アーチャー初フライトに成功

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

先日、アメリカのArcher Aviation がeVTOLの移行飛行の初フライトに成功し

ました。

デモ機の初フライト

Archer Aviation は 12 月 1 日に発表した Maker eVTOL エア タクシー プロト

タイプで史上初の移行飛行(垂直離陸からの巡航フライト)を成功させました。 

この移行飛行は、アーチャーのエア タクシーの開発における重要な節目となり

ます。現在開発中の他の固定翼 eVTOL と同様に、アーチャーの航空機は垂直に

離着陸しますが、巡航飛行中は翼を揚力として使用します。 

低速で飛行している場合は、航空機の 12 個のプロペラがほとんどまたはすべての

揚力を発生します。移行飛行は、機体が加速し、ホバリングから完全な翼搭載飛

行に移行する状態です。この最初の成功した移行飛行の結果を踏まえて、さらなる

航空機の設計を検証します。 

Archer のチーフ エンジニアである Geoff Bower 氏は、次のように述べています。

「トランジション(移行飛行)は、垂直離着陸機にとって重要なマイルストーン

(節目)です。1 回の飛行で、垂直に離着陸し、翼搭載飛行で効率的に巡航する能力

を実証するためです」と Bower は会社のブログ投稿で説明しています。

アーチャー氏によると、Maker プロトタイプ(2人乗りのeVTOL)は 11 月 29 日に、

新しいサンノゼ本社から遠くない同社の試験飛行施設で最初の移行飛行を完了しました。

飛行中、メーカーの航空機は、垂直に離陸して高度約 240 フィートまで上昇した後、

調整対気速度 91 ノット (約時速169km) に達しました。

ArcherのMaker プロトタイプは、同社が先月初めて発表したMidnight と呼ばれる

量産航空機の 2 人乗りのプロトタイプです。4 人の乗客と 1 人のパイロットが座る

Midnightは、Maker と同じ「12 チルト 6」プロペラ構成を備えています。

この構成は、翼の背面に取り付けられた 6 つの固定式リフティング プロペラを特徴

とし、翼の前面にある 6 つのプロペラは垂直揚力または前方推進力を提供するため

に傾けることができます。 

今週の成功した移行飛行は、メーカーの航空機が史上初のホバー飛行試験を開始して

からほぼ 1 年後に行われました。Archer は、過去 12 か月間、2 機の Maker 航空機

で大規模な飛行試験を実施してきました。Midnightは 2023 年前半に試験飛行を開始

する予定であり、その後まもなく Maker のプロトタイプは廃止され、2024 年後半に

予定されている FAA の型式認定につながります。

Archerは 2025 年にMidnightを使用して、空港と市内中心部の間の短い旅行で乗客

の輸送を開始する予定です。旅行の長さは平均で約 20 マイル(32km)です。

同社は投資家でローンチカスタマーであるユナイテッド航空と提携して、ユナイテッド

の顧客にエアタクシーサービスを提供しており、最近、マンハッタンとニュージャージ

ー州のニューアークリバティー国際空港間の最初のエアタクシールートを発表しています。

試験飛行データー

 Makerには、固定翼の 6 つのブームに取り付けられた 12 個のプロペラがあります。

12 個のプロペラすべてが、離着陸時に垂直揚力を提供します。前方の 6 つのプロ

ペラは巡航位置まで前方に傾いて、前進飛行中に推進力を提供し、翼は従来の飛行機

のように空力揚力を提供します。

機体は垂直に離陸し、高度約 240 フィートまで上昇しました。その後、高度を維持

しながら対気速度 91 ノット (時速169km) まで加速し、パターンの周りを飛

行し、減速してホバリングに戻り、垂直着陸を完了しました。これは、前方の 6 つ

のプロペラが巡航位置に保持された Maker の最初の飛行でした。

ティルト プロペラを巡航位置に置き、リフト プロペラを下に巻き上げた状態で、

Maker はこの速度で完全に翼を持っており、従来の飛行機のように飛行していました。

移行飛行は、垂直離着陸機にとって重要なマイルストーンです。1 回の飛行で、

垂直に離着陸し、翼搭載飛行で効率的に巡航する能力を実証するからです。

以下のいくつかのデータからわかるように、翼搭載飛行中の Maker の飛行に必要

な電力は、ホバリング中の約 3 分の 1 です。航空機の効率を最大化するには、

飛行の大部分を翼搭載飛行で行うことが重要です。言い換えれば、有用な範囲で

ペイロードを高速で運ぶことです。

ホバーと翼搭載飛行の間の移行は、航空機の構成が急速に変化し、空気力学的相互

作用の影響を予測するのが難しく (図 1 を参照)、飛行ダイナミクスが変化し、

関連する制御法則が変化するため、今までの(固定翼)飛行が最も困難です。

図 1. 移行中のプロペラと機体の間の空気力学的相互作用を示す OVERFLOW CFD シミュレーション

この図から、垂直上昇時には後方のローターにかなりの渦(うず:気流の乱れ)が

あることがわかります。そこから、前方の6つのローターが水平状態に移行すると

さらなる空気の乱れが後方ローターに影響してきます。

また、V字尾翼が効率的に空気の流れを受け流す様子も見られます。

 

図 2. 飛行試験データと航空機モデル予測からの対気速度の関数として必要な電力。

縦軸が必要電力の値です。上昇時を1.0とした場合、水平飛行時には約3分の1の

0.35くらいになっています。また移行時には全体的に緩やかなカーブを描いて

います。

図 3. 飛行試験データと航空機モデル予測からの対気速度の関数としての前方エンジン傾斜角度。

図 3 は、対気速度によるフロント エンジンの傾斜角の変化を示しています。

縦軸はローター(前方)の垂直(角度90°:上向き)から水平(角度0°)までの

各角度に応じた速度の分布を表しています。これを見ると約45°付近までは緩やかに

速度も増えていますが、それ以降は加速度的に増えています。V22オスプレイ

の操縦でも言えることですが、この移行飛行の際の操縦が一番難しく、急な風の

変化に対応できるだけの速度の余裕が必要です。

ティルトが巡航位置に達する対気速度は、70 ノット (翼搭載飛行の最小対気速度)

のパワー オフ ストール速度(エンジン出力を一番絞った状態の失速速度)より

30% 高いマージンを提供できるために、意図的に約 90 ノットになるように設計

されました。操縦と突風を可能にするために、失速速度からのマージンが必要です。

これは、従来の飛行機の失速速度の約 1.3 倍の一般的な航空機のアプローチ速度

(着陸速度)に近い値です。

まとめ

初の移行飛行の試験飛行は成功に終わることができました。

今後は、試験飛行を重ねて次なる5人乗りのエアタクシーの実用化に向けて

進んで行くでしょう。ただ、Archerは当初の開発計画より少し遅れが生じています。

これは、仕方ないことかもしれませんが、さらなる資金調達と開発人材の

補給が必要でしょう。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

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