させるパック戦術での使用が可能になります。ERC は幅広いペイロードを搭載できるた
め、その正確な目的と交戦すべきか否かについて敵を混乱させます。
ペイロードには、情報収集、運動効果、電子戦、通信中継システム用のセンサーが含まれる
場合があります。ERC は接続可能となり、FCAS の他の機体(媒体)と「会話」できるよう
になります。典型的な任務には、敵の防空の制圧/破壊、防空を飽和または妨害することによ
る深部攻撃任務の支援、防御的および攻撃的な対空任務での有人戦闘機の運用、および対艦
攻撃が含まれます。有人航空機の乗組員の作業負荷を軽減するために、選択可能な自律運用
の度合いが組み込まれます。
ERCは、FCASが計画している次世代戦闘機だけでなく、ラファールやタイフーンなどの「レ
ガシー」航空機にも利用できるようになります。ERC と NGF は両方とも、より広範な FCAS
スケジュールに沿って協力して進められていますが、NGF への遅れが示唆されています。
MBDA にとって、ERC 設計を最終決定する上で重要な要素は、ERC が開始される NGF の内
部ベイの最終的なサイズと構成です。計画では、より大きなRRCも打ち上げプラットフォーム
にする予定です。
ラファエルが新型空対空ミサイルを明らかにする
新型長距離空対空ミサイル(画像:ラファエル)
イスラエル国営兵器メーカーのラファエル社は、パリ航空ショーで新型長距離空対空ミサイル
を公開しました。
ラファエルの展示スタンドに展示されているスカイ・スピア・ミサイルのモデルは、ラファエル
の赤外線誘導パイソン・シリーズやレーダーホーミングを含むイスラエルの標準空対空ミサイル
・ファミリーの60年にわたる本体と比較して、設計と性能の大幅な変更をしました。
ラファエル・アドバンスト・ディフェンス・システムズの事業開発・マーケティング担当ディレ
クター、ヤニブ・ロテム氏によると、スカイ・スピアはI-ダービー拡張射程(ER)の射程を超え
るように設計されているといいます。
ロテム氏によると、さらなる航続距離は、追加の運動力と空力揚力の組み合わせによってもたら
されるといいます。I-ダービーERのデュアルパルス推進システムの代わりに、3パルスモーター
がミサイルに動力を供給します。スカイ・スピアはダービーシリーズよりも幅が20mm広く、
直径は180mmですが、ラファエルは抗力を減らすために新しいミサイルの3組の制御面の面積
を縮小しました。
もう 1 つの重要な変更は、I-Derby ER よりもはるかに長い距離でターゲットを捕捉できる高度
な無線周波数 (RF) シーカーです。
ミサイルの先端に付いているシーカー
ロテム氏は、RFシーカーには高度な電子対抗手段機能が組み込まれており、これによりミサイ
ルが敵の空中および地上の妨害システムによる攻撃を回避できると付け加えました。
スカイ・スピア構想は、世界の軍隊が空対空ミサイルの射程を劇的に延長しようとする中で浮
上しており、この傾向はMBDAミーテオールが10年以上前に確立したものです。中国もこれに
続き、過去10年間にPL-15目視外空対空ミサイルを公開。アメリカは2017年、AIM-260統合
先進戦術ミサイルを納入する契約をロッキード・マーチンと締結することで対抗しました。
ロテム氏によると、イスラエル空軍はスカイ・スピアの採用を望んでいるが、ラファエル氏は
認証を完了するための資金を確保するための国際パートナーを探しているといいます。
イスラエルは業界パートナーと直接合意するよりも、政府間の合意に達することを望んでいる、
と同氏は付け加えました。
ルーマニア、初のウォッチキーパーUAS購入を決定
ウォッチキーパー(画像:エルビットシステムズ)
エルビットシステムズ(イスラエルの軍事用 エレクトロニクス を開発している企業)は、
ルーマニア国防省から 3 台の ウォッチキーパー X 無人航空システム (UAS) の発注書を
受け取ったと今週のパリ航空ショーで発表しました。計画では、2 年間にわたって航空機
を納入する予定です。1億8000万ドル(約260億円)相当の発注は、12月21日に発表され
た最大7機の無人航空機を対象とする4億1000万ドルの枠組み契約の一部です。エルビッ
トは機体に加えて、同社の Spectro XR マルチスペクトル電気光学ペイロードや新しい通
信機器を含む関連システムも提供します。
ウォッチキーパー X は、エルビット社とタレス社の合弁事業である U-TacS が英国陸軍向
けに開発したエルメス 450 を改造した輸出版です。結果として得られた WK450 に適用さ
れた改良には、2 番目のペイロード (通常は SAR/GMTI レーダー) の追加と、翼の位置を
パラソルから従来の胴体マウントに変更することが含まれていました。エルビットの子会社
が製造した 150 馬力の Wankel ロータリー エンジンが車両に動力を供給します。
枠組みの発表時にエルビットは、地元企業エアロスターとエルビットおよびU-TacSのルーマ
ニア子会社と協力して、ルーマニアでUASを生産する計画に言及しました。
まとめ
今回のパリエアショーで、アメリカの戦闘機Fー35がフライトのデモンストレーションを行い
ました。
パリエアショーでデモンストレーションフライトを行うFー35
このFー35は、エンジンの問題でプラット・アンド・ホイットニー社とロッキード社
との間で行われている熱いバトルの火種になっています。それは次世代戦闘機NGAD
のエンジン冷却問題にも発展しています。詳しくは次回お伝えします。
こうやって、パリエアーショーでは大量のマネー(資金)が飛び交っています。今や
世界の経済を回しているのは、軍需産業かもしれません。
それでは今日はこの辺で・・・
またお会いできる日を楽しみにしています。
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