双胴の怪鳥・ロック、音速ロケット分離に成功!

飛行機

皆さんこんにちは!

皆さんは、2つの胴体を持つ大型の航空機をご存知でしょうか?

タロンという音速航空機を空中で発射するための母艦として開発された航空機です。

アメリカ・インディアナ州ウエストラファイエット—高速飛行開発会社ストラトローン

社が運用している、この母艦「ロック」と音速機「タロン」を紹介します。

怪鳥・ロック

ロックの姿

ストラトローンチ社が所有するこの巨獣は、愛情を込めてロックとして知られており、

古代神話に登場する巨大な鳥にちなんで名付けられました。当初は宇宙シャトルを地球の

軌道上に打ち上げるために設計されましたが、現在、航空宇宙産業が高速飛行試験に使用

する回収可能な超音速機を打ち上げることを目指し​​ています。

試験飛行中のロック。 <em>クレジット: Stratolaunch</em>

試験飛行中のロック。(画像: Stratolaunch)

ロックは、別の会社であるScaled Composites社によって ストラトローンチ社 用に設計お

よび製造され、この会社がこの航空機に正式な Model 351 という名称を与えました。ロッ

クの翼長は 385 フィート(117m)、最大離陸総重量は 130 万ポンド(590トン)で、

ボーイング 747-400 に搭載されているプラ​​ット・アンド・ホイットニー製 PW4056 ターボ

ファン エンジン 6 基を搭載しています。これらのエンジンを組み合わせると、336,000 ポ

ンドという驚異的な推力が得られます。これは、ツイン F119 エンジンをすべてフルアフタ

ーバーナーで搭載した F-22 ラプター 5 機近くに相当します。

ちなみにボーイング747ジャンボジェット機の翼幅は、64.4mです。約2倍の長さです。

An infographic used during Rainey's presentation detailing the Roc's size. <em><em>Credit: YouTube screengrab</em></em>

レイニー氏のプレゼンテーション中に使用された、Roc の構成を詳しく説明するインフォグラフィック。 <em>クレジット: Stratolaunch (YouTube スクリーンショット経由)</em>

プレゼンテーション中に使用された、ロックのサイズを詳しく説明するインフォグラフィック。

(画像: Stratolaunch)

ロックの右側胴体には飛行乗組員がおり、パイロット 2 名とペイロードオペレーターとし

ても機能する航空機関士 1 名が含まれています。与圧されている左側の胴体には座席やコ

ックピットがなく、代わりにさまざまなアビオニクス機器が満載されています。胴体間で

共有されるのは電気と空気圧のみで、燃料は翼間で別々に分割されています。

操縦の難しさ

気になるのがどうやって操縦しているかでしょう。

コックピットは、右側胴体にあります。通常航空機のパイロットは機体の真ん中に座って

います。旅客機ですと左右席にパイロットが2人座っているのですが、ほぼ中心ですので

自分が滑走路の真ん中にいれば飛行機も同じく滑走路の真ん中に位置します。

しかし、ロックの場合はパイロットが常に右にいなければいけませんので、着陸時は

たいへん難しい操作になります。

ロックのコックピット。 海軍や一部の USAF ジェット機と同様の AOA インデクサーに注目してください。 <em>ストラトローンチ</em>

ロックのコックピット(画像: Stratolaunch)

特に難しいのは、横風が吹いているときの着陸になります。通常、接地までは風上側に

クラブ(偏流角をとった状態)で風に流されないようにします。接地手前で、滑走路方

向に機軸を合わせて風上側にバンクをとります。しかしロックの場合は、機体間の距離

があるため、離陸時と着陸時には、機体が滑走路に正確にまっすぐ向いていることが非

常に重要です。 

機長と副操縦士の両方が特定の飛行制御を引き継ぎ、進入中および離陸中にロック の位置

を可能な限り調整することに主な焦点を当て続けることができるようにします。着陸時、

ロックがオペレーター間で任務を分担する方法は、パイロットから「クラブ角度」などを

計算するプレッシャーを軽減するのにも役立ちます。横風による進入中、航空機が風の方

向にコックされるとクラブアングルが形成され、地上軌道が滑走路と一直線に保たれます。

その方法は、副操縦士がスロットルを制御するという点で、その負担を一部軽減しました。

つまり、機長が操縦桿で機体を制御(操縦)し、副操縦士がスロットルを操作して出力を

調整するのです。

また、胴体が長いため着陸時に機体を起こしすぎると、尾部を滑走路にこすってしまう危

険性があります。そのため、着陸時の迎え角(ピッチ)は0~6°くらいですが、ほぼ着陸時

にはそのままの低いピッチでの着陸となります。

また、着陸距離を短くするために、フラップ(高揚力装置)の角度が70°という大きな角度

に設定されています。通常の旅客機は、着陸時のフラップ角度は40°より少ないのです。

フラップが見えるRocの背面図。 <em>クレジット: Stratolaunch</em>

70°という大きい角度のフラップ。(画像: Stratolaunch)

もう一つの問題は、翼の上反角が浅いために低速での旋回時などにかなり大きなヨー慣性

モーメントも発生し、飛行中の航空機の機首の向きに影響を与える可能性があります。

上反角が低いと、逆ヨーが多くなります。それで、エルロンを入れると、逆ヨーが発生する

ことになります。ペダルを踏むとその逆になります。この飛行機ではロールとヨーの間に相

互作用があります。ペダルを踏んだときのヨーを制御する必要があります。したがって、

最初は回転する方向にペダルを踏む必要がありますが、すぐにペダルを外して反対側のペダ

ルを踏まないと、反対方向にヨーを起こしてしまいます。

これをタイミング良く操作しないと、ダッチロールに入ってしまいます。

ダッチロール発生時の飛行機の挙動イメージ

機体姿勢が左右に傾くのを繰り返しながら、進行方向の左右変化も伴う挙動がダッチロール

超音速機 タロン A

Stratolaunch の Talon-Roc に搭載される極超音速テストベッド車両。 <em>クレジット: Stratolaunch</em>

Stratolaunch の ロックに搭載される極超音速テスト機・タロンA(画像: Stratolaunch)

タロン Aの分離テストに成功

ストラトローンチ社は、5月13日に分離テスト航空機TA-0の分離解放試験に成功したと

発表しました。この飛行は同社の打ち上げプラットフォーム「ロック」にとって11回目で

のことでした。

合計4時間8分続いたこの飛行は、タロン A発射システムが極超音速飛行体をロックの中央

翼パイロンからきれいかつ安全に分離できることを実証することでリスクを軽減しました。

この試験では、タロン Aとヴァンデンバーグ宇宙軍基地の通信資産間の遠隔測定も確認され、

将来の極超音速飛行試験中にバックアップの遠隔測定データ収集が行われることが保証され

ました。

  Stratolaunch は、2023 年 5 月 13 日に Roc 空中発射プラットフォームから Talon-0 (TA-0) 分離試験機の放出に成功しました。クレジット: Stratolaunch / Christian Turner

ロックから発射されるタロン A超音速機(画像: Stratolaunch)

このテストが完了すると、チームは 2023 年の夏の終わりに TA-1 消耗品テストベッドによ

る初の極超音速飛行に向けて前進することになります。

タロンは、マッハ5で飛行できる設計になっています。

まとめ

怪鳥・ロックの操縦の難しさが少しはおわかりいただけましたか?

私のような戦闘機や大型の旅客機を操縦した経験がある者でさえ、想像すらできません。

今回、このテスト飛行を行っているテストパイロット、レイニー氏は、アメリカ空軍で、

ロッキード・マーチン社のF-22ラプターの主任テストパイロットとして輝かしい過去が

あります。その経験豊富なレイニー氏でさえ、悪戦苦闘しているのです。

ロックは、今後も量産されないでしょう。しかし、その姿は怪鳥と呼ぶにふさわしい

優れた航空機です。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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