宇宙大国・インド

宇宙

皆さんこんにちは!

昨日、日本のH2Aロケットの打ち上げに成功しました。このロケットには、X線分光撮像

衛星(XRISM)及び小型月着陸実証機(SLIM)を搭載しています。H3ロケットが失敗し

てからH2ロケットのうち上げが成功するまでには相当のプレッシャーがあったことでし

ょう。

これでH2ロケットの打ち上げ成功率は、97.9%にも達しました。ほぼ失敗していません。

唯一の失敗は、2003年11月29日の6号機の1本のブースターが外れなかったために破壊

指示が行われた事例だけです。H2ロケットは、46回(今回は47回目)成功しているので

す。

そんな、技術力の高い日本ですが、実はインドが宇宙大国に名乗りを上げようとしてい

るのです。

宇宙大国・インド

インド、宇宙開発の歴史

インドの宇宙開発の父と呼ばれている人がいます。それは、ヴィクラム・サラバイという

人です。1947年にインドがイギリスから独立した後、最初のインド政府は防衛技術と宇

宙研究開発が非常に重要だと考えました。また、1962年にはヴィクラム・サラバイを議

長とする、インド国家宇宙研究委員会(INDIAN NATIONAL COMMITTEE for SPACE

RESEARCH (INCOSPAR) )が組織されました。このINCOSPARが7年後に、今のインド

宇宙研究機関ISRO (Indian Space Research Organization)に名前を変えます。

NASAとの初期検討を通して、ISROはインド全土へのテレビ放送のためには、人工衛星

が最も経済的な手段であると考えました。衛星は、インドの社会経済発展のために重要

な役割を果たし、地上波による放送と比べコストを抑えることができたのです。

ISROは、アメリカのScout Rocketというロケットをベースに、独自のロケット開発を

始めます。Satellite Launch Vehicle (SLV) と呼ばれるこのロケットはアメリカのミサイ

ルの設計を元にしたロケットで、その他の技術(飛行制御、材料科学、風洞実験技術)

などはドイツから導入しました。

インド宇宙研究機関(ISRO)

ISROの主な目的は、さまざまな国家ニーズに応える宇宙技術の開発と応用です。この

目的を達成するために、ISRO は通信、テレビ放送、気象サービスのための主要な宇宙

システムを確立しました。リソースの監視と管理や宇宙ベースのナビゲーション サービ

スなどです。ISRO は、衛星を必要な軌道に配置するための衛星打ち上げロケット PSLV

および GSLV を開発しました。

PSLV ランチャー

Polar Satellite Launch Vehicle (PSLV) は、インドの第 3 世代ロケットです。インドの

ロケットとしては初めて液体ステージを搭載したロケットです。1994 年 10 月に最初の

打ち上げに成功した後、PSLV はインドの信頼性と多用途性を備えた主力打ち上げロケッ

トとして活躍してきました。このロケットはインドおよび外国の顧客の多数の衛星を打ち

上げてきました。さらに、この宇宙船は 2 機の宇宙船「チャンドラヤーン 1 号 (2008 年)

と火星周回宇宙船 (2013 年)」の打ち上げに成功し、後にそれぞれ月と火星に到達しまし

た。打ち上げ回数も50回を数え、日本のH2ロケットより多く成功しています。

太陽観測衛星アディティヤの打ち上げ成功

Aditya-L1を搭載したPSLVロケットが爆発

太陽観測衛星アディティヤL1の打ち上げは成功!(画像:ISRO)

宇宙船チャンドラヤーン3号による月の南極への着陸に成功してから1週間後、インドは初

の太陽観測衛星アディティヤL1を宇宙に展開し、新たな布石を投じました。

サンスクリット語の「太陽」にちなんで名付けられたアディティヤ-L1は、現地時間9月2日

午前11時50分、PSLV-C57ロケットに搭載され、シュリハリコタのサティシュ・ダワン宇

宙センターから打ち上げられました。

インド宇宙研究機関(ISRO)はその後、衛星が予定の軌道に到達し、ソーラーパネルが

展開され、宇宙船が自ら発電したことを確認。

アディティヤ-L1 は、2 つの天体の重力が釣り合う太陽・地球ラグランジュ ポイント まで

巡航する前に、16 日間地球中心の軌道移動を実行します。L1までの移動には110日かかる

と予想されています。

この衛星には、可視輝線コロナグラフ、太陽紫外線画像望遠鏡、太陽低エネルギーX線分光計

高エネルギーL1周回X線分光計、太陽風粒子実験、プラズマ分析装置という7つの国内開発ペ

イロードが搭載されています。パッケージと磁力計などそれらはすべて、太陽の光球、彩層、

コロナを観察するためのものです。

これとは別に、ISROは、月面探査機プラギアンが9月22日の次の月の出を待つ間「スリープ

モード」に入ったと発表しました。プラギアンは月面を328フィート(100メートル)以上

動し、土壌サンプルの測定を行いました。月の表面に硫黄が存在し、プラズマがまばらに

分布していることが確認されたのです。

有人宇宙飛行・ガガンヤーン

ガガンヤーン計画では、3人の乗組員を3日間のミッションで400kmの軌道に打ち上げ、

インド海水に着陸させて安全に地球に帰還させることで有人宇宙飛行能力を実証すること

を想定しています。

ガガンヤーンのミッションの前提条件には、乗組員を宇宙まで安全に運ぶための打ち上げ

ロケット、宇宙の乗組員に地球のような環境を提供する生命維持システム、乗組員の緊急

脱出の備え、訓練のための乗組員管理の側面の進化など、多くの重要な技術の開発が含ま

れます。また 、帰還後は乗組員の回復とリハビリテーションについても研究が行われます。

打ち上げに使用されるのはLVM3 ロケット です。このロケットは、信頼性の高い ISRO の

重量物打ち上げロケットです。このガガンヤーン ミッションのためだけに開発されました。

固体ステージ、液体ステージ、極低温ステージで構成されます。LVM3 ロケットのすべての

システムは人間による評価要件を満たすように再構成されており、Human Rated LVM3

と名付けられました。HLVM3 は、軌道モジュールを目的の 400 km の地球低軌道に打ち

上げることができます。

HLVM3 は、一連の速動性の高燃焼率固体モーターを搭載した乗組員脱出システム (CES) で

構成されており、発射台または上昇段階で緊急事態が発生した場合に、乗組員モジュールと

乗組員を安全な空間へと距離を確保できるようになっています。

地球を周回する軌道モジュール(OM)は、乗組員モジュール(CM)とサービスモジュール

(SM)で構成されます。OM には、人間の安全を考慮した十分な冗長性を備えた最先端の

アビオニクス システムが装備されています。

CMは宇宙空間にある地球に似た環境を備えた乗組員のための居住空間です。加圧された金属

製の内部構造と、熱保護システム (TPS) を備えた非加圧の外部構造からなる二重壁構造です。

そこには、乗組員インターフェース、人間中心の製品、生命維持システム、アビオニクスお

よび減速システムが収容されています。また、着陸までの降下中の乗組員の安全を確保する

ために、再突入できるように設計されています。

SM は、軌道上で CM に必要なサポートを提供するために使用されます。これは、熱システ

ム、推進システム、電力システム、航空電子工学システム、展開機構を含む非加圧構造です。

軌道モジュール

宇宙飛行士が乗り組む軌道モジュール(画像:ISRO)

まとめ

日本の宇宙開発は、インドと同時期に始まりました。

インド初の衛星は1975年、ロケットSLVの打ち上げは1979年、一方、日本は初めての

衛星とロケットを1970年に打ち上げています。さらに、インドの月探査機の打ち上げは

2008年、日本の月周回衛星「かぐや」の打ち上げは2007年ですから、インドと日本は

ほぼ同じスピードで宇宙開発を進めてきたといえます。

日本は1945年に終戦を、インドは1947年に独立を果たしています。第二次世界大戦後、

欧米の思惑に影響を受けながら、急速に近代化を推し進めてきた両国が、同様の宇宙開

発史を辿るのは必然だったのかもしれません。

インドは時間がかかりながらも、その後の主力ロケットPSLVの開発を成功させ、世界で

も有数の低価格のロケットとして、その存在感を高めていきます。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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