神風ドローンの正体

ドローン、空飛ぶ車

皆さんこんにちは!

このところ、ロシアとウクライナの戦争においてドローンによるウクライナの

都市やインフラに対する攻撃が激化しています。多くの民間人の死者も出てい

ます。その攻撃で使われたのが、イラン製のShahed(シャヘド)136

いう自爆型ドローン兵器です。

Shahed 136

ロシア軍の攻撃

ウクライナでは17日、首都のあるキーウ州、中部ドニプロペトロウシク州、

北部スーミ州の重要インフラが攻撃されました。同国政府によると、多くの町

や村で停電が起き、少なくともキーウ州で4人、スーミ州で4人が亡くなって

います。

ロシアは先週にも、キーウをはじめとするウクライナの多くの都市にミサイル

攻撃を行っており、その多くがエネルギーインフラを狙ったものでした。

西側のアナリストらは、ロシアがミサイル不足に陥る中で、イラン製の武器が

長距離攻撃の継続を助けているとみています。

イラン製 シャヘド136とは?

イラン製の最新のドローンがシャヘド136です。ロシア名Geran-2と呼ば

れています。

2021年12月に初めて公となった機体ですが、2020年にはイエメン内

戦で使用されていたという情報もあり、実際にはそれよリ前からイランには

配備されていたものと思われます。イランの国産兵器でAbabilシリーズ

の製造も行っている国内メーカーのIranian Aircraft

Industorial Campany Haseによって開発製造されて

います。

ドローンの全長は3.5メートル、翼幅は2.5メートル、重量200キロ

弾頭重量は40キロと自爆ドローンとしては割と大型になります。デルタ翼

を採用した機体は、翼と胴体が一体型の設計で、翼より先の機首は弾頭と誘

導に必要な機器が納められています。

2枚羽根のプロペラ翼で飛行しますが、離陸時は専用のランチャーとロケット

アシストによって加速させる必要があります。

Shahed 136 – a nasty enemy UAV that terrorizes Ukrainians • Mezha.Media

シャヘド136の発射カタパルト

最高速度は時速185キロ、飛行高度は60メートルから4000メートル、

航続距離は最高で2000~2500キロ、少なくとも1000キロとされて

います。ロシア領内から首都のキウイ、クリミア半島からオデーサを狙うには

十分な航続距離を有しています。

エンジンは中国製で、ラジコン用の民生品ドイツエンジンのコピーである

Mado md550を搭載しています。

Jake Godin on Twitter: "@arawnsley @Artorius519 @N_Waters89 @blueboy1969 A better look at the possible assembly highlighted above, shared recently by the Dnipropetrovsk SES on Facebook. Link: https://t.co/75Zgccxsmo https://t.co/l1OxgWWHJq" / Twitter

シャヘド136のエンジン、中国製でMado md550

騒音が激しいため数キロ先から接近するのがわかります。一般的なドローン同様、

GPSなどの座標を元に自律飛行が可能か、遠隔操作の性能は不明です。ドローン

にカメラやセンサーが見られないので、できてもラジコンの有視界飛行です。

イラン製と言うことはおそらく、衛星通信、人工衛星からの受信機能は搭載してい

ない可能性が高く、そうであれば遠隔操作で数百キロ先のドローンを遠隔操作はで

きませんので、ウクライナを攻撃したドローンは完全にGPS誘導によるものと

思われます。

シャヘド136の1機あたりの価格は2万ドル(約300万円)と、ミサイルに比べ

れば安価ですが、イラン製に自爆ドローンとしてはちょっと割高な印象を受けます。

性能が不明な点が多いので一概に比較はできませんが、例えばアメリカの自爆ドロ

ーン、スイッチブレード600は対戦車兵器としての威力もあって値段は半分の

1万ドル(約150万円)です。高性能のカメラを搭載し偵察用ドローンとしても

活用できます。

アメリカから40年に渡って経済制裁を受けているイランは、高度な部品を手に入

れることが難しく、シャヘド136のエンジン、GPS受信機などは市販の民生品

を使用し、軍用グレードの高度なパーツや電子機器は使用していません。高性能、

高機能ではありませんが、ある意味容易に手に入るもので生産する振り切ったドロ

ーンかもしれません。機能は陳腐ですが、その分扱いはシンプルで中東の民兵でも

使用できる様な単純な構造が売りでもあります。

ウクライナに対する効果は?

10月17日に首都キウイには28機のシャヘド136が飛来しましたが、標的と

思われるところに到達できたのはわずか5機のみでした。しかし、ウクライナ軍は

迎撃にドローンよりも高価な対空ミサイルを使用しました。また迎撃にでたミグ

29戦闘機が5機を落とすも、破片によって損傷し墜落しています。対空ミサイル

を消耗させるという目的だとしたら、成功かもしれません。

ロシア軍はシャヘド136を先日2400機注文したとされています。だとすれば

まだ多くのドローンをロシアは保有していることになります。ミサイルが枯渇しつ

つある中、今後はロシアの主要な長距離攻撃は自爆ドローンに切り替わるものと

思われます。

アメリカとイランの関係

第二次世界大戦までは、アメリカとイランの関係は極めて親密なものでした。

1950年代に石油国有化運動が起こり、イギリスからの石油の国有化に成功し

後ろ盾だったアメリカとの関係も益々良好になっていました。

しかし、1979年、イスラーム革命が起こり新しい指導者のホメイニー氏は

アメリカを敵対視するようになりました。同年11月にはホメイニー氏の指示で

アメリカ大使館を占領する事件が起こりました。

アメリカは1984年(レーガン大統領時代)にイランをテロ支援国家として

指名し、現在まで継続しています。その後、核保有疑惑などもあり、経済制裁

を継続して行っています。

今回のイランのロシアに対する武器供与に関して、アメリカ国務省は、このド

ローンがイランの核問題に関する国連安全保障理事会決議第2231号に違反し

ているとするフランスとイギリスの分析に、アメリカも同意するとしました。

ウクライナもイランに強く抗議するとともに国交断絶を発表しました。

まとめ

神風ドローンという名前は、日本人にとっては決して良いものではありません。

私は、むしろ悲しくなります。9.11のアメリカ同時多発テロの時も同様な

言葉が使われましたが、多くの人が犠牲になり、多くの命が失われました。

決して神風が吹いたわけではではありません。

またドローンという素晴らしいもの(飛行機)が、戦争の道具に使われること

自体あってはならないことです。

 

それでは今日はこの辺で・・・

またお会いできる日を楽しみにしています。

 

 

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