空間識失調

飛行機

皆さんこんにちは!

今日の新聞、ニュースで、今年1月31日に小松基地所属のアグレーサー部隊のF15戦闘機が

墜落した事故原因が、『空間識失調』ではないかとの記事が発表されました。

北国、富山新聞 2022年6月2日の記事

お探しのページが見つかりません|北國新聞デジタル・富山新聞デジタル
事故の概要

2022年(令和4年)1月31日、午後5時半頃、航空自衛隊小松基地から飛び立った

同基地飛行教導群所属のF15戦闘機が、離陸直後に行方不明になりました。

その後の捜索で、同基地5kmの日本海海上にて墜落が確認されました。

2名の自衛官の尊い命が奪われました。

同機は、小松空港滑走路24から離陸、すぐに右旋回に入りました。その後、約5kmの

洋上でレーダーから消失しました。この海域で垂直尾翼なその機体の主要部分が見つかりました。

それでは、墜落の原因とされている、『空間識失調』について解説していきます。

 

空間識失調

  空間識失調とは?

航空機の操縦士が飛行中、一時的に機体の高度や姿勢を正確に把握できなくなる状態を

言います。機動性の高い航空機(戦闘機)やヘリコプターで霧の中や夜間など視界が悪いときに

起こりやすいと言われています。

この錯覚が起こる原因の一つとして『内耳』機能に関係するものがあります。

ここでは『内耳』と『耳石器(じせき)』について説明します。

 

  内耳とは?

空間識関連したほとんどの問題点は内耳(鉛筆についている消しゴム程度の大きさの感覚器)

に由来したものと言って良いでしょう。

内耳は頭蓋骨の中にあり、人体の中でも最も守られているものである器官の一つです。

地上にいるときも飛行しているときも、体のバランスを保つための大切な働きをしています。

内耳にある三半規管は3軸のジャイロと似たような働きをしています。内耳からの享保が、視覚

や体組織からの情報とうまく統合されている限り、空間識失調に陥ることは少ないと言えるでし

よう。逆にその情報が違っていたら、空間識失調になる可能性があるのです。

内耳の中の液体(リンパ液)は変化率にしか反応せず、定常状態になると反応しなくなってしま

います。

例えば、左にバンクをかけ始めたとします。バンクをかけ始めた当初は、内耳もこの変化を察知

します。全くの等速でバンクをかけ続けたとしても、内耳は数秒後には『全く動いていない』と

錯覚に陥ってしまっています。

この現象が悪天候の中(視覚情報の乏しい状況)で、計器無しで飛行すると最も恐ろしいことに

なることは想像がつくと思います。たとえ、どんなに経験のある優秀なパイロットであろうと

この状況では空間識失調に陥ります。

 

  耳石器とは?

自動車を勢いよく加速したときに、実際以上に自動車の前部が激しく持ち上がり、急減速した

ときに強く前のめりになったように感じた経験を持つ人は少なくないと思います。

加速、減速を感知する感覚器は『耳石器(じせき)』と言われています。

耳石器は卵形嚢(らんけいのう)および球形嚢(きゅうけいのう)に存在し、感覚毛の上に

カルシウム結晶を乗せた構造になっています。

主に加速、減速を認知する器官といわれていますが、上下方向の頭の向きによっても加速、減速

と類似の反応をしてしまうことが知られています。

この錯覚により、悪天候で指定の悪い状況でゴーアラウンド(着陸復行)する際に、必要以上に

機首上げ状態になったと錯覚し、慌てて機首を下げ事故に至ったケースも報告されています。

 

  空間識失調の予防策

空間識失調の対処法は、『計器飛行をする』ことです。

これは、たいへん難しいことです。

まずは自分が空間識失調になっていることを自覚することから始めなければなりません。

低高度で、空間識失調になってしまった場合は、一瞬でその判断をしなければなりません。

そうならないように予防策を考えておきましょう。

その予防策は・・・

① IMC(計器飛行状態、視界の悪い状態)下で、計器無しで飛行してはなりません。

② 視覚情報が無いとき、内耳はあなたに誤った情報を与えます。

③ 知らないうちに逆立ちして飛行していることもあり得ることを肝に銘じましょう。

④ 雲中に入り、計器飛行していなければ20秒以内で空間識失調に陥ります。

これらのことを自覚していることが大切です。

私の経験談ですが

雲の中を水平飛行しているときに、斜め上から太陽がうっすらと見えている状況で

太陽の方向が真上と錯覚して、バンクをとっていました。

月の無い夜に、海に浮かぶ漁船の灯りと星の灯りの区別がつかなかったこともあります。

いろんな錯覚がありますが、知識を持つことで大事に至らないようにしなければなりません。

 

それでは今日はこの辺で。

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました